デマンドコントロールとは?高圧電力の基本料金を抑える仕組みと導入判断のポイント

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デマンドコントロールとは、事業所などで使用する最大電力を抑制し、電気の基本料金を削減するための取り組みです。
昨今の電気代高騰を受け、多くの企業がコスト削減策を模索しています。

この記事では、デマンドコントロールが電気代削減につながる仕組みから、具体的な導入方法、自社に合ったシステムの選び方までを分かりやすく解説します。
電力の基本料金が決まる仕組みを理解し、効果的なコスト削減を実現するためのポイントを掴みましょう。

目次

デマンドコントロールとは、電気の基本料金を削減する仕組みのこと

デマンドコントロールとは、電力の使用量を監視・制御し、電気料金の基本料金を決定する「最大デマンド」を低く抑えるための仕組みや取り組み全般を意味します。
英語の「DemandControl」が語源です。
単に電気の使用量(kWh)を減らす「節電」とは異なり、電力需要が最も高まる瞬間(ピーク)を管理することに主眼を置いています。

特に、多くの電力を消費する法人向けの「高圧電力」契約において、基本料金を削減する上で非常に有効な手段です。

電気の基本料金が決まる「最大デマンド」の仕組みを解説

法人向けの電気料金は、主に「基本料金」と「電力量料金」の2つで構成されています。
このうち、毎月固定でかかる基本料金は「契約電力」の大きさに比例して決まります。
そして、この契約電力を決定づけるのが「最大デマンド」と呼ばれる数値です。

最大デマンドの値が大きくなると、それに伴って契約電力も大きくなり、月々の基本料金が高くなります。
つまり、電気の基本料金を抑えるためには、この最大デマンドを低く管理することが不可欠です。

デマンド値は30分ごとの電力使用量の平均値

デマンド値とは、電力会社が需要家の電力使用量を把握するために、30分ごとに計測している使用電力の平均値を指します。
電力会社は、スマートメーターなどの計測システムを用いて、常にこの値を記録しています。
例えば、ある30分間で瞬間的に多くの電力を使用したとしても、同じ時間枠の他の時間帯に使用量が少なければ、平均値であるデマンド値は抑えられます。

この30分間の平均電力をいかに平準化し、突出させないかがデマンドコントロールの鍵となります。

年間で最も高いデマンド値が翌年1年間の基本料金を決定する

契約電力は、過去1年間(当月と前11ヶ月間)におけるデマンド値のうち、最も高い数値(最大デマンド)を基準に決定されます。
例えば、夏の暑い日にエアコンを一斉に使用したことで、たった30分間だけデマンド値が跳ね上がったとします。
その数値が年間で最も高い値だった場合、その後の1年間はその高い最大デマンドを基準とした基本料金を支払い続けることになります。

これを防ぐためには、最大デマンドを常時監視し、ピークを抑制する装置の導入が効果的です。

デマンドコントロールを実現する2つの主な方法

デマンドコントロールを実現するためには、専用の機器を導入するのが一般的です。
その方法は、大きく分けて「デマンド監視装置」を用いる方法と、「デマンドコントローラー」を用いる方法の2種類があります。
デマンドコントローラーとは、電力使用量を監視するだけでなく、自動で設備を制御する機能を持つ機器です。

どちらの方法が自社に適しているか、それぞれの特徴を理解して選択することが重要です。
ここでは、それぞれの具体的な仕組みと違いを解説します。

手動で対応する「デマンド監視装置」の特徴

デマンドコントロールシステムとは何かを知る上で、まず基本となるのがデマンド監視装置です。
この装置は、現在の電力使用量をリアルタイムで監視し、あらかじめ設定したデマンドの目標値を超えそうになった際に、警報音やランプで管理者に通知する機能を持っています。

警報が作動したら、担当者が手動で空調を止めたり、照明を消したりといった対応をとる必要があります。
比較的安価に導入できる点がメリットですが、常に人員による対応が求められ、対応が遅れると最大デマンドを更新してしまうリスクがあります。

自動で節電する「デマンドコントローラー」の特徴

デマンドコントローラーは、監視機能に加えて設備の自動制御機能を持つ装置です。
デマンド値が目標値に近づくと、事前に設定した優先順位に従って、電力消費の大きい空調や照明などの設備を自動で一時的に停止させたり、出力を抑えたりします。

この自動制御により、管理者が不在の際や、警報に気づかなかった場合でも確実にピークカットを実行できます。
特に、事業活動に欠かせない主要な電力消費源である空調機をきめ細かく制御することで、人手を介さずに効果的なデマンドコントロールを実現します。

自社に合うのはどっち?デマンドコントロールシステムの選び方

デマンド監視装置とデマンドコントローラーのどちらを導入すべきか、また、数ある製品の中からどれを選ぶべきかは、企業の状況によって異なります。
IT技術を活用した電力の見える化機能や、将来的に蓄電池との連携が可能かなど、単なるピークカット機能以外にも比較すべき点は多岐にわたります。

ここでは、自社の目的や運用スタイルに合ったデマンドコントロールシステムを選ぶための重要なポイントを4つ紹介します。

運用工数をかけたくないなら自動制御タイプがおすすめ

警報が鳴るたびに手動で設備を停止させる運用は、担当者にとって大きな負担となります。
特に、人員が少ない事業所や、24時間稼働している工場などでは、人的対応には限界があります。
運用工数をかけずに確実なデマンドコントロールを実現したい場合は、自動制御機能を備えたデマンドコントローラーが適しています。

システムが自動でピークカットを行うため、担当者の負担を軽減し、人件費の削減や対応漏れのリスク回避といった効果が期待できます。

従業員の快適性を損なわずに制御できるかを確認する

デマンドコントロール、特に空調の自動制御を導入する際のデメリットとして、従業員の快適性が損なわれる可能性が挙げられます。
例えば、制御によって室温が上昇しすぎると、従業員の集中力や作業効率の低下を招きかねません。

これを避けるためには、室温の上限を設定できる、あるいは制御の順番や時間を細かく設定できるなど、快適性を維持しながらピークカットを行える高機能な製品を選ぶことが重要です。
導入前に、どの程度の制御が行われるのかを業者に確認しましょう。

電力使用量を「見える化」して省エネ活動に活かせるか

優れたデマンドコントロールシステムは、単にデマンドを抑制するだけでなく、施設全体の電力使用状況を「見える化」する機能を備えています。
時間帯別・設備別に電力消費量をグラフなどで確認できると、どのタイミングで、何が電力を多く使っているのかが一目瞭然になります。
このデータを分析することで、非効率な電力使用を発見し、運用改善につなげることが可能です。

また、データ共有は従業員の省エネ意識向上にも寄与します。
多機能な製品は費用も高くなる傾向があるため、価格と機能のバランスを見極める必要があります。

将来的な機能の拡張性があるか

導入時には必要なくても、将来的に省エネ活動をさらに推進する上で欲しくなる機能が出てくる可能性があります。
例えば、太陽光発電システムや蓄電池を導入した際の連携機能、複数の拠点の電力データを一元管理する機能などが挙げられます。

初期の段階で、こうした機能の拡張性を持つシステムを選んでおくと、将来の設備投資をスムーズに進めることができます。
なお、高機能なエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入する際には、国や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。

デマンドコントロール導入で得られる3つのメリット

デマンドコントロールの導入は、電気料金の削減にとどまらず、企業経営に様々な好影響をもたらします。
大手空調メーカーのダイキンや、生産効率を追求するトヨタグループの関連工場など、多くの企業がその効果を認め、導入を進めています。
ここでは、デマンドコントロールを導入することで得られる代表的な3つのメリットについて、具体的に解説します。

契約電力が下がり、電気の基本料金が安くなる

最大のメリットは、電気の基本料金を直接的に削減できる点です。
デマンドコントロールによって年間の最大デマンドを低く抑えることで、電力会社との契約電力を下げることが可能になります。

基本料金は「契約電力(kW)×基本料金単価×力率割引」で計算されるため、契約電力が下がれば、毎月の固定費である基本料金が確実に安くなります。
電力使用量(電力量料金)を減らす努力と合わせることで、電気料金全体の大幅なコストカットが期待できます。

電力使用状況の可視化で従業員の省エネ意識が高まる

多くのデマンドコントロールシステムには、電力使用量をリアルタイムで表示・記録する「見える化」機能が搭載されています。
自社の電気がいつ、どれだけ使われているかを具体的な数値やグラフで把握できるようになることで、これまで漠然としていた電気の使用実態が明確になります。
この情報を社内で共有することで、従業員一人ひとりのコスト意識や省エネに対する関心が高まり、こまめな消灯や空調の適切な温度設定といった、自発的な節電行動を促す効果が期待できます。

自動制御なら管理の手間や人件費を削減できる

デマンドコントローラーによる自動制御を導入した場合、電力ピークの管理をシステムに完全に任せることができます。
これにより、管理担当者が常に電力メーターを気にしたり、警報のたびに手動で設備を操作したりする必要がなくなります。
担当者は本来の業務に集中でき、生産性の向上に貢献します。

また、ピーク管理のために専任の担当者を配置していた場合は、その人件費を削減することも可能です。
人的ミスによる最大デマンド更新のリスクをなくせる点も大きなメリットです。

デマンドコントロール導入前に知っておきたい注意点

デマンドコントロールは電気料金削減に有効な手段ですが、導入にあたってはいくつかの注意点を理解しておく必要があります。
初期投資が必要になることや、やり方によっては業務に支障をきたす可能性もゼロではありません。
メリットだけでなく、こうした注意点も踏まえた上で、慎重に導入を検討することが成功の鍵となります。

初期費用がかかるため投資回収期間の試算が必要

デマンドコントロールシステムの導入には、機器の購入費用や設置工事費といった初期投資が発生します。
その金額は、導入する機器の性能や施設の規模によって数十万円から数百万円と幅があります。
そのため、導入によって削減が見込まれる年間の電気料金と初期費用を比較し、何年で投資額を回収できるのかを事前にシミュレーションすることが極めて重要です。

多くの販売業者は、過去の電力使用データに基づいた無料の削減シミュレーションを提供しているため、積極的に活用しましょう。

過度な制御は従業員の快適性や生産性を損なう恐れがある

電気料金を削減したいあまり、デマンドの目標値を厳しく設定しすぎると、設備の制御が頻繁に行われることになります。
特にオフィスや店舗、工場などでは、空調が頻繁に停止することで室温が不快なレベルになり、従業員の集中力や生産性の低下、あるいは顧客満足度の低下につながる恐れがあります。

デマンドコントロールを導入する際は、事業活動への影響を最小限に抑えることができるよう、適切な目標値を設定し、きめ細かな制御が可能なシステムを選ぶことが重要です。

導入コストを抑えるために活用できる補助金制度

デマンドコントロールシステムの導入には、国や地方自治体が実施する省エネルギー関連の補助金制度を活用できる場合があります。
代表的なものに、経済産業省資源エネルギー庁が管轄する「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」などがあります。

これらの補助金は、エネルギー効率の高い設備への更新や、エネルギーマネジメントシステムの導入にかかる費用の一部を補助するものです。
公募期間や補助対象となる設備の要件が毎年変わるため、導入を検討する際は、最新の情報を各省庁や自治体のウェブサイトで確認するか、専門の業者に相談することをおすすめします。

デマンドコントロール導入までの基本的な4ステップ

デマンドコントロールの導入を具体的に検討し始めてから、実際に運用を開始するまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。
現状の把握から始め、適切な機器を選び、効果を検証していくという一連の流れを理解しておくことで、スムーズに導入を進めることができます。
ここでは、その基本的な流れを4つのステップに分けて解説します。

Step1. 現状の電力使用状況を分析する

最初のステップは、自社の電力使用状況を正確に把握することです。
過去1〜2年分の電気料金の請求書を用意し、「デマンド値(30分最大需要電力)」の推移を確認します。

これにより、どの季節、どの曜日の、どの時間帯に電力のピークが発生しやすいのかという傾向を分析できます。
この分析結果が、デマンドの目標値を設定する上での重要な基礎データとなります。
同時に、電力消費の大きな設備が何であるかも特定しておきましょう。

Step2. 適切な機器を選定し、業者に見積もりを依頼する

現状分析で得られたデータをもとに、自社に合ったデマンドコントロールシステムを選定します。
手動での運用で十分か、あるいは自動制御が必要か、どの設備を制御対象としたいかなどを検討します。
導入したいシステムの方向性が固まったら、複数の専門業者に連絡を取り、現地調査を依頼した上で見積もりを提出してもらいます。

その際、機器の費用だけでなく、工事内容や導入後のサポート体制まで含めて比較検討することが重要です。

Step3. 設置工事と目標値の運用設定を行う

導入する機器と依頼する業者が決まったら、契約を結び、設置工事の日程を調整します。
工事は、施設の主分電盤に電力を計測するための装置(CTセンサー)を取り付け、制御対象となる設備へ制御用の配線を行うのが一般的です。
工事完了後、過去の電力使用データや業務への影響を考慮しながら、削減の基準となるデマンドの目標値を設定します。

この目標値設定は、削減効果を左右する非常に重要な作業です。

Step4. 導入後の効果を測定し改善を繰り返す

デマンドコントロールは、導入して終わりではありません。
運用開始後は、実際に最大デマンドが抑制され、基本料金がどれだけ削減できたかを継続的に測定・評価します。
もし、目標値の設定が厳しすぎて業務に支障が出たり、逆に緩すぎて十分な削減効果が得られなかったりした場合は、目標値を再設定するなどの改善が必要です。

このように、効果測定と改善のサイクル(PDCA)を回していくことで、より自社に最適化された運用が実現します。

デマンドコントロールに関するよくある質問

ここでは、デマンドコントロールの導入を検討されている企業の担当者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
導入前の疑問や不安を解消するための一助としてください。

デマンドコントロールとは何ですか?

デマンドコントロールとは、ビルや工場などの施設で使用する電力の「最大デマンド(最大需要電力)」を計画的に調整し、電気の基本料金を削減する仕組みを指します。

法人の高圧電力契約では、30分ごとの平均使用電力のうち、年間で最も高い値が基本料金の基準となります。この一瞬のピークを抑えるために、電力の使用状況をリアルタイムで監視し、目標値を超えそうになった際に空調などの負荷設備を一時的に停止させるのが主な役割です。

単に使用量を減らす節電とは異なり、電力需要の山を削る「ピークカット」を行うことで、契約電力そのものを引き下げることが可能になります。効率的なコスト削減を実現するための重要な経営戦略といえます。

導入すると、具体的にどのくらい電気料金を削減できますか?

削減額は施設の規模や電力使用状況によって大きく異なります。
基本料金は「契約電力×基本料金単価」で決まるため、契約電力を1kW下げるだけでも、単価によっては年間で1万円以上の削減になります。
多くの専門業者が無料の削減シミュレーションを提供しているので、まずは相談してみることをおすすめします。

既存の設備に後付けで導入することは可能ですか?

はい、多くの場合で後付けが可能です。
デマンドコントロールシステムは、既存の分電盤に電力を計測する装置を取り付け、制御対象となる空調機などに信号を送る配線工事を行うのが一般的です。

そのため、建物や主要な設備を大幅に改修することなく導入できるケースがほとんどです。

まとめ

デマンドコントロールは、30分ごとの平均電力使用量であるデマンド値を監視・制御し、年間の最大デマンドを抑制することで、高圧電力契約における基本料金を削減する有効な手法です。
実現方法には、警報を受けて手動で対応する「デマンド監視装置」と、設備を自動で制御する「デマンドコントローラー」があります。
導入を成功させるためには、自社の運用工数や従業員の快適性への影響を十分に考慮し、見える化機能や拡張性なども含めて最適なシステムを選ぶことが重要です。

初期費用はかかりますが、補助金の活用や適切な投資回収計画により、経営に貢献するコスト削減策となり得ます。

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