近年、導入している企業が急激に増えた「Web会議」。
企業にとってリモートワーク導入は感染症対策だけでなく、あらゆる災害リスクによる被害の低減につながります。
緊急時にも事業を継続するためには、今後もWeb会議の導入はますます欠かせません。
本記事では、Web会議がBCP対策に効果的な理由、具体的な活用法や導入の際の注意点、Web会議の導入により成果をあげた企業の事例を紹介します。
Web会議の導入を悩んでいる事業者、BCPを強化したい、もしくはこれから策定する事業者は、ぜひ参考にしてください。
目次
なぜWeb会議がBCP対策に効果的なのか?
Web会議がBCP対策に効果的な主な理由は、以下の2点です。
- 被災リスクを分散できる
- 災害時でも連絡が取りやすい
順番に見ていきましょう。
被災リスクを分散できる
リモートワークを導入している場合、地震や火災など、災害による被害を被った際のリスクを軽減できます。
Web会議を導入していなければ、災害発生時にもパソコン・通信機器などの機材や従業員はオフィスに集中しているでしょう。
そして、仮に建物が崩壊した場合、被害は甚大となり事業の復旧は困難になります。
また、台風や豪雨、豪雪で公共交通機関が止まった場合、オフィスに出勤できるものがいなければ、事業が中断してしまいます。
感染症の流行時にも、社内で感染者が出ると出勤できない者が増え、事業中断は避けられません。
上記のリスクは、Web会議によるリモートワークを導入している企業であれば、被災したとしても事業の継続や早急な復旧を期待できます。
オフィスへの一極集中はあらゆる災害による被害を最大限受けやすく、従業員の安全や事業継続の観点から、非常にリスキーです。
災害時でも連絡が取りやすい
Web会議がBCPに効果的な理由には、災害時でも連絡が取りやすいことも挙げられます。
災害発生時には回線が混雑して、電話がつながりにくくなります。
東日本大震災の発生時にも職場や家になかなか電話がつながらず、多くの混乱を招きました。
Web会議はインターネット接続による通信であり、災害時でも連絡が取りやすいメリットがあります。
同じインターネット接続であるLINEやその他SNSと違い、音声や画像を用いた情報共有がしやすく、企業や各従業員の状況把握に適しています。
また、Web会議以外での災害時の緊急連絡には、安否確認サービスの導入も有効です。
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BCPにおけるWeb会議の有効な活用法
Web会議は、あらゆるリスクへの備えとして有効です。
本項では、自然災害発生時・感染症拡大時のそれぞれの状況に合わせて、Web会議をどのように活用すべきかを解説します。
自然災害発生時に備える場合
大規模な地震や台風による豪雨・洪水、豪雪などの場合に、Web会議は安否確認として役立ちます。
上司が不在の場合にオフィス内に問題が生じても、Web会議を用いてオフィスの状況を遠隔で見せながら伝えられます。
また、自宅から出られない従業員も、顔を見合わせての安否連絡ができます。
加えて、Web会議は画像や資料などの共有もできることから、電話やメールと違い、対面でなくても的確な指示が出しやすいです。
災害時のリモート環境は孤独を感じがちですが、顔を見合わせて意思の疎通ができることで、安心感にもつながります。
感染症拡大時に備える場合
感染症の流行時において、対面による接触を避けられるWeb会議は非常に有効です。
感染症拡大時にはオフィス内での集団感染や、通勤電車内での感染リスクがあります。
感染が危ぶまれる事態にもWeb会議を導入していれば、社内で感染者が出る前からリモートワークに移行でき、従業員の安全を守りながら、事業も問題なく継続できます。
また、従業員の家族が感染した場合にも、自宅で看病しながら仕事ができることは従業員にとって大きなメリットです。
企業が抱える感染症リスクには、食中毒や季節性のノロウイルスやロタウイルスなども含みます。
Web会議を導入することで、多くの感染症の拡大に備えられます。
BCP対策としてWeb会議を導入する際の注意点
BCP対策として、Web会議を導入する際に、注意すべきポイントを確認しておきましょう。
注意点は以下のとおりです。
- 日頃からの訓練が必要
- マニュアルを整備しておく
日頃からの訓練が必要
BCP対策としてWeb会議を導入しても、実際に使いこなせなければ意味がありません。
いざという時にいつでも適切に使えるよう、普段から操作に慣れておく必要があります。
研修による操作の練習や、災害時を想定した訓練を日頃から導入することで、不測の事態にも対応できます。
訓練や研修の内容・頻度などをまとめた従業員への教育計画は、BCP策定時に定めておきましょう。
マニュアルを整備しておく
日頃からの訓練・研修と同様に、あらかじめマニュアルを作成・共有しておくことも重要です。
マニュアルはいつでも確認できるように、スマートフォンでも見やすいサイズの電子ファイルにしておくと、なお良いでしょう。
また、マニュアルは一度整備しただけでは、不十分です。
企業を取り巻くリスクや状況は時とともに変わり、そのたびにBCPをはじめとする災害時の対応も変化させるべきです。
定期的に古い情報がないか見直し、修正しましょう。
操作面だけでなく、担当者や緊急連絡先などは、人事異動によって変わることもあります。
いざという時に混乱しないよう、継続的なメンテナンスが必要です。
Web会議を導入した企業の事例
総務省による「テレワーク先駆者百選」にも選ばれた、東京都のあすか製薬株式会社の事例を紹介します。
同社は2018年4月から育児や家族の介護が必要な従業員を対象に、月5日までの在宅勤務制度を導入し、早くからリモートワーク体制を整えていました。
そして2020年2月にはコロナ禍によるまん延防止措置として、早々に工場勤務の職員を除く全従業員に対し、日数の制限なく在宅勤務を可能に。
2021年4月からは常時在宅勤務ができるよう、規定を改定しました。
今では社内の8割以上が在宅勤務制度を活用しており、時間外労働時間も業界平均を下回っています。
同時に、ICT活用による効率の良い働き方と、フルフレックス制度による従業員満足度の向上を実現しました。
さらには、風水害や地震が発生した際にも、従業員の安全と事業継続を確保し、影響を最小限に抑えることを見込んでいます。
もともとWeb会議の導入はBCPを目的としたものではなかったものの、早くからリモートワークを導入していたからこそ、コロナ禍という不測の事態にも早急に対応ができました。
その後の対応も素晴らしく、リスク発生後すぐに従業員の安全を配慮し行動に移したからこそ、事業の継続のみならず、効率の良い働き方への転換に成功したのです。
(参考:総務省「テレワーク先駆者百選」事例集 )
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まとめ
コロナ禍により、数年前と比べるとWeb会議を導入している企業は、格段に増えました。
Web会議は感染症対策だけでなく、あらゆる災害リスクによる被害を軽減します。
また、BCPの重要性も年々増しており、企業が事業を継続するためには必須の取り組みになりつつあります。
まだ策定していない事業者や、策定したけど不安がある事業者は、一度専門家に相談するのもひとつです。
弊社では、BCP策定や具体的な対策に関する相談を承っています。
興味のある方はぜひご相談ください。