法人の電気料金の仕組みとは?電気代の内訳・基本料金・デマンドを解説

※この記事には一部PRが含まれます。

法人の電気料金は、単純に「使った電力量」だけで決まるものではありません。

毎月の請求額は、基本料金や電力量料金、燃料費等調整額、再エネ賦課金などで構成されています。

高圧契約では、契約電力やデマンド値も基本料金に影響します。

近年は、燃料価格の変動に加え、容量市場に伴う容量拠出金の負担も始まりました。

容量拠出金を電気料金に反映するかどうかや、その表示方法は電力会社によって異なるため、法人の料金体系は以前より複雑になっています。

そのため、電気代を見直すには、請求額の合計だけを見るのではなく「どの内訳が増えているのか」を確認することが大切です。

この記事でわかること

・法人の電気料金を構成する主な内訳

・低圧・高圧・特別高圧で変わる料金の仕組み

・高圧契約で重要なデマンドの考え方

・電気代が変動する理由と料金プランの注意点

・請求書から見直しポイントを読み解く方法

法人の電気代を決める「5つの内訳」と請求書の見方

電気料金

法人の電気料金を理解するには、まず請求書に記載される主な内訳を押さえる必要があります。

電気料金は、主に次の5つの項目で構成されます。

  • 基本料金
  • 電力量料金
  • 燃料費等調整額
  • 再エネ賦課金
  • その他調整費

電気代が高くなったときは、まず「使用量が増えたのか」「単価が上がったのか」「調整額や賦課金が増えたのか」を分けて確認しましょう。

内訳を分けて見ることで、削減できる項目と、自社だけでは下げにくい項目が整理しやすくなります。

基本料金|契約電力や契約種別で決まる固定費

基本料金は、電気の使用量にかかわらず、原則として毎月発生する固定費です。

基本料金の決まり方は、契約区分や料金プランによって異なります。

  • 低圧
    契約アンペア、契約容量、契約電力、使用する設備などをもとに、契約メニューごとの方法で決まります。

  • 高圧・特別高圧
    一般に、基本料金単価と契約電力をもとに算定されます。契約によっては、力率による割引・割増が適用される場合もあります。

請求書では「契約電力」と「基本料金単価」を確認しましょう

なお、電気をまったく使用しなかった月に、基本料金を減額するプランもあります。

適用条件は、契約先の料金表や約款で確認してください。

電気代を見直す際は、基本料金が現在の稼働状況に合っているかも確認しましょう。

特に高圧契約では、契約電力の決定方法や過去のデマンド値が、基本料金を確認するうえで重要なポイントになります。

参考:資源エネルギー庁「電気の計量制度について」

電力量料金|使用量と単価で変動する従量料金

電力量料金は、実際に使用した電気の量(kWh)に応じて課金される従量料金です。

  • 計算の仕組み
    「電力量料金単価×使用電力量(kWh)」で算出されます。

  • 請求書の見方
    請求書の「使用電力量(kWh)」と「適用単価」を確認します。

  • 季節・時間帯による変動
    一部の法人向けプランでは、夏季とその他季で電力量料金単価が分かれています。また、昼間・夜間など時間帯別に単価を設定するプランもあり、自社がどの時間帯に多く電気を使っているかでコストが大きく変動します。

    工場、店舗、オフィス、商業施設などでは、営業時間や設備の稼働状況によって使用量が大きく変わるため、電力量料金は毎月の請求額に直結しやすい項目です。

    参考:資源エネルギー庁「使用量や時間によって変動する料金制度」

    燃料費等調整額|燃料価格の変動が反映される項目

    燃料費等調整額は、発電に必要な原油・液化天然ガス(LNG)・石炭などの輸入価格の変動を電気料金に反映させるための調整項目です。

    • 計算の仕組み
      「燃料費等調整単価(円/kWh)×使用電力量(kWh)」で算出されます。

    • 請求書の見方
      単価が「プラス(加算)」か「マイナス(減算)」かを確認します。

    • 変動リスク
      世界的なエネルギー需要の増加や為替(円安)の影響が一定のタイムラグを伴って反映されるため、使用量が同じでも燃料費等調整額の増加によって電気代総額が跳ね上がることがあります。

      参考:資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」

      再エネ賦課金|使用電力量に応じて加算される費用

      再エネ賦課金は、再生可能エネルギーの普及を支えるために、電気の利用者が原則として負担する費用です。

      • 計算の仕組み
        「国が定める一律単価(円/kWh)×使用電力量(kWh)」で算出されます。
      • 請求書の見方
        使用量に比例して課金されるため、請求書上の「再エネ賦課金」の総額を確認します。

      • 特徴
        原則として、全国どの電力会社と契約していても同一の単価が適用されます。ただし、一定の要件を満たす電力多消費事業所には減免制度があります。

        法人でも家庭でも負担する項目ですが、電気の使用量が多い法人ほど、請求額に占める影響は大きくなります。

        容量拠出金など電気料金に影響を与えるその他の項目

        基本料金・電力量料金・燃料費等調整額・再エネ賦課金以外にも、制度上の負担や電力会社ごとの料金設計が反映されることがあります。

        その一つが、2024年度から小売電気事業者などによる支払いが始まった「容量拠出金」です。

        容量拠出金は、将来必要となる発電能力を確保する容量市場の費用として、小売電気事業者や一般送配電事業者などが電力広域的運営推進機関へ支払うものです。

        需要家の電気料金に反映するかどうかや、その表示方法は電力会社によって異なります。

        「容量拠出金相当額」などの項目を設ける会社もあれば、基本料金や電力量料金などに含める会社もあります。

        請求書だけでは判断しにくい場合は、契約書や料金改定のお知らせも確認しましょう。

        参考:電力広域的運営推進機関「容量拠出金を知ろう!」

        低圧・高圧・特別高圧で変わる電気料金の仕組みとデマンドの考え方

        デマンド値

        法人の電気料金に大きく影響するのが、受電する電圧の区分です。

        企業の規模や使用する設備の大きさに応じて「低圧」「高圧」「特別高圧」の3つに分類され、基本料金の考え方や契約電力の決まり方、見直すべきポイントが異なります。

        契約区分によって基本料金や契約電力の考え方が変わる

        電気の契約区分は、一般に契約電力や受電電圧によって「低圧」「高圧」「特別高圧」に分かれます。

        契約区分によって、基本料金や契約電力の決まり方が異なります。

        契約区分主な対象特徴
        低圧(契約電力50kW未満)小規模なオフィス、飲食店、小売店、美容室など標準電圧100Vまたは200Vで供給されます。基本料金は、契約アンペア、契約容量、契約電力、使用する設備など、契約メニューごとに異なる方法で決まります。
        高圧(契約電力50kW以上2,000kW未満)工場、オフィスビル、スーパーマーケット、病院など標準電圧6,000Vで供給されることが多く、需要家側でキュービクルなどの高圧受電設備を設置・管理します。契約電力やデマンド値が基本料金に影響するため、使用電力量だけでなく、電力を一度に使う大きさも重要です。
        特別高圧(契約電力2,000kW以上)大規模工場、大型商業施設、データセンターなど高圧よりも高い電圧で受電する契約区分で、20kV級や60kV級など、供給電圧は施設の規模や地域によって異なります。受電設備が大規模になり、料金や契約電力などの条件も個別に設定されるのが一般的です。

        低圧・高圧・特別高圧の違いは、契約内容を理解するうえで重要な前提です。
        参考:e-Gov法令検索「電気設備に関する技術基準を定める省令」

        低圧・高圧・特別高圧の詳しい違いは、別記事「低圧・高圧・特別高圧の違い」で解説しています。

        高圧契約ではデマンドが基本料金に影響する

        高圧契約で特に重要になるのが、デマンドです。

        デマンドとは、一定時間内に使用した電力の平均値を指します。

        一般的には、30分ごとの平均使用電力のうち、1か月で最も大きい値が最大需要電力(デマンド値)として扱われます。

        契約電力500kW未満の実量制契約では、当月を含む過去12か月のデマンド値を比較し、そのなかで最も大きい値(デマンドピーク)が契約電力になります。

        デマンドピークは、次のような場面で発生しやすくなります。

        • 営業開始時に空調・照明・設備を一斉に稼働する
        • 大型機械や厨房設備を同じ時間帯に使用する
        • 猛暑日や厳冬日に空調の使用が集中する
        • 設備を追加した後も運転方法を見直していない

        なお、契約電力500kW以上の高圧契約や特別高圧契約では、設備内容や電力の使用状況などをもとに、電力会社との協議によって契約電力を決めるのが一般的です。

        高圧契約で基本料金の削減余地を確認したい場合は、自社の契約電力の決定方法と、過去12か月のデマンド推移を確認しましょう。

        参考:資源エネルギー庁「電気の計量制度について」

        デマンドコントロールで基本料金を抑える仕組みを理解しておくと、ピーク電力の見直しポイントを整理しやすくなります。

        市場価格に左右される「市場連動型プラン」の仕組みと注意点

        電気代 市場連動型

        燃料費等調整額のほかにも、法人の電気料金を大きく変動させる要因として近年注目されているのが、料金プラン自体の設計です。

        法人向けの電気料金プランには、単価が比較的安定しやすい固定単価型のほかに、電力市場の価格に応じて料金が変動する市場連動型プランがあります。

        プランの種類特徴注意点
        固定単価型一定期間の単価が比較的安定しやすい市場価格が下がっても料金に反映されにくい
        市場連動型電力市場の価格に応じて単価が変動する市場高騰時に電気料金が上がりやすい

        市場連動型と固定単価型の違いを詳しく比較したい場合は、別記事「市場連動型プランと固定単価型プランの違い」も参考にしてください。

        JEPXと連動する料金の仕組み

        JEPXのスポット市場では、翌日に受け渡す電気を30分単位の48商品に分けて取引します。

        市場連動型プランでは、このスポット市場のエリア価格などを基準に、電力会社が定める算定方法で電力量料金を計算します。

        市場価格は、次のような要因で変動します。

        • 電力需要の増加
        • 燃料価格の高騰
        • 気温の変化による空調需要
        • 発電所の稼働状況
        • 天候による再生可能エネルギーの発電量
        • 国際情勢やエネルギー需給の変化

          市場連動型プランは、電気料金が外部環境の影響を受けやすい料金体系です。

          使用電力量の多い法人では、市場価格の変動による請求額への影響が大きくなりやすいため、市場価格の変動が請求額に反映されると、家庭向けよりも金額差が大きくなる点に注意が必要です。
          参考:一般社団法人日本卸電力取引所「取引概要」

          市場連動型プランのメリットと高騰時のリスク

          市場連動型プランを検討・契約するにあたっては、メリットとリスクの双方を把握しておく必要があります。

          • メリット(安く抑えられる時期)
            春や秋の冷暖房をあまり使わない時期や、太陽光発電の出力が増える日中など、市場に電気が余っている時間帯はJEPXの価格が下がることがあります。この時間帯に多く稼働できる企業であれば、従来の固定単価プランより電気代を抑えやすくなります。

          • 注意点
            夏・冬の電力需要期で電力需要が極端に高まった際や、災害、世界情勢による燃料不足などが起きるとJEPXの価格が急騰することがあります。この場合、自社の使用量はいつも通りであるにもかかわらず、1か月の請求額も増えるおそれがあります。

            市場価格への直接的な連動を避けたい場合は固定単価型、価格変動を理解したうえでコスト削減を狙いたい場合は市場連動型が候補になります。

            どちらが適しているかは、自社の使用量、稼働時間、リスク許容度によって異なります。

            仕組みから判断する!自社の電気代を見直すべき3つのサイン

            電気代 3つのサイン

            法人の電気料金は、基本料金・電力量料金・調整費・デマンド・料金プランなど、複数の要素で決まります。

            そのため、電気代を見直す際は「電力会社を変えれば安くなる」と考える前に、まず現在の契約と使い方が合っているかを確認することが大切です。

            特に、次のような状態に当てはまる場合は、契約内容や料金プランを見直す余地があります。

            見直しサイン関係する仕組み起こりやすい負担
            デマンドピークが発生している契約電力・基本料金基本料金が高止まりしやすい
            プランの種類を把握していない市場連動型・固定単価型料金変動リスクに気づきにくい
            稼働状況が変わっている使用量・時間帯・単価現在の使い方に合わない料金になりやすい

            省エネ対策や設備投資、電力会社の見直しを含めて検討したい場合は、別記事で詳しく解説しています。

            サイン1:過去1年以内に突発的なデマンドピークが発生している

            契約電力500kW未満の実量制契約では、デマンド値が契約電力に影響します。

            そのため、過去1年以内に一時的な電力使用のピークが発生している場合、使用電力量が大きく増えていなくても基本料金が高止まりしていることがあります。

            請求書やデマンド監視データから過去12か月の推移を確認し、ほかの月より突出している月がないかを確認しましょう。

            ピークが見つかった場合は、その時間帯に稼働していた空調や大型設備を洗い出すことで、見直すべき運用が明確になります。

            参考:資源エネルギー庁「電気の計量制度について」

            サイン2:現在の契約が市場連動型か固定単価型か把握していない

            法人向けの電力プランには、市場連動型や固定単価型など、料金の決まり方が異なるプランがあります。

            現在の契約がどちらのタイプか把握していない場合、電気代が上がったときに、使用量が原因なのか市場価格や調整費が原因なのか判断しにくくなります。

            特に市場連動型プランでは、電力市場の価格が上がると請求額も大きく変動することがあります。

            一方、固定単価型でも、燃料費等調整額や独自調整費の条件によって総額が変わる場合があります。

            そのため、契約中のプランについては、少なくとも次の点を把握しておきましょう。

            • 市場連動型か固定単価型か
            • 燃料費等調整額や独自調整費の扱い
            • 基本料金と電力量料金の単価
            • 契約期間や更新条件

            電気料金の仕組みを理解しても、現在の契約条件が不明なままでは、適切な見直し判断ができません。

            サイン3:稼働時間や設備の使い方が変わったのに契約を見直していない

            法人の電気使用量は、事業内容や稼働状況によって大きく変わります。

            たとえば、営業時間が変わった、夜間稼働が減った、設備を入れ替えた、空調や冷蔵設備を追加したといった変化がある場合、以前の料金プランが現在の使い方に合わなくなっていることがあります。

            稼働状況の変化電気料金への影響
            営業時間が長くなった使用電力量が増えやすい
            夜間・休日稼働が減った時間帯別プランのメリットが薄れる場合がある
            大型設備を追加したデマンドや基本料金に影響しやすい
            省エネ設備を導入した契約電力やプランを見直せる余地がある

            電気料金の仕組みは、契約内容と使用実態が合っているほど無駄を抑えやすくなります。

            反対に、設備や稼働時間が変わったのに契約をそのままにしていると、現在の使い方に対して割高な料金体系になっていることがあります。

            参考:資源エネルギー庁「使用量や時間によって変動する料金制度」

            自社の電気料金がどの項目で高くなっているか分からない場合は、まず直近12か月分の明細をもとに、基本料金・電力量料金・調整費・デマンドの状況を整理することが大切です。

            ミツモルでは、法人の電気料金明細をもとに、現在の契約内容や見直し余地を確認できます。

            FAQ|法人の電気料金の仕組み・内訳でよくある質問

            FAQ

            法人の電気料金の仕組みや見直しに関して、多くの担当者の方から寄せられる代表的な質問をまとめました。

            法人の電気料金の基本的な内訳を教えてください。

            法人の電気料金は、主に以下の項目で構成されています。

            内訳内容
            基本料金契約電力や契約種別に応じて毎月発生する固定費
            電力量料金使用電力量に応じて変動する従量料金
            燃料費等調整額燃料価格の変動を反映する調整項目
            再エネ賦課金使用電力量に応じて加算される制度上の負担
            その他調整費容量拠出金や独自調整費など、料金に影響する追加要素

            家庭用の電気代の仕組みと何が一番違いますか?

            法人向けには、低圧だけでなく高圧・特別高圧の契約があります。特に高圧契約では、使用電力量に加えて、契約電力やデマンド値が基本料金に影響します。料金プランや設備の稼働状況も確認する必要がある点が、一般的な家庭向け契約との大きな違いです。

            基本料金はどのように決まりますか?

            基本料金は、契約区分や契約電力、契約メニューによって決まります。低圧契約では、契約アンペアや契約容量などに応じて設定されます。高圧契約では、契約電力が基本料金に大きく影響します。契約電力500kW未満の実量制契約では、当月を含む過去12か月の最大需要電力のうち、最も大きい値が契約電力になります。500kW以上では、設備内容や使用状況をもとに電力会社との協議で決めるのが一般的です。また、契約によっては、力率に応じて基本料金が割引・割増される場合もあります。

            新電力会社に切り替えた場合、電気の供給の仕組みや停電リスクは変わりますか?

            新電力へ切り替えても、電気の品質や停電の起こりやすさは原則として変わりません。電気はこれまでと同じ一般送配電事業者の送配電網を通じて届けられるためです。ただし、料金プランや契約条件、問い合わせ先、付帯サービスなどは切り替え先によって異なります。

            まとめ|電気料金の仕組みと内訳を理解し、法人の電気代を見直そう

            法人の電気料金は、基本料金・電力量料金・燃料費等調整額・再エネ賦課金・その他調整費など、複数の内訳で構成されています。

            一見複雑ですが、その構造を「基本料金」「使用電力量に応じて支払う電力量料金」「各種調整額や賦課金・拠出金」などの内訳に分解して捉えれば、決して難しくはありません。

            特に高圧契約では、デマンド値と契約電力の関係を理解することが、基本料金を見直すうえで重要です。

            また、市場連動型や固定単価型などプランごとの価格変動リスクを把握することで、現在の契約が自社の使用状況に合っているかを判断しやすくなります。

            法人の電気代を見直す際は、請求額のどの内訳が負担になっているのかを分けて考えることが大切です。

            まずは自社の明細書を開き、以下をチェックしてみてください。

            • 過去1年以内に突発的なデマンドピークが発生していないか
            • 現在の稼働状況とプランにミスマッチが生じていないか
            • 稼働時間や設備の使い方が変わったあと、契約を見直したか

            電気料金の仕組みを理解して、自社にとって最適な電気契約への見直しを進めていきましょう。

            ミツモルでは、電気料金明細をもとに、現在の契約内容や見直し余地を確認できます。

            見積もりを比較する際の確認項目は、別記事「法人電力の見積比較で確認すべきポイント」でも詳しく解説しています。

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