コンプライアンスとは?本来の意味と違反事例から学ぶ法令遵守だけではない考え方を解説!
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企業活動を行う上で、一定のルールに従って行わなければなりません。

特に昨今では、「コンプライアンスの順守」が特に叫ばれていますが、コンプライアンスとはなんとなく意味を理解していても、具体的にどのようなものであるのかについて理解されていないケースが散見されます。

では、コンプライアンスの本来の意味はどのようになっているのでしょうか?

この記事では、コンプライアンスの本来の意味や、違反事例などについて詳しく解説します。

コンプライアンスとは?

コンプラアンスは、直訳すると「法令遵守」という意味になります。

ただ、近年はコンプライアンスの意味が多様になりつつあるのが実情です。

具体的には、社会道徳や社会規範、会社のステークホルダーとして利害関係者や顧客、取引先、株主、経営者、従業員などの利益や要請に応えることも、コンプライアンスに含まれるようになりました。

よって、一概に「コンプライアンス違反」となった場合でも、法令違反になるケースもあれば顧客満足の低下を招くようなケースもあるのです。

コンプライアンスが重視される背景

コンプライアンスの定義が徐々に拡大しつつある背景には、社会情勢の変化が挙げられます。

企業活動がグローバル化していること、またインターネットが広く一般人にも普及したことによって、会社が不祥事を発生させた際に悪影響がグローバルに広がることが増えています。

これに伴って、会社の法的責任や倫理的社会的責任の範囲が拡大している事実があります。

他にも、トレンドとなっている持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みや国際的な人権意識の高まり、ダイバーシティ促進の要請なども、コンプライアンスが重視されるきっかけとなっているのです。

起業としては、法令遵守だけを実現するだけでなく、企業としての社会的責任を認識し、社会から信頼される会社を目指す必要があります。

コーポレートガバナンスとは?

コンプライアンスと似たフレーズとして、コーポレートガバナンスがあります。

両者は同じものと認識されているケースがありますが、ガバナンスとは、直訳すると「管理をする、統治してまとめる」という意味があります。

ビジネス用語としてのガバナンスは「コーポレートガバナンス」という意味となり、統治する範囲は組織内部のみです。

日本においては、2000年代に入り大企業による不祥事が相次いだことから、注目度が高まりました。

経営者の不正な行動や情報漏えいなど、経営に直結するリスクの未然防止を図るためには、ガバナンスの強化が必須となります。

例えば、ガバナンス強化には以下のような方法が用いられます。

  • 役割と指示系統を明確にする仕組みの構築
  • 内部統制やリスクマネジメントを実行する部門の設置

企業がステークホルダーと信頼関係を良好にするためにも、ガバナンス体制を構築して強化していく必要があるのです。

コンプライアンスとコーポレートガバナンスの違い

コンプライアンスの場合、順守するのは法令だけでなく、社内規範や社会規範、企業理念や社会的責任などの、企業倫理も含まれます。

以上のようなコンプライアンスの維持や改善を図るための管理体制がガバナンスです。

ガバナンスを強化すれば、必然的にコンプライアンスを強化することに直結します。

コーポレートガバナンス・コードとは?

ガバナンスに関しては、国家レベルでも更なる強化に向けた仕組みづくりが進んでいます。

2015年には、金融庁と東京証券取引所が共同でコーポレートガバナンス・コードを策定し、2021年6月に改訂されたのです。

コーポレートガバナンス・コードとは、企業が株主を筆頭として、顧客や従業員、地域社会といったステークホルダーとの理想的な関係性や、企業を監視する取締役会などの組織のあるべき姿について示した文章です。

コーポレートガバナンス・コードが策定された背景には、2014年に閣議決定された「日本再興戦略 改訂2014」の主要施策として、コーポレートガバナンスの強化が必要と結論付けられたことによります。

コーポレートガバナンス・コードには、法的な強制力や罰則はありません。

主にイギリスが採用されている、「従うか、説明せよ」の原則に基づいて策定されており、従わない場合には理由を説明する責任が発生するというスタンスです。

最新版となる、2021年改訂版の主なポイントには、以下があります。

  • 企業の中核人材におけるダイバーシティの確保
  • 取締役会の機能発揮
  • サステナビリティを巡る課題への対応

以上の変更点も見ても、昨今のグローバル社会における重要なキーワードである「ダイバーシティ」や「サステナビリティ」が登場しています。

コーポレートガバナンス・コードが策定された大きな理由の一つに、2022年4月4日に現在の市場区分が以下に分類されるためです。

  • プライム市場
  • スタンダード市場
  • グロース市場

市場区分を決める要素として、各市場区分のコンセプトに従って、流動性やコーポレートガバナンスなどに関連する定量的、定性的な上場基準が設けられる予定です。

評価基準としてコーポレートガバナンスが設定されたことから、今後より一層コーポレートガバナンスに対して強化しなければならず、各企業側で対応が求められています。

内部統制とは?

コンプライアンス、そしてコーポレートガバナンスと合わせて使用されるフレーズに、内部統制があります。

内部統制とは、業務の有効性や効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守、資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るための行動です。

具体的には、業務に組み込まれて組織内の全ての要員によって実行されるプロセスとなります。

以下、6つの基本的要素によって構成されるのが特徴です。

  • 統制環境
  • リスクの評価と対応
  • 統制活動
  • 情報と伝達
  • モニタリング
  • ITへの対応

の6つの基本的要素から構成されています。

コンプライアンスと内部統制の違い

コンプライアンスと内部統制の違いとしては、コンプライアンスは企業が目指す姿である一方で、内部統制は実現までの手段となります。

イメージとしては、企業がリスクマネジメントとコンプライアンスを通じて、企業に課せられた社会的要請や期待に応える活動が、内部統制です。

リスクマネジメントとコンプライアンスが機能する環境としては、従業員の意識向上やITシステムを整備するということも経営者の役割であり、内部統制につながるのです。

コンプライアンスの徹底と内部統制の強化は、別物ではなく同時に実行するという意識で行動することが重要となります。

 

コーポレートガバナンスと内部統制との関連性

経営者が正しく企業活動に対して理解していないと、内部統制が機能しません。

このことを、内部統制の無効化と呼びます。

従業員がどれだけコンプライアンスを順守した仕事をしたとしても、経営者自らが不正を働いたり、世間との認識にギャップがあると、企業の内部統制は形骸化するのです。

これでは、リスクマネジメントもコンプライアンスも機能することはありません。

そこで、経営者を常に監視して、不適切な行動をとっている場合は経営に関与させないようにするのがコーポレートガバナンスです。

コーポレートガバナンスでは、具体的には企業の所有者である株主が主体となって、監査役や社外取締役を通じて経営者の行動を監視しています。

投資している企業が、経営者により適切に運営されているかを監視し、もし不適切であれば運営者を取り替える、この一連のガバナンスが機能しているかが重要です。

コンプライアンスのメリットとデメリット

コンプライアンスは順守しなければならないものですが、順守することでメリットとデメリットが存在します。

メリットとデメリットを正しく理解して、適切に対応を図ることが重要です。

ここでは、具体的なメリットとデメリットについて解説します。

コンプライアンスのメリット

コンプライアンスを順守するメリットとしては、企業や組織としての信頼や安心、安全性を担保できる点が挙げられます。

顧客からすれば、信頼できる企業と取引したいものですが、その信用性をコンプライアンス順守で得ることができるのです。

同時に、透明感ある経営を行っている企業はブランドイメージが向上して、結果として株価の向上に繋げることもできます。

株主に安心してもらうことで、会社株式を長期保有する効果も期待できます。

さらに、株主からの信頼を得ることで株主総会も円滑に進めることができ、経営陣によるリスクテイクにもつなげることが可能です。

コンプライアンスを順守するメリットとしては、他にも意外と見落としがちなステークホルダーである従業員とのトラブルを回避できるという点があります。

企業側が従業員との間でトラブルを発生させるケースは少なくありません。

特に昨今、以下のような問題によりトラブルに発展するケースが見られます。

  • 各種ハラスメント
  • 残業代の未払い
  • 不当解雇

以上は、コンプライアンス違反を原因としたトラブルとなります。

これを回避するためには、労務管理に関するコンプライアンスを強化して、法令違反の状態排除することにより、トラブルのリスクを最小限に抑えることが可能です。

コンプライアンスのデメリット

コンプライアンスを順守することは、企業にとっては義務と言えます。

順守すべきものであり、対応に時間や費用が掛かったとしても対応が必要になりますが、昨今はコンプライアンスの範囲が広がり、法令順守以外のことにも対応しなければなりません。

中には、過剰な対応をすることで無駄な労力を使用しているケースも見られます。

また、コンプライアンスの順守を強化することで、新しいことにチャレンジしようとした際に足かせになる場合もあるのです。

特に、新製品を開発する部門がある場合、従業員がよいアイデアを生み出したとしても、それがコンプライアンスに抵触すると委縮してしまい、せっかくのアイデアが実現できないケースも散見されます。

よって、コンプライアンスを順守する範囲を正しく理解し周知させること、そして新しいアイデアを提案しやすい環境を整えることが、経営者には求められます。

コンプライアンスを違反するとどうなるの?

意図的ではなくても、コンプライアンスを違反することで、企業にとって様々な悪影響が発生します。

具体的な影響としては、次に取り上げるようなケースが想定されます。

行政からの罰則や処分

法令違反に関する行政の対応は、近年着実に厳しさが増しています。

行政側が処罰を厳しくしている背景としては、企業内のコンプライアンス体制の整備を後押ししていこうという狙いがあるためです。

もしコンプライアンス違反が発生すると、行政処分として罰則や処分が下ります。

例えば、個人情報保護法違反を犯した場合、主務大臣による注意勧告や命令の対象となります。

もし、命令に対しても違反した場合は、罰則規定に従って6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金となるのです。

さらに個人情報の漏洩が発生した場合、損害賠償請求により責任を追求される可能性もあります。

以上のように、企業側としては本来負担する必要がない罰金を科されるケースもあるので注意してください。

ステークホルダーからの信用失墜

行政から処分されると、官報に企業名と違反内容が記載されます。

また、有名な企業の場合はニュースなどで取り上げられ、多くの方の目に触れる機会が高まります。

悪評ほど、すぐに世間の話題となって広まりやすい傾向にあるものです。

企業内のコンプライアンス体制に不備があって、内部統制が働いていないというイメージが一気に広がる懸念があります。

現在取引している顧客からの信用が失墜し、取引停止などが発生する可能性が高まります。

これによって、売上や収益が低迷することになり、株価が下がることでしょう。

特に、企業を信頼して長期的に株式を保有して安定株主から、見放されてしまう可能性があり、安定基盤を失うことになりかねません。

他にも、違法行為が行われている企業の中で、長期間働きたいと思えなくなり、有能な人材を失ったり採用できないなどの問題が発生します。

以上のように、コンプライアンス違反によって徐々に企業イメージが悪化すると同時に、今後に向けての事業運営も厳しくなっていきます。

株主代表訴による損害

コンプライアンス違反によって企業イメージが低下した場合、株主は経営陣に対して、損害賠償を求める訴えるケースが多いです。

司法が経営陣の責任を認めることになれば、取締役は賠償していかなければなりません。

企業内の雰囲気が悪化

違法行為に対して、見て見ぬふりをしていた企業では、従業員が不正を当たり前と感じるようになりがちです。

統制できなくなると、消費者や取引先への不当な営業や横領、不良品の見逃しなどのトラブルが発生しかねません。

もしトラブルが発生すると、更なる企業イメージの悪化とともに、従業員のモチベーション低下や離職などの可能性も高まります。

コンプライアンスの違反事例

過去、有名企業でもコンプライアンス違反によって大きな社会問題を引き起こしました。

ここでは、主なコンプライアンスの違反事例を紹介します。

船場吉兆事件

仙波吉兆は、高級料亭として有名な存在でした。

2007年10月28日、船場吉兆が運営する吉兆天神フードパークにおいて、売れ残った黒豆プリンと桜ゼリーなどの菓子のラベルを張り替えて、表示を偽装していたのです。

2007年11月1日には、栗のふくませ煮などの惣菜を、吉兆天神店に流していたことが発覚しました。

仙波吉兆では、これだけでなく大阪市中央区の本店において、佐賀県産の和牛を但馬牛、ブロイラーを地鶏と表示し偽装を図ります。

さらに、みそ漬けの産地偽装や無許可での梅酒製造及び販売、客の食べ残しの再提供などの問題が次々と発覚して、社会問題となりました。

一連の偽装は、パートの女性らの独断によるものとしていましがが、実際には組織ぐるみで偽装を図っていたことが明らかになり、大きな批判が巻き起こったのです。

最終的には、仙波吉兆は破産して現在は存在していません。

東洋ゴム事件

タイヤメーカーとして有名な東洋ゴムも、かつて不祥事を発生させています。

2007年には、断熱パネルが不正に認定を受けていたことが判明しました。

これは、断熱パネルの性能試験を受ける際に、サンプルには燃えにくい物質を混ぜていたにもかかわらず、製品にはその物質は使用していませんでした。

これにより、製品は認定基準の1/3程度の性能しかなかったのです。

その後、2015年3月13日には、国土交通省が東洋ゴムが製造した建築物の免震機構に用いられるゴム製部品において、不良品の出荷や性能データの偽装があったことを公表しました。

データ偽装が行われていた製品は即日大臣認定が取り消されましたが、当時の段階で55棟で使用されていたのです。

この事態を受けて、2015年6月には当時の山本卓司社長らの引責辞任が発表されました。

また、商号がTOYO TIRE株式会社に変更となっています。

三菱自動車事件

三菱自動車では、数回にわたってリコール隠しなどの問題が発覚し、社会的信用が大きく失墜しました。

リコール隠しが発覚した発端は、2002年1月10日に発生した、重機を運ぶ大型トレーラーから走行中にタイヤがはずれて転がって、歩いていた主婦にぶつかり死亡した事故です。

これは、トレーラーのタイヤハブの破損が原因でしたが、三菱自動車製の大型車のハブ破損事故は1992年以降に計57件発生していましたが、リコールを申し出ていなかったのです。

その後、2016年には軽自動車4車種の燃費試験に使うデータを改ざんしていたことを明らかにして、大きな批判を浴びました。

不二家事件

不二家では、2017年にペコちゃんのほっぺという商品を食べた9人から、食中毒症状が発生したことを公表しなかったことを明らかにしました。

2006年10月と11月の計8回、埼玉県新座市の埼玉工場でシュークリームを製造する際、賞味期限が切れた牛乳を使用していたのが原因です。

労働組合員からの内部告発を受けた報道機関によって事実が明るみになり、後追いという形で公表されたことに批判が殺到しました。

この事件により、不二家ブランドは大きく失墜しています。

電通過労死事件

2015年12月25日に、広告代理店として有名な株式会社電通で女性従業員過労自殺事件が発生しました。

電通に入社したばかりの女性従業員が、長時間労働を原因に自ら命を絶ってしまい、判明しているだけでも月100時間を超える残業時間だったのです。

事件に関して、電通は労働基準法違反として罪に問われて、東京簡易裁判所より罰金50万円の判決を言い渡されました。

また、電通では過去にも月140時間を超える残業を強いられていた従業員が自殺する事象が発生していました。

同様な事件を起こしているだけでなく、2014年度には従業員1,400人前後が労使間協定の上限を超える違法残業をしていたことが指摘されています。

この事件をきっかけに、時間外労働については2019年4月から、中小企業で2020年4月から上限規制が導入されるきっかけとなりました。

東芝の不正会計問題

大手家電メーカーである東芝において、内部通報に基づき証券取引等監視委員会が実施した検査の結果、不正会計が発覚しました。

計4部門において、1500億円以上が水増しされていたのです。

原因は、リーマンショックによる経営悪化と上層部からの圧力が背景でした。

組織的ぐるみの不正が疑われたこともあって、当時の監査法人や、その後就任した監査法人にも多大な影響を及ぼしました。

コンプライアンス違反が発生した場合の対処

コンプライアンス違反が発覚した場合、適切な対処が求められます。

この対応を誤ったがために、さらに企業イメージが低下したケースあるのです。

コンプライアンス違反を把握した時点で、危機管理の事態がスタートしたことを認識することから始めてください。

事実を正確に把握して、違反事実が重大か否かを判定した上で、公表すべきかどうかの判断を行う必要があるためです。

 

・経営者が主導となって調査チームを立ち上げ、事実関係の調査

・調査結果から、外部から指摘される前に自ら公表する

・事実を公表した後に求められるのは、マスコミ対策です。記者会見などを行うことが多いのですがここで重要となるのが謝罪です。

 謝罪する先はマスコミや視聴者ではなく、あくまでも株主や顧客、取引先、消費者です。

・謝罪後は、詳細な事実説明を丁寧に行います。

 断片的な情報を提供するよりも、細かい経過を説明することによって、一定の安心感を与えることができます。

 企業として取り戻したいのは、社会からの信用であり、どれだけ真剣になって問題を解決しようとしているかが問われますので、丁寧な説明が必要となるのです。

・最後に、違反行為の関係者の処分も世間から求められることが多いです。

 単に関与した従業員だけを処分するのでは、意味がありません。

 企業体質に問題があるケースでは、代表取締役をはじめとして役員の退任や役員報酬の減額などの処分も必要となるでしょう。

 一通りの対処が完了したら、信用回復に向けて愚直に企業活動していくことになります。

コンプライアンス順守を第一に考えよう

企業活動をする上で、まずはコンプライアンス順守を第一に考えることが重要です。

軽い気持ちでコンプライアンスを違反していると、後で大きな代償を支払うことになりかねません。

企業、そしてステークホルダーのためにもコンプライアンス順守を徹底しましょう。

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