
「取引先から環境対応(脱炭素)を求められた」
「上司に『うちも再エネにした方がいいのか調べて』と指示された」
法人の実務として再エネ対応を検討し始めたものの、いざ調べてみると似たような言葉が多すぎて混乱していませんか?
- 再エネ賦課金って関係あるの?
- RE100と同じ意味?
- 電気代は上がるの?
- そもそも何をすればいいの?
結論から言うと、再エネ100プランは「特別な設備」ではなく「電力会社の契約(プラン)」を見直すだけで、今すぐスタートできる現実的な脱炭素取り組みの手段です。
- 再エネ100プランの正しい意味
- 再エネ賦課金やRE100との違い
- 電気料金や仕組みの実態
- 法人が導入するメリット
この記事では、再エネ100プランの基本や関連用語の正しい意味から、コスト増を防ぐ「賢い新電力の選び方」まで、法人担当者が実務を進めるために必要な知識を徹底解説します。
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目次
再エネ100プランとは?法人向けに基本からわかりやすく解説

「再エネ100プラン」とは、一言でいえば再生可能エネルギー100%相当の電力を調達する考え方、またはそれを実現するための電力プラン・契約の総称です。
再生可能エネルギーを電力源として、実質的に100%相当の調達を目指す取り組みであり、近年は大企業だけでなく中小企業にも広がりつつあります。
ただし「再エネ100プラン=特別な電気が届く」というイメージを持っている方も多いので、まずはその誤解を解くところから始めましょう。
「再生可能エネルギー100%相当」で電力を調達する考え方
再エネ100プランとは、企業が使用する電力を、太陽光・風力・水力といった「再生可能エネルギー(CO2を排出しないエネルギー)」で100%相当調達する考え方を指します。
ここでいう「100%相当」とは、コンセントから届く電気がすべて再エネになる、という意味ではありません。使った電力の分だけ、再エネ由来の価値が充てられている状態を指します。つまり、実際に流れてくる電気と「この電気は再エネ由来とみなせる」と示す環境価値を組み合わせることで、再エネ100%相当として扱う仕組みです。
こうした仕組みを法人がもっとも手軽に取り入れやすい方法が、電力会社が提供する「再エネ100プラン」への切り替えです。自社で発電設備を持たなくても、既存の設備はそのままに契約を見直すだけで始められるため、初めて脱炭素に取り組む企業でも導入しやすい手段として注目されています。
特別な電気ではなく「環境価値」を持つ契約の選択肢
「再エネ100プランにするには、自社に太陽光パネルを置いたり特別な電線を引いたりしないといけないのでは?」と誤解されがちですが、そうではありません。
法人が再エネ100プランを実現する最も手軽な方法は、電力会社が提供している「再エネ対応の電力プラン」を契約することです。
再エネで発電された電気には、CO2を排出しないという環境上の価値があります。この価値を証書の形で切り離し、電力の購入と組み合わせることで「この電力使用量は再エネ由来とみなす」という証明ができる仕組みが整備されています。
つまり、再エネ100プランを契約するということは「届く電気は変わらないが、その電気の使用に対して再エネ由来の環境価値が充てられている契約」を選ぶということです。
- 物理的な電気:変わらない
- 契約上の扱い:再エネ100%相当として認められる
- 証明の根拠:非化石証書などの環境価値
この仕組みを理解しておくことが、後述する「実質再エネ」や「RE100」との違いを正しく把握するうえでの土台になります。
よくある混同を解消!「再エネ関連ワード」の正しい意味

再エネ100プランについて調べると、似たような用語が次々と出てきます。
担当者の頭を悩ませるこれらの言葉は、意味も役割も同じではありません。以下のように「ジャンル」を分けて整理するとスッキリ理解できます。
用語 | 意味合い(ジャンル) | 簡単な解説 |
再エネ100プラン | 商品(契約メニュー) | 電力会社から買う、環境価値がセットになった電気契約。 |
再エネ賦課金 | 国の制度に基づく賦課金 | 国民全員が負担する制度。どのプランでも必ず発生する。 |
実質再エネ | 表現の違い(仕組み) | 非化石証書を使った仕組みのこと。「再エネ100プラン」とほぼ同義。 |
RE100/RE Action | 企業の目標・宣言 | 「事業を100%再エネにするぞ!」という国際的なイニシアチブ。 |
それぞれの違いをさらに詳しく見ていきましょう。
【再エネ賦課金】との違い|免除されない制度上の負担
最も多い勘違いが「再エネのプランに契約すれば、毎月の電気代に上乗せされている『再エネ賦課金』を払わなくて済むのでは?」というものです。
残念ながら再エネ100プランに切り替えても、原則として再エネ賦課金は免除されません。
再エネ賦課金は、日本全体で再生可能エネルギーの普及を支えるために、電気を使うすべての人・企業が一律で負担する国の制度です。電力会社やプランを変えても、基本的にはこの仕組みそのものがなくなるわけではありません。
一方、再エネ100プランは、企業がどのような電力契約を選ぶかという話です。
項目 | 再エネ100プラン | 再エネ賦課金 |
性質 | 任意で選ぶ電力契約 | 全契約者に課される制度上の負担 |
目的 | 環境価値の調達・脱炭素の証明 | FIT制度の買取費用の社会的分担 |
選択の余地 | あり(プランを選べる) | なし(自動的に徴収) |
金額の変動 | プランによって異なる | 国が毎年単価を改定 |
「再エネに関係する費用だから、再エネ100プランにすれば再エネ賦課金は不要になるのでは?」と考えてしまうのは自然な発想ですが、両者はまったく別の制度です。契約前に明細の内訳を正しく理解しておくことが大切です。
引用元:資源エネルギー庁
【実質再エネ】との違い|混同しやすいポイントを整理
電力会社のホームページを見ると「実質再エネ100%」と書かれていることがあります。これは「再エネ100プラン」とどう違うのでしょうか?
結論として「再エネ100プラン」と「実質再エネ100%」の、意味や仕組みは同じです。なぜわざわざ「実質」と呼ぶのかというと、電線の仕組みに理由があるからです。
電線の中では「再エネで作られた電気」も「火力で作られた電気」も混ざり合って届くため、純粋な再エネの電気だけをえり分けて届けることは物理的にできません。そこで、使った電力に対して「非化石証書(環境価値)」を組み合わせることで、実質的に再エネを100%使っているとみなす仕組みをとっています。「実質再エネ」とは、この仕組みをより正確に表現した言葉です。
- 再エネ100プラン:再生可能エネルギー100%相当の調達を目指す考え方・プランの総称
- 実質再エネ100%:物理的な混在を踏まえ、環境価値の組み合わせで「実質的に」再エネ由来とみなすことを強調した表現
「実質再エネ100%プラン」と書かれていても、内容は再エネ100プランと同等と考えて差し支えありません。
引用元:資源エネルギー庁
【RE100・RE Action】との違い|「企業の目標」と「電力メニュー」の違い
「RE100」という言葉も、再エネ100プランと混同されやすい表現のひとつです。しかし、両者は意味合いや役割が異なる言葉です。
RE100とは、企業が「事業活動で使用する電力を100%再エネで賄うことを目指す」と宣言する、国際的なイニシアチブ(自主的な取り組み)です。The Climate Groupが運営しており、参加には年間100GkWh以上の電力を消費する企業(日本は特例として550GkWhに緩和)という条件や審査があります。
「RE Action」は、RE100の参加要件を満たさない中小企業や、自治体・教育機関・医療機関など向けに用意された日本独自のイニシアチブです。再エネ100プランの契約はRE ActionやRE100の目標達成手段のひとつとして活用されますが、プランを契約したからといって自動的にRE100に参加したことにはなりません。
「再エネ100プラン」との違いは、以下の関係性で理解すると整理しやすくなります。
- RE100・RE Action:企業が掲げる「目標」や「宣言」
- 再エネ100プラン:電力会社が提供する電力メニューの名称、目標を達成するための「手段」のひとつ
「再エネ100プラン」は、企業が再エネ利用を進めるうえでの現実的な選択肢の一つです。
引用元:再エネ100宣言RE Action
参考資料:The Climate Group
導入前に知っておきたい「電気料金」と「仕組み」の真実

再エネ100プランへの切り替えを検討するとき、多くの担当者が最初に気になるのは「電気代が高くなるのでは?」という点と、「そもそも仕組みがよくわからない」という不安です。このセクションでは、契約前に必ず押さえておきたい2つのポイントを解説します。
再エネ100プランにすると電気代は必ず高くなる?
結論から言うと、必ずしも高くなるとは限りません。
たしかに再エネ100プランには「環境価値(非化石証書など)」のコストが上乗せされるため、同じ電力会社の通常プランと比較すれば、単価は割高になる傾向があります。ただし、その差額は契約する電力会社やプランによって大きく異なります。基本料金などのベース料金が安い新電力に切り替えた上で再エネプランを選べば、トータルの電気代は現状維持、あるいは今より安くなるケースもあります。
電気代への影響を正確に把握するには、現在の電力使用量と料金明細を手元に用意したうえで複数の電力会社に見積もりを依頼して比較することをおすすめします。
法人の電気料金そのものの仕組みを整理したい方は、こちらの記事も参考になります。(仕組み、どう決まる)
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電気の届き方と契約上の扱いは別で考える
「再エネ100プランにすると電気の品質が変わるのでは?」「天候によって停電しやすくなるのでは?」という心配も不要です。
再エネ100プランは、あくまで契約や調達方法の考え方です。届く電気はこれまでと同じ地域の送配電網(インフラ)を通って供給されるため、電気の品質や停電リスクは変わりません。工場や病院などでも、品質面での心配なく導入できます。
▶市場連動型と固定単価の違い
▶見積比較で確認すべき項目
法人が再エネ100プランを導入する3つのメリット

再エネ100プランへの切り替えを検討する法人が増えている背景には、環境への配慮だけでなく、社外対応・社内説明・実務運用の面で具体的なメリットがあります。
設備投資(初期費用)なしで脱炭素化をスタートできる
自社の屋根に太陽光パネルを設置する場合、数千万円規模の初期費用や維持管理コスト、そして長い工期がかかります。一方、再エネ100プランの電力プランへの切り替えなら、設備投資ゼロでスムーズに「再エネ100プランの電気を使っている」という状態を実現できます。
設備導入型の施策と比べると、次のような違いがあります。
項目 | 設備導入型の再エネ対応 | 再エネ100プラン |
初期費用 | 大きくなりやすい | かからない、または小さい |
導入までの準備 | 設計・工事・社内決裁が必要 | 契約見直し中心 |
始めやすさ | やや重い | 比較的始めやすい |
向いているケース | 中長期の設備投資を前提とする企業 | まずは契約から始めたい企業 |
「脱炭素に取り組みたいが、今すぐ大きな投資はできない」という企業にとって、再エネ100プランは最もスピーディーに実行できる脱炭素手段のひとつです。まず取り組みをスタートさせ、将来的に設備投資を検討するという段階的なアプローチとしても有効です。
取引先からの環境要請(Scope2削減)に対応できる
近年、大企業を中心に取引先・サプライチェーン全体での温室効果ガス削減を求める動きが加速しています。その際によく登場するのが「Scope2の削減」という要請です。
Scope2とは、GHGプロトコル(温室効果ガスの国際的な会計基準)における排出量の分類のひとつで、購入した電力の使用に伴う間接的な排出量を指します。
Scopeの分類 | 内容 | 例 |
Scope1 | 自社が直接排出するGHG | 自社工場のボイラー・社用車の燃料 |
Scope2 | 購入エネルギーに伴う間接排出 | 電力・熱の使用 |
Scope3 | サプライチェーン全体の排出 | 原材料の調達・製品の輸送など |
引用元:GHGプロトコル
再エネ100プランを契約し、使用電力を再エネ由来とみなせる状態にすることで、Scope2の排出量を削減・ゼロとして報告できる場合があります(※ただし、証書の種類によって報告方法が異なるため、電力会社に確認することをおすすめします)。
取引先から「環境への対応状況を教えてほしい」「Scope2削減の取り組みを示してほしい」と求められたとき、再エネ100プランへの切り替えは明確な回答のひとつになります。
サプライチェーン全体での脱炭素要請が強まる中、対応の遅れは取引機会の損失につながるリスクもあるため早めの検討が重要です。
対外開示やESGの取り組みとして活用できる
再エネ100プランの導入は、社外に向けた情報開示やESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みとしても有効に機能します。
- 自社サイトでの環境配慮の発信
- 採用・広報活動における企業姿勢のアピール
- 顧客・取引先への説明
- ESGやサステナビリティの取り組み紹介
- 社内の環境目標に関する報告
投資家・金融機関・取引先・求職者など、企業を取り巻くさまざまなステークホルダーが、環境への取り組みを評価する視点を強めています。再エネ100プランは、こうした対外的な信頼性を高めるための具体的かつ証明可能な取り組みとして活用できるメリットがあります。
「環境への意識はあるが、何を対外的に示せばいいかわからない」という段階の企業にとっても、再エネ100プランへの切り替えはすぐに開示内容に落とし込める手段のひとつです。
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再エネ100プランに関するよくある質問(FAQ)

再エネ100プランを検討する法人担当者が特に気になりやすい質問に、簡潔に答えます。
再エネ100プランと再エネ賦課金の違いは?
「再エネ100プラン」は、法人が任意で選べる電力会社の契約プランです。一方「再エネ賦課金」は日本全国の電気利用者が一律で負担する国の制度です。再エネ100プランを契約しても、再エネ賦課金の支払いは免除されません。
テナント(賃貸オフィス)でも再エネ100プランの契約は可能?
入居しているビルの契約形態によります。自社がテナント単位で電力会社と「個別契約」をしている場合は、単独で再エネ100プランへの切り替えが可能です。ビル全体で「高圧一括受電契約」を結んでいる場合は、単独での切り替えはできず、ビルオーナーとの交渉が必要になります。
再エネ100プランを選ぶときは何を比較すべき?
「再エネ100プランであること(非化石証書が付いているか)」はもちろんですが、最も重要なのは「ベースとなる基本料金や電力量料金の単価」です。
少なくとも次の点は確認したいところです。
- 基本料金
- 電力量料金
- 契約期間
- 解約条件・違約条件
- 自社の使用量や契約区分との相性
- 再エネ対応の内容
再エネ100プランは魅力的に見えても、ベース料金や契約条件が合わないと結果的に負担が増えることがあります。燃料費調整額の計算方法や、契約期間・違約金の有無なども含めて、トータルコストで比較することが重要です。
▶電力会社の選び方
【結論】法人の再エネ100プランは「新電力の比較」で賢く契約する
再エネ100プランは、難しい制度でも特別な設備が必要な取り組みでもありません。仕組みを正しく理解し、自社の目的に合ったプランを選ぶことができれば、今日からでも脱炭素への第一歩を踏み出すことが可能な有力な選択肢です。
失敗せず賢く導入するためには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 「再エネ対応」だけで即決しない
現在契約中の電力会社のオプションや最初に提案された1社で決めてしまうと、割高な料金設定に気づけず不要なコスト増を招くリスクがあります。 - ベース料金を含めた「トータルコスト」で判断する
環境価値(証書代)が上乗せされても、基本料金や電力量料金自体が安い会社を選べば、環境対応とコスト削減(または現状維持)の両立も十分に可能です。 - 複数の「法人向け新電力」を一括比較する
自社のエリアや電気の使い方に最適なプランは異なります。再エネプランの有無だけでなく、複数の新電力を一括比較して自社に合う契約を探すことが最大の成功の秘訣です。
自社にぴったりの電力会社を見つけて、負担なく賢く脱炭素経営をスタートさせましょう!
すでに再エネ対応を視野に入れているなら、次は法人向け新電力の比較記事で対応プランや料金条件をまとめて確認してみてください。
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