近年、白ナンバーでの「アルコールチェック義務化」が始まっています。
飲酒運転のまん延防止のために従来からあった緑ナンバーに加えて白ナンバーへの規程が厳しくなっています。
本記事では、飲酒運転防止のために心がけたい注意点とアルコール検知器での吸気検査について解説いたします。
目次
アルコール検知器の利用者が増加
4月からの「アルコールチェック義務化」推進によって、飲酒運転による事故防止策が強化され、10月にはアルコールチェック検知器の導入が義務化となります。特に、運送業界など、事業用自動車を使う従業員への労務管理では、飲酒運転に対する意識を改めるための指導と、事業者は、アルコール検知器の導入を検討することが必要となっています。
アルコール吸収の仕組みを知る
では、まず始めに、飲酒運転に対する意識を高める為に、アルコールが体内に吸収される仕組みについて解説いたします。
アルコールが体内に入ると約20%が胃で、約80%が小腸で吸収され、血液に入って数分間で全身に行き届きます。
アルコールは、脳を周ると人間のからだを活発させる機能が軽減し、この状態が、酩酊状態と言われる現象となります。
また、アルコールが体内を流れると肝臓で代謝され、ADH(アルコール脱水素酵素)の働きでアセトアルデヒドに分解されます。この状態が悪酔い、動機や息切れ、頭痛の原因となる現象です。
アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に分解され、酢酸は二酸化炭素と水になり、尿や息と一緒に体外へ排泄されます。
このアセトアルデヒドが体外へ排泄されず体内に残っていると二日酔いや悪酔いが続く原因となります。
このように、体調不良の時に飲酒運転を行った場合のリスクは大きく、運転する時はアルコールは飲まないというのが一般常識として心がけることが必要です。特に運転を仕事にする方は、特に飲酒に対しての意識を高めることが大切です。
飲酒運転とは?
では、次に「飲酒運転」について解説いたします。
「飲酒運転」の基準は、主に体内に残留したアルコール量によって判断されます。
例えば、アルコール量が同じでも酔いやすい人と酔いにくい人に分かれますが、体質による酔い方の感覚に関係なく、飲酒検査で一定のアルコール量が検知された場合は、違反の対象となります。
ただし、飲んだアルコール量が少なくても悪酔い状態であれば、違反の対象となります。
また、飲酒運転者の同乗者にも重い罰則が科せられます。
酒酔い運転と酒気帯び運転の基準
飲酒運転には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」があります。
- 酒気帯び運転:
呼気中のアルコール量、呼気1リットル中にアルコール量が0.15mg未満である場合の「酒気帯び運転」は、体内からアルコールが検出された場合でも違反の対象にはなりません。
ただし、アルコール量が少量であっても運転に影響があります。ハンドル操作や集中力、反応にかかる時間など、飲酒をしていない時と比較すると注意が散漫になるため、飲酒運転は禁物です。
- 酒酔い運転:
呼気中のアルコール量、呼気1リットル中にアルコール量が0.15mg以上の場合の「酒酔い運転」は、違反の対象となります。
- アルコール量が0.15mg以上0.25mg未満の場合は、違反点数13点
免許停止の対象になる
- アルコール量が0.25mg以上の場合は、違反点数25点
免許の取消の対象になる
- 事故をおこした場合は、さらに違反点数が加算される
違反となるアルコール量だけではない
「飲酒運転」への取り締まりは、体内のアルコール量を基準とした処分、またはアルコールに弱い人で、通常の状態ではない場合にも厳しく罰せられることになります。
ちょっとぐらい飲んで運転しても大丈夫だろうという軽はずみな判断は、大きな事故に繋がるきっかけとなるため、日頃から「飲酒運転」はしないという意識を心がけましょう。
飲酒後は何時間で運転できる?
飲酒量の目安について解説いたします。
酒気帯び運転の基準値となる呼気1リットル中のアルコール量が0.15mgは、血中アルコール濃度に換算すると、0.3mg/mL。これは、ビール中びん1本、日本酒1合、ウイスキーダブル1杯の血中アルコール濃度0.2mg/mL~0.4mg/mLに該当します。
例えば、ビール中びん1本飲んだ場合、アルコールを分解するために約4時間かかり、体重1㎏に対しておよそ1時間に0.1グラムのアルコールを分解することができます。
もし、深夜に飲酒した場合には、翌午前中の運転は控えることが目安となります。
運送業界の方は、常に運転を続ける業務に係わるため、1週間の飲酒スケジュールをあらためて見直してみるとよいでしょう。
吸気接種ができるアルコール検知器とは?
ここでは、アルコール検知器とはどういうものか解説いたします。
アルコール検知器(アルコールチェッカー)とは、息を吹きかけるだけで、体内の残留アルコール濃度を数値化する機器です。
飲酒の後、体内に残ったアルコール濃度は、アルコール検知器内に搭載されいているアルコール感知センサーに反応し、数値を測定できる仕組みになっています。
アルコールチェックの方法には、血液を採取する、または吸気を採取する2つの方法があります。血液採取の場合は専門の医療機関で行いますが、アルコール検知器では業務用に事務所に設置して気軽に吸気採取で測定することができます。
吸気でアルコール検知できる
アルコール検知器の仕組みは、血中に入って肺にまわったアルコールの一部が呼気として排出されるため、測定すると数値として表れます。したがって、呼気中のアルコール濃度を測定するのに欠かせない機能として、アルコール検知器の感知センサーの役割が重要となります。
「アルコールチェック義務化」の内容に、アルコール検知器の保守点検を行うことが義務付けられていますが、感知センサーの機能が正常であるかは、日常的な点検で重要な作業となります。
アルコール感知センサーとは?
アルコール感知センサーは、アルコール検知器の主要となる部分です。
アルコールセンサーには2種類「半導体式ガスセンサー」と「電気化学式(燃料電池式)センサー」があります。
半導体式ガスセンサー
「半導体式ガスセンサー」とは、センサー表面に付着する酸素量に応じて、電気の抵抗値が変化する現象を利用したセンサーです。
メリット
- 比較的安価
- 導入コストが安い
- 小型で持ち運び便利
- 検知結果が早く出るため時間がかからない
デメリット
- アルコールを摂取していないに反応が出るケースがある
- 検査する場所の環境に左右されて正常な測定ができないケースがある
電気化学式(燃料電池式)センサー
「電気化学式(燃料電池式)センサー」とは、呼気に含まれるアルコール成分を燃料として、電気が発生する現象を利用したセンサーです。
メリット
- 高精度な測定が可能
- 耐久性がある
- 検査する場所の環境に影響されない
デメリット
- 高額である
- 測定反応が遅く、結果が出るのに時間がかかる
- メンテナンスのコストが高い
まとめ
吸気で測定できるアルコール検知器について解説いたしました。
「アルコールチェック義務化」に伴い、業務用アルコール検知器の普及率が高まっています。10月からアルコール検知器の設置が義務付けられていますので、本記事での内容を参考に、アルコール検知器の導入を検討すると良いでしょう。
また、運転者の労務管理を効率良く行うために、アルコール検知器とスマホが連携できるアルコールチェックシステム「アルキラーPlus」を活用すると簡単に管理できるため、おすすめのツールです。