企業間取引などでよく耳にすることが多いのが売掛金です。
売掛金とは、商品やサービスの販売によって受け取る代金を、後日支払ってもらう未収分のことを言います。
取引の効率化にもつながりさまざまなメリットがある反面、注意しなければならないことも多いのです。
今回は、どの業界でも使われるようになった売掛金について、基礎から仕訳例、注意しておきたいポイントなども紹介します。
また、トラブルが発生しないための対策方法についても詳しく紹介しているので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
目次
売掛金とは?意味をわかりやすく説明
売掛金とは、商品やサービスを販売して売り上げた代金を、後日受け取る未収分のことを言います。
簡単に言えば仮取引の状態であるため、継続的に取引を行っているなど、信頼関係のある企業との取引で使われることがほとんどです。
また、主にBtoB取引で使われることが多く、具体的には売却代金や請負代金、サービス料の未収分などが売掛金に該当します。
特に卸売業や製造業、サービス業などで利用されることが多く、近年では幅広い業界で経理上の勘定科目として使われるようになりました。
そのほかにもよく似た言葉として取り上げられるのが、未収入金や前受金、立替金などがあります。
これらの違いについては下記でも詳しく紹介しているので、具体的な違いについて知りたい方は参考にしてみてください。
売上金との違い
よく比較される言葉として売上金があります。
売上金は、商品やサービスを提供した対価としてお金をいただき仕訳します。
その他方法として銀行振込や手形での受け取りなどがあります。
商品やサービスを提供した時に計上されることが多いです。
未収入金との違い
未収入金は、商品やサービス以外の代金をあとから受け取るときに使う勘定科目のことを言います。
売掛金は商品やサービスを提供した場合となるため、営業活動か営業活動以外かで異なります。
これらはよく似た言葉として使われており、間違えやすいので注意しましょう。
前受金との違い
前受金は、簡単に説明すると手付金のことを言います。
例えば商品を提供する前に受け取った代金などが前受金に当たります。
そのため、商品を提供していないにも関わらず売掛金と記載してしまわないように注意しましょう。
立替金との違い
立替金とは、その名の通り自社で支払う必要がない料金に対し、一時的に立て替える費用のことを言います。
この場合、受け取る権利があるお金であるのでよく混同しがちですが、立て替えではないため全く別の意味となります。
実際に立替金は取引先との関係に発生することも多く、例としてあげると配送費用などでよく使われています。
これらをまとめて売掛金と仕訳することがないように気をつけなければなりません。
買掛金との違い
買掛金とは、仕入れなど取引先から商品を購入してまだ未払いになっている決済のことです。
売掛金は取引先に商品を販売したとき、買掛金は商品を購入したときでどちらも信用取引の上で成立しています。
特に買掛金は支払い義務が生じるものなので、取引先との信頼を守るためにも支払い期日は厳守が原則です。
仮払金との違い
仮払金とは、営業活動において従業員である社員に営業日として事前に営業活動日を前払いすることです。
交通費や交際費など使途を明らかにしておくことで、後日内訳が分からないといったことがないようにしましょう。
仮払いはあくまで一時的な仕訳ですので、後日必ず正しい勘定項目に振り替えます。
売掛金を使った取引のメリットとは?
売掛金は、何やら後払いのような支払い方法であまりメリットを感じないのではと思っている方も多いでしょう。
しかし、企業間取引においてはさまざまなメリットがあります。
ここではその中でも代表的な3つのメリットについて紹介するので参考にしてみてください。
管理が楽になる
企業における取引に売掛金を活用することで、複数回に分けて請求書を発行したり、現金のやり取りをする必要がなくなります。
特に1社あたりの取引回数が多い場合、そのたびに請求書を作成から発送、支払確認までの作業を行っていたら時間がいくらあっても足りません。
しかし、売掛金なら現金でのやり取りが必要なくなるため、月に1回などまとめて請求書の発行から入金まで行うことができるのです。
作業効率が良くなるだけではなく、管理も楽になるので企業間取引では大きなメリットと言えるでしょう。
販売チャンスを広げることが可能
現金での取引しか行っていない場合は、効率が悪いと判断されてしまい、取引を断られるケースも多いのが現状です。
例えば、お店で買物をする場合、現金がなければクレジットカードで支払うといった形をとるでしょう。
しかし、現金しか取り扱っていないお店はクレジットカードで支払えないため、そのお店で買うのを断念せざるを得ません。
このように、個人での場合で説明をしましたが、企業間取引も選択肢が多いほうが販売チャンスを広げられるのです。
売掛金での取引を実施していれば、今すぐ現金を支払わなくても購入できるため、取引先の購買欲を高めることもできます。
さまざまな選択肢を用意したほうがビジネスでは有利となるため、販売チャンスを逃さないためにも必要不可欠となっているのです。
同じ取引先であれば買掛金と相殺できる
売掛金は後日入金されるので資産に、買掛金は後日支払いが生じるので負債に分類されます。
ですので、同じ取引先であれば両者合意の上で相殺や減額することができます。
両者の会計処理に差がでないよう、意思疎通をし処理します。
お互いに売上回収や請求書起こしなど、手間や業務を減らせることがメリットとなります。
減額の際も、余計な資金移動の手間が減りますので相殺処理は活用するべきです。
売掛金を使った取引のデメリット
売掛金を使った取引は便利である反面、今すぐ現金を手に入れることができないのでリスクが高まります。
実際にいくつかのデメリットがありますので、ここでは詳しく紹介します。
回収できないリスク
売掛金は対策をとっていない場合、未回収のリスクもあることを把握しておきましょう。
対策については後ほど詳しく紹介します。
基本的に売掛金のような信用取引は、必ず支払われる保証はなく、取引相手の状況によって回収できないこともあるのです。
つまり、貸し倒れのリスクがあることを認識する必要があり、100%安全な取引とは言い切れません。
これらのことから、どのような取引企業に対しても行うというのは危険です。
あくまでも信頼できる企業との取引のみ活用するようにしましょう。
売掛金を回収できないと金融機関評価が低くなる
売掛金自体があることは決して悪いことではなく、取引が多いということで金融機関は評価として扱います。
しかし、売掛金を回収できてなく、未回収が多くなると金融機関からの評価は低くなってしまいます。
金融機関からの評価が悪くなると、当然融資の際に不利な条件が働くことが考えられます。
銀行では融資先を決算書などを通じて12段階程度の格付けをしています。
経営の先行きや資金の透明性などの判断で振り分けられます。
格付け次第では銀行からの融資額や返済期間が変動しますので注意しましょう。
また、回収できないことで資金繰りの悪化など、会社の経営状況も左右されかねません。
売上はあるのに資金が回収できず、支払いに追われてばかりいると黒字倒産ということも考えられます。
売掛金の回収は取引先も含まれることなので、しっかりとした対策をして未回収を回避したいところです。
継続して取引するための契約が必要になる
売掛は個人間で言うところのツケ払いに似ていますが、契約するという点で異なります。
個人間でのやり取りは主に口頭での口約束に基づきますが、売掛では企業同士での取引となりますので書面による契約を交わします。
金額も個人間より高額になりますので、支払い期日や方法など不備のない取り決めが必要です。
売掛金を回収できなくなることは、企業にとって経営リスクにつながりかねません。
例えば、売掛金のうちの一つが回収できなくなった時に他の売掛金の支払い義務を生じさせるような「期限の利益喪失条項」を契約書に盛り込む等の対策も考えられます。
売掛管理や与信管理が必要になる
信用取引では、すぐに現金が手に入るわけではないためしっかりと管理することが大切です。
内容としては売掛管理と与信管理が必要になります。
例えば、取引先からいくら回収しなければならないのか、支払日の確認などは必ずしておかなければなりません。
また、取引をスタートさせる前に、相手側に支払い能力があるのか確認するための与信管理も必要です。
これらの内容には手間がかかるため、この部分はデメリットと言えるでしょう。
しかし、管理をせずに契約をしてしまうと、後々トラブルを抱えることになる可能性が高くなります。
それこそ貸し倒れリスクが高まり、未回収が増える恐れもあるのです。
健全な取引を続けていくためにも必要不可欠なので、しっかりと管理することは忘れないようにしましょう。
手元に現金がなくなってしまう恐れもある
すべての取引に売掛金を活用しており、その支払期間を長く設定している場合は手元に現金がなくなる可能性も否定できません。
商品は売れるけど、新たに製造する予算がないとなってしまったらビジネスを回していくことができなくなります。
特に管理ができていないと、このような事態を引き起こしやすいので注意しましょう。
対策としては簡単で、ある程度の資金は手元に残しておくことです。
しっかりと計画を立て、それ以上減らさないようにすれば基本的には問題ありません。
売掛金処理の流れ
売掛金を処理する順番は下記のとおりです。
- 売上計上
- 入金確認
- 入金消込
ここではそれぞれの処理について詳しく紹介するので参考にしてみてください。
売上計上
売上計上は、その名の通り売上を帳簿に反映させる作業です。
売上計上を行うタイミングとしては、商品やサービスの提供が完了したタイミングで行います。
基準はそれぞれの業界によって異なりますが、出荷日、引き渡したタイミング、取引先が受け取って内容を確認したタイミングが基本です。
入金確認
入金確認は、売掛金を回収できているか確認するための作業です。
ここでは、入金の有無を確認するだけではなく、支払期日を守って入金ができているかの確認も行いましょう。
また、振込名義や商品やサービス内容、金額の3点を確認し、請求書の内容と異なっていないか確認することも大切です。
注意点としては、一社あたりで複数の取引があるケースです。
この場合は確認作業も慎重に行う必要があり、特にまとめて入金されるケースでは、どの内容に対する料金なのかをしっかりと確認しましょう。
万が一金額や内容との相違があるなら、取引先への連絡を行って振り込んでもらうようにしましょう。
入金がないケースでも、同じように催促の連絡を忘れずに行うことが大切です。
売掛金の入金消込
そもそも消込とは、売掛金の債権の残高を消していく作業です。
そして、入金と照らし合わせながら債権を消していく作業のことを入金消込と言います。
入金消込は実際に入金が確認できたタイミングで行うのがベストです。
この作業は手作業で行うとヒューマンエラーが発生しやすい特徴があるため、できる限りシステムを活用することをおすすめします。
売掛金の入金消込におすすめの2つのサービス
入金消込にはExcelを活用している企業も多いでしょう。
使い続けていくとわかりますが、取引数が多ければ多いほど作業量が膨大になり、非効率的に感じるでしょう。
ここではミスなく効率よく作業を行いたい企業向けに、便利な2つのサービスについて紹介します。
入金消込自動化サービス
システムにはさまざまな内容がありますが、その中でもおすすめなのが入金消込に特化したツールです。
活用することによって、入金データと売掛金データを自動的に照合し、消込を行ってくれます。
システムによってできることは異なり、請求業務の全般をカバーしてもらえるものから会計システムと連携ができるものまでさまざまです。
自動化が可能になれば、消込の際にミスが発生するリスクも少ないのでおすすめです。
会計システム
会計システムには入金消込ができるものから、オプションで追加できるものまでさまざまです。
すでに会計システムを導入されている企業は、追加が可能か確認してみましょう。
会計システムにはさまざまな機能が揃えられており、会計業務はすべてカバーできます。
また、データを反映させることも得意であり、グラフなどで現状を把握することも可能です。
導入する際には入金消込が行えるかの確認をし、さらに使いたい機能があればそれらも含めて対応しているか確認しましょう。
売掛金の仕訳例
ここでは、売掛金の代表的な仕訳例について紹介します。
特にイメージが湧かないという方は参考にしてみてください。
売掛金の仕訳とは
そもそも売掛金は、どのようなタイミングで発生してどのように計上されるのでしょうか。
具体的には、商品やサービスの販売を行い、代金の支払いをその場で受けないものを売掛金として計上します。
例えば100万円の商品を販売したとしましょう。
このケースでは下記の表のようになります。
借方 | 貸方 | ||
売掛金 | 1,000,000円 | 売上 | 1,000,000円 |
売掛金回収の例
売掛金を回収できたケースでは、その時点で入金消込を行います。
よくあるケースとして、銀行振込の例をご紹介します。
例えば普通預金口座に売掛金が30万円振り込まれ、うち振込手数料が200円引かれて入金がされた場合は下記のようになります。
なお、振込手数料に関しては、支払手数料の勘定科目で仕訳を行います。
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 299,800円 | 売掛金 | 300,000円 |
支払手数料 | 200円 |
また、近年ではクレジットカードを活用した支払い方法も増えています。
例えばクレジットカードの売上が普通預金に20万円分振り込まれた場合、仕訳方法は下記のようになります。
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 200,000円 | クレジットカード売掛 | 200,000円 |
また、手数料が発生するケースもあります。
仮に1,000円の手数料が発生したとしてどのような売上処理となるのか見ていきましょう。
借方 | 貸方 | ||
クレジットカード売掛金 | 199,000円 | 売上 | 200,000円 |
支払手数料 | 1,000円 |
一部の入金があった場合の例
一部入金がされることもよくあるケースですが、この場合は回収時と同じような仕訳方法となります。
注意点としては、いつの売掛金に対する入金なのかがわからなくなることです。
これらを管理できていないと大変なことになるため、必ず会計ソフトなどを活用して一部入金であることを記載しておきましょう。
それでは一部入金時の例について紹介します。
例えば、売掛金30万円のうち、10万円のみの入金が普通預金にあったケースでは下記のとおりになります。
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 100,000円 | 売掛金 | 100,000円 |
売掛金の回収不能
売掛金の取引でよくあるリスクとしては、回収不能のケースです。
延滞が発生し、期日までに振り込まれなかったらどのような仕訳を行えばいいのでしょうか。
回収不能のケースでは、主に貸倒の仕訳を行います。
例えば、貸倒引当金を10万円と設定し、売掛金が10万円分貸倒れた場合の仕訳を見ていきましょう。
借方 | 貸方 | ||
貸倒引当金 | 100,000円 | 売掛金 | 100,000円 |
次に、貸倒引当金の設定がなかった場合に、売掛金10万円が貸倒れたケースも見ていきましょう。
借方 | 貸方 | ||
貸倒損失 | 100,000円 | 売掛金 | 100,000円 |
返品処理の仕訳
取引先から何らかの問題があると報告され、返品されたケースはどのような仕訳となるのでしょうか。
この場合は、返品処理を行うのではなく、売掛金から差し引いて処理をすることがほとんどです。
例としてあげると、例えば10,000円分の返品があったケースの仕訳方法は下記のとおりとなります。
借方 | 貸方 | ||
売上 | 10,000円 | 売掛金 | 10,000円 |
売掛金入金の注意点
入金に関する業務では、いくつか注意しておくべきポイントもあります。
ここではよくある注意点について紹介するので参考にしてみてください。
支払保留となっている場合
支払保留となる取引が発生したケースでは、トラブルに発展しないためにもお互いに連絡を取り合って確認することが大切です。
連絡をとったうえ、合意がされているなら入金された分だけ仕訳を行いましょう。
上記のように、お互いが理解している支払保留なら問題ありませんが、連絡なく入金がないケースでは注意が必要です。
放置することによって一向に支払いがされないこともあり、回収できないとなると損失が大きくなります。
そのため、期日までに入金がなかったら取引先に連絡を取り、状況をしっかりと確認することが大切です。
取引先を間違えている
入金業務の際には、いくつかミスが発生することもあります。
その中でもよくあるのが取引先を間違えてしまうことです。
例えば請求内容と入金された金額に差があるケースでは、取引先を間違えていることもあります。
そのため、すぐに仕訳を行うことはせず、まずは担当者にフィードバックして確認を取りましょう。
売掛金の時効
信用取引では、企業間のトラブルが多いこともあり、いくつか法律で決められていることがあります。
その中でも注意しなければならないのが時効です。
以前までは1年から3年と規定されていた時効ですが、現在では5年の期間が定められています。
このことを知らずに支払い遅れを放置していると、時効となり請求すらできなくなってしまうのです。
時効を迎えてしまうと対策する方法がなくなってしまうため、回収できていない取引があるなら早めの対策が必要でしょう。
売掛金を回収するための対策とは?
資金繰りを安定させるためには、できれば売掛金を100%回収するべきです。
振り込まれるであろうと決めつけていると問題が発生するケースもあるため、自社でできる対策はしっかりと取りましょう。
ここでは、未回収を増やさないための対策方法を5つ紹介するので参考にしてみてください。
支払い意思を確認し期日を設定する
売掛金の支払い期日を過ぎても入金がなかった場合、まずやるべきことは取引先への確認です。
確認の連絡をすることで、先方の単純な確認不足による未払いであれば即解決できます。
その際は期日を設定することが大切です。
懇意にしている取引先だとしても、売掛金の支払いのように信用が問われる場合は期日を設定して確実に対処していただきましょう。
また、併せて自社の請求忘れがないかも確認して、お互いに不備のない取引ができるように対策しましょう。
与信管理を行う
取引の可否を設定し、定期的に見直すことが信用取引においては重要です。
与信管理は、信用調査会社などのデータを元に調査を行いますが、細かく調べることで未回収のリスクを抑えることができます。
この部分をしっかり行っていないと、頻繁に支払い遅れが発生している企業と取引を行っていたとなることもあります。
トラブルに発展するリスクが高くなるため、与信管理は確実に実施しておきましょう。
自社で調べることも可能ですが、確実な調査が必要になるので専門家を活用したほうが安心です。
保証サービスを活用する
ファクタリングという言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。
ファクタリングにはいくつかの種類がありますが、未回収のリスクに備える対策として使われているのが保証型のサービスです。
これは簡単に説明すると、売掛債権に対して保険をかけられるサービスとなります。
保証型は、万が一取引先が倒産したなどの理由により回収できなかったときに利用が可能です。
仲介となっている業者が現金を支払ってくれる仕組みとなっているため、取引先に対して不安があるなら活用したほうがいいでしょう。
売掛債権を売却する
ファクタリングには保険をかけられる保証型のほかに、買取型も存在しています。
その名の通り、請求書などを売却して現金化するシステムです。
しかし、買取型は未回収のケースよりも今すぐ資金が必要になったときに利用すると便利なサービスとなります。
実際に売却には手数料も発生するため、実際の金額よりも当然回収できる金額は減ってしまいます。
そのため、すべての取引先に対して利用するのではなく、早期に現金化したいときのみに限定しましょう。
それ以外は保証型のサービスを利用したほうが、負担も少なく済みます。
弁護士への相談をする
支払遅れが頻発して相手との連絡が途絶えることや、取引をしてもいつも一部分しか支払ってくれないなどのケースでは、弁護士への相談もおすすめです。
弁護士に相談するメリットとしては、応じなければ裁判になるといったプレッシャーを与えることができます。
専門家が交渉してくれることによって、問題の早期解決を望むことができますし、自社で対応しなくて済むのは大きな利点です。
ただし注意したいこととしては、これからも継続して取引を行いたい企業に対しては行わないほうがいいでしょう。
理由としては弁護士を活用することで、取引先との関係悪化につながるケースもあるからです。
そのため、これ以上は我慢できないことや、今後取引はしたくないと思っている相手以外は要検討するようにしましょう。
取引先の倒産リスクに備えるために自社でできる対策とは
取引先の倒産リスクに備えるためには、与信管理を信用調査会社に依頼することが大切でしょう。
しかし、万が一に備えて自社で行える対策はしておいほうが安心です。
ここでは日頃からできる対策を2つに分けて紹介するので、参考にしてみてください。
経営状況の確認を忘れない
取引先の経営状況はこまめに確認することが大切です。
例えば、取引を行う際の信用調査以外にも、営業で訪問する際に社内環境をチェックすることも重要になります。
また、担当者との雑談などで経営状況を確認することも大切でしょう。
特に大型契約などのケースでは、それだけ売掛金に対する金額も大きくなるのが特徴です。
多額の現金を回収できなかったとなると企業にとっては大損失となるため、自社での確認も行うことが大切でしょう。
支払遅れを見逃さない
取引先の支払遅れが発生したら、軽い気持ちで流すことは避けたほうがいいでしょう。
そもそも支払が遅れることは、経営状況の悪化やキャッシュフローの悪化が原因である可能性が高いです。
中には忘れていただけと話すケースもありますが、経営状況が悪化していると素直に話してくれる取引先も少ないでしょう。
そのため、忘れていたという言葉を信用することはせず、なぜ遅れたのかをしっかりと調査しましょう。
また、少し遅れただけでは連絡が取りづらいかと思いますが、遅延は見逃さないことが大切です。
発覚した時点で連絡を取って状況を確認しましょう。
売掛保証が活用されている理由
取引先とのトラブルを避けるためには、さまざまな対策が必要です。
自社で行えることも多々ありますが、リスクに備えて売掛保証サービスを利用している企業も増えています。
ここでは実際に活用されている理由について紹介するので、検討している企業は参考にしてみてください。
また、売掛保証サービスはどこがおすすめなのか悩んでいる方は、下記でも紹介しているので参考にしてみてください。
取引先の倒産に備えることが可能
未回収に備えて対策を行っていない企業は、万が一支払われなかったら貸倒れとなってしまい、回収できないリスクが高くなります。
しかし、売掛保証サービスを活用することによって、万が一倒産してしまったときに保証してもらえます。
つまり保険をかけられることとなるため、万が一に備えることができるのです。
特に契約する取引の額が大きいときには利用するべきとされています。
理由としては、例えば1,000万円分の商品やサービスを提供し、万が一回収できなかったとなると企業の損失が大きくなるからです。
このようなリスクはもちろん避けたほうがいいので、損失を防ぐためにも活用を検討してみてください。
債権の決済日前に現金化が可能
保証型のサービスの注意点としては、取引先の信用度があまりにも低いと利用できないケースがあることや、現金化に時間がかかることもある点です。
しかし、買取型なら売却をするだけなので、決済日の前に現金化が可能になります。
特に今すぐに資金を調達しなければならなくなったときに便利なので、保証型と同様利用されているサービスの一つです。
負債にはならない
融資やローンは、借り入れとなるので負債として扱われます。
しかし、売掛保証なら単に支払われるはずのお金が振り込まれるだけなので、貸借対照表で負債として扱われることはありません。
つまり、万が一サービスを利用したとしても銀行融資における審査でマイナスになることはないので安心です。
これらのサービスは危ないと言われることもありますが、中身を知っていれば便利なサービスとなります。
しかし、中には莫大な手数料を請求する業者も存在するため、どこのサービスを利用するのか慎重に決めることが大切です。
後悔しない売掛保証サービスの選び方とは?
売掛保証サービスは、優良なものもあれば悪質な業者なども存在します。
そのため、活用する際には注意して選ばなければなりません。
ここでは、実際に活用を検討している企業のために、後悔しない選び方について紹介します。
契約書に償還請求権が設定されているなら要注意!
償還請求権は、売掛債権が回収不能となった場合、債権を売却した企業に対して代金の支払を請求できる権利です。
主に取引先が倒産してしまったり、支払を拒んでいるケースに関係してくるケースとなっています。
しかし、売掛保証サービスにおける償還請求権は、融資ではなくあくまで資金調達となるため、必要ありません。
つまり、償還請求権が設定されているなら融資である可能性が高いので注意しましょう。
簡単に言えば、サービスが同じ名前でも中身が全然違うこともあるので、よく確認して利用することが大切です。
保証人や担保が必要なケースも要注意!
そもそも融資や貸金といった目的ではないため、本来であれば保証人や担保は必要ありません。
あくまでも保証や買取といったサービスとなるため、万が一求められる業者に出くわしたら注意しましょう。
悪徳業者である可能性が高く、大きなトラブルに発展することもあるので事前に確認することが大切です。
手数料の確認も忘れずに行う
サービスを利用するにあたって、手数料の相場を必ず把握しておきましょう。
例えば2社間であれば、10%から高くても30%程度です。
実際はそれよりも低い場合が多いでしょう。
また、3社間であれば1%〜10%が相場です。
確認する際には、上記の手数料と大きく異なるなら注意しましょう。
特にあまりにも高く設定されているなら、せっかくサービスを利用しても手元にお金が全く残らないこともあります。
また、注意すべき点は手数料以外にもいくつかの項目があります。
具体的には審査料、初期費用、事務手数料といった細かな項目の費用を請求するケースもあります。
そのため、トータルでどのくらいの手数料になるのかを利用する前に確認しておくと安心です。
審査や振込のスピードも重視する
審査や振込スピードもそれぞれのサービスによって異なります。
売掛保証サービスを利用する企業は、多くのケースで現金が必要な場合です。
あまりにも審査から振込までの時間がかかりすぎてしまうと意味がありません。
そのため、できる限り利用する際には即日や時間がかかっても数日程度で対応してくれるサービスが好ましいでしょう。
また、審査には対面で行っているところやオンラインで申し込みが可能なところもあります。
スピード重視で考えるなら対面よりもオンラインがおすすめです。
おすすめの売掛保証サービス2選!
アラームボックスギャランティ/必要な分だけ保証をかけられるシンプルな売掛保証サービス!
料金 | ■保証料率 ■システム利用料 |
タイプ | クラウド完結型売掛保証 |
保証対象範囲 | ・法的手続きによる未入金(破産、民事再生、弁護士介入など) |
導入事例 | ・株式会社伊予銀行 ・南都キャピタルパートナーズ株式会社 ・H.I.F.株式会社 |
アラームボックスギャランティをおすすめする理由
アラームボックスギャランティを利用すれば、企業や個人事業主はさまざまなメリットを獲得することができます。
そのため、すでに多くの企業や個人事業主が積極的に活用している売掛保証サービスです。
Webから簡単に利用することができるため、リスクを最小限に抑えたい方は、無料お試しをご検討ください。
- 貸倒リスクを排除することができる
- 積極的に新規開拓を行う際もしっかりとリスク管理をした上で取り組むことができる
- 与信業務をアウトソーシングすることができるため、与信管理業務の削減・強化を図ることができる
- 債権回収業務を委託することができるため、コア業務に集中することができる
URIHO/定額で備える売掛保証サービス
料金 | Aプラン(1取引先あたりの保証額1〜50万円) ・月額9,800円 Bプラン(1取引先あたりの保証額1〜500万円) ・月額29,800円 Cプラン(1取引先あたりの保証額制限なし) ・月額99,800円 |
タイプ | ネット完結型 |
保証対象範囲 | ・倒産(破産・民事再生・不渡りなど) ・1ヶ月以上の支払い遅延(資金不足・夜逃げ・事務所閉鎖など) ※保証開始前に発生した取引、トラブルによる未入金、売掛債権以外の前金や違約金などは対象外 |
導入事例 | ・ハリマ産業株式会社 ・株式会社エフテック ・有限会社伊藤住建 |
URIHOをおすすめする理由
URIHOを導入している事業所様の口コミをまとめました。
・売掛保証を導入していることで取引に対する真剣さが取引先に伝わり信頼度が増す
・わかりやすい料金体系のため安心して使いやすい
・与信力を高めて安全に取引先を判断できる
・2〜3営業日で与信結果を回答してくれるのでスピーディーな取引をすることができる
・自社で与信リサーチをすることが不要になり、その時間を業務に費やすことができ結果的に費用対効果が生まれる。
・新規の取引先でも売掛保証を活用することで安心して売掛取引ができる
・今後は自社システムと連携できる部分があるとさらに業務効率が期待できる
などがあります。
まとめ
今回は売掛金とはの意味や仕訳例について詳しく紹介しました。
特に企業間取引で発生することの多い勘定科目ですが、便利である反面、管理に手間がかかることも事実です。
また、トラブルなども発生するケースがあり、特に対策をしていないと巻き込まれる可能性があることも紹介しました。
特に初めて取引を行う場合は注意が必要なので慎重に行いましょう。
そのほかにも売掛保証サービスについても少し紹介しましたが、このような便利なサービスも活用することで未回収のリスクを少しでも減らせるので、事前対策としておすすめです。