日本は地震が非常に多く、東北大震災や熊本地震などはみなさんの記憶にもまだ残っているのではないでしょうか。
そんな地震大国日本で、BCPというものに企業の注目が集まっています。
BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)とは、天災やサイバーテロなどが起きた後、事業を中断することなく継続または復旧するための対策を練ることです。
昨今、地震以外にも世界で猛威を振るう新型コロナウイルスによるテレワーク化なども進んでおり、災害への事前の対策準備が非常に重要になっています。
自身が企業のBCP策定の担当者として選任されたとき、まずは研修にて体系的に策定のステップを学びたいといった方に、今回の記事の内容を役立てて頂ければと思います。
目次
BCP研修を受けるメリット
平成24年度の中小企業庁の調べによると、中小企業・小規模事業者によるBCP策定率は1割程度となっております。
また別でトヨクモ社の2018年のアンケートデータによると企業の防災教育担当者の75.7%がBCPについて新入社員に教えたと出ていますが、一方新卒向けの調査では17.5%しか内容を把握できていないという結果でした。
この結果を見る限り、BCPの策定などが上手くできていないことが示唆されます。
実際トヨモク社のアンケートの中には、担当者から出た悩みの中で、「緊急時に本当に行動できるか不安」、「実際に発生した場合、マニュアルがどこまで役立つか不安」などの声が上がっていました。
BCP対策は他のものと違い、経験してPDCAの回数を増やすということが難しく、策定段階でどれだけ具体的にイメージできるかが重要になってきます。
BCPの策定が出来ていなかったときの影響の一例として、東京商工リサーチの調査によると東北大震災を原因とした倒産件数は105ヶ月連続で発生し、累計1993件となっております。
研修ではこういった担当者の悩みを解決すべく、BCP策定までの流れを段階的に分け、専門家の講義によりBCPの目的や構造を体系的に学んで頂きます。
その上で具体的なケースを想定したワークを行って頂くことで、自身でゼロベースの状態で策定していくより具体的な施策を準備することが可能です。
また、研修によっては今後の策定に役立つ資料や教材などを配布されるのでそれも策定する際に活用できるでしょう。
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BCP研修の主な対象者
BCP研修は1日からでも学ぶことができ、実際担当になった方や自社で策定されたBCPについて不安がある方なども学んでいただけます。
▼このような方が対象です。
・BCP策定の担当者になった方
・いざ策定しようにも、どうすればよいか分からない方
・BCP自社で定めているがブラッシュアップしたい担当者の方
・BCP管理部門のリーダーの方
・自社のBCPについて不安で自身で学んでみたい方
・BCPを事業戦略に組み入れて計画を練りたいといった経営層
BCP研修の内容・特徴
BCP研修では作成に当たってBCPの目的などをまずは学んでいただき、策定のポイントや体系的な知識を取得した後、具体的なケーススタディを使ったワークショップを行います。
講師の多くは、経営経験があったり総務担当をしていたりなど、BCP策定・運用をしていた立場の方々です。
特に新型コロナウイルスの影響もあり、看護業界向けのセミナーが多くなっています。
どの研修やセミナーも策定の目的や大まかな策定までのステップは同じですが、業種によって見るべきポイントなどは違ってくるのでご注意ください。
以下がBCP研修で学べる主な内容になります。
- BCPの目的
まずはBCPの目的を学びます。近年、特にコロナウイルスで働き方やモノ・お金の動きが急激に変わってきています。
そのような状況の中、長く存続していけるような事業計画へアップデートできるようになることを目指します。
また、現在の日本企業のBCPの課題なども学ぶ場合もあります。
- BCP策定までの流れ
BCPは経営層のみならず、チームとして活動していく必要があります。
チームの編成方法から実際運用を行えるようなところまでの流れを順序だって学びます。
以下が内容の一例になります。
・BCPチームの編成方法
・基本方針の策定
・ステークホルダー分析
・対策本部の活動
・業務を継続するための基準
・復旧までの流れ
・リスク分析・ボトルネックの把握
・演習計画
・BCPの文書化
また、実際の講義以外でも、チーム別で参加者同士での現状抱えている課題を共有する時間をとっているものもあります。
他社の運用体制であったり、BCPに対する考え方などを共有することで自社に使える知識を得ることができるかもしれません。
- 具体例を用いたワークショップ
4名ほどのグループを作成して行うことが多いです。
「地震で本社建物が倒壊して設備が壊れて商品が生産できなくなった」、「新型コロナウイルスの影響で社員の過半数が出社できなくなった」など具体例を想定して、優先順位や会社としての方針などを考えて頂きます。
決められた時間の中で、多くの場合は事前に用意されたフォーマットを埋めていくことで対策案を作成することができるものです。
この時、同業種のみでなく、異業種で組まれる場合もあるので、今までとまた違った発見を得ることができるかもしれません。
BCP研修の一般的な流れ(セミナー・実施期間)
BCP研修は商工会議所や会社、県なども行っており、様々な形式があります。
開催実施期間
BCP研修は1日で短期集中型で開催されることが多いですが、前期・後期の2回に分かれたり、複数日に分けて日によって決められたテーマごとに様々な側面からBCPについて学ぶ場合もあります。
1DAYの場合でも基礎から策定レベルまで学ぶことができ、且つ担当者の方も通常業務への支障が少ないかもしれません。
研修によっては1時間で学べるものもありますが、講義のみとなっており、担当者様の本質的な課題の解決になり得ない場合があります。
BCP研修の最大の目的としては実際の災害時を想定した具体的な計画を策定できるレベルになることなので、実際のケースを想定したワークショップや担当者様同士の現状抱えている課題の共有などが重要になってきます。
但し、気になるテーマについての講義など自分の目的に沿った事が学べるのであれば参加する意義が大いにあります。
実際研修を受ける前に自身が参加する目的を明確化し、気になる点があれば研修を行う開催元に確認するようにしましょう。
進行スケジュール
進行スケジュールも開催元によって様々ですが、基本的には1日かけて行うことがほとんどです。
ここでは1DAYでの研修の事例を用いて説明させて頂きます。
1DAYの研修例
この研修ではまずはBCPの概要を座学で聞き、その後はワークショップが中心となり、災害を想定して1日かけてじっくり自分で考えながらBCP策定までの流れを体験します。
手を動かして考えることで自社や取引先の状況などをしっかり見つめ直すことができ、会社に持ち帰った時にそれを基に話を進めることができます。
また、ワークショップの時は講師が対策を考えるときのポイントを教えてくれるのでしっかりメモをして社内で展開するようにしましょう。
時間割 | テーマ |
10:00~10:10 | イントロダクション |
10:10~10:30 | BCPの目的 |
10:30~11:30 | 災害時の活動ルールの策定 |
11:30~12:00 | 自社・ステークホルダーの理解 |
12:00~13:00 | 昼休憩 |
13:00~13:45 | 対策本部の活動の策定 |
13:45~15:00 | 休憩 |
15:00~16:00 | 事業継続手順の策定 |
16:00~16:15 | 休憩 |
16:15~17:15 | 演習計画の策定 |
17:15~17:30 | クロージング |
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まとめ
南海トラフの危険性など突発的な天災が起こり得る可能性がある中、BCPの策定の重要性は高まっています。
現状はまだ普及が進んでいない状況ですが、いざ担当を任されたときにゼロからチーム編成を担って企画していく工数はかなり重いものになるでしょう。
研修によって体系的な知識を得ることで実際の災害時に使えるものを作れるようになります。
もし担当を任されたり、事業戦略としてBCPを取り入れた計画を立てようと検討されている経営者様は研修に参加されてみてはいかがでしょうか?