3C分析はマーケティング戦略を立案するうえで重要なフレームワークです。
近年、インターネットにおけるマーケティングは売上を伸ばすうえで基礎的なスキルとなっています。
多くの企業がWebサイトやSNSに力を入れる中、他社に負けないためにもさまざまなフレームワークを把握する必要があります。そのうちの1つが3C分析です。
本記事では、3C分析の目的や進め方、分析を行ううえでのポイントなどについて解説します。3C分析を身に付けたい方、正確なマーケティング戦略を立案したい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
3C分析の概要と目的・必要性について
3C分析はマーケティング戦略立案の土台となるものですが、一体どんな必要性があるのでしょうか。
必要性を把握することで3C分析に対する意識が変わるはずです。ここでは、3C分析の概要や目的について解説します。
3C分析とは？
3C分析とは、マーケティング戦略を考えるうえで必要なものであり、客観的な視点が含まれる分析手法です。
3Cは、市場と環境を意味するCustomer（カスタマー）、競合を意味するCompetitor（コンペティター）、自社を意味するCompany（カンパニー）の3つの観点から成り立ちます。
3つの「C」にはそれぞれつながりがあり、1つの変動により残りの2つにも影響を与えます。たとえば、顧客が欲しているサービスに変化があれば、それと同時に多くの企業は顧客のニーズに合わせ変化します。自社にも同じことが言え、競合との差別化に取り組むことになるでしょう。
どれも欠かすことのできない要素であり、3つの観点からマーケティングの戦略を考えるべきです。
3C分析の目的・必要性は？
マーケティングは商品やサービスが売れ続ける仕組みを作るためのものです。
企業発展のための売れる仕組み作りを考えるには3C分析が重要になります。
具体的には、3C分析の目的はニーズの把握、競合の分析により自社の強みや特徴を理解するなど、戦略を考えるうえで必要な要素を揃えることです。
3Cは顧客や市場、競合、自社といった3つの観点から売れる仕組みづくりの土台を用意することができます。
企業の方針を考え、他社との差別化を図るためにも、3C分析による自社の立ち位置の確認が必須です。
マーケティング戦略を考える際、3C分析によって得られた結果や情報は大きく役立つでしょう。
3C分析のやり方・進め方
3C分析はマーケティング戦略の立案に必要な要素ですが、やり方がわからないという方は少なくないでしょう。
概要や目的を知っていても、実際に利用できなければ意味がありません。
ここでは3C分析のやり方・進め方について解説します。分析方法は以下の通りです。
- 市場・顧客の分析
- 競合の分析
- 自社の分析
市場・顧客の分析
市場・顧客の分析は、市場の規模や顧客層を確認するためのものです。下記の3点を行うことで、より正確に分析することができます。
- マクロ環境分析
- ミクロ環境分析
- 顧客分析
マクロ分析では政治や経済など、社会的な観点から分析を行います。市場は景気や人口によって変化するので確認が必要です。続いて、新規の参入や代替品、交渉力などの観点から業界の構造を知るためのミクロ分析を行います。業界がどのような状況であるかの把握が可能です。
顧客分析では、マクロやミクロ分析で収集したデータから顧客のニーズにどれくらい当てはまるのか分析します。売上を伸ばすためには商品を顧客の手に持ってもらう必要があるため、購入に至るまでの行動や心情を考えるべきです。
競合の分析
競合の分析では、同じ市場で競い合う他社を分析します。社会や経済による市場変化に対して、競合がどのような対応をしているのか把握することができます。
競合分析では、以下の2点に着目すると良いです。
- 結果
- 結果を出した要因
結果では、企業の売上や販売数などの数値に注目すると良いです。実際どれくらいの結果が出ているかの把握は、具体的な戦略の立案につながります。
続いては、結果に対しての要因の分析です。結果を出すために行った施策がどれくらい関係しているのか把握します。そうすることで、結果を出すための細かい戦略を考えることが可能です。
競合の真似や参考をすることで、より効果的な戦略を打ち出すことができるでしょう。そんな中で、自社と競合で異なる点を見つけ出すことができれば、オリジナルの強みを売り出すことも可能になります。
自社の分析
市場・顧客分析や競合分析で集めたデータを利用して、自社の最適なマーケティング戦略を考えます。自社分析の際は、以下の4点に着目しましょう。
- 経済的価値（Value）
- 希少性（Rarity）
- 模倣可能性（Imitability）
- 組織（Organization）
上記の視点における分析は英単語の頭文字をとってVRIO分析とも呼ばれ、企業における資源に焦点を当てたものです。多くの人にとって価値があり、誰も真似できない希少性のある武器が大切です。
自社分析は会社の武器や強みを明確にするために必要なものであり、競合との争いで勝ち残ることにつながるでしょう。
3C分析を行う際のポイント
分析方法の流れに沿うことで具体的なマーケティング戦略を考えることができますが、より正確な分析を行うためにはいくつか注意点を押さえる必要があります。ここでは分析を行う際のポイントについて解説します。重要なポイントは以下の通りです。
- 事実情報を集める
- 3C分析だけでなく他のフレームワークも活用
事実情報を集める
3C分析において、もっとも重要なことが情報収集です。信憑性の薄い情報ではなく、事実情報だけを集めることがより良い戦略の立案につながります。
ネットで集めるのも良いですが、実際に現地へ訪れて集計するのも良いです。また、データ提供している企業のサービスを利用してみるのも良いかもしれません。顧客・市場のデータは調査や情報提供サービスなどから入手できます。できるだけ多くの事実情報があると、細かく分析しやすいです。
競合情報は入手が難しい傾向にありますが、公式サイトやメディアから必要な情報を集めることができます。自社情報に関しては、これまでのものが資料として残っていると思うので、過去のデータを参考にすると良いでしょう。
また、注意するべき点は情報の新鮮度です。古すぎて利用しても意味のないデータも数多く存在するため、トレンド感を意識して事実情報を集めることも重要です。
3C分析だけでなく他のフレームワークも活用
さまざまなフレームワークとの組み合わせも重要です。マーケティング戦略を考えるうえで、市場や顧客を分析する3C以外にもSTP分析、SWOT分析などのフレームワークはいくつかあります。
STP分析では市場の把握やターゲットの選定が可能であり、SWOT分析では会社の強みや弱みを主観的・客観的に分析することが可能です。
3C分析は顧客や自社の強みに関する情報を集めることができ、市場で競合他社に勝つ戦略を考えることに大きく役立ちます。しかし、3Cだけでは足りない分先情報を他のフレームワークで補うことで、より効果的なマーケティング戦略を考えることができるでしょう。
マーケティングにおける3C分析の位置づけ
3C分析はマーケティング戦略立案におけるほんの一部です。
前項でもお伝えしましたが、STP分析やSWOT分析など、3C以外のさまざまなフレームワークにより商品が売れ続ける戦略を立てることが可能です。
3C分析と同様、フレームワークにもそれぞれつながりがあり、互いに影響を与えます。
分析手法の中でも3C分析は顧客・他社・自社の3つの視点から会社の立ち位置の把握が可能であるため、
あらゆる立場から長所や短所を確認するSWOT分析や、環境を把握するためのPEST分析に関係します。
3C分析の事例3選
マーケティングを行ううえで3C分析は必要不可欠です。言葉の意味だけを知っていても、活用してみなければ3C分析を扱うスキルが身に付きません。具体的なイメージを掴むことができ、取り組む際の参考になるため、ここでは活用事例を紹介します。3C分析を活用する企業事例は以下の通りです。
- マクドナルドの事例
- トヨタ自動車の事例
- スターバックスの事例
マクドナルドの事例
マクドナルドは、ハンバーガーを販売する大手ファストフードチェーン店です。3C分析の事例は以下のようになります。
市場・顧客分析
- 子連れの家族でも気軽に食べたい
- コスパ良くご飯を食べたい
- 食事を早く済ませたい
マクドナルドを利用する多くの顧客は、コスパの良さと食事の手っ取り早さを求めています。
こういったニーズを満たすため、マクドナルドは効果のある戦略を考えているはずです。
競合分析
- モスバーガー
- サブウェイ
- ロッテリア
どれも有名な超大手ファストフード店であり、商品の質は高く、さまざまな方から人気を集めています。
価格や商品提供までのスピードはマクドナルドが優位にあり、独自のポジションを確保しています。
自社分析
- コスパが良い
- 商品を提供するスピードが早い
- 味がおいしい
飲食業界において、マクドナルドは値段の安さや対応のスムーズさなど、どれをとってもトップレベルかもしれません。
トヨタ自動車の事例
トヨタは超大手自動車メーカーであり、レクサスは世界中で人気を集めています。3C分析の活用事例は以下の通りです。
市場・顧客分析
- 重厚感のある自動車を好まない
- 伝統的なデザインを好まない
近年、若者は伝統的な車種を魅力的に感じない傾向がありますが、トヨタの自動車は顧客のニーズに当てはまっています。
競合分析
- ホンダ
- マツダ
- 日産
自動車はメーカーによって外観やデザイン、機能が大きく異なるため、どの会社にも特有の魅力があります。
トヨタでは高級ブランドであるレクサスが世界的に人気を集めています。
自社分析
- 日本製であるため信頼性が高い
- 比較的価格が安く、装備の質も高い
- 技術レベルが高い
トヨタは日本が誇る世界有数の自動車メーカーであり、技術レベルはもちろんのこと、価格の安さにも定評があります。
スターバックスの事例
スターバックスは世界的に有名なコーヒーショップです。3C分析は以下のようになります。
市場・顧客分析
- おしゃれな場所で過ごしたい
- おいしいドリンクが飲みたい
- 落ち着いた空間でゆっくりしたい
おしゃれな世界観を持つスターバックスは、独特な雰囲気が好きという顧客が多いです。
中には、勉強や仕事の作業をする際に利用する人もいます。
競合分析
- コメダ珈琲
- ドトール
- タリーズ
大手コーヒーチェーン店が競合です。コーヒーショップやカフェは差別化しづらいですが、スターバックスは独特なコンセプト・世界観で人気を集めています。
自社分析
- 特有の世界観を持つ
- 価格は高めであるが、その分味の質が高い
- 接客対応を徹底している
スターバックスの世界観に魅力を感じる方が多いです。接客にも非常に力を入れているため、心地よくコーヒーを購入できます。
3C分析からマーケティング戦略を考える
商品を売り続けるためにも効果的なマーケティング戦略の考案はかかせません。3C分析やSWOT分析などのフレームワークを身に付け、多角的な視点から戦略を立てるべきです。
特に3C分析は自社の立ち位置を把握することに長けています。他社との比較により自社の強みや弱みを知り、差別化することに大きく役立つでしょう。
信用性のある事実情報を集めること、さまざまなフレームワークを利用するといったポイントを抑え、3C分析をマーケティング戦略に活用してみてはいかがでしょうか。
