BCP策定とは?初心者でもわかる5つの手順とテンプレート・ひな形の選び方

※この記事には一部PRが含まれます。

「BCP策定を任されたものの、何から始めればよいのかわからない」

「自社に合う計画の作り方がわからない」

このようなお悩みをもつ担当者もいるでしょう。

BCP策定では、優先業務や復旧目標、対応体制、代替手段を決め、緊急時に実行できる計画書へまとめます。

テンプレートは検討事項の整理に役立ちますが、空欄を埋めるだけでは自社の実情に合ったBCPになりません。

この記事でわかること
  • BCP策定で決める主な項目
  • 準備から計画書作成までの5つの手順
  • 公的機関が公開する手引き・テンプレート
  • 自社に合うテンプレートの選び方と注意点

初めて策定を担当する方も、自社で何を検討すべきか一つずつ確認していきましょう。

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BCP策定とは?優先業務・復旧目標・対応手順を決めること

BCP策定

BCP策定とは、災害やシステム障害などで事業が止まった場合に備え、優先して継続・復旧する業務や対応手順を計画としてまとめることです。

BCPは「Business Continuity Plan」の略で、「事業継続計画」とも呼ばれます。

BCP関連の取り組みは、次のように整理できます。

  • BCP対策:事業継続に向けた全体的な取り組み
  • BCP策定:優先業務や復旧目標、対応手順を決めて計画書を作成すること
  • BCP訓練:計画が緊急時に機能するか確認すること

つまり、BCP策定とBCP訓練はBCP対策の一部です。

BCP対策=BCP策定+体制・環境整備+BCP訓練+見直し

これらを継続的に改善する仕組みをBCM(事業継続マネジメント)といいます。本記事では、その中でも「BCP策定」に焦点を当てて解説します。

BCP対策の必要性や具体例については、BCP対策の全体像をまとめた記事をご覧ください。

BCP策定で決める主な項目

BCP策定では、主に次の4点を明確にします。

  • 優先して継続・復旧する中核事業と業務
  • 復旧までの目標時間と復旧水準
  • 必要な経営資源と、失った場合の代替手段
  • BCPの発動基準、対応体制、具体的な行動手順

これらは相互に関係しています。

優先業務を決めることで必要な人員や設備が明らかになり、その内容を踏まえて復旧目標や代替手段を検討できます。
参考:中小企業庁「BCPを策定する」

一般企業のBCP策定は原則として法的義務ではない

2026年8月時点で、一般企業すべてにBCP策定を義務づける法律はありません。

BCP策定は、多くの企業にとって自主的な取り組みです。

ただし、業種によっては法令や基準によりBCPの策定や訓練が求められる場合があります。

代表例は、感染症や自然災害に対応するBCP策定が義務づけられている介護サービス事業者です。

法的義務がない企業でも、取引先からBCPの提出や整備状況の確認を求められることがあります。

事業継続と早期復旧のためにも、義務の有無だけで判断せず備えておきましょう。
参考:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項」

BCP策定の手順|準備から計画書作成まで5つのステップ

BCP策定とは

BCPの策定方法は一つではありません。

初めて策定を担当する方が取り組みやすいように、準備から計画書作成までを次の5つのステップに整理します。

  1. 策定目的と推進体制を決める
  2. 中核事業と優先業務を特定する
  3. リスクと事業への影響を分析する
  4. 復旧目標と具体的な対策を決める
  5. 緊急時の対応手順を計画書にまとめる

順番に検討することで、各対策の目的や優先順位が明確になります。

1.策定目的と推進体制を決める

まず「何のためにBCPを作るのか」を明確にします。

目的が曖昧だと、対策の方向性がぶれてしまうためです。

策定目的には、次のような内容が考えられます。

  • 従業員とその家族の安全を守る
  • 顧客への商品・サービスの提供を継続する
  • 取引先や地域への影響を抑える
  • 事業停止による損失を抑え、経営を維持する

あわせて、策定責任者や担当部署、参加メンバー、完成までのスケジュールを決めます。

BCPは総務部門だけで完結するものではありません。

経営者が方針を示し、各事業部門や情報システム部門、人事部門などと連携して進めます。

2.中核事業と優先業務を特定する

次に、緊急時にも優先して継続・復旧する中核事業を特定します。

売上だけでなく、取引先への影響や社会的責任なども考慮し、次の観点から優先順位を検討しましょう。

  • 売上や利益に与える影響
  • 主要顧客や取引先への影響
  • 契約上の責任や供給義務
  • 社会や地域に求められる役割
  • 企業の信用やブランドへの影響

中核事業を選んだら、継続・復旧に必要な業務を洗い出します。

たとえば商品の出荷を継続するには、受注処理、在庫確認、製造、配送手配などの業務が必要です。

中核事業とそれを支える優先業務を分けて整理することで、限られた人員や設備をどこへ配分すべきか判断しやすくなります。
参考:中小企業庁「優先的に事業復旧すべき中核事業を把握する」

3.リスクと事業への影響を分析する

中核事業を止める可能性のあるリスクを洗い出します。

自然災害だけでなく、感染症、システム障害、サイバー攻撃なども検討対象です。

続いて、緊急事態が発生した場合に、次の経営資源がどのような影響を受けるか確認します。

  • 人:出勤できる従業員や代替要員
  • 物:事業所、設備、原材料、車両
  • 情報:基幹システム、顧客情報、通信手段
  • 取引先:仕入先、委託先、配送会社
  • 資金:事業停止中の固定費、復旧費用、運転資金

リスクは発生確率だけで判断せず、事業への影響の大きさも重視します。

複数のリスクに共通する影響を整理すると、幅広い緊急事態に対応できる対策を立てやすくなります。

業務停止による影響や復旧の優先順位を詳しく整理する方法については、ビジネスインパクト分析(BIA)の記事をご覧ください。 

4.復旧目標と具体的な対策を決める

事業への影響を把握したら、中核事業をいつまでに、どの水準まで復旧させるか決めます。

中核事業や優先業務を復旧させるまでの目標時間を「目標復旧時間(RTO)」といいます。

「できるだけ早く復旧する」といった表現では、必要な人員や設備を判断できません。

「24時間以内に受注業務を再開する」「3日以内に通常の50%まで供給を戻す」など、時間と復旧水準を具体化しましょう。

復旧目標を決めたら、達成するための対策を検討します。

  • 代替拠点やテレワーク環境を確保する
  • 特定の担当者しかできない業務を複数人で担当できるようにする
  • データを遠隔地やクラウドへバックアップする
  • 仕入先や配送会社を複数確保する
  • 非常用電源や代替通信手段を用意する

すぐに実施できない対策は、費用や優先順位を整理し、中長期的な整備計画へ組み込みます。
参考:中小企業庁「目標復旧時間を決める」

5.緊急時の対応手順を計画書にまとめる

最後に、これまで検討した内容をBCPとして文書化します。

計画書には、少なくとも次の内容をまとめます。

  • BCPの基本方針と対象範囲
  • BCPを発動する条件
  • 緊急時の責任者と指揮命令系統
  • 従業員の安否確認と参集方法
  • 被害状況を確認する手順
  • 中核事業と優先業務
  • 目標復旧時間と復旧水準
  • 事業継続・復旧のための対策
  • 主要な取引先や関係機関の連絡先
  • 策定日、更新日、次回の見直し時期

重要なのは「誰が・何を・どうするか」を明確にすることです。

文章を増やすことよりも、緊急時に迷わず行動できる内容を優先しましょう。

責任者が不在の場合に備えて、代理責任者も決めておきます。
参考:中小企業庁「事業継続に必要な各種情報の帳票類」

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BCP策定に使える手引き・ガイドラインとテンプレート

BCP テンプレート

BCP策定では、公的機関の手引きやテンプレートを使うと全体像を整理しやすくなります。

ただし、内容や難易度は資料ごとに異なるため、自社に合うものを選びましょう。

BCPテンプレート・ひな形を選ぶ3つの基準

BCPのテンプレートやひな形を選ぶときは、次の3点を確認します。

  1. 自社の策定状況と難易度に合っているか

    BCPの基本を学びながら作成する入門用のシートから、複数の事業や拠点を対象にした詳細な様式まで、テンプレートの難易度はさまざまです。

    自社の策定状況や、作業にかけられる人員・時間に合うものを選びましょう。

  2. 想定するリスクと必要な項目をカバーしているか

    テンプレートによって、地震、感染症、システム障害など、主に想定するリスクが異なります。

    自社が想定するリスクに加え、中核事業、目標復旧時間、代替手段、指揮命令体制など、BCP策定に必要な内容が含まれているか確認してください。

  3. 策定後も更新・共有しやすいか

    BCPは、一度作成すれば完了する書類ではありません。

    WordやExcelなどで編集できるか、更新履歴を残せるか、必要な従業員と共有しやすいかも選定基準になります。

公的機関が公開するBCP策定の手引き・テンプレート

公的機関が公開する資料のなかから、一般企業がBCP策定に活用しやすいものを紹介します。

中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」

中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」は、中小企業の特性や実情を踏まえて、BCPの策定方法と継続的な運用方法をまとめた資料です。

策定レベルに応じて、入門・基本・中級・上級の4コースが用意されています。

初めて取り組む企業は入門コースから始め、事業数や拠点数、検討したいリスクに応じて詳細なコースへ進む仕組みです。

ダウンロードページからは、策定運用指針のほか、Word形式の記入シート、完成後のアウトプットイメージ、財務診断モデルなどを利用できます。

自社のペースで基本からBCPを作りたい中小企業に適した内容です。

資料:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」ダウンロードページ

東京商工会議所「オールハザード型BCP策定ガイド」

東京商工会議所の「中小企業向けオールハザード型BCP策定ガイド」は、地震や水害、感染症、サイバー攻撃などの原因ごとに計画を作るのではなく、影響を受ける経営資源に着目して対策を検討するための資料です。

リスクの種類が変わっても「従業員が出勤できない」「事業所や設備を使えない」「システムが停止する」といった事業への影響には共通点があります。

複数のリスクに対応できるBCPを整えたい企業に向いています。

策定ガイドの本編は公開されていますが、Excel・Word形式の様式集と記載例は東京商工会議所の会員限定です。

利用前にダウンロード条件を確認してください。

資料:東京商工会議所「中小企業向けオールハザード型BCP策定ガイド」

東京商工会議所「超入門版BCPシート」

東京商工会議所の「超入門版BCPシート(首都直下地震編)」は、BCPを初めて作成する企業向けの簡易的なフォーマットです。

A3用紙1枚で完結し、主に次の3点を整理できます。

  • 首都直下地震の発生時に誰が何をするか
  • 自社の重要事業と必要な経営資源は何か
  • 緊急事態に備えてどのような事前準備を行うか

入力シート、使用方法、記入例が公開されており、自社の状況に合わせて編集できます。

最初から詳細なBCPを作ることが難しい場合に、社内で検討を始めるきっかけとして使いやすい資料です。

ただし、想定する災害は首都直下地震です。

ほかの地域やリスクにも対応する場合は、必要な項目を追加するか、別のガイドラインと組み合わせて使用します。

資料:東京商工会議所「超入門版BCPシート(首都直下地震編)」

ひな形を埋めるだけでは実効性のあるBCPにならない

テンプレートは、BCPに必要な項目を漏れなく検討するための補助資料です。

空欄を埋めただけで、緊急時に機能する計画が完成するわけではありません。

自社の状況を整理するための土台として活用し、優先業務や復旧目標、代替手段を具体化しましょう。

ミツモルのBCP相談窓口では、それぞれの企業や施設が抱える課題に合わせて策定をサポートします。

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BCPは策定して終わりではない|訓練・見直しへつなげる

BCP策定から訓練へ

BCPは、計画書を完成させただけでは緊急時に機能しません。

策定した内容を社内で共有し、従業員が自分の役割や対応手順を理解している状態にする必要があります。

策定後は定期的に訓練を行い、責任者の判断、連絡手段、代替拠点やバックアップの利用、優先業務の再開などが計画どおりに進むか確認しましょう。

見つかった課題は担当者と改善期限を決め、BCPへ反映します。

組織変更や人事異動、設備・システムの導入、主要取引先の変更などがあった場合も見直しが必要です。

大きな変化がない場合でも、少なくとも年1回を目安に内容を確認しましょう。
参考:中小企業庁「BCPの維持・更新を行う」

BCP訓練の種類や詳しい実施手順については、BCP訓練関連の記事をご覧ください。

BCP策定に関するよくある質問

FAQ

BCP策定に関して、企業の担当者が疑問を持ちやすい点をまとめました。

BCP策定は一般企業にも義務化されていますか?

一般企業すべてに、BCP策定を一律で義務づける法律はありません。ただし、介護サービス事業者など、一部の業種では策定が義務づけられています。自社に適用される法令や業界基準も確認してください。

BCP策定はどの部署が担当しますか?

総務部、経営企画部、リスク管理部などが中心となるケースが一般的です。ただし、優先業務や復旧目標には経営判断が伴います。経営者が方針を示し、事業部門、情報システム部門、人事部門などと連携して策定します。

BCP策定にはどのくらいの期間がかかりますか?

中小企業庁の指針では、BCP策定に要する作業日数の目安として、入門コースは1~2時間、基本コースは1~2日、経営者1人で進める中級コースは3~5日、上級コースは数人で延べ1週間程度とされています。

実際の期間は、会社の規模や対象事業、情報収集、社内調整の範囲によって変わります。
参考:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針の使い方」

無料のテンプレートだけでBCPを策定できますか?

テンプレートを使えば、BCPの基本的な形を作れます。ただし、優先業務や復旧目標、代替手段は自社で検討しなければなりません。ひな形を自社向けに調整し、訓練で実行できるか確認する必要があります。

BCP策定にお困りならミツモルにご相談ください

BCP策定では、自社の状況を整理しても、何を優先すべきか判断できずに作業が止まることがあります。

次のような状況なら、自社だけで抱え込まず専門家への相談も検討してみてください。

  • 何から着手し、どのテンプレートを選べばよいかわからない
  • 優先業務や目標復旧時間を決められない
  • 作成したBCPが緊急時に機能するか不安がある

ミツモルでは、BCP策定に関するご相談を受け付けています。

計画の方向性が固まっていない段階でも構いません。

自社の課題を整理し、次に取り組むべきことを明確にしたい方は、ミツモルへご相談ください。

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