知らなかったでは済まない!働き方改革で残業時間の上限が決まった!企業が受ける罰則や見直すポイントについて
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働き方改革により残業時間の上限が1ヶ月で45時間、 1年間で360時間を超えてはいけないと決まりました。

2021年現在で一年間の猶予も既に過ぎているため会社の規模に限らずこの残業時間の上限が全ての企業に当てはまります。

この記事では残業時間の上限またこれは守らなかった時の企業が受ける罰則や見直したポイントについても詳しく説明していきます。

残業時間の上限とは

働き方改革により大企業は2019年4月から、

中小企業は2020年7月から残業時間の条件は原則として月45時間、

また1年間で360時間を超えてはいけないことに規制されました。

また、特別な事情があっても、複数月平均80時間以上、1年間で720時間以上、月100時間以上の残業となってしまっては罰則

(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられる恐れがあります。

厚生労働省において定められた規定なので、経営者は今後知らなかったでは済まされないのです。

残業の定義とは

1日8時間、1 週間で40時間が法定労働時間と決められています。

つまりこの時間を超える労働時間に関してはすべてが法定時間外労働となり残業扱いとなります.

会社独自で労働時間を決められていることが多いのですが、残業の定義を考える場合会社が決める所定労働時間は残業には関係なく

例えば1日で10時間働くと2時間の残業となります。

残業時間の条件が決まった背景

働き方改革の改正前は残業時間の上限がなく行政指導のみで終わっていました。

そのため多くの企業で長い残業時間となってしまっていたのです。そのため厚生労働省では以下のような理由のために時間外労働の上限規制を行ったのです。

「⻑時間労働は、健康の確保を困難にするとともに、仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因となっています。⻑時間労働を是正することによって、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり労働参加率の向上に結びつきます。」

厚生労働省

過労死等防止対策

働き方改革において残業時間の条件が厳しく設定されているのは、厚生労働省が過労死などの防止対策を行っていることもあります。

近年日本では過労死などが多発しており大きな社会問題となっております。

本人だけでなくその家族さらに栄とっても大きな損失であり、早急に取り込まないといけない問題となっています。

残業時間の上限を考える上で、過労死などの防止対策は大きく関係があるので過労死などの防止対策についても詳しく理解をしておく必要があります。

厚生労働省では過労死などとは以下のような定義付けをしています。

「業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害」

厚生労働省

 

厚生労働省とはそれぞれの企業に対して過労死などを防止するために、以下のような問いかけをしています。

週の労働時間が60時間を超えていませんか

有給休暇の取得はきちんとできていますか

勤務間インターバル制度をご存知ですか

仕事上不安や悩みを抱えていませんか

まず週の労働時間ですが法定では40時間、また一か月の残業時間の上限は45時間となっています。

つまり一週間あたりで最大でも10時間ほどの残業、つまり後10時間を目安にしないといけないのです。

そのため週の労働時間が60時間を超えるようであれば、厚生労働省のチェックが入るということです。

 

また勤務間インターバル制度とは以下のように設定されています。

「勤務間インターバル制度は、終業時刻から翌日の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間を設ける制度で、働く人の生活時間や睡眠時間を確保し、健康な生活を送るため有効なものです。
労使で話し合い、制度の導入に努めましょう。」

この他政府では心の健康を保つためのストレスチェックや、職場のハラスメントの防止に向けて取り組むための対策など様々な方針を掲げています。

特にパワーハラスメント対策は事業主の義務となっています。

さらにセクシャルハラスメントなどの防止対策も強化されているので内容を把握しておく必要があります。

ハラスメント対策は以下のように定められています。

「ハラスメント対策の強化
(1)国の施策に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決の促進」(ハラスメント対策)を明記【労働施策総合推進法】
(2)パワーハラスメント防止対策の法制化【労働施策総合推進法】
①事業主に対して、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)を新設あわせて、措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備
②パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停の対象とするとともに、措置義務等について履行確保のための規定を整備
(3)セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化【男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法】
①セクシュアルハラスメント等に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務の明確化
②労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等の相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いを禁止※ パワーハラスメント及びいわゆるマタニティハラスメントについても同様の規定を」

「パワハラの具体的な定義
▶3つの要素の具体的内容
▶パワハラに該当する/しない行為例
▶適正な範囲の業務指示や指導についてはパワハラに当たらないこと等※取引先や顧客等からの著しい迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント)については、法律上の措置義務の対象とはしないが、指針において労働者からの相談体制の整備や被害者への適切な配慮等を行うことが望ましい旨を記載。

ハラスメントのない社会の実現に向けて、職場のパワハラ対策、セクハラ対策を強化することが必要○パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停(行政ADR)の対象とするとともに、措置義務等について履行確保(助言、指導、勧告等)のための規定を整備する。
・雇用管理上の措置の具体的内容(現行のセクハラ防止の措置義務と同様)
▶事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発
▶苦情などに対する相談体制の整備
▶被害を受けた労働者へのケアや再発防止等○中小事業主に対する配慮等パワーハラスメント防止対策の措置義務は、中小事業主の施行日に配慮(令和4年3月31日までの間は、努力義務とする。」

厚生労働省

 

中小企業への上限規制

上限規制は2019年4月に施行されましたが中小企業に対しては一年間の猶予があり2020年の4月からとなっていました。

しかし2021年現在この猶予もなくなり、会社の規模に関係なく残業時間の上限規制があるということになります。

しかし以下の事業によっては、上限規制の適用は猶予もしくは除外となります。

事業・業務

猶予期間中の取扱い(2024年3月31日まで)

猶予後の取扱い(2024年4月1日以降)

建設事業

上限規制は適用されません。

災害の復旧・復興の事業を除き、上限規制がすべて適用されます。災害の復旧・復興の事業に関しては、時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満2〜6か月平均80時間以内とする規制は適用されません。

自動車運転の業務

上限規制は適用されません。

特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間となります。時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満2〜6か月平均80時間以内とする規制は適用されません。時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。

医師

上限規制は適用されません。

具体的な上限時間は今後、省令で定めることとされています。

鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業

時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満2〜6か月平均80時間以内とする規制は適用されません。

上限規制がすべて適用されます。

 

限度時間を超える場合に考えるべきこと

上記の条件があるとはいえ、限度時間を超えて就労させる場合は、以下のように労働者の健康や福祉の確保が重要になります。

 

(1)医師による面接指導

(2)深夜業(22時〜5時)の回数制限

(3)終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)

(4)代償休日・特別な休暇の付与

(5)健康診断

(6)連続休暇の取得

(7)心とからだの相談窓口の設置

(8)配置転換

(9)産業医等による助言・指導や保健指導

 

36協定とは

36協定とは、時間外労働を従業員させるために必要な協定のことをいいます。

労働基準法において労働時間は1日8時間、一週間で40時間以内と決められておりこの時間が法定労働時間と定められています。

この時間を超えて労働させるためには労働基準法第36条に基づく労使協定の締結が必要なのです。

労働基準法第36条には以下のような内容で定められています。

「(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

② 前項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲

二 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、一年間に限るものとする。第四号及び第六項第三号において同じ。)

三 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合

四 対象期間における一日、一箇月及び一年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数

五 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項」

 

労働基準法には1ヶ月に45時間まで、1年間に360時間までと言った上限に関しても記載されています。

この他に36協定を結ぶためには所轄労働基準監督署長への届出が必要になります。届出に必要な書類は以下に詳しく説明しています。

36協定に必要な様式とは

36協定届を出す前に、以下の点について協定する必要があることを理解する必要があります。

労働時間を延⻑し、又は休日に労働させることができる場合

労働時間を延⻑し、又は休日に労働させることができる労働者の範囲

対象期間(1年間に限る)

 1年の起算日有効期間対象期間における✔1日  ✔1か月  ✔1年について、労働時間を延⻑して労働させることができる時間又は労働させることができる休日

時間外労働+休日労働の合計が✔月100時間未満  ✔2〜6か月平均80時間以内を満たすこと

臨時的な事情がある時で、時間外労働の限度時間を超える場合は以下の事項に協定をする必要があります。

  • 臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合における
  • 1か月の時間外労働+休日労働の合計時間数 (100時間未満)
  • 1年の時間外労働時間 (720時間以内)
  • 限度時間を超えることができる回数(年6回以内)
  • 限度時間を超えて労働させることができる場合
  • 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置
  • 限度時間を超えた労働に係る割増賃金率限度時間を超えて労働させる場合における手続

それぞれの用途に応じて、決まった様式があるのでご注意ください。

様式第9号

一般労働者について、時間外・休日労働を行わせる場合

様式第9号の2

限度時間を超えて、時間外・休日労働を行わせる場合

様式第9号の3

新技術・新商品等の研究開発業務に従事する労働者に時間外・休日労働を行わせる場合

様式第9号の4

適用猶予期間中における、適用猶予事業

・業務に係る時間外・休日労働を行わせる場合

様式第9号の5

適用猶予期間中における、適用猶予事業

・業務において、事業場外労働のみなし労働時間に係る協定の内容を36協定に付記して届出する場合

様式第9号の6

適用猶予期間中において、労使委員会の決議を届出する場合

様式第9号の7

適用猶予期間中において、労働時間等設

定改善委員会の決議を届出する場合

時間外労働や深夜労働などの規定とは

法定外労働の他に深夜労働や休日出勤、さらにこれらを組み合わせた場合など通常の給料よりも割増率が設定されています。

労働の種類

割増率

それぞれの備考

法定時間外労働

通常の25%増し

1日8時間を超えた労働時間に対して、超えた時間に関しては25%の割増となります。

1ヶ月60時間以上の法定時間外労働

通常の50%増し

中小企業は25%増し

(2023年より中小企業も50%増しになります)

ヶ月60時間超えた法定時間外労働に対しては、割増率が50%となります。

深夜労働

通常の25%増し

午後10時~午前5時の間に仕事をした場合

休日出勤

通常の35%増し

法定休日に仕事をした場合

法定時間外労働

+深夜労働

通常の50%増し

8時間を超えた上に午後10時を超えた場合

以上の割増給料の計算方法ですが所定の給料の額を平均所定労働時間数で割りさらに時間外労働を行った時間数と割増賃金率をかけます。

起訴猶予とは1ヶ月の給与から家族手当や住宅手当などの手当は全て引いた金額として計算します。

これまでの残業に対する法律とは

まず前提として考えたいのは1日8時間、 一週間で40時間といった労働時間には労働基準法にて決まりがあります。

つまり残業そのものはもともと禁止なのですが、これまで厳しい罰則がないことから法定労働時間が守られていることはほとんどありませんでした。

また、企業と従業員間で三六協定を結ぶことにより、従業員が上記の時間を超えた時間外労働も可能でした。

逆に言えば立場の弱い労働者を守るための三六協定が「三六協定を結ぶことによっていくらでも時間外労働をさせられる」といった考え方があったのです。

要するに、三六協定における法令分譲は青天井だと言われたくらいなのです。

これらのことから過剰労働が原因になり、うつ病などの精神疾患、最悪の場合は自殺や過労死などにつながっていたのです。

所定と法定の違い

今回の働き方改革による残業時間の上弦の設定を考える上で、所定と法定の違い理解している必要があります。

特に残業として考えるか法律上の時間外労働として考えるか考え方がずれている場合があります。

 

まず残業ですが会社の所定の時間を超えた時間を残業と考えている企業が多いです。

また時間外労働は1日8時間1週間40時間を超えた時間の分が当てはまります。

今回の働き方改革における残業時間の上限は、1日8時間1週間40時間を超えた時間のことを言います。

それぞれの企業が設定する所定労働時間は関係ありませんのでご注意ください。

また1日家一週間の合計の時間だけでなく休日や深夜業などによっても規定を設けてあるため、 これらの時間帯での労働時間も把握する必要があります。

企業が受ける罰則とは

もし残業時間の条件である一か月で45時間、1年間で360時間を超えて就業していれば企業はどのような罰則を受けるのでしょうか。

まず罰則の対象となるのは全て雇用側の企業です。

例えば従業員が黙って過重労働をしている場合でも企業は罰則を受けることになります。

この場合は企業が従業員の労働時間について正確に把握してないといった判断になるのです。

残業時間の上限枠を守らなければ、是正をするだけでなく罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金) が科せられる可能性があります。

企業が取るべき方法とは

ここまで説明してきたように残業時間の上限が決定しています。

企業がとるべきことを詳しく説明していきます。

従業員の労働時間の管理

企業が従業員に上限を超えた残業をさせてなくても、従業員が上限以上の残業した時点で企業が罰せられます。

そのため常に従業員が、どれくらい労働しているのかを把握しておくことが重要です。

特に在宅ワークやその他アルバイトやパートなど雇用形態がバラバラの場合管理が難しいのですが、十分に労働時間対する管理には労力を使う必要があります。

仕事量の管理

従業員が自発的に上限を超えた残業をするということは、仕事量自体が適切でない可能性が考えられます。

残業の多い社員に対して、「仕事量は適切なのか」、「サボっているのでは?」など、様々な要因を考えて多方面から解決を目指しましょう。

残業時間の多い社員に対して、しっかりと寄り添い周りがサポートするように心掛けましょう。

サービス残業も NG

サービス残業とは、申告上は退勤済みだが、実際は業務を続けている事を指します。

会社への申告は既に退勤扱いなので、会社側からすれば残業代の支払いが不要で残業時間もカウントされないというサービスを従業員が行っている様を指す造語です。

いくら残業時間の上限が決まったといっても、決してサービス残業をしていいわけではありません。

サービス残業するようであれば働き方改革の意味がなく、場合によってはこれまで以上に状況が悪化している可能性もあります。

サービス残業自体が正しいことでは決してないのです。

いずれにしても管理者が残業などに対して現状把握をすることがまず大切です、 現状把握をしていないと残業に対しての対策のしようがないのです。

またいくら管理者が知らなかったこととはいえ上限以上の残業時間をしていれば、罰せられるのは企業なのです。

もし管理が難しいようであれば DX など IT技術に頼る方法もあります。

まとめ

働き方改革により残業時間の上限が原則として月45時間、また1年間で360時間を超えてはいけないことに規制されました。

過度な残業時間は従業員の健康を損なうことになり、大きな社会問題となっています。

またワーク・ライフ・バランスを政府が推奨していることなどから、企業にとって今後も取り込まないといけない問題です。

決して知らなかったでは済まされない問題なのです。

特にリモートワークなどが増え就業時間の管理がこれまで以上に難しくなっています。

在宅勤務が多くなるようであれば就業規則自体を見直す必要があるでしょう。

またリモートワークをする場合は勤怠管理ツールを利用するのは労働時間を確認することも重要となります。

残業時間に関しては過労死など日本において大きな社会問題となっており、政府も力を入れている問題となります。

そのため残業時間の上限など必ずルールを把握しておくことが大切です。

またできれば1日8時間、 1週間に40時間といった就業時間内に仕事終わらせることが望まれます。

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