「VPNを導入したいけど、そもそもVPNってなに?」
VPNについて知りたい、導入しようか悩んでいる方にこの記事を読んでいただければ幸いです。
VPNとは、ネットワーク常に専用の回線を仮想的に構築するサービスを指します。
単語で表すと「仮想専用線」です。
物理的な専用線を敷くには高額なコストがかかりますが、VPNなら低コストで導入可能。
この記事ではVPNの基礎知識・メリットデメリットを解説。
さらに記事の後半ではおすすめのサービス3選を紹介しますよ。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそも「VPN」ってなに?
そもそも「VPN」とは何かご存知ですか?
VPNとは、「Virtual Private Network」の略。
日本語は「仮想専用線」と訳すことができます。
専用の回線を仮想的に構築・提供するサービスのことを指し、多くの企業で使われています。
低コストで導入できるVPN
VPNが普及するまでは、会社ごとに専用の通信回線を敷いていました。
この方法は第三者による通信障害・盗聴の危険性が非常に低くなります。
しかし、コストが高額になるので導入できない会社もしばしば・・・。
そこでVPNの登場です。
通信事業者が提供する公衆回線上に仮想の専用線を敷くことができる「VPN」を利用すれば、セキュリティー面が高い回線を使うことができるのです。
もちろん、専用回線よりも低コストです。
VPNの仕組み
仮想専用線VPNは、どのような仕組みで接続できるのでしょうか?
VPNに対応したルーターを設置。次にVPNサーバーと相互接続する。
たったのこれだけ!
暗号化された通信を使えるので、外部からの悪質な盗聴も困難になります。
さらにVPNは、遠く離れた拠点同士を有線LANケーブルで接続可能。
外出先のパソコン・スマホを使って社内ネットワークに参加もできます。
ちなみにVPN接続されたパソコン・スマホは、IPアドレスの他にプライベートIPアドレスが割り振られますよ。
VPNが使われる場面
VPNが使われる場面は、主に2つです。
無料Wi-Fi
VPNが使われる場面は「無料Wi-Fi」です。
空港・駅・商業施設などで利用できる無料Wi-Fiは、自分のデータ通信料を抑えたい人や外出先でも通信速度を安定させたい人に利用されているサービス。
非常に便利なサービスではありますが、誰もが使えるサービスなので通信内容を盗聴・盗み見される可能性はあります。
さらに、偽のWi-Fiアクセスポイントを作った犯罪者がユーザーのアクセスを待っている可能性も。
こういった危険は、暗号化されていないWi-Fiだから発生します。
そこでVPNの出番。VPNによって暗号化すれば、端末とアクセスポイントの通信内容を暗号化することが可能。
外部からの盗聴・盗み見に対して守りを固めることができるのです。
会社のネットワーク構築
VPNが使われる場面のもう一つは「会社ネットワーク構築」です。
会社では、次のような場面でVPNが必要となります。
- 無料Wi-Fiを使って、社員が仕事をする時
- 遠隔オフィス間でLANを構築する時
- 情報規制のある外国で仕事をする時
- IP電話を安心安全で使いたい時
1つ1つ見ていきましょう。
無料Wi-Fiを使って、社員が仕事をする時
「オフィス内ではなく、自分の落ち着くカフェで仕事がしたい!」
「カフェは無料Wi-Fiが完備されているから大丈夫!」
と考えている方もいるのではないでしょうか?
無料Wi-Fiは便利なものの、その場にいる誰もが使えるWi-Fiなので盗聴・盗み見をされる可能性があります。
それでは、どのような対策をすれば安心安全にカフェで仕事ができるのか。VPNを導入すれば安心して業務に専念できます。
VPNを導入し、仮想専用回線を通じて無料Wi-Fiの通信内容を暗号化すれば無料Wi-Fiでも安心安全で仕事ができますよ。
遠隔オフィス間でLANを構築する時
本社・支社をつなぐLANを構築する時は、専用回線を敷く必要がありました。
専用回線は通信速度が安定しているし、盗聴・盗み見のリスクもありません。しかし距離が遠くなればなるほどコストが高くなるデメリットもあります。
「そんなにお金をかけられないよ・・・」と悩んでいる会社は、VPNを導入してみてはいかがでしょうか?
VPNは物理的な専用回線を敷く必要はありません。コストを抑えて導入できます。
また、本社・支社だけではなく支社同士の接続・リモートアクセスにも対応可能です。
情報規制のある外国、中国で仕事をする時
情報規制のある中国では、自由にインターネットを使うことができません。
こういった国へ仕事へ行く場合、使えないと分かっていても使いたい時がありますよね。
そんな時にVPNを活用できます。データの暗号化・トンネリングでネット検閲のある国でも日本のサーバーにアクセスして仕事可能。
とは言うものの、中国はIT技術の向上によってVPNの暗号化を解読できるとか。日本のサーバーにアクセスできなかったり、通信障害が発生したりするので注意です。
情報規制のある中国でVPNを使う場合は、事前にVPNのサービスが使えるか確認するべきでしょう。
IP電話を安心安全で使いたい時
IP電話はインターネット回線を利用している機能なので、VPNを活用できます。
ちなみにIP電話とは、アカウントごとに「050」の番号を取得できる通話アプリのことを指します。Skypeがメジャーなサービスでしょう。
通話アプリはインターネット回線を使っているので、セキュリティ面が低く通話内容を盗聴される可能性もあります・・・。
そこでVPNを活用すれば、通話内容が暗号化され安心安全にIP通話を使えます。
「仕事の通話は、出来るだけセキュリティ面を万全にしたい」そういった方は、VPNを活用するべきと言えます。
【徹底解説】VPNの種類
種類 | 概要 |
インターネットVPN | 仮想専用線を構築、支社同士で接続できるネットワーク環境のことを「インターネットVPN」といいます。 新しく回線を敷く必要がないので、低コストで利用することができます。 |
IP-VPN (レイヤー3VPN) | 通信事業者が提供する「閉域IP網」を使って通信します。 インターネット環境の状況に左右されずに、安定した通信ができる点は魅力的です。 複雑な設定をする必要もないので、初心者でも導入しやすいサービスと言えます。 |
広域イーサネット (レイヤー2VPN) | 通信事業者が提供する「閉域インターネット網」を使って通信。 広域イーサネットは、ネットワーク環境のカスタマイズをする場面が多くあります。 IP-VPNと同じくインターネット環境に左右されずに通信が安定しますが、難しい設定をする場面が多いです。 |
エントリーVPN | 通信事業者の閉域網はブロードバンド回線によるアクセス、その閉域網から一つの支社までネットワークが接続している環境のことを指します。 上記の「インターネットVPN」と「IP-VPN」のメリットを集めたイメージ。 インターネットVPNよりも高いセキュリティーを持つので、安心して利用できます。もちろん、低コストで実現できますよ。 |
VPNはどんな時に便利?メリット・デメリットを解説
VPNのメリット・デメリットは下記の通りです。
VPNのメリット
- ネットワークの盗み見といったリスクを減らせる
- 擬似的にLANを構築できる
- 専用線よりも低コストで実現可能
- 安全性の高いネットワークを作れる
VPNのデメリット
- セキュリティが完璧な訳ではない(信頼できるVPNサーバーを選ぶ必要がある)
- 通信速度が遅い場合がある
- モバイル機器はバッテリーを多く消費する場合がある
VPNサービスを導入する際の注意点
ここではVPNを導入する際の注意点を解説します。
無料のVPNサービスは使わない!
VPNサービスの中には、無料で使えるサービスもあります。
「お得!それ使いたい!」と考えた方、ちょっと待ってください!
無料サービスは、セキュリティー面を考えるとあまりおすすめできません。
理由は下記の通りです。
- 有料サービスと比べて、通信速度と通信品質が劣る
- 無料の代わりに、利用者の個人情報と行動履歴の収集、販売を目的としている場合がある
- 利用者の閲覧履歴、IPアドレス、アクセス先などの通信関係の記録を残さない場合がある(ノーログポリシー)
こういったリスクが伴ってくるので、無料サービスの利用は避けるべきでしょう。
導入する前にVPNサービスを比較するべし!
VPNサービスは、会社によって様々な特徴があります。そのため、導入する前に気になるVPNサービスを比較しましょう。
重点的に見ていただきたい点は下記の通りです。
- セキュリティー面の性能に問題がないか
- 通信速度、データ通信量が自社に合っているか
- 自社端末に対応できるか
- インターネットVPNか閉域網を活用したVPNか
VPNに限ったお話ではありませんが、自分・自社に合ったサービスを導入しなければ最大限の効果を発揮できません。
VPNの導入を考えている方は、上記4つの比較ポイントを参考にしてみてください。
従業員教育・ウイルス対策ソフト・OSのアップデートを実施すべし!
VPNは情報漏洩・ウイルス侵入のリスクをゼロにはできません。そのため、厳密にいうとVPN以外のセキュリティー対策も必要です。
たとえば外部からウイルス・不正アクセスがあったとき、自分では中々気づけないものです。
そういった時に検知・対応できるウイルス対策ソフトの導入、最新OSへのアップデートを忘れないように心がけましょう。
またVPNの機能がどれだけ優秀でも、利用者の操作ミスが多発しては効果を発揮できません。
そのため従業員のITリテラシー・コンプライアンスの意識を高める教育を実施することをおすすめします。
特にVPN関連の知識は勉強意欲がないとなかなか身につかないものです。従業員が最大限にVPN機能を発揮できるためにも、まずは利用者が知識を蓄えると良いでしょう。
おすすめのVPNサービス3選を紹介!
おすすめのVPNサービス3選を紹介します。
「VPNを導入したいけど、どのサービスを使えばいいのかわからない!」
そういった方は是非参考にしてみてください。
1.Master’sONE CloudWAN オーバーレイタイプ
Master’sONE CloudWAN オーバーレイタイプは、NTTPCが提供しているサービスです。
エッジ端末※を回線に繋ぐだけで接続できるという簡単設計が特徴的です。閉域ネットワーク・SD-WAN機能が利用可能。
※エッジ端末とは、端末と端末側のネットワークで収集したデータを回線に送り出す端末のことを指します。
実際に利用するエッジ端末は、NTTPCから提供されます。コントロールパネルを通して、利用者がネットワーク管理と設定ができるのでカスタマイズ性が高いと言えます。
またMaster’sONE CloudWAN オーバーレイタイプは、SD-WAN機能が備わっています。
特定のトラフィックだけインターネット通信を流すことが可能。近年、トラフィックが増加傾向にありますが柔軟に対応できる点も嬉しいポイントですね。
価格 | ・スタンダードプラン ・ミドルエッジモデル 月額47,300円/支社 ・24時間365日オンサイト保守 月額2,200円/支社 |
提供形態 | クラウド・サービス・アプライアンス |
対象従業員の規模 | 全ての規模に対応可能 |
対応機能 | SSL-VPN・SD-WAN |
2.Cato Cloud
Cato Cloudは、安全性の高いセキュリティ機能とSD-WANを組み合わせたSASE(Secure Access Service Edge)です。
こちらのサービスは、接続するだけで世界各国の主要都市約60ヶ所以上の接続点を通してVPN環境を構築できます。低遅延なので、通信速度も安心です。
またCato Cloudは、IPSやアンチマルウェア・ファイアウォールといったUTM機能が搭載。
さらにSD-WANも利用できるので、非常に柔軟なネットワークを構築できますよ。
価格 | ・初期費用:720,000円〜 ・年額:4,200,00円〜 |
提供形態 | クラウド・サービス |
対象従業員の規模 | 全ての規模に対応可能 |
対応機能 | IPsec-VPN・SSL-VPN |
3.統合型閉域ネットワークサービス
統合型閉域ネットワークサービスは、回線・機器の設定構築・機器設計・監視といったサービスをワンストップで提供しています。
既にあるネットワーク環境・導入後の要望に合わせて閉域ネットワークを構築してくれるので、柔軟な対応に期待できます。
また統合型閉域ネットワークサービスは、クラウドサービスとの連携も可能。
ネットワーク全体の監視にも対応しているので、クラウド環境を利用している会社は管理コストを削減できますよ。
価格 | 別途お問い合わせ |
提供形態 | クラウド・サービス |
対象従業員の規模 | 全ての規模に対応可能 |
対応機能 | IPsec-VPN・SSL-VPN |
知っておくべき用語集
- トンネリング
仮想専用線で行き来している情報をトンネルのように結んで利用できる、これを「トンネリング」と言います。
VPNは仮想専用線のことを指しますが、目には見えない擬似的なネットワークを構築して安全な通信しています。
通信内容をカプセル化して処理し、本社・支社の間でトンネルで結ばれたように情報が行き来しているのです。
- 閉域網
閉域網とは、同じ通信事業者の範囲内のネットワークのことをいいます。
例えばNTTの回線を利用しているのなら、NTTが敷いているネットワーク内が閉域網ですね。
閉域網の場合、インターネットを利用せずに通信事業者の内部ネットワークでVPNを構築。暗号化による盗聴・盗み見もしっかり対策できます。
- 専用線
物理的に専用の通信回線を敷いたものを「専用線」といいます。VPNの場合は、「仮想専用線」といわれることが多いです。
専用線は敷くためのコストが非常に高いです。一方で、セキュリティが万全なので安心安全にインターネットを利用できるというメリットもあります。
まとめ
コストが高い専用線を敷かなくとも、高いセキュリティでネットワークを構築できるVPN。
本社と支社といった拠点間で接続できたり、リモートアクセスができます。
しかし通信速度が遅くなったり、通信量が確保できなかったりするので注意が必要です。
とはいうものの、低コストで実現できるので様々な会社におすすめできるサービスと言えます。
会社だけでなく、「フリーランスで公衆WiFiを使う方」「海外で仕事をする機会が多い方」にもおすすめです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。