企業として自社の商材やサービスの売上向上を図るためには、顧客のニーズを掴まなければなりません。
Webマーケティングの領域においても顧客理解は不可欠ですが、一方でしっかりと顧客を把握せずにプロモーションを行う企業も少なくありません。
売上や成果につなげるためにも、まずは自社の顧客を正しく理解し、顧客の求める価値を提供していくことが重要です。
このような顧客理解につなげていくためのマーケティング手法が、ペルソナ分析です。
ペルソナ分析とは、ユーザー目線で自社の商材やサービスを開発・販売していくためには欠かせないマーケティング要素となります。
ペルソナとは、自社の商材やサービスを購入し、利用するユーザーを架空にイメージし、今後のマーケティングに活用していくことを指します。
ざっくりとターゲットを絞り込む考え方とは異なり、ペルソナ分析では一人の顧客を詳細にイメージする中で具現化し、その後のマーケティングにつなげていきます。
事前にペルソナ分析を行うことで、その後のマーケティングを進める中での顧客の行動や心理が可視化できるため、マーケティングやプロモーションが成功につながる可能性が高まります。
とはいえ「ペルソナ分析がどういうものか分からない」「ペルソナ分析を行うとどういったメリットがあるの？」「どういった点に注意すればいいの？」などと悩まれる担当者も少なくありません。
そこで今回は、ペルソナ分析の概要からメリット・デメリット、注意点などについてポイントを中心に紹介していきます。
ペルソナとは？
そもそもペルソナとは、スイスの心理学者であるカール・グスタフ・ユングによって提唱された概念で、人間の外的側面・自分の内面に潜む自分のことを意味します。
マーケティング要素においてはこのユングの概念をもとに架空の顧客像を指す意味で活用されています。
架空の顧客像は、自社の商材やサービスを開発・販売していく上で重要な指標となります。このペルソナ像を明確にしておくことで、その後のマーケティングやプロモーションが効果的に進めやすくなります。
ペルソナ分析を行う上で、設定する要素には主に「性別」や「年齢」「住所」といった一般的なターゲティングに用いる要素から、更に深掘りした「名前」や「学歴」「家族構成」「職業・職種」「役職」「勤続年数」「趣味趣向」「休日の過ごし方」「好きな食べ物」「よく見るSNS」など様々な要素が挙げられます。これらをより詳細に、且つ具体的に明記しておくことが重要です。
ペルソナ分析と似通った言葉にターゲティングがあります。ターゲティングもマーケティング要素においては重要となりますが、ペルソナ分析とは本質的な考え方が異なります。
ペルソナとターゲティングの違い
ペルソナ分析は、ターゲティング分析よりもより具体的にイメージし、自社の商材やサービスを利用する特定の個人ユーザーに落とし込んだマーケティング手法のことを指します。
ターゲティング分析の一部がペルソナ分析であり、ターゲティングよりも深く詳細な分析を行う際に活用していきます。
インターネットが普及し、消費者であるユーザーに対して多くの情報提供されるようになり、ユーザーの価値観は多様化しつつあります。
そのため、漠然としたターゲティングではターゲティングにならず、価値観に合わせたマーケティング手法を検討していくことが求められています。
このような場合には、趣味趣向や日々の行動なども明確にしたペルソナ分析を用いることで、多様化したユーザー行動をふまえたマーケティングにつなげることができます。
ペルソナ分析を行うメリット
続いて、ペルソナ分析を行うメリットについて紹介していきます。
ペルソナ分析を行うメリットとしては、主に以下のような要素が挙げられます。
- ユーザー行動の明確化
- 集客・プロモーション施策の効率化
- 訴求するユーザー像に対する社内の共通認識化
①ユーザー行動の明確化
マーケティングを行う上で、どのような顧客にどういった訴求を行うかなどを事前に決めておくことが非常に重要になります。
その際、顧客像やユーザー行動が明確になっていなければ、間違ったターゲットに間違ったアプローチを行うことにもなりかねません。
その点、ペルソナ分析を正しく行い、ユーザー行動を明確化しておけば、必要なニーズや商材、サービスのイメージが具現化でき、売上向上や利益拡大にもつながりやすくなります。
②集客・プロモーション施策の効率化
ペルソナ分析によるターゲットの明確化ができれば、集客・プロモーション施策を効率的に運用することも可能になります。
例えば、20代女性で土日休みのペルソナ像に対し、40代男性向けの商材を平日に広告展開しても効果にはつながらないでしょう。
また、SNSでもInstagramをよく活用するペルソナ像であれば、Instagram上で広告を出稿すれば効果につながる可能性は高まるでしょう。
このように、具体的なペルソナ分析ができていれば、その後の広告・アプローチにおいても効率的に展開することができるようになります。
③訴求するユーザー像に対する社内の共通認識化
ペルソナ分析によって明確化したユーザー像は、社内で共通認識を図る上で活用することも可能になります。
マーケティングやプロジェクトにおいて、業務に関わる担当者は多岐に渡ります。これらの担当者が共通の顧客像をイメージしておかなければ効果にはつながりません。
認識のズレが生じたまま進めると、その後の修正や変更によるスケジュールの遅延が生まれたり、追加コストが発生する可能性も起こり得ます。
このような手間を軽減する上でもペルソナ分析を事前に行い、共有しておくことは効果的です。
ペルソナ分析のデメリット
一方で、ペルソナ分析を行うことにはデメリットも存在します。
- 時間や手間、工数がかかる
- 間違ったペルソナ像がそのまま進む場合もある
①時間や手間、工数がかかる
ペルソナ分析は、過去の実績や経験が溜まっている状態であればまだしも、一からのプロジェクトにおいて作成するためには時間や手間といった工数がかかります。
何もない状態で憶測をもとにペルソナ像を作成しても意味がありません。ある程度の情報源は必要となり、そのためにはユーザーからアンケートを取得したり、インタビューや調査会社へ依頼するなどを行う必要もあります。
また、一度作成したペルソナ像が長期的に活用できるケースは少なく、市場の変化などに応じて定期的な見直しを図ることも求められます。その際にはまた別途時間や手間、コストが発生する可能性もあります。
②間違ったペルソナ像がそのまま進む場合もある
情報源が少ない中でペルソナ分析を行う場合、間違ったペルソナ像が出来上がる場合もあります。
間違ったペルソナ像が、本当に間違いかどうかは実際にある程度マーケティングやプロモーションを進めてみないことには分からない場合も多々あり、結果として失敗までに時間とコストを費やすことも起こり得ます。
ある程度試してみなければ判別できない点は、ペルソナ分析のデメリットともいえます。
ペルソナ分析を行う際の注意点
最後に、ペルソナ分析を行う上での注意点についても紹介していきます。
- 先入観や都合のいい解釈をしない
- 社内で共有しやすいイメージ像を持つ
- 定期的な見直しを行う
①先入観や都合のいい解釈をしない
まず、ペルソナ分析を行う上で重要なポイントが、先入観や思い込み、自社にとって都合のいい解釈を行わないことです。
ペルソナ分析を行う際には、客観的な視点が一番求められます。先入観や思い込みはまだしも、どうしても自社の商材やサービスをふまえると、自社にとって都合のいい解釈を追いがちになります。
ただ、このような要素はその後のマイナス影響につながる可能性が高いため、数値やデータ、実際のアンケート内容や調査結果などをもとにあくまで客観的に分析を行うことが重要です。
②社内で共有しやすいイメージ像を持つ
メリットの中でも紹介したように、ペルソナ分析は社内の関係者間での共有を行う上でも重要な要素を持ちます。
そのため、ペルソナ像を確認した担当者が皆同じ像をイメージできるような分析を行うことが重要になります。
例えば、「20代女性、都内在住、趣味はお菓子作り」だけでは情報が物足りなく、確認した人がイメージするペルソナ像にズレが生じる可能性があります。
イラストや写真、声のイメージなども用意するなど、関係者の中で共有しやすいペルソナ分析を行うと効果的です。
③定期的な見直しを行う
ペルソナ像は、一度作れば終わりという訳ではありません。市場の変化やユーザーニーズの多様化などに伴い、常に求めるペルソナ像は変化していきます。
そのため、作りっぱなしにするのではなく、マーケティング施策やプロモーション効果とあわせ、常にペルソナ分析はブラッシュアップしていくことが求められます。
ペルソナ像はあくまでマーケティングにおける仮説の顧客像となりますので、より現実の顧客像に近づけるために定期的な見直しを行うと効果的です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ペルソナ分析は、マーケティングやプロモーションを行う上で欠かせない重要な指標となります。
できる限り細かく、且つ具体的に分析を行うことで、その後のマーケティング施策の進行や広告プロモーション効果にもつながってきます。
情報源が少ないと、効果的なペルソナ分析につなげることはできません。
売上向上や利益拡大を図るためにも、今回紹介した内容も参考に、マーケティングにつながるペルソナ分析につなげていきましょう。
