車両管理台帳は、会社で利用している社用車について様々な情報を管理する際に効果的です。しかし、中には管理方法がわからなかったり、今行っている管理が最適化不安だったりする方もいるでしょう。
この記事では、そんな方へ向けて車両管理台帳について詳しく解説します。車両管理台帳とは何かや重要性、メリット・デメリットを解説するので、最適な導入方法がわかります。
自社に適した車両管理台帳がわかるので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
車両管理台帳とは?
企業や組織が所有する営業車や、送迎車などの社用車を管理することを車両管理といいます。
車両の登録番号や整備記録、稼働率をはじめ、車両保険の加入日、車両の使用者情報などを管理します。
車両に関する情報を一元管理することで、管理コストの削減や保険や更新漏れの防止が可能です。
そして車両管理をするうえで必要になるのが車両管理台帳です。
万一事故が発生した場合には、運転者だけでなく、車両に関する管理状態にも責任が発生します。
適切な車両状況の管理・可視化を行うことでリスクの管理を行えます。
車両管理台帳への記載が必須な項目
車両管理台帳には記載が必要な項目が大きく分けて3つあります。
- 車両の特定
- 車両の情報
- 車両の保険
上記の情報を記載することが必須です。
必須項目をしっかりと確認し、情報の漏れがない内容にすることが重要です。
必須項目①:車両の特定
車両管理台帳への記載が必須な項目の1つ目は、車両を特定するための情報です。
大きく分けて、車両の本体に関する項目と購入に関する項目の2つがあります。
車両本体に関する項目は、以下の記載が必要です。
- 車名
- 登録年度
- 定員数
- 型式
- 色
購入に関する項目は、以下の記載が必要です。
- 購入年月日
- 購入先
- 新車・中古車区分
実際の車両と台帳の記録は、実際の車両とすぐに結びつけられる必要があります。会社によっては同じ車種を複数台所有することもあり、すぐに見分けられないリスクがあります。
車両をすぐに特定できるよう、記録は正確に行いましょう。
必須項目②:車両の状況
2つ目は、車両の状況に関する項目です。
車両の状況は、各項目詳細に記入しなければなりません。
大きく分けると以下の項目があげられます。
- 車両整備に関する項目
- 修理・事故に関する項目
- 使用・管理に関する項目
また、車検・整備状況に関する項目は以下の通りです。
- 車検有効期限
- 定期点検記録
- 整備工場名
- 整備状況
- 使用・管理に関する項目
- 使用部署
- 運転者
- 変更履歴
車両は車検のタイミングや走行距離、修理や故障などの状況も台帳に記録しなければなりません。自動車は使用すればするほど損耗していく耐久消費財なので、走行距離などの記録は重要です。
日々使っている営業車が故障すると、業務に影響が出るケースもあります。社用車の故障リスクを抑えるために定期的な走行距離の記録などを取っておきましょう。
車両の状況を正確に把握すると、故障などによる業務への影響を減らせます。
必須項目③:車両の保険
車両の保険を記録しておくと、会社が保険料をいくら払っているのかや、どんな保険に加入しているかがわかります。強制介入の自賠責保険に加え、任意保険の記録も取っておくことで、必要に応じた保険の見直しが可能です。
保険会社や加入期間、保険料などの情報を記録しておくことで会社の支出を把握することにもつながります。無駄なオプションがあれば、すぐに見直しできる点もメリットです。
車両管理台帳の重要性
中には所有やレンタルしている車両が少なく、車両管理台帳は必要ないと感じる方もいるでしょう。しかし、車両管理台帳は重要です。
ここでは、車両管理台帳の重要性について解説します。
車両管理台帳は法律で決められた義務?
車両管理台帳は、法律で決められた義務なのでしょうか。
結論として、車両管理台帳は法律で直接規定されてはいません。
しかし、万が一社用車を使って勤務時間内に事故を起こしてしまった場合、民法715条に基づいて会社も責任を追う可能性が出てきます。
その際、車両の故障や不備などが原因となった場合には、さらに責任が重くなる可能性があるので注意が必要です。
車両管理台帳に法的な義務はありませんが、会社の責任として間接的に記録することが求められています。
車両管理台帳を作成する目的は?
車両管理台帳を作成する目的は大きく分けて2つあります。
- 企業のリスクマネジメント
- コスト管理
まず、企業のリスクマネジメントについてです。
従業員が業務中に交通事故を起こしてしまった場合、損害賠償だけでなく企業として社会的な信用を失う恐れもあります。
車両の不備や管理不足が事故につながる可能性があるので、あらゆるリスクを回避するためにも車両管理台帳を作成する必要があります。
次に、コスト管理についてです。
車両管理台帳を作成することで、コスト管理をすることができます。
昨今値上がりを続けるガソリン代などのコストは、企業にとって大きな負担となります。車両管理台帳を用いることによって、これらのコストを可視化し、コスト削減につなげることが可能です。
車両管理台帳の保存期間は?
車両管理台帳には明確な保存期間はありません。
しかし警察からは、運送事業輸送安全規則に従い1年間を保管期間として指導されています。
万一過去の状況の確認が必要になった場合には、過去に保有していた車両の情報やしっかりと保守管理を行っていた資料として必要になるケースもあります。
車両管理台帳に明確な保存期間はないですが、一定期間は保管しておくとよいでしょう。
車両管理台帳の記入例
これは、車両管理台帳の記入例です。
車両管理台帳の記入例を活用して、記載漏れを防げるように運用しましょう。
車両管理台帳に記入をする際には、データの重複に気を付ける必要があります。また、修正や更新があった際には必ず記入を行い、常にデータは最新の状態を保ちましょう。
車両管理台帳の導入パターン
車両管理台帳の導入パターンは以下の通りです。
- Excelの無料テンプレート
- 車両管理台帳システム
Excelの無料テンプレートは台数が少ない場合、車両管理台帳システムは台数の多い場合にそれぞれ効果的です。以下でテンプレートやシステムの具体的な種類も解説するので、ご覧ください。
運用台数が多くない場合は「Excelの無料テンプレート」を使用しよう!
運用台数が多くない場合、Excelの無料テンプレートがおすすめです。コストをかけず導入でき、簡単な機能で車両管理ができます。
以下は主なテンプレートです。
- 安全運転管理支援システム
- Feedsoft
- ビズオーシャン
それぞれのテンプレートを以下で解説します。
テンプレ①:安全運転管理支援システム
安全運転管理支援システムのサイトからExcel仕様の車両管理台帳をダウンロードできます。関数がすでに入力されているので、それをもとに改変を行い自社に合った形式にカスタマイズできるのがメリットです。
1台から数台程度の少ない車両を管理したいのであれば、無料で手軽に使える安全運転管理支援システムがおすすめです。
テンプレ②:Feedsoft
Feedsoftのサイトでも車両管理台帳のテンプレートを無料で配布しています。車両管理票のテンプレートとなっていて、シンプルで使いやすく誰でもわかりやすいのが特徴です。
会員登録すればFeedsoftの様々なテンプレートをダウンロードできるので、積極的に活用してみてください。
テンプレ③:ビズオーシャン
ビズオーシャンは、車両管理台帳以外の様々な書式も取り扱っています。車両管理台帳のテンプレートは、必要最低限の項目をわかりやすく記入できるシンプルなつくりです。
他の書類もわかりやすくまとめられており、会員登録することでダウンロードできます。
運用台数が多い場合は「車両管理台帳システム」を利用しよう!
タクシーや運送などの事業では、多くの車両が必要となります。多くの車両を管理するには、専用の機能を持ったシステムの導入がおすすめです。
以下は代表的なシステムになります。
- AI-Contact(ジェネクスト株式会社)
- SmartDriveFleet(株式会社スマートドライブ)
- ビークルアシスト(パイオニア株式会社)
- docoですcar(NTTコミュニケーションズ株式会社)
- Cariot(株式会社フレクト)
- Loogia(株式会社オプティマインド)
- トラッカーズマネージャー(株式会社Azoop)
- KIBACO(キムラユニティー株式会社)
以下で各システムをそれぞれ解説します。
システム①:AI-Contact(ジェネクスト株式会社)
AI-Contactは、無料で使える運行管理システムとして車両管理台帳をクラウド化するだけでなく様々な機能を有しています。
具体的には、車両管理台帳から派生してドライバごとに運転傾向を診断したり、実際のデータをもとに交通教育などが可能です。
また、自動車保険料の削減なども無料でサポートしています。
AI-Contactについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
システム②:SmartDriveFleet(株式会社スマートドライブ)
SmartDriveFleetは、シガーソケットに挿入するだけで利用できるクラウド型の車両管理台帳システムです。直感的な操作で誰でも簡単に扱えるので、多くの業界で導入しやすいシステムとなっています。
運行状況のリアルタイム確認、ドライブレコーダーなど、多くの役割を果たせるシステムです。導入から運用まで手厚くサポートを受けられるので、システムの利用でわからないことがあっても安心できます。
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システム③:ビークルアシスト(パイオニア株式会社)
ビークルアシストは、安全運転の意識を高める効果もある車両管理台帳システムです。通信ドライブレコーダーやカーナビの機能を活用し、危険挙動の見える化や警告を行ってくれます。
安全運転を支援するレポートもあるので、個人への適切な支援も行えるのが特徴です。社員の動態管理や日報の自動作成によって業務の効率化も行えます。
システム④:docoですcar(NTTコミュニケーションズ株式会社)
docoですcarは、法人向けの車両管理業務を総合的にサポートする車両管理台帳システムです。動態管理やアルコールチェックに加えて、輸配送の進捗やバス運行の管理まで行えます。
法人として一定の規模を持って車両管理を行っているのであれば、業務効率の改善に効果的なシステムです。
システム⑤:Cariot(株式会社フレクト)
Cariotは、社員と顧客の両方にURL共有するだけで車両の運行状況を把握できて到着予定時間も分かります。
クラウド上でシステムを使えるので、ドライバーが現場でもシステムを用いたアルコールチェックも実行可能です。また、車両の利用状況を確認も可能なので、現場だけでシステムを運用できます。
システム⑥:Loogia(株式会社オプティマインド)
Loogiaは、佐川急便でも導入されている車両管理台帳システムです。最終拠点からエンドユーザーへ商品を届ける「ラストわんまいる」に特化しており、誰でも最適化されたルートを構築できます。
店舗経営や運送業において、物流の最適化はコスト削減などの効率化に重要な要素です。大規模な物流の最適化にも対応しながら、UIはシンプルにつくられているので誰でも簡単に操作できます。
システム⑦:トラッカーズマネージャー(株式会社Azoop)
トラッカーズマネージャーは、最大で93%も運行管理業務を削減できる可能性を秘めた車両管理台帳システムです。
紙・Excelで管理している様々な情報をシステム上で一元管理でき、運送業務に関わるすべての機能と紐つけできます。トラックによる運送によって、どれくらいの収益が発生しているか1台単位で見える化して経営効率の改善も可能です。
システム⑧:KIBACO(キムラユニティー株式会社)
KIBACOは、コスト削減をしながらアラート機能によって業務の漏れをなくしてミスを減らします。事故情報を一元管理するので、アクシデントが起こった際も事後に検証を行って、再発防止しやすいです。
社員間で業務にムラがあると、会社全体の業務効率に影響が出ます。KIBACOを利用すると、ムラをなくして全体が安定した成果を残しやすくなるのがメリットです。
車両管理台帳システムを選ぶ際のポイント
実際に車両管理台帳を選ぶ際、以下のような悩みがあるのではないでしょうか。
- 種類が多くてどれにしたらいいか分からない
- 何を基準に選べばいいか分からない
ここからは、車両管理台帳を選ぶ際のポイントを紹介します。
事前に必要事項を確認して、自分に使いやすい車両管理台帳システムを選びましょう。
管理機能の数・種類を確認する
まずは、車両管理台帳にデフォルトで設定されている管理機能の数や種類を確認しましょう。
サービスによっては追加機能など、使いやすいようにカスタマイズすることも可能です。
利用するシステムによって、使える管理機能が違うため事前に必要な機能をしっかりと把握することが大切です。
また何項目登録できるのか、事前に確認する必要があります。
自社での利用車数などによっても必要な項目が変わるため、こちらも確認が必要です。
ドライバー管理機能を確認する
車両管理だけではなくドライバー管理も同時に行うことで、より快適に車両管理ができるようになります。
車両情報と合わせて、ドライバーの免許情報や健康診断の記録などを同時に行うと、より快適に配車状況やリスクマネジメントを行うことができます。
もしドライバーの情報なども一緒に管理したい場合、運転者台帳としての機能が備わっているシステムを選ぶとよいでしょう。
これまで車両管理情報と運転者の情報を別々に管理していた場合でも、改めて一元管理を行うことで業務をスムーズに行うことができるようになります。
分析・レポート機能を確認する
車両管理台帳の中には、現在管理している車両のコストデータや売り上げデータなどを分析し、レポートを作成する機能もあります。
スムーズに会社のコスト管理が行えるため、会社の経営判断やコスト削減などをすぐに実施することもできます。
車両一台あたりの収益率や、稼働率などを見える化できるデータ分析機能があるとなお便利です。
勤怠管理機能を確認する
車両管理台帳で勤怠も同時に管理できるようにしましょう。
日々の勤怠連絡や各々が利用している車両を一元管理することで、勤怠管理などを行う手間や運用コストの削減ができます。
勤怠管理は事務仕事の中でも時間やコストが大きくかかる場合がありますが、車両管理台帳と合わせて行うことで、スムーズに勤怠管理を行うことが可能です。
書類の発行機能を確認する
運用管理台帳のシステムによっては、書類を発行してくれる機能が搭載されている場合があります。
従業員任せの請求書や日報などは、かなりの手間がかかったり、やり忘れなどが起きたりしがちです。
しかし車両管理台帳によって自動作成することができれば、日々の作業工数の削減にもなり、管理漏れなどのリスクも回避できるようになります。
事前に取引先などの登録を行って置けば台帳入力と同時に請求書の作成・発行ができ、業務の2度手間の解消にもつながります。
サポート体制を確認する
システムを扱ううえで大切になってくるのが、サービスのサポート体制です。
サービスの導入時や導入直後は不明点も多く、スムーズにシステムを移行するためにもカスタマーサクセスの充実度もシステム選択の際に重要なポイントです。
システムの移行に伴いこれまでの利用情報や取引先情報など、改めてデータ入力が必要になってしまう場合にも、書類入力の代行サービスなどを行っている場合もあるので合わせて確認するとよいでしょう。
車両管理台帳システムを導入するメリット
車両管理台帳システムの導入メリットは以下の通りです。
- 情報を即時更新できる
- ミスを防止できる
- コストを削減できる
- データを見える化できる
上記のメリットを理解することで、車両管理台帳システムをより有効活用できます。以下でそれぞれ解説するのでご覧ください。
メリット①:情報を即時更新できる
車両管理台帳システムは、導入すると操作方法や画面が決まっている状況のため誰でもすぐに変更された情報を変更できます。Excelの場合担当者が手入力で情報を更新しますが、この方法だとタイムラグが発生するのがデメリットです。
しかし、車両管理台帳システムはクラウド上で入力された情報が即座に反映されるので、社外からでも情報更新が可能です。操作もマニュアルなどがあって共有しやすいため、誰でも車両管理台帳システムを使って情報更新できます。
メリット②:ミスを防止できる
車両管理台帳システムは、画面がわかりやすくまとめられており情報も自動更新されるのでミスをしにくいです。Excelだと入力した計算式を誤って消してしまったり、変えてしまったりする可能性があります。
しかし、車両管理台帳システムは計算などの必要な機能が固定で搭載されているため、ミスが起きにくいです。また、クラウド上で必要な情報を一元管理するので、車検などの見落としも減らせます。
メリット③:コストを削減できる
車両管理台帳システムはデータ入力の手間を大幅に省けるため、コスト面でも効果があります。社員は短時間でミス少なく、必要な情報を更新や確認ができるので、他の業務に割ける時間が増えて全体の効率化につながるのです。
また、ガソリン代の記録もとれるので不必要な補給をなくすこともできます。中にはほとんど走っていない車両もあり、無駄な台数を削減できるのもメリットです。
メリット④:データを見える化できる
車両管理台帳は、ガソリン代や車両の減価償却費、保険料、人件費といった必要なデータを見える化できます。ひと目でどの項目にどれくらいコストが発生してるかわかるのがメリットです。
車両の適切な台数や予算を決めるにも、正確なデータが必要となります。車両管理台帳システムは即座に正確なデータを画面に反映させるので、コストの最適化をする際に役立ちます。
まとめ
ここまで車両管理台帳について解説しました。車両管理台帳を導入することで、マイカーやレンタカーなど社用車の管理を最適化し、リスク回避やコスト削減に役立てられます。
ただし、車両の情報を記録するのは業務に負担がかかるのがデメリットです。車両が少ない場合はExcelのテンプレ、多い場合はシステムを導入するなどの対策をとりましょう。効率的に必要な情報を正確に記録できます。
車両管理台帳はデジタルで行うと負担が少なく、ミスも減らせるので積極的に導入してみてください。