収入を得るために、アプリ開発をする人は少なくありません。
例えば、有料公開すれば、インストールするたびに収益を得ることができます。
また、課金を実装すれば、追加サービスを利用したい人から収入を獲得することも可能です。
さらに、直接的な利益ではなく、アプリマーケティングのために開発をして最終的にお店の利益を高めるために活用する企業も少なくありません。
実際に、アプリ開発をする際は費用について考える必要があります。
外注する場合はもちろんのこと、個人開発でも初期費用ゼロで開発はできません。
そこで、今回はアプリ開発にかかる費用について詳しく解説しますので、興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
個人開発する場合にかかる具体的な費用
個人開発はエンジニアなどを雇用しません。
そのため、無料でできると思われている方も少なくないのです。
モバイルOS別に最低限かかる費用を算出しましたので、ぜひチェックしてください。
Android開発
Android Studioは無料でインストールすることができるため、開発環境は無料で構築できます。
また、WindowsやMacなどOSに関係なく動作するため、お手元のPCでアプリ開発が可能です。
新たにPCを購入する必要もないため、負担は大きくないでしょう。
しかし、アプリを公開するためには、Google Play登録料($25)が必要ですが、1回限りの支払いになりますので、非常に安く抑えられます。
Android開発にかかる費用 | 料金 |
Google Play登録料 | 25ドル |
iOS開発
iOS開発は統合開発環境「Xcode」を使用します。
Xcodeは、Mac OSでインストールできるIDEになるため、Windowsを使用している方はMacを購入しなければなりません。
また、アプリを公開する場合、Apple Developer Programの登録が必要です。
個人はApple Developer Program($99)、法人はApple Developer Enterprise Program($299)に参加するための料金を支払わなければなりません。
iOS開発に必要な環境 | 料金 |
Mac | 115,280円〜 |
Apple Developer Program | 個人:99ドル 法人:299ドル |
外注で依頼する場合の費用相場
外注でアプリ開発を依頼する場合の費用相場は搭載する機能、ジャンル、開発方法によって大きく異なります。
機能やカテゴリ、開発方法別にかかる費用相場を表でまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
機能別
どのような機能を実装するのかによってかかる料金は異なります。
機能の種類によっては人件費や工数が増えるため、それ相応の金額を支払わなければなりません。
実装する機能によってかかる費用相場は下記の表の通りです。
実装機能 | 相場 |
決済システム | 30〜50万円 |
ログイン機能 | 20〜40万円 |
会員データ管理機能 | 50〜100万円 |
データ利用 | 50〜70万円 |
アプリデザイン | 10〜100万円 |
SNS連携 | 5万円〜 |
SNS機能の付与 | 220〜1,150万円 |
カメラ、時計、電卓など | 150万円〜 |
基本的に工数や人件費がかかるものは費用負担も大きくなります。
例えば、SNS連携はSNS側が提供するAPIを利用するだけなので、あまり工数がかかりません。
一方、ログイン機能はサーバー側とクライアントサイドでさまざまな機能を実装する必要があります。
ログイン機能を実現するためには、まずサーバーを構築しなければなりません。
また、データベースをインストールしてデータを格納できる場所を作る必要があります。
さらに、PHPなどを使って何らかの処理を実装しなければならないケースもあるでしょう。
クライアントサイドにおいても制作に時間がかかります。
例えば、ログイン機能を実現するためには、まずIDとパスワードがすでに登録されているか、そして一致するかどうかをサーバーに問い合わせなければなりません。
そのため、クライアント側からサーバーに接続してデータ入力されたデータを渡しデータベースと照合できるように実装する必要があります。
このように、ログイン機能の実装は工数が非常に多くなるので、その分費用も高くなりがちです。
カテゴリ別
アプリのカテゴリによって実装する機能などが異なります。
例えば、ショッピングアプリの場合、最低限下記のような機能を実装しなければなりません。
- ログイン
- 会員登録
- カート
- 商品の取得と表示
- お知らせなど
カテゴリによって実装する機能が大きく異なるので、タイプ別に料金を把握すれば、具体的な費用相場が見えてきます。
アプリのタイプ別に参考にしたい相場を表でまとめましたので、ぜひご覧ください。
カテゴリ | 相場 |
ツール系 | 50〜300万円 |
ゲーム系 | 300〜1,000万円 |
メッセージアプリ系 | 100〜500万円 |
フリーペーパー系 | 50〜100万円 |
SNS | 500〜1,000万円 |
ショッピングカート系 | 100〜300万円 |
アプリ開発の費用を調べている方の中には、具体的にどのようなアプリを作りたいのか決まっている人も少なくないでしょう。
カテゴリ別の相場を知ることで、どのぐらいの予算を準備すればいいのかわかるので、非常に便利です。
しかし、相場はあくまでも目安になるので、安くなることもあれば、大幅に予算オーバーしてしまう可能性もあります。
そのため、目安として捉えるのがおすすめです。
開発方法
アプリ開発方法によって必要な予算も変化します。
現在、主流の開発方法は下記の通りです。
- ノーコード開発
- ハイブリッド開発
- ネイティブ開発
- フルスクラッチ開発
それぞれの開発方法の概要と相場について解説します。
料金だけを知りたいという方は下記の表を参考にしてください。
開発方法 | 相場 |
ノーコード開発 | 3〜10万円 |
ハイブリッド開発 | 100〜1,000万円 |
ネイティブ開発 | 1,000万円以上 |
フルスクラッチ開発 | 1,000万円以上 |
ノーコード開発
ノーコード開発は、名前の通りコードを使用せずに開発をするスタイルのことです。
テンプレートをベースに開発できる手法で高いプログラミングスキルは求められません。
特徴は、低コストであるという点です。
IT人材を雇用せずに開発を進められるため、人件費を大幅にカットできます。
また、開発のスピードが速くテンプレートがあるため、工数も少ないです。
一方、オリジナルの制作は難しいのがデメリットです。
機能面でほかのアプリと差別化することができず、デザインにこだわり自社アプリの特徴を付ける必要があります。
開発方法 | ノーコード開発 |
相場 | 3〜10万円 |
特徴 | ・低コスト ・IT人材を必要としない ・アプリ開発スピードが速い ・カスタマイズしづらい ・セキュリティへの心配がある |
ハイブリッド開発
ハイブリッド開発とは、ネイティブ開発とWeb開発の両方をうまく利用してiOS及びAndroidに対応できるアプリを開発する手法です。
一般的に、iOS開発とAndroid開発は用いられる開発環境やプログラミング言語が異なります。
そのため、まったく同じ機能のアプリを仕上げる場合でも別々で開発する必要があるのです。
しかし、ハイブリッド開発は1度にiOSとAndroid両方に対応できるアプリを作れます。
そのため、費用が比較的安い開発手法です。
一方、ネイティブ機能を使えない、動作が重たいというようなデメリットもあります。
開発方法 | ハイブリッド開発 |
相場 | 100〜1,000万円 |
特徴 | ・費用が安い ・メンテナンスがしやすい ・モバイルOSごとに開発する必要がない ・動作が重たい ・ネイティブ機能を使えないケースもある |
ネイティブ開発
ネイティブ開発とは、モバイルOSが推奨する言語で開発される手法のことです。
例えば、iOSの場合はSwift、AndroidはKotlinやJavaなどを使用して開発します。
推奨言語で制作されているため、非常に速度が速いです。
また、アプリ課金の実装も容易で企業が求める収益モデルを実現することができます。
一方、OSごとでアプリ制作をしなければなりませんので、コストが増大するケースが多いです。
開発方法 | ネイティブ開発 |
相場 | 1,000万円〜 |
特徴 | ・速度が速く快適 ・アプリ内課金を実装しやすい ・ストアからダウンロードできるのでユーザーは安心して利用できる ・すべてのモバイルOSに対応させるとコストと時間がかかる |
フルスクラッチ開発
フルスクラッチ開発は、ゼロベースで開発をする手法のことです。
基本的にテンプレートなどを使用せずに真っ白の状態からプロジェクトを作成します。
そのため、企業の中にはフルスクラッチ開発を選択するところは非常に多いでしょう。
特徴は、ニーズに合ったアプリ制作を実現できることです。
ノーコードのように、テンプレートなどによって搭載する機能が制限されません。
そのため、スマホに搭載できる機能をすべて実装することができます。
また、保守対応や機能追加がしやすく、カスタマイズ性に優れていることも大きなメリットです。
一方、ゼロベース制作を行うため、コストと時間がかかります。
そのため、予算を抑えたい企業やすぐにリリースする必要のあるアプリ開発を依頼したいという方は、別の方法がおすすめです。
開発方法 | フルスクラッチ開発 |
相場 | 1,000万円以上 |
特徴 | ・自社のニーズに適したアプリ開発を実現 ・カスタマイズ性やメンテナンス性に優れている ・コストや時間がかかる ・内製に向かない |
アプリ開発にかかる費用の具体的な算出方法
アプリ開発の相場について見てきましたが、金額はどのように算出されるのでしょうか。
外注先によっても異なりますが、下記のような計算式を採用するところが多いです。
開発費=作業単価×作業時間+固定費
それぞれの要素について詳しく解説します。
作業単価(人件費)
作業単価は人件費のことです。
基本的にアプリ開発をする際は、システムエンジニアに依頼することになります。
システムエンジニアによって知識やスキルが異なるため、誰に依頼するかによっても費用が大きく変動するのです。
スキルレベルに応じたエンジニアの相場は下記の表を参考にしてください。
エンジニアのスキルレベル | 相場(月額単位) |
初級SE | 60〜100万円 |
中級SE | 80〜120万円 |
上級SE | 120〜160万円 |
このように、どのようなスキルを持つエンジニアが対応するのかによって費用が大きく異なります。
また、チームで対応するケースがほとんどなので、プロジェクトの規模によって数人〜数十人のシステムエンジニアが開発に携わることになるでしょう。
当然、対応するエンジニアが増えれば増えるほど費用は高くなります。
作業時間
作業時間は、納品までにかかる時間を意味します。
開発コストは作業時間で大きく変化し、期間が長くなるほど費用が高いです。
例えば、実装すべき機能が多いと長くスケジュールを取らなければなりません。
また、バックエンド側の構築が必要な場合、工数が増えるので作業時間も増えます。
固定費
固定費は、アプリ構築及び運用にかかる費用のことです。
個人開発をする際、ストア登録にお金がかかることをご紹介しました。
Google PlayやApple Developer Programに参加する費用も固定費になります。
また、ログイン機能やオンラインゲームなどはサーバーを構築しなければなりません。
サーバーの準備には、VPSやクラウドサーバーなどに契約する必要があります。
多くのサーバーはサブスクリプションモデルを採用しており、月額費用で支払いするのが一般的です。
そのほかにもドメイン費用など、さまざまな固定費がかかります。
固定費の具体的な相場は下記の表をご確認ください。
固定費 | 相場 |
サーバー契約 | 自社サーバー:10〜30万円(周辺機器を除く) VPS:643円〜 クラウドサーバー:2,860円〜 |
ドメイン | 1,408円〜 |
アプリストア | 【Google Play】 25ドル
【Apple Developer Program】 個人:99ドル 法人:299ドル |
アプリ開発の費用を節約する3つの方法
アプリ開発の費用を節約するための方法は、下記の3つがあげられます。
レベニューシェア型サービスを提供する企業に依頼する
アプリ開発の費用を安くするためには、レベニューシェア型を採用している企業に依頼することです。
レベニューシェアとは、パートナー契約のひとつで開発コストをシステム会社が負担する代わりに、リリース後に得られた利益を分配する契約を意味します。
つまり、外注する側は安いコストで開発を委託することができ、コスト削減を実現できるのです。
また、リリース後に発生する収益は、契約で決められた配分率で分け合う形になります。
最大のメリットは、通常の委託契約に比べて費用が大幅に安くなることです。
これにより、予算に余裕がないスタートアップ企業や売上不振によるリスクを回避したいという方におすすめできます。
一方、レベニューシェアと聞くと完全に無料であることを想像する人も少なくありません。
しかし、それは間違った認識です。
リリース後、そのアプリが必ず高い収益を獲得できる保証はないため、開発側は一定のリスクを抱えながら開発に取り組むことになります。
そのため、レベニューシェアでアプリ開発のサービスを提供している企業の中には、分配料とは別に月額費用が必要になるところも多いです。
また、開発コストを回収できるまで、受注企業の分配割合を非常に高く設定することも珍しくありません。
そのため、初期コストを抑えたい企業にとってレベニューシェアは非常に魅力的な契約になりますが、リリース後のことも考えて慎重に検討するのがおすすめです。
一部の工程を自社で補う
2つ目は、開発工程の一部を自社で負担する方法です。
開発工数が多ければ多いほど、対応するエンジニアの数が増えるため、コストが高くなります。
そのため、すべて丸ごと依頼するのではなく、自社で対応できる工程は社内でカバーすると工数を減らすことができるため、結果的にコストを抑えることが可能です。
しかし、どのような工程を自社で補えばいいのかわからない方も少なくないでしょう。
たしかに、スマホアプリ開発に精通していない企業が機能を実装することは不可能です。
しかし、アプリ開発の中でも対応しやすい部分があります。
それは、アプリのデザインです。
アプリデザインを外注で依頼する場合、デザイナーが対応することになります。
エンジニアと同様に、デザイナーに関してもスキルによって適切な金額を支払う必要があるのです。
デザイナーのスキルレベル | 相場(月額) |
ジュニアデザイナー | 60〜80万円 |
リードデザイナー | 80〜100万円 |
アートディレクター | 100万円以上 |
また、制作するアプリによってはロゴやアイコンを作成してもらわなければなりません。
また、デザインに写真を採用する場合、撮影費用もかかります。
よくアプリに使われるデザイン項目 | 相場 |
ロゴの作成 | 3〜10万円 |
アイコンの作成 | 約1万円 |
写真撮影 | 2〜8万円 |
このように、デザイン制作にはかなりの費用がかかります。
そのため、自社でカバーすることで大幅にコストを削減することができるのです。
また、デザインはアプリに機能を実装するよりも難しくありません。
デザインに対応できる人材が社内にいる場合は、スムーズにデザイン制作をして少ない予算で対応できるのでおすすめです。
ハイブリッド開発を選択する
3つ目の方法は、ハイブリッド開発を選択することです。
ネイティブ開発ですべてのOSに対応するアプリを制作する場合、それぞれのOSで開発する必要があるので工数が大幅に高くなります。
一方、ハイブリッド開発は1度にすべてのモバイルOSに対応できるアプリを作ることができるので、コストを抑えることが可能です。
ネイティブ機能を利用しなければならないアプリの場合、ハイブリッド開発を選択できないこともあります。
しかし、特別なこだわりがない企業はハイブリッド開発を選択すれば費用の削減ができるので、非常におすすめの開発方法です。
費用を算出する際の注意点!追加コストを避けよう
アプリ開発はそれぞれの依頼者で実装したい機能や開発方法が異なります。
そのため、自分で計算して大体の金額を把握しようと思われている方も少なくないでしょう。
金額を算出する際には気をつけておきたいポイントは2つありますので、ぜひ参考にしてください。
別途保守費用がかかる
1つ目の注意点は、保守費用が別途でかかることです。
優秀なエンジニアでもバグが1度も発生しないアプリを制作することは非常に難しいでしょう。
細かくアプリの動作チェックをしてもリリース後に予期せぬエラーが発生することも珍しくありません。
基本的にリリース直後のエラーに関しては、無償で対応してくれるところが多いですが、アプリによっては継続的な監視や改修が必要なケースもあるので、開発費用の10〜20%は保守費用がかかることを覚えておきましょう。
機能を追加するとさらに費用が高くなる
2つ目の注意点は、機能を追加すると見積もりよりも金額が高くなるという点です。
アプリ開発依頼後に「このような機能もほしい」というような要望が出てくることがあります。
機能を追加する場合、新たにその機能を実装する必要があるため、追加費用が必要です。
そのため、見積もりを依頼するときは、搭載したい機能がしっかりとまとまった状態でお願いするようにしましょう。
まとめ
今回は、アプリ開発にかかる費用について詳しく解説しました。
アプリ開発のコストは人件費と固定費で算出されるといっても過言ではありません。
しかし、具体的な金額に関しては見積もりを依頼しないとわからないケースがほとんどです。
自分で算出する場合、大体の予算イメージしかわかりませんので、搭載したい機能などがすでに決まっている方はアプリ開発企業に見積もり依頼してみてはいかがでしょうか。