給与明細の作成方法を徹底解説|計算ソフトや無料テンプレートもご紹介

※この記事には一部PRが含まれます。

給与明細は、ミスなく正確に作成することが求められます。

そのため、作成方法を正確に把握しておくことがとても大切になるでしょう。

そこで、今回は給与明細の作成方法を手順に分けてわかりやすく解説します。

給与明細の作成に困っている方は、本記事を参考に給与明細を作成してみてください。

また、給与明細作成の効率化のために役立つ計算ソフトや無料テンプレートも紹介していますので、そちらもぜひ参考にしてください。

給与明細とは

給与明細とは

給与明細とは、支払われた給与やそれに対する控除額などがまとめて記載された通知書です。

主に、以下のような際に必要になることがあります。

  • 確定申告
  • ローン審査
  • 雇用保険の受給
  • 年金の加入期間の確認

所得税法(第231条)によると、給与の支払い者は必要事項を漏れなく記載した給与明細を受給者に支払う必要があります。

給与明細に記載しなければならないこと

給与明細に記載しなければならないこと

続いて、必要事項についてみていきましょう。

給与明細に記載しなければならないのは、主に以下の4項目になります。

  • 月の労働時間
  • 支給額
  • 控除
  • 口座振込額

月の労働時間とは、通常の勤務時間、普通残業時間、深夜残業時間、休日残業時間の全てを指します。

支給額は、労働時間をもとに計算される残業手当と基本給、その他手当の合計のことです。

控除額は、健康保険や厚生年金などを合わせて計算されたものです。

そして、支給額から控除額を差し引いた金額が口座振込額となります。

給与明細の作成に必要なもの

給与明細の作成に必要なもの

給与明細を作成するためには、明細に記載する各金額を計算するための情報を集める必要があります。

必要な情報を集めるためには、以下のものが必要です。

  • ☆タイムカード
  • ☆健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
  • ☆住民税課税決定通知書
  • 健康保険と厚生年金保険料額表
  • 雇用保険料率表
  • 給与所得の源泉徴収票

このうち、上3つは必ず必要な書類になります

また、下3つはあれば作成が便利になる書類となりますので、用意しておくといいでしょう。

給与明細の作成方法を5つの手順で解説!

給与明細の作成方法を5つの手順で解説!

それでは、給与明細の作成手順をみていきましょう。

  1. 勤務時間を集計する
  2. 残業手当・通勤手当を集計する
  3. 総支給額を計算する
  4. 控除額を計算する
  5. 差し引き支給額を計算する

給与計算は、上記のような手順で計算されます。

それでは、それぞれどのような作業になるのかを見ていきましょう。

①勤務時間を集計する

まずは、勤務時間の集計になります。

タイムカードの勤怠情報をもとに、実際の労働時間を集計する作業です。

労働時間は、通常の勤務時間に加え、普通残業時間、深夜残業時間、休日残業時間などの残業時間も算出します。

また、この際休日出勤日数や深夜残業日数も計算しておきましょう。

②残業手当・通勤手当を計算する

集計した勤務時間のうち、普通残業時間、深夜残業時間、休日残業時間を元に残業手当を計算します。

通勤手当に関しては、片道の通勤距離×距離単価×勤務日数×2で計算をしましょう。

距離単価に関しては、事業所ごとにばらつきがありますが、1kmあたり10円〜15円となることが多いようです。

従業員にとって納得感のある単価とすることが大切になります。

電車やバスといった公共交通機関を利用する場合、通勤定期券による運賃の相当額を支給することが多いでしょう。

この場合、定期券を何ヶ月契約にするのかによって運賃が変わりますので、どの期間にするのかをしっかり決めておく必要があります。

また、通勤手当に関しては、交通手段によって非課税枠が異なりますので、課税対象か非課税対象かも把握することが大切です。

③総支給額を計算する

基本給に残業手当と通勤手当を加えて計算し、さらに住宅手当などの社内で定められている各種手当を足したものが総支給額となります。

これは、源泉徴収の「支給額」欄に記載される金額です。

④控除額を計算する

控除額を計算するにあたり、以下の4つの手順が必要になります。

  • 社会保険料を計算する
  • 課税対象額を計算する
  • 源泉所得税を計算する
  • 住民税を計算する

それぞれの手順において求める額は、決められた計算式によって簡単に計算することができます。

ここから、その計算方法について解説していきます。

社会保険料の計算方法

広義での社会保険料は、大きく分けて次の5つで成り立っています。

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

下の2つは合わせて労働保険とも呼ばれ、給与計算においては社会保険料とは区別して考えられることが普通です。

つまり、給与計算における社会保険料の計算は、上3つを合計すれば良いことになります。

このうち、健康保険料と厚生年金保険料は、4〜6月の総支給額の平均である標準報酬額を元に計算されます。

標準報酬額は全国保険健康協会や日本年金機構のホームページから確認することができますが、計算する時期によって参照する表が異なるため注意が必要です。

課税対象額の計算方法

課税対象額の計算は簡単で、総支給額から通勤手当と社会保険料を引いたものです。

通勤手当は、非課税になりますので注意してください。

源泉所得額の計算方法

源泉所得税額は、先ほど計算した課税対象額から社会保険料を差し引くことによって算出されます。

算出の際は、国税庁の公式ホームページにある給与所得の源泉徴収税額表より計算することができます。

住民税の計算方法

最後に、住民税を把握する必要がありますが、これは決まった計算方法がありません。

自治体から送られてくる「住民税課税決定通知書」に書かれている金額が、そのまま住民税となります。

住民税課税決定通知書が手元にない場合は、各自治体で所定の手続きをすれば手に入れることができます。

⑤差引き支給額を計算する

ここまで総支給額と控除額を計算したら、求めた総支給額から控除額を差し引いた金額が差し引き支給額となります。

計算はとても簡単ですが、正確であることが求められるので、これまでに算出した金額と合わせて計算ミスがないか必ず確認するようにしましょう。

給与明細の作成を効率化!便利なツール3選

給与明細の作成を効率化!便利なツール3選

これまで、給与明細の作成方法について解説してきましたが、1から手作業でやるのは大変だと感じた方もいると思います。

そこで、このような給与明細を作成するにあたって、作成を効率化する便利ツールを3つご紹介します。

  • 無料テンプレート
  • 給与計算ソフト
  • 給与明細の電子化システム

上記の3ツールを使用することで、作成を大きく効率化することができるでしょう。

①無料テンプレート

給与明細は人によって必要な数値が異なるため、自作のテンプレートを使用していると対応できなくなることもあるかもしれません。

例えば、アルバイトやパートや正社員といった様々な雇用形態で従業員を雇っている場合、社会保険料は正社員のみに必要であるなど必要となる項目がそれぞれ異なります。

そこで、様々なタイプが用意されている既存の無料テンプレートの中から会社ごと、人ごとにあったテンプレートを使用することで、作成作業を効率化することができます。

エクセルで作成する

エクセルのメリットは、行を追加削除することで、支給額や控除額の項目増減に簡単に対応できることです。

また、エクセルの場合普段の業務でも使用していることが多いでしょうから、簡単に導入することができます。

仮にエクセルの使用経験がなくても、エクセルは操作方法が簡単なので、利用していればすぐに慣れるでしょう。

逆に、計算の際に参照する資料を間違えると、計算結果のミスに気づかない、または気づくのが遅れてしまう可能性があるというデメリットがあります。

ワード・Webで作成する

続いて、ワードやWebで作成するという方法があります。

ワードでの作成については、普段からワードを使用しておりワードに馴染み深い方や、とにかくシンプルに作成できることが魅力なので、シンプルな明細を望む方にとってはおすすめできる方法です。

ただ、他のテンプレと比較するとシンプルすぎるため、詳細な明細を求める方にはあまりおすすめできません。

Webでの作成については、既存のサイトにアクセスしサイトのサービスで明細を作成する方法で、使用するサイトによって機能は様々です。

ですが、多くに共通するメリットとしては、必要事項の入力だけで適切な数値や計算式を用いた正確な計算を行ってくれること、計算結果を明細の形で出してくれるため計算結果を打ち込む手間やミスなどが発生しないことなどが挙げられます。

逆に、サイト自体のセキュリティが信用できるものであるか見極める必要がある点や、自社が必要とする情報が計算できる機能が備わっているかどうか分からない点などがデメリットとして挙げられます。

②給与計算ソフト

正確性が強く求められる給与計算は、計算システムや計算ソフトを利用して行うことで正確かつ効率的に作成を進めることができます。

給与計算ソフトは、大きく分けて以下の2つのタイプが存在します。

  • オンプレミス型
  • クラウド型

ここからは、ソフト導入の際の注意点と上記2つの型のそれぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。

ソフト導入の際の注意点

給与計算ソフト導入の注意点として、費用がかかるということが挙げられます。

例えば、システム導入の際には初期費用が発生し、システムを継続的に利用していけばシステム利用料も継続的に発生します。

さらに、システムの基本料金以外にも、サポート料金等が発生する可能性もあるでしょう。

また、ランニングコストの計算なども考慮する必要があります。

オンプレミス型のメリット・デメリット

オンプレミス型とは、社内にサーバーや通信回線、システムなどを構築し、自社で運用を行う形態のことを指します。

オンプレミス型のメリットとしては、社内で構築されているため、他の社内システムと連携がしやすいことが挙げられます。

対して、デメリットとしては、システムを構築する時間が長く、初期費用がかかってしまう点が挙げられます。

クラウド型のメリット・デメリット

クラウド型は、ASPやSaaS/PaaSなどと呼ばれ、インターネット接続によってシステムやソフトウェアを利用する形態を指します。

つまり、サーバーや通信回線を自社で用意する必要がない形態のことです。

クラウド型のメリットは、インターネット上に存在するシステムを利用するため、初期費用を抑えるだけでなく、短期間での導入が可能なことです。

対してデメリットとして、既存のインターネット回線を利用するためセキュリティ対策が必要なことや、カスタマイズ性が低くなってしまうことなどが挙げられます。

③スマホからでも簡単に見られる!給与明細の電子化システム

給与明細をスマホで簡単に見られたらな、と感じたことはないでしょうか。

最後に、スマホでも簡単に見られるような、給与明細の電子化について紹介します。

給与明細は、給与明細電子化システムやWeb給与明細システムなどを用いることで、簡単に電子化することが可能です。

給与明細の電子化には、以下の3つの方法が存在します。

  • 電子メールを利用する方法
  • 社内LAN・WANやインターネットを通じて閲覧する方法
  • 磁気媒体に記録して閲覧する方法

現在では、上2つの方法を取られることが多く、従業員にもメリットが大きな手段となっています。

まとめ:テンプレートや計算ソフトがおすすめ

まとめ:テンプレートや計算ソフトがおすすめ

今回は、給与明細の作成方法と、効率化のための様々な手段を紹介しました。本記事を参考に給与明細を実際に作成し、作成の中で今回ご紹介したツールやテンプレートを活用して作業を効率化してみてください。

おすすめの記事