IT技術が進歩し、企業はそれによって数多くの恩恵を受けるようになりました。
例えば、ペーパレス化やコスト削減などさまざまなメリットがあります。
しかし、我々はその恩恵と引き換えにIT資産を管理することが求められるようになったのです。
オフィスに配置されているパソコンやタブレットがどのぐらいあるのか把握していない管理者もいるのではないでしょうか。
また、アプリケーションの契約期間を把握し、正しくライセンスを守って使用していない企業も少なくありません。
このような管理をスムーズにするために、現在IT資産管理ツールが注目されています。
実際に、導入を検討している方もいるのではないでしょうか。
今回は、IT資産管理ツールの基本概念や目的、メリットについて解説し、
その上でおすすめのクラウドサービスをご紹介しますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
目次
IT資産管理ツールとは?
IT資産管理ツールとは、自社のソフトウェアやハードウェアを適切に管理するため、そのサポートを行ってくれるツールのことです。
企業のオフィスには複数のPCがありますが、担当者はすべての台数をしっかりと管理していますか?
もし、PCが余分にあることを管理者が知らない場合、新たに買い足してしまうので、予算の無駄遣いです。
また、ソフトウェアにおいても月額や年額単位で契約を更新して料金を支払っています。
もし、企業がライセンスの数を把握していないとPCと同様に余分にライセンス契約してしまう恐れがあるのです。
また、更新日がいつなのか理解していないとサービスがストップし、業務に着手できなくなる可能性もあるでしょう。
IT資産管理ツールを導入すれば、PCの台数やライセンス契約数、有効期限、更新日などがすべて透明化されます。
これにより、余計な予算を使ってしまったり、契約が切れてライセンスを使用できなくなってしまったりするリスクを下げられるので企業にとってメリットが大きいです。
IT資産管理ツールを導入する3つの目的
IT資産管理ツールを導入する目的は下記の3点です。
- 管理と効率的な運用
- ライセンスの適正化
- セキュリティ対策
管理・効率的な運用
1つ目の目的は、IT資産管理及び効率的な運用を行うためです。
管理は具体的に下記の内容を意味します。
- 「PCやタブレットは何台あるのか?」
- 「ソフトウェアのライセンスの数」
- 「ライセンスの期間」
- 「ライセンスの更新日」
このように、企業が所有するハードウェアやソフトウェアを管理し、それをPCリサイクルなどに活かします。
コンプライアンスに遵守
企業がソフトウェアを使用する場合、開発元が提供するコンプライアンスに遵守しなければなりません。
ソフトウェアの種類によっても異なりますが、1つのライセンスでインストールが許可されている台数が決められているケースもあります。
決められた台数以上のPCにインストールしてしまうと契約違反です。
故意でなくても開発元のライセンス監査に引っかかってしまったら、提訴される可能性もあります。
その場合、企業は大きな損害を被る恐れがあるでしょう。
IT資産管理ツールを利用すればライセンス管理を行うことができるので、知らないうちにライセンスで定められている台数制限を超えてしまう心配がありません。
そのため、訴訟などのリスクを回避してソフトウェアを運用することができます。
セキュリティ対策
3つ目の目的はセキュリティ対策です。
IT資産管理ツールを導入すれば、ソフトウェアのアップデート情報を見落とす心配がありません。
企業は常にシステム内にセキュリティホールを抱えています。
例えば、普段使用しているアプリケーションに脆弱性が見つかることも珍しくありません。
しかし、多くのケースでは脆弱性が見つかるとすぐにバージョンを更新し悪用できないように対策が施されます。
一般的にパッチと呼びますが、そのマネジメントがうまくできない場合、情報漏えいリスクが高くなるのです。
IT管理ツールを導入することで、パッチマネジメントを効率的に行えます。
更新すべきソフトウェアがひと目でわかるので、パッチが当てられた最新のバージョン情報を見落としてしまう心配がありません。
すぐに更新してセキュリティを維持できますので、企業は安心して業務を遂行できます。
IT資産管理ツールを導入する5つのメリット
IT資産管理ツールを導入することで得られるメリットは5つあります。
それぞれのメリットについて詳しく解説しますので、ぜひチェックしてください。
管理作業の効率化
1つ目のメリットは管理作業の効率化です。
基本的にIT資産管理ツールを導入しない場合、企業の担当者がPCやソフトウェアを手動で管理します。
ソフトウェアの更新情報などはアンケートに答えてもらうという形で情報収集しますが、返答に時間がかかり、情報に関しても正確であるとは限りません。
もし、情報が正確で返答が速かったとしてもすべての情報を入力して管理しなければならないので手間がかかります。
IT資産管理ツールを利用すれば、PCの台数やソフトウェア情報などをひと目で把握することが可能です。
集計も自動なので管理者が自ら情報を集める必要がありません。
作業の手間を大幅に削減することができるので大きなメリットといえます。
無駄遣いの抑制
2つ目のメリットは予算の無駄遣いを抑制できることです。
余分にPCを買い足したり、ライセンス契約をしたりすることによって発生する過剰投資を抑えられます。
PCは初期コストが高く、必要以上に購入してしまうと予算の無駄遣いです。
また、ソフトウェアライセンスの契約は月額費用の支払いになるため、ランニングコストが増大します。
IT資産管理ツールを導入すれば、過剰な支払いを企業は抱えずに済むため、結果的に予算の節約になるでしょう。
セキュリティホールへの対応
3つ目は、速やかにセキュリティホールへの対応ができる点です。
IT資産管理ツールを導入すれば、社員が使用するOSのバージョンなどをすべて把握できます。
古いバージョンを使用している社員に対してバージョンアップするように指示を出せば、脆弱性への心配がなくなるでしょう。
パッチマネジメントが簡単になるので、導入後は社内システムのセキュリティの維持がしやすくなります。
情報漏えい対策ができる
4つ目のメリットは情報漏えい対策ができるという点です。
IT資産管理ツールを導入すれば、社員がUSBを使用したときに、データ移行をブロックすることができます。
実際に顧客データなどの情報漏えいは、USBの持ち運びによって起こるケースが非常に多いです。
例えば、通勤中にUSBを落としてしまうというような事態が発生し発覚することも珍しくありません。
USBをブロックすることで、このような情報漏えいリスクを大幅に下げることができるので、導入することで企業は大切なデータをしっかりと守ることができるでしょう。
従業員の不正行動を防止することができる
5つ目は、従業員の不正を防止できることがメリットです。
従業員が自社の顧客データを盗むためにサーバーに侵入し、取得後に印刷して競合企業にデータを渡すというような不正は十分に考えられます。
顧客データが盗まれてしまうと企業は大きな損害を被ることになるでしょう。
IT資産管理ツールには、ログ機能が搭載されています。
ログを監査することで不正に加担している従業員を見つけ出すこともできるでしょう。
このように、IT資産管理ツールは従業員の不正も防止してくれる優秀なツールです。
IT資産管理ツールの注意点!気をつけたい2つのデメリットとは?
IT資産管理ツールを導入する上で確認しておきたいデメリットが2つあります。
それぞれのデメリットをチェックし注意しなければならない点を把握するのがおすすめです。
慣れるまでに時間がかかる
1つ目のデメリットは、慣れるまでに時間がかかることです。
IT資産管理ツールは非常に機能が豊富で導入後、すぐに使いこなすことは難しくなっています。
管理者はUIに慣れたり、機能を学習したりする時間が必要です。
また、従業員自身も慣れなければなりませんので、会社側が研修などを実施しなければなりません。
すべての従業員が使いこなせるようになるまでに時間がかかりますので、すぐに効果を求めないようにするのがおすすめです。
すべての企業に必要なツールではない
2つ目のデメリットはすべての企業に必要なツールではないという点です。
IT資産管理ツールはあくまでも大量のハードウェアやソフトウェアライセンスを管理するためのものになります。
そのため、従業員が少ない企業においては、IT資産管理に手間がかからないため、導入しなくても問題ありません。
導入する際には、初期コストがかかります。
また、継続して利用する場合、ランニングコストや保守費用がかかるので、自社に必要なツールかどうか十分に検討する必要があるでしょう。
【最新】IT資産管理ツールおすすめ6選
IT資産管理ツールにはさまざまな種類があります。
そのため、導入を検討している人の中には、実際に迷われている方もいるのではないでしょうか。
ここでは、最新かつおすすめのIT資産管理ツールを6種類ご紹介しますので、ぜひ機能や料金を比較してみてください。
MCore
公式サイトはこちらから:MCore
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
おすすめの機能 | ・パッチ管理 ・操作ログ管理 ・ネットワーク検疫 |
導入事例 | ・情報技術開発株式会社 ・某自動車部品製造業社 ・某大手物流業者 |
MCoreの特徴
MCoreは、住友電工情報システムが提供するIT資産管理ツールです。
ユーザー目線で開発されたシステムでさまざまな顧客の要望に応えてくれます。
MCoreの特徴は、高い信頼性です。
実際にMCoreは住友電工グループで利用されています。
住友電工グループは大企業なため、大規模な環境でもスムーズに動作することが証明されているのです。
そのため、信頼性が非常に高く、さらに自社開発なため、高い品質を誇ります。
また、コスト負担を減らすことができる点も特徴です。
1エージェントに対して1回インストールする設計となっており、コスト低減を実現しています。
導入時はもちろんのこと、拡張をする際は大きな費用がかからないため、運用後にカスタマイズする予定がある企業にもおすすめです。
AssetView
公式サイトはこちらから:AssetView
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
おすすめの機能 | ・ファイル暗号化 ・リモートコントロール ・モバイルデバイス管理 |
導入事例 | ・パナソニックインフォーメーションシステムズ株式会社 ・山形市役所 ・川崎重工株式会社 |
AssetViewの特徴
AssetViewは、オンプレミスとクラウドの両方を提供するIT資産管理ツールです。
ITreview Grid Award 2022 WinterのLeaderを7部門で受賞しており、実績と信頼性の高いサービスとなっています。
AssetViewのプランは、オンプレミスの場合『スタンダードパッケージ』もしくは『単体』から選択可能です。
また、クラウドはAssetView CLOUDを契約すれば導入できます。
月額利用料で使用できるため、クラウドを選択すれば大きな初期費用はかかりません。
また、オフィス外からリモート接続することもできるため、テレワークに対応したい企業はクラウドがおすすめです。
AssetViewの特徴は、オーダーメイドでIT資産管理ツールを導入できることです。
AssetViewは、機能やサービスごとにライセンスを購入するという契約形態を採用しています。
そのため、企業のニーズに合わせて必要な機能だけを導入してくれるため、自社オリジナルのIT資産管理ツールを導入できるというわけです。
これにより、不要な機能を取り除くことでコストを削減することもできるため、企業にとってメリットは大きいでしょう。
また、導入後の機能・サービス追加に対しても柔軟に対応してもらうことができます。
必要な機能が見つかったとき、段階的に追加することができるため、ステップアップサポートを受けたいという企業におすすめです。
Pallet Control
公式サイトはこちらから:Pallet Control
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
おすすめの機能 | ・リアルタイム収集 ・オフライン端末の管理 ・セキュリティ状況の可視化 |
導入事例 | ・三愛石油株式会社 ・第四銀行 ・森永製菓 |
Pallet Controlの特徴
Pallet Controlは、JALインフォーメーションテクノロジーによって提供されているIT資産管理ツールです。
官公庁自治体導入数は、244団体にも及び、そのほかにも数多くの一般企業に導入されているため、事業規模や業態に関係なくさまざまな団体が導入しやすくなっています。
Pallet Controlの導入プランは下記の3種類です。
- 標準モデル
- サブスクリプションモデル
- Pallet Controlクラウドモデル
標準モデルとサブスクリプションモデルはオンプレミスとなっており、企業内に導入したいという方におすすめです。
また、サーバーを準備せずに導入したいという方はクラウドモデルを選択すると便利でしょう。
Pallet Controlの特徴は、PCライフサイクルの手厚いサポートが受けられる点です。
PC調達から破棄までをサポートする機能が充実しており、企業は必要な台数で業務を遂行できるようになります。
また、カスタマイズ性の高さも大きな特徴です。
オリジナル台帳などを提供してくれるため、企業のニーズに合わせた柔軟な対応ができるシステムとなっています。
SKYSEA Client View
公式サイトはこちらから:SKYSEA Client View
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
おすすめの機能 | ・デバイス使用制限 ・サイバー攻撃対策 ・連携ソリューション |
導入事例 | ・技研電子株式会社 ・株式会社メガ ・伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 |
SKYSEA Client Viewの特徴
SKYSEA Client Viewは、企業のIT資産とセキュリティをトータルサポートしてくれるシステムです。
17,781ユーザーが利用しているシステムで1,000を超える中小企業が導入しています。
特徴はサポート範囲が広いことです。
例えば、ソフトウェア更新管理はもちろんのこと、テレワーク運用支援のサポートも受けることができます。
テレワーク運用支援を利用すれば、Web会議の時間を透明化してくれたり、社員の勤務状態をログで出力してくれたりします。
オフィス外で従業員が働いている場合でも勤務を細かく管理できるので、テレワークの機会が多い企業におすすめです。
ADVANCE Manager
公式サイトはこちらから:ADVANCE Manager
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
おすすめの機能 | ・効果的なインシデント検知 ・ライセンスの自動割当 ・アンインストール検知 |
導入事例 | ・株式会社オージス総研 ・広成建設株式会社 ・株式会社トクヤマ情報サービス |
ADVANCE Managerの特徴
ADVANCE Managerはクロスビートが提供するIT資産管理ツールです。
ADVANCE Managerはトライアル期間を設けており、すべての機能を2ヶ月無料で使うことができます。
特徴は多様なライセンス機能が搭載されている点です。
例えば、ライセンス使用期限を登録することでサブスクリプション契約の管理を行うことができます。
これにより、期限切れになってしまうリスクや使わないソフトウェアが自動更新されてしまうという無駄遣いを回避することが可能です。
管理支援機能が充実していることも特徴として挙げられます。
資産の自動移動やライセンスの自動割当機能があるため、部署を異動する社員がいる場合でも自動で適切にライセンスやハードウェアを割り当てることが可能です。
異動時のIT資産管理に対して悩みを抱えている方は、ぜひ導入をご検討ください。
QND Premium Standard
公式サイトはこちらから:QND Advence Standard
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
おすすめの機能 | ・禁止ソフトウェア軌道制御 ・特定個人情報の探査 ・ネットワーク接続検知 |
導入事例 | ・株式会社レイメイ藤井 ・株式会社読売新聞情報開発 ・豊田通商株式会社 |
QND Advence Standardの特徴
QND Advence StandardはIT資産管理だけでなく、セキュリティ対策までサポートを受けられるシステムです。
中小企業向けセキュリティアワード2015年のIT資産管理部門総合満足度で1位を獲得しており、数多くの企業から支持されています。
QND Advence Standardの特徴は、セキュリティ対策機能が充実している点です。
例えば、不正なソフトウェア経由の情報漏えいを防ぐために、禁止ソフトウェア制御機能が搭載されています。
辞書で選択されたソフトウェアは起動ができなくなるため、知らないうちに従業員が危険なソフトウェアを使用しているという事態を回避することができるのです。
また、操作ログ機能があるので、従業員の違反行為を見逃す心配がありません。
このようにセキュリティ対策機能が豊富なので、情報漏えいリスクなどを回避するためにIT資産管理ツールを導入したいという方におすすめです。
まとめ
今回は、IT資産管理ツールの基本概要や目的、メリットなどを解説し、おすすめのIT資産管理ツールをご紹介しました。
ご紹介したIT資産管理ツールの中にはクラウドサービスも多く、企業はニーズに合わせて導入することができます。
PCの余分な買い足しが頻繁に起こっている、社内のセキュリティに不安を感じるという方は、この機会に契約をご検討ください。