テクノロジーの発展が目まぐるしい中で、アプリケーションやソフトウェアを活用したサービスが日進月歩で受け入れられています。
多くの業務車両やシステムを抱える企業において、車両の情報を活用した動態管理システムで業務の効率化を進めることに注目が集まっています。
この記事では、そんな動態管理システムについて仕組みやメリット、また実例を交えながら解説を行い、疑問点を解消していきます。
目次
動態管理システムとは?
動態管理システムとは、営業車両などの車内に搭載したGPSで車両の位置情報を把握し、管理できるようにするシステムのことです。
動態管理システムによって、社内にいる管理者が各営業車両の位置情報をPCからリアルタイムで把握できます。
また、位置情報データを集約して、走行時間や稼働時間の一括管理や危険運転の察知も可能です。
タコグラフと呼ばれる運転記録計は、大型トラック等には搭載が義務付けられていますが、小型や中型のトラック、営業車両は対象外です。
そのため、動態管理システムを導入することで位置情報などの把握に役立てることできます。
動態管理システムと似たものに、運行情報を管理する運行管理システムや、車両情報を管理する車両管理システムがあります。
以下の記事では、運行管理システムと車両管理システムについて解説しています。
動態管理システムの仕組みとは?
動体管理システムの仕組みは、様々です。
車両情報を特定する場合、GPSを利用して行いますが、GPSの電波が届く地域とそうでない地域によって、詳細な手法は変わってきます。また、ドライバー情報を把握する際には、ドライバー自身が申告するものと、ドライバーにビーコンを付けて自動的に特定するものがあります。
情報の取得手段としては、エンジンのOn/Off情報やエンジン回転数、車内に搭載されたセンサーなどのデバイスを経由して、それらを手掛かりに車両の状態を把握します。
動態管理システムを導入するメリット
動態管理システムを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、動態管理システムを導入するメリットを5つ紹介します。主に、メリットとして以下のものが挙げられます。
- 事故発生を低減できる
- 発送指示を効率化できる
- 従業員の負担を効率化できる
- 無駄なコストを削減できる
- 従業員の健康管理ができる
メリット①:事故発生を低減できる
動態管理システムによって車両の速度やブレーキのタイミングなどを計測しているため、管理者はそれらのデータを活用した安全運転指導や事故防止を行うことができます。
速度超過の多い箇所や急加速・急減速の箇所を記録し、ドライバーに対して注意を促したり、危険を感知した際の音声アラートを出したりすることも可能です。
また、ドライバーごとの運転状況をランキング形式でレポート出力することも可能なので、どのドライバーが安全運転しているのかが一目瞭然です。
それによって、各ドライバーの安全運転への意識向上が期待でき、従来よりも安全な業務環境を実現できます。
メリット②:発送指示を効率化できる
管理者が各車両の位置情報を一括管理できるため、配送や集荷に関する指示を効率化できます。
集荷依頼などがあった場合、リアルタイムで位置情報を確認し、最も近くにいる車両に指示を出せます。
走行位置や状況などから渋滞に巻き込まれていないかなどの確認ができるので、目的地までの所要時間も予測可能です。また、車両間での荷物の引き渡しにも役立ちます。
集荷の際に電話などをかけて逐一状況を確認しなくても良いため、業務の効率化が可能です。
メリット③:従業員の負担を減らせる
動態管理システム上には、従業員がこれまで手動で行ってきたような日報の作成なども自動で行えるようになります。
これによって、ドライバーの負荷が軽減されることになり、雇用者と従業員にとって双方にメリットがあるシステムであると言えます。
メリット④:無駄なコストを削減できる
営業車両の稼働状況の把握や配送指示の効率化によって、無駄な稼働時間や待機時間の短縮が可能です。稼働率の極端に少ない車両があれば、稼働数を削減することができます。
また、動態管理システムによって走行燃費も確認できるため、意識して走ることによって燃料のコスト削減に繋がる可能性もあります。
稼働台数が多ければ多いほど、コスト削減に繋がり、大きな費用対効果を得られるでしょう。
メリット⑤:従業員の健康管理ができる
動態管理システムのメリットとして、従業員の健康管理ができることも挙げられます。
システム上で走行ログが記録されるため、連続走行時間が一定時間を超えていないかを確認するなどして、長時間労働や負荷を軽減することができます。
動態管理システムの活用事例
動態管理システムの導入には、様々なメリットがあることを解説しました。
ここでは、実際に動態管理システムを導入し、活用している事例を紹介します。
消防で活用された事例
消防局での活用事例を紹介します。
2007年度から、それまでの消防管制システムに代わる新システムの導入の検討が開始され、2012年の2月から消防新管制システムの運用が開始されました。
狭い車内でのヘビーな使用にも耐えうる頑丈なタブレットタイプを搭載しています。エンジン始動と同時に起動し、消防管制室とのデータ通信が可能です。指令を受信したことを示すボタンを押すと地図画面に移行し、「出動」ボタンを押して現場へ急行します。車庫にある車両動態表示板には、出動する車両が赤く表示されます。
現場に到着した際には「現着」、救急車の場合には「搬送」のボタンを押し、鎮火、病人の搬送などが完了し帰還する際に「引揚げ」ボタン、消防署に戻ったら「帰署」ボタンを押せば任務完了です。
一連の動きが管制室からも各車両からも一目瞭然なため、出動中の車両以外からも随時参照できます。
ディスプレイ上に地図が表示され、発災点の場所の確認も素早くでき、患者の搬送が可能な病院の情報もリアルタイムで参照できるので、消防活動が迅速に済みます。
物流で活用された事例
物流の現場での活用事例を紹介します。
ある物流の現場では、資材の搬送先が複数あり、搬送作業や時間を効率化したいというのが課題でした。そこで、配送の進捗状況などを把握するためにシステムが導入され、現場施工者への到着時間の伝達や問い合わせの即時対応が可能になりました。これにより、顧客満足度も向上しました。
配送計画においても、実績を管理することで定時運行が徹底管理され、常に効率的な運行ができるようになりました。
物流業界においては、常に変化する交通状況やそれに伴うトラブルを回避することに繋がります。また、最適な輸送ルートで迅速に配送することによって、顧客満足度も向上します。
動態管理システムの費用対効果を上げるには?
動態管理システムを導入する場合、費用対効果を上げるにはどのような点に注意すべきなのでしょうか。成果を生むポイントについて3つほど解説していきます。
- ドライバー側のメリットも伝える
- データの活用方法を検討しておく
- 導入成果を共有する
ポイント①:ドライバー側のメリットも伝える
動態管理システムの導入は、管理者側だけではなく、働く側にとっても大きくメリットがあるということを認識しなければなりません。
効率化が目的の第一にある場合、その旨をしっかりと伝えることが重要と言えます。単純に、目的だけを説明するだけでは伝わりづらいため、従業員が被るメリットについても具体的に解説しつつ、理解を深めていくと良いでしょう。
ポイント②:データの活用方法を検討しておく
データの活用方法をあらかじめ検討しておくことも、動態管理システムを運用する際には重要です。位置情報や走行データなどは具体的にどのように利用していくかを決めておくことで、無駄なく運用することができます。
また、データだけ取得しているという状況になり情報を全く生かし切れていないというのも問題です。
ポイント③:導入成果を共有する
動態管理システムを導入して、運用が効率的に行えているかどうかを定期的に確認することも重要だと言えるでしょう。
これらの作業は、管理者や経営陣だけが参画すればよいものではなく、作業にかかわる人員全てが認識を逐一更新していかなければなりません。成果がわかるようになれば、それまで疑いを持ってかかっていた仕事に対しても見方が変わるでしょう。
また、データをどのように活用しているのか、もしくはデータをいかに活用していくべきなのかを議論することで、費用対効果を最大化できるでしょう。
動態管理システムの選び方・比較ポイント
動態管理システムの導入検討時に確認すべきポイントについて目的別に選ぶ方法と、車載器で選ぶ方法の2つを挙げて解説していきます。
ポイント①:目的に沿ったシステムを選ぶ
動態管理システムの選び方として、1つ上げられるのは目的に沿ったシステムであるかどうかで検討することです。目的については、以下のようなものが挙げられます。
- 事故を減らしたい
- 運行日報作成の手間を減らしたい
- 配送効率をアップしたい
それぞれについて順を追って解説していきます。
目的①:事故を減らしたい
事故を減らしたい目的で導入する場合、急発進や急ブレーキの際の通知方法が分かりやすいものを選ぶと良いでしょう。
また、レコーダー機能が搭載されている場合、事故後の検証などに利用できるため、こちらも選択肢として上がってきます。
目的②:運行日報作成の手間を減らしたい
運行日程作成の手間を減らすという目的で動態管理システムを選ぶのもありです。
この機能は、ほとんどのサービスで付いていますが、自社の報告書に必要な項目が網羅されているか、運転者の手間なく作成できるかなど、操作性や見栄えを軸にして選ぶと良いでしょう。
目的③:配送効率をアップしたい
配送効率のアップが目的で選ぶ場合、GPSの精度が高いものを選ぶのがおすすめです。
また、配送指示の伝達方法が配達員や管理者に使いやすいかどうかなども、選ぶポイントとして挙げられます。
ポイント②:車載器で選ぶ
車載器で選ぶ場合、その車載器のタイプによって選ぶのが良いでしょう。車載器は多くの種類があり、通信手段があるものやスマホとペアリングするもの、リースで利用するものなど多岐に渡ります。
今回は、以下のタイプについて解説していきます。
- OBD- II ポート型
- ドライブレコーダー型
- アプリ型
- その他
タイプ①:OBD-IIポート型
OBD - IIポート型は、運転席の足元にある自己診断装置の差し込みポートに設置するものを指しています。これは専門業者による工事が不要であり、既存のシステムと比べて比較的誰でも簡単に設置できるのが特徴です。
タイプ②:ドライブレコーダー型
危険運転をすると動画が位置情報と同時にシステムにアップされるなどといった、ドライブレコーダーとしての機能が付いたものがあります。
ドライブレコーダーを新しく導入したい場合に同時に導入してしまうのも効率的です。
タイプ③:アプリ型
スマートフォンのアプリとして車載器を設置することもできます。この場合、ドライバーに社内用スマートフォンを携帯させ流だけで導入でき、コストを抑えて運用を始められるのが魅力的です。
しかし、スマートフォンの電池が切れてしまったり、GPS機能が何らかの原因で利用できなくなっていたりすると、効果的な利用ができなくなるため、注意も必要です。
↓クラウド型(スマホアプリ型)動態管理システムに特化した記事を見たい方はこちらの記事もご覧ください。
タイプ④:その他
その他のタイプとして、管理者からのメッセージを表示できるなどのカーナビ画面ならではの特性を生かしたものもあります。
また、シガーソケットに取り付けるだけで簡単に設置できるものなどもあり、比較しながら検討してみると良いでしょう。
おすすめ動態管理システム比較8選
ここでは、おすすめの動態管理システムとして、8社の製品を紹介します。前述したような動態管理システムの選び方や比較ポイントなどを踏まえたうえで、比較・検討してみてはいかがでしょうか。
車載機タイプ | 料金 | 主な機能 | |
SmartDrive Freet | シガーソケットタイプ / ドライブレコーダータイプ | 要問合せ | 走行履歴、安全運転診断、リアルタイム車両位置、車両予約、業務記録、日報作成など10の機能を搭載 |
Cariot | OBD-IIポートタイプ | 要問合せ | 位置情報の共有 |
Docoですcar | ドライブレコーダータイプ | 月額2,000円/台 | ヒヤリハットマップの作成 |
DRIVE CHART | ドライブレコーダータイプ | 要問合せ | AI機能 クラウドとの連携 |
Vehicle Manager | OBD- IIポートタイプ | 月額1,500円/台 | 自動日報作成 |
Loogia | アプリタイプ | 要問合せ | 位置情報の共有 |
KITARO | OBD- II ポートタイプ | 月額2,800円/台 | 日報作成 |
ロジこんばすLite | OBD-II ポートタイプ | 要問合せ | 位置情報の共有 |
①Smart Drive Freet(株式会社スマートドライブ)
シガーソケット型、ドライブレコーダー型、そして様々な他社製デバイスとの連携が可能です。特徴としては、以下の7つが挙げられます。
- 経営者とドライバーが使いたい法人向け車両管理サービス No.1
- 工事不要ですぐに始められるシガーソケットタイプのデバイス
- シンプルなデザインで圧倒的な使いやすさ
- リアルタイム車両位置、安全運転診断、走行履歴、車両予約、業務記録、日報作成など様々な機能を搭載
- アルコールチェックのリアルタイム証左へ対応
- 安心のサポート体制
- 無料のスマホアプリでドライバーもサポート
車載器タイプ | 料金 | 主な機能 |
シガーソケットタイプ / ドライブレコーダータイプ | 要問合せ | 走行履歴、安全運転診断、リアルタイム車両位置、車両予約、業務記録、日報作成など10の機能を搭載 |
無料デモも実施しているSmartDrive Freetについてもっと詳しく知りたい方はこちら!
\まずは、無料トライアル/
②Cariot(株式会社フレクト)
Cariotは、リアルタイム情報活用と管理業務のデジタル化を一元的に行えるサービスです。車両が今どこにいるのかや、いつ頃に到着するのかなどを電話を介してやり取りすることなく、対応することができます。
車両の位置情報を確認する作業の効率化によって、電話を介さないで済むため、人件費の削減も可能です。また、配送の遅延を検知すると、配送先に対して自動的にメッセージを送る機能などもあり、効果的に配送できるようになります。
車載器タイプ | 料金 | 主な機能 |
OBD-IIポートタイプ | 要問合せ | 位置情報の共有 |
③docoですcar(NTTコミュニケーションズ株式会社)
docoですcarは、3000社の導入実績と10万を超える稼働台数を誇るシステムです。AIが搭載されたドライブレコーダーによって、安全運転支援や位置情報の共有などを実現しています。車両の位置情報をリアルタイムで把握できるようため、運行管理の効率化やコストの削減、迅速な対応が可能です。
安全運転管理者の業務効率化として、白ナンバー事業者向けのアルコールチェックサービス申し込みを開始しています。
車載器タイプ | 料金 | 主な機能 |
ドライブレコーダータイプ | 月額2000円/台 | ヒヤリハットマップの作成 |
④DRIVE CHART(株式会社Mobility Technology)
AIを搭載したドライブレコーダーです。わき見運転や信号無視などのリスク運転について、映像をリアルタイムで警告できる機能が搭載しています。
これによって、効率的なドライバーへの安全運転指導が可能です。カスタマーサポートも充実しているため、導入後も安心して運用できます。
車載器タイプ | 料金 | 主な機能 |
ドライブレコーダータイプ | 要問合せ | AI機能 クラウドとの連携 自動日報作成等 |
⑤Vehicle Manager(NTTコミュニケーションズ株式会社)
Vehicle Managerは、OBD- IIポートタイプのシステムです。車載器で各種運行情報を取得し、情報を共有します。通信機能やGPS機能を内蔵した小型車載器を設置することで運行日報や運転傾向分析、車両稼働実績などをWebアプリケーション上で管理できます。
主な特徴としては、車載器をワンタッチで設置できることや、安価な累積コストで済むことなどです。
車載器タイプ | 料金 | 主な機能 |
OBD- IIポートタイプ | 月額1500円/台 | 自動日報作成 各種運行情報の共有 安全運転サポート等 |
⑥Loogia(株式会社オプティマインド)
Loogiaは、動態管理も可能なクラウド型配送ルート最適化アプリです。
ドライバーアプリを利用することでリアルタイムにドライバーの管理ができるため、配送ルート作成時の効率化と合わせて動態管理をしたいと考えている企業の選択肢となります。
車載器タイプ | 料金 | 主な機能 |
アプリタイプ | 要問合せ | 位置情報の共有 AI機能 配送ルート作成等 |
⑦KITARO(株式会社アクシス)
KITAROは、OBD- IIタイプのアダプタ型、デジタコ搭載型、ドライブレコーダー搭載型から選べる動態管理システムです。
位置情報や走行履歴の管理のほかに、危険運転管理や日報の自動作成、安全運転サポートなどが充実しています。スマートフォンアプリと連携することで、より多くの機能を享受できます。
車載器タイプ | 料金 | 主な機能 |
OBD- II ポートタイプ | 月額2800円/台 | 日報作成 安全運転サポート スマートフォン連携等 |
⑧ロジこんぱすLite(株式会社システック)
ロジこんぱすLiteは、OBD- IIポート型の動態管理システムで、現在位置や走行軌跡、速度超過などをGPSを用いてリアルタイムに把握できます。
また、その他にも運転日報や月報の自動作成機能、運転成績表など、多くのオプションを選択することもできます。
車載器タイプ | 料金 | 主な機能 |
OBD-II ポートタイプ | 要問合せ | 位置情報の共有 自動日報作成 運転記録機能等 |
まとめ
今回は、「おすすめの動態管理システム」について解説してきました。動態管理システムの選び方やポイントについておさらいしてみましょう。
動態管理システムのメリット
- 事故発生を低減できる
- 発送指示を効率化できる
- 従業員の負担を効率化できる
- 無駄なコストを削減できる
- 従業員の健康管理ができる
動態管理システムの選び方
目的で選ぶ
- 事故を減らしたい
- 運行日報作成の手間を減らしたい
- 配送効率をアップしたい
車載器で選ぶ
- OBD- II ポート型
- ドライブレコーダー型
- アプリ型
- その他
動態管理システムは、自社の目的に応じて選んでいくことが重要です。
深く検討した上で導入すれば大幅な業務の効率化やコストの削減にも繋げられるため、今回紹介したポイントや選び方を参考にしながら自社にあったシステムを選んでみてください。