インターネット回線の発達や、スマートフォンの普及などもあり、SNSが日々の生活の中に浸透するようになってきました。
2019年の総務省による調査では、全世代の7割以上がSNSを利用しているといわれています。
SNSが年齢層を問わず多くのユーザーにとって日常的なものとなることで、企業としても公式アカウントを作成したり、SNSを活用してユーザーを囲い込み、自社の商材やサービスの拡販に活用する動きも活発化してきています。
このようなSNSを活用した認知度向上や販売促進につなげる動きは、SNSマーケティングと呼ばれています。
SNSの流行は、FacebookやInstagram、Twitter、LINE、TikTok、YouTubeのように次々とプラットフォームが登場する中で、今後もさらに拡大していくことが予測されています。
とはいえ、企業のSNSマーケティングを成功させることは簡単ではありません。
ただ単に公式アカウントを作成したとしてもユーザーは集まりません。
マーケティング担当者の中でも「どうやったらSNSマーケティングを成功させられるか分からない」「そもそもSNSマーケティングって何?」「どのSNSから始めたらいいの?」などと悩まれるケースも少なくありません。
実際に、SNSで自社の公式アカウントを作成するものの、ユーザーが集まらなかったり、継続的な投稿や運用が大変で諦めてしまった企業も多くいます。
SNSマーケティングを効果的に運用していくためには、まずは各SNSの特性をふまえたマーケティング手法を知る必要があります。
そこで今回は、SNSマーケティングの概要から、メリット・注意点、各SNSプラットフォームに応じた特徴、意識すべきコツなどについて、ポイントを中心に紹介していきます。
目次
SNSマーケティングとは?
そもそもSNSマーケティングとは、自社の商材やサービスについて、FacebookやInstagram、Twitter、LINE、TicTok、YouTubeなどのSNSをもとにブランド訴求や販売促進につなげていくマーケティング手法のことを指します。
一般的にSNSは、多くのユーザーが日に何度も投稿や閲覧といった動きを行う傾向にあり、その中でユーザーと直接コミュニケーションを行うことができます。
特に、拡散性が高いためユーザーが気に入った商材やサービス、興味を惹いた投稿などは、ユーザーによってイイね!やシェア、コメントがされることで、他のユーザーにすぐに広めてもらうことが可能です。
このように、SNSマーケティングは広告費をかけなくとも、投稿内容や運用方法を工夫することで、認知度や好感度の向上だけでなく購入や問合せといったコンバージョンの増加につなげることも期待できます。
SNSマーケティングと広告、SEOの違いとは
Webマーケティングの中には、主に広告出稿とSEOといった手法が挙げられます。
従来であれば、自社の商材やサービスを知ってもらうためには、まず自社のホームページに集客させなければならないとして、この2つの手法が一般的でした。
ではこの2つとSNSマーケティングは何が違うのでしょうか?
広告との違い
Webの広告出稿は、基本的には直接コンバージョンに結びつけるための施策となります。
広告出稿には費用もかかるため、その費用対効果を考えながら運用することが求められます。
そのため、比較的顕在層のユーザーに向けてコンバージョンの一押しを行う目的で活用される傾向にあります。
一方で、SNSマーケティングは、直接的なコンバージョンもあり得ますが、基本的には潜在層のユーザーの顕在層化と、ユーザーのファン化が主な目的になります。
自社のSNSアカウントをフォローしてもらえれば、定期的なアプローチを行うことができ、そこから別のユーザーに広めてもらうことも期待できます。
ユーザーを育成していくとともに、ファンを獲得しリピーターを増加させる意味合いで活用される傾向にあります。
SEOとの違い
Googleなどの検索エンジンで上位に表示させていくSEOは、ユーザーのニーズをもとにコンテンツ制作を行い、潜在層にアプローチする目的があるマーケティング手法となります。
この対策にはコンテンツを制作する工数と、Googleをはじめとする検索エンジンの特性を常に把握して対策を講じる必要があります。
そのため、ユーザーへ訴求できるまでの期間はどうしても長くなります。
一方でSNSマーケティングでは、各SNSで投稿をするだけでフォローしているユーザーに広くアプローチすることができるため、トレンドや流行をもとにすぐに対応することが可能です。
ユーザーのレスポンスも早く、バズることができれば大きな流入につなげる点もSEOと違うマーケティング手法となります。
主なSNSマーケティングの媒体
続いて、主なSNSマーケティングの媒体について紹介していきます。
SNSは媒体によって特性があり、それぞれの特徴をふまえて対応していくことが重要です。
①Facebook
Facebookは、SNSで唯一実名での登録制となり、2019年時点で2,600万人のユーザー数がいます。
主に30代から50代の利用者が多く、実名制でもあることからビジネスとして利用しているユーザーも多い傾向にあります。
そのため、BtoB系の商材やサービスを扱う企業の訴求としては比較的相性が良いSNSとなります。
また、Facebookには特定のユーザーだけが加入できるグループ機能もあり、オンラインサロンといった自社専用のプラットフォームとして活用するケースもあります。
②Instagram
Instagramは、主に写真や動画を投稿し、ユーザー同士で共有し合うSNSとなります。
2019年時点で3,300万人のユーザー数がいます。
写真や動画といったビジュアルを中心に展開されているため、インスタ映えを狙う10代から20代の女性を中心に人気のSNSとなります。
ハッシュタグをつけて共有し合う中では、インスタグラマーと呼ばれる多くのファンを持つユーザーもいます。
このようなインスタグラマーに自社の商材やサービスを宣伝してもらうインフルエンサーマーケティングも、Instagramならではのマーケティング手法となります。
③Twitter
Twitterは、1投稿あたりの文字数が全角140字以内と制限されているSNSとなります。
2019年時点で4,500万人のユーザー数がいます。
短文で気軽に投稿できる点が特徴で、トレンドや流行をリアルタイムに知ることができます。
主に10代から30代で利用されており、話題性のある投稿はすぐにリツイートによって拡散される傾向にあります。
一方で、バズるとともに炎上も起こりやすい傾向にあるため、企業のアカウントとして運用していく上では注意が必要です。
④LINE
LINEは、ユーザー間のコミュニケーションアプリとして国内No.1のシェアを誇り、2020年時点で8,300万人のユーザー数がいるSNSとなります。
若年層からシニア層まで幅広い年代が利用しており、企業の公式アカウントと「友だち」としてつながることで、ユーザーを長期的に囲い込み、定期的にアプローチすることができます。
また、チャットボットを活用したユーザーとのコミュニケーションも可能です。
⑤TikTok
TikTokは、ショート動画を配信しながらユーザー同士コミュニケーションが取れるSNSとなります。
2019年時点で950万人のユーザー数がいます。
主に中高生をはじめとする若年層に人気が高く、Z世代向けのマーケティングとして注目が集まっています。
⑥YouTube
YouTubeは、動画配信のプラットフォームとして世界No.1のシェアを誇り、動画SNSとも呼ばれています。
2020年時点で6,500万人のユーザー数がいます。年齢層は幅広く、投稿した動画は日本だけでなく全世界に拡散される可能性もあります。
人気動画を配信するユーザーはYouTuberとも呼ばれ、Instagramと同様にインフルエンサーマーケティングとして活用されることも多くあります。
テレビ離れとともにYouTube需要は高まる傾向にあり、今後も動画SNSマーケティングのプラットフォームとして注目されています。
SNSマーケティングを行うメリット
続いて、SNSマーケティングを行うメリットも紹介していきます。
①認知度の拡大
SNSマーケティングの大きなメリットは、自社の商材やサービスにおける認知度拡大にあります。
先ほど紹介したどのようなSNS媒体であっても、基本的に拡散性が高いため、ユーザーの興味を惹く投稿内容であれば一気に広まる可能性が高まります。
今まで認知されていなかった層に対しても、ユーザーが自然と広めてくれることで認知を高め、更にそこからのコンバージョンも期待できます。
②スピード感のある情報配信
SNSマーケティングは、広告出稿やSEOに比べて格段に速いスピードでユーザー訴求することが可能です。
最新情報をリアルタイムで訴求できることは、競合他社よりも一歩先をいくことができるため、効果にもつながりやすくなります。
広告バナーの制作やホームページの追加修正などを行わずとも瞬時にアプローチ出来る点はSNSならではの魅力の一つとなります。
③費用対効果の向上
また、SNSマーケティングはいずれも無料で始めることが可能です。
投稿も自社内の担当者だけで賄うことができるため、効率的に運用することができます。
インフルエンサーを活用したり、SNS広告と合わせた運用を行う場合には別ですが、フォローを上手く活用し、投稿内容や企画にこだわれば、ブランディングはもとより、コンバージョン増加にもつなげることで、費用対効果を高めることも可能です。
SNSマーケティングを行うデメリット
一方で、SNSマーケティングにはデメリットも存在します。
闇雲に始めるのではなく、以下の項目は運用時の注意点として押さえておくと効果的です。
①炎上リスク
まず挙げられる注意点は、炎上リスクです。
SNSマーケティングは広く拡散される反面、ネガティブな内容も拡散されてしまいます。
ネガティブな内容は、ポジティブなものよりも比較的早く・広く拡散される傾向にあり、一度拡散されてしまうと間違った情報が広まってしまい、事実を正すことが非常に困難になります。
企業の信用イメージにもつながり、売上だけでなく大きなマイナス影響を与えかねませんので、投稿内容や運用には十分注意することが求められます。
②担当者のSNSリテラシー
SNSマーケティングを行う上で、最も重要なことが運用担当者のSNSリテラシーです。
先ほどの炎上リスクと合わせ、SNSにはマナーやモラル、セキュリティ意識など投稿内容や情報の扱いに十分注意する必要があります。
これらを何も知らずに運用していくと、大きな問題に繋がりかねません。
ユーザーと直接コミュニケーションを取る機会が多いSNSだからこそ、各SNSの特性をふまえ、正しい知識やリテラシーを持つ必要があります。
SNSマーケティングを行う上で意識するべきコツ
最後に、SNSマーケティングを行う上で意識するべきコツについても紹介していきます。
先ほどのデメリット(注意点)とあわせ理解しておくと効果的です。
①自社に合ったSNS媒体の選定
まずは、自社に合ったSNS媒体を選定することです。
各SNS媒体の紹介でもふれたように、SNSにはプラットフォームごとに利用者が異なります。
例えば、シニア層向けの商材を扱っているのに中高生が集まるTikTokを始めても意味がありませんし、男性向けサービスを女性が多く集まるInstagramで訴求しても効果につながる可能性は低いでしょう。
ターゲットをふまえて自社に合ったSNS媒体を選定することが重要です。
②各SNS媒体の特性を活かした訴求
続いて、各SNS媒体の特性を活かした訴求を検討することも重要です。
例えば、画像訴求が多いInstagramでは、積極的に画像での見せ方にこだわる必要がありますし、ハッシュタグも上手く活用すると効果的です。
とはいえ、ハッシュタグのことを知らなければ、どれだけ魅力的な画像を投稿しても、拡散につながらない可能性も高まります。
このように、SNS媒体ごとの特性を上手く利用し、ユーザーに訴求していくと効果的です。
③戦略的に投稿内容にこだわる
どのようなSNS媒体であれ、投稿内容が一番の肝になります。
同じ商材やサービスであっても、投稿内容を少し変えるだけでユーザーからの反響が全く異なることも少なくありません。
SNSマーケティングを行う上で、ユーザーが興味を持つ、共感してくれる、役立つようなコンテンツを投稿していくことは求められますが、その中に戦略を組み込みながら効果的に運用していくことが重要です。
闇雲に何でも投稿することや、単発のこだわった投稿ではなく、戦略的にストーリーを持たせた投稿を意識すると効果的です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
SNSマーケティングは、どのような業種業態の企業であっても無料ではじめられることから、多くの企業が参入してきています。
とはいえ、闇雲にSNSマーケティングを始めても効果につながることはありません。
自社の商材やサービスをふまえ、ターゲットに合ったSNSを選定し、そのSNSの特性を活かして効果的に運用していくことが求められます。
今回紹介した内容も参考に、自社にとって効果につながるSNSマーケティングを運用していきましょう。