STP分析とは?必要性や分析のやり方・活用事例を徹底解説

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STP分析とは、「新ビジネス展開の際、自社・サービスの立ち位置を把握するための分析方法」です。

企業の戦略や方針の参考になる「顧客ニーズの分析」「ターゲット選定」につながるうえに、具体的なアプローチ方法を考えることにも役立つでしょう。

さまざまな企業がSTP分析を活用しており、市場規模の確認や他社との差別化において、大きな役割を果たしていることは間違いありません。

ビジネス拡大のためにもSTP分析の知識や方法を身に付けておくのは必須条件です。

本記事では、STP分析の概要ややり方、メリット、注意点などについて解説します。

STP分析について詳しく知りたい方、分析方法を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

 

STP分析とは?概要と必要である理由

STP分析とは、新しいビジネスを展開するうえで、競合との立ち位置や商品・サービスの強みを把握するための分析方法です。

企業のマーケティング戦略を考える際に役に立ちます。

STP分析とは?
  1. Sは、Segmentation(セグメンテーション)市場の細分化
  2. Tは、Targeting(ターゲティング)細分化した中から市場を1つ選びます
  3. Pは、Positioning(ポジショニング)他社との立ち位置を確認

最初は扱いが難しいかもしれませんが、展開させたい新ビジネスを成功させるためにもSTP分析は重要であり、必要不可欠なものです。

下記でSTPについて詳しく解説していきます。

STPの分析方法・やり方について解説

STP分析はターゲットやニーズの把握に必要であり、企業の方針を固める際に大きく役立ちますが、実際どのように利用すればいいのでしょうか。

単語や意味だけ知っていても使いこなせなければ意味がありません。そのため、ここではSTP分析方法・やり方について解説します。

セグメンテーション「S」

セグメンテーションとは、似たような分類を市場ごとに細かく分けることです。

いきなりターゲットを選定するのは大変であるため、まずはセグメントによりある程度ユーザーを分類分けする必要があります。

市場の分け方はさまざまですが、性別や年齢、職業によって細分化します。

顧客のニーズに合わせて細かく分け、ターゲットを明確にすることがセグメンテーションの重要な役割です。

 

代表的な分け方
  1. 地理的変数(デモグラフィック):国や気候、文化などの地理的な要素を基に細分化する手法です。宗教や人口も地理的要因に含まれます。
  2. 人口統計変数(ジオグラフィック):基礎情報をもとに分類分けしていくものです。年齢や性別、職種、学歴などの情報を参考に細分化します。
  3. 心理的変数(サイコグラフィック):価値観や性格による細分化です。アンケートや聞き込みで情報収集します。
  4. 行動変数(ビヘイビアル):購買頻度や使い切りなどのタイミングによってセグメントするものです。顧客の行動パターンを把握します。

     

    ターゲティング「T」

    ターゲティングでは、市場の中から自社商品のターゲットを選定するものです。

    ターゲットはセグメントで細かく分けた市場の中からさらに絞るため、事前に市場をセグメントしておくべきです。

     

    商品を販売する際に最も重要であり、1番に考えるべき要素が「ターゲット選定」になります。

    自社の商品を誰に届けるのか考えることで、最適なアプローチが可能です。逆にターゲットが細かく設定されていない場合、せっかく考えたアプローチ方法は誰にも適応しません。

     

    ターゲティングを効果的に行うには以下4点を意識すると良いでしょう。

    代表的な分け方
    1. 差別型ターゲティング
    2. 無差別型マーケティング
    3. 集中型マーケティング
    4. フレームワーク活用

       

      差別型マーケティングとは、細分化された市場に合わせて商品を販売するものです。

      商品の組み合わせが重要であり、似たような商品を提供すると売上アップが期待できます。

      また、ターゲティングの方法の1つに無差別型マーケティングというものがあります。

      市場の細分化を気にせず、商品をすべてのユーザーや顧客に対して販売するものです。雑貨品や食品が対象となっています。

      一方で、集中型マーケティングは限られた一定のターゲットにマーケティングを行うものです。高級品やマニアックな商品が最適と考えられます。

      フレームワーク活用とは3C分析やSWOT分析など他の分析手法を利用してターゲットを選定するものです。

      3Cでは収集できないデータを入手できるので、マーケティング戦略を考えるには最適です。

       

      ポジショニング「P」

      ポジショニングとは、市場における会社の立ち位置を確認するものです。

      市場の中には競合他社がいるので、自社の強みを明らかにする重要な要素になります。

      競合と比較する際は値段や質などの基準を設定しましょう。

      明確な基準があると自社の長所や短所を具体的に確認できます。

      自社が優位に立てる位置(ポジション)を探すことが目的です。

      しかし、貴重なデータの見落としを防止するため、比較情報が複雑にならないよう注意が必要です。

      STP分析を活用するメリット

      STP分析の概要や方法についてお伝えしましたが、一体どんなことに役立つのでしょうか。

      メリットを把握することでSTP分析の重要性がより明確になります。STP分析の活用メリットは以下の通りです。

       

      • 戦略の明確化
      • 競合との差別化

       

      戦略の明確化

      1つ目のメリットは戦略を明確化できることです。

      STP分析はペルソナ設定とニーズの把握に大きく役立ち、サービス展開の戦略を明確化できるようになります。

      というのも、STPは細かいペルソナ設定や顧客ニーズ把握のための土台作りです。

       

      ペルソナ設定とは、ターゲットとなる人物像を設定することを意味します。

      「どんな人に何を届けるのか」を考えることで、適切なアプローチを行うことが可能です。

      また、顧客が欲しているものを知ることができるため、的確な施策を考えることもできるでしょう。

       

      競合との差別化

      2つ目のメリットは競合他社との差別化です。

      ポジショニングでの分析では、他社の商品やサービスを比較することで、自社の優れている点を探します。

      量や価格、機能、性質といった分野・項目を細かい部分まで分析することで、オリジナルの強みや弱みを見つけることができるでしょう。

      自社製品について知ることでより良いものをつくるための改善ができます。

      特に、技術発展が進んでいる現代では差別化が難しくなっています。

      大手企業との戦いに勝つためには資本力が必要になりますが、中小企業ではなかなか勝つことは難しいです。

      長い期間会社を存続させるためには、なるべく競合との戦いは避けるべきでしょう。

      会社の立ち位置を確認すると、競合を避けた市場が見つかるかもしれません。

       

      STP分析の際に注意するべきポイント

      STP分析をうまく活用するためには、抑えるべきポイントがあります。以下の3点に注意して、分析を行いましょう。

       

      • 1点ではなく多角的な視点を持つ
      • 分析する順番はそれぞれ
      • 市場規模を確認する

       

      主観的な視点で物事を見ると、どうしても良い方向・プラスに考えてしまうことがあり、欠点を見落とすことも考えられます。できる限り多角的な視点を持ち、抜け漏れのないよう注意するべきです。

      また、分析の際は順番にこだわる必要はありません。基本的にはS→T→Pの順番に分析を行いますが、結果が大きく変わることはないため、手を付けやすそうな箇所から分析を始めるのがベストです。

      分析の際は市場規模にも注意する必要があります。小さすぎる規模でビジネスを始めても大きな収益にはつながりません。分析の前は必ず市場規模のチェックは行いましょう。

       

      STP分析の活用事例

      3C分析のメリットやポイントについて解説しましたが、活用の具体的なイメージは難しいかもしれません。

      実際にSTPを活用している企業の実例を確認することで、どのように活用するのかイメージできるようになります。

      ここでは、マクドナルドの活用事例を紹介します。

      活用事例:マクドナルド

      マクドナルドはハンバーガーやポテトを販売しているファストフード店です。

      全世界に展開している超大手企業であり、多くの方から人気を集めています。

      そんなマクドナルドのSTP分析はどのような内容なのでしょうか。

       

      セグメンテーション

      マクドナルドの顧客として考えられる人物像は、学生や若手の社会人、子連れの家族になります。

      人口統計変数では年齢・職業、心理的変数では健康、行動変数では購入の手軽さといったように、それぞれの基準で細分化されています。

      実際、多くの学生や家族がマクドナルドへ訪れており、購入の手軽さから頻繁に購入する方も少なくありません。

       

      ターゲティング

      続いては具体的にターゲットを絞ります。マクドナルドがターゲットにしている人物像は、コスパの良い商品や時間の効率化を求めている人です。

      商品を注文してから手元に届くまでの時間は非常に短いので、時間に余裕がない人でも気軽においしいハンバーガーやポテトを購入できます。

      実際、勉強に多くの時間を使いたい学生、仕事に追われる会社員の方、育児に忙しい親御さんなど、時間の効率性を求めている顧客は多く、コスパが良いので短いスパンで複数回マクドナルドを利用しています。

       

      ポジショニング

      マクドナルドの競合には、モスバーガーやサブウェイなどが挙げられます。2店とも人気ファストフード店であるため、ほとんどの方が店の名前を知っているはずです。

      大手企業である強い競合がいる中で、マクドナルドはどのようなポジションを確立しているのでしょうか。

      ターゲットの基準である「コスパの良さ」と「提供スピード」を比較してみると、マクドナルドはモスバーガーに比べて、コスパの良さと商品の提供スピードは優位な位置にあります。

      一方、サブウェイとは商品提供スピードに大きな差がありませんが、コスパの良さではマクドナルドの方が優位です。

      以上の結果から、マクドナルドは価格の安さと提供速度に強みがあり、独自のポジションを確立しています。

      STP分析をうまく活用するために

       

      大きな利益獲得に向け新ビジネスを成功させるためには、以下の2点に注意しましょう。

       

      • 参入できる市場の確認
      • 収益確保のチェック

       

      STP分析を行うことでサービス展開できそうな市場が見つかった場合、参入できるかの確認や収益性のチェックは必須です。

      市場を発見した際は、まず参入することで会社にどんなメリットがあるのか深く考えます。顧客にうまくアプローチできるのか、他社との差別化はできるのかなどの総合的な確認は重要です。

      また、「市場規模が小さく予想よりも利益が少ない」「現在は大きい市場であるが先掘りしてしまう」などの問題が発生する可能性があります。自社が参入でき、目標とする利益が達成できるかのチェックは入念に行いましょう。

      STP分析を活用して自社戦略を考えよう!

      本記事では、STP分析の概要や必要性、メリット、分析方法などについて解説しました。STPについての知識が身に付いたのではないでしょうか。

      STP分析は、戦略の明確化や競合他社との差別化に最適なマーケティング手法です。

      どんな人に何を届けるべきか具体的なアプローチ方法を考えることができ、新しいビジネスの展開に大きく役立ちます。

      企業がビジネスプランを立案する際、STP分析は必要になります。

      「多角的な視点をもつこと」「分析の順番は好みで選ぶ」などのポイントや、「市場規模の確認」といった注意点を意識しつつ、STP分析を活用しましょう。

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