多くの企業では、夏と冬に2回出るボーナスを楽しみにしている人が多いのではないでしょうか。
大きな買い物をしたり旅行の費用に充てるなど様々な目的があるでしょう。
気になるのは、どの会社でもボーナスは夏と冬なのでしょうか。
また、自分のボーナス金額は平均以上?以下?なのか平均金額はどれくらいなのか職種別に紹介させていただきます。
目次
ボーナス(賞与)とは
部下に「ボーナスって何ですか?」と聞かれたらなんと答えますか?
人によって様々な解釈をしていると思いますが、正しい知識を知っていれば恥ずかしい思いをしなくて済むでしょう。
ボーナスは、ビジネスでは「賞与」と呼ばれることが多く、
賞与の「賞」とは褒美、「与」はあたえるとの意味になるため、会社から褒美を与えるといった意味になります。
あくまで賞与(ボーナス)は労働の対価であることから賃金の一つです。
そのため年収を記載する場合には、毎月の賃金にボーナスを加えた金額を記載することになります。
しかし、賃金とボーナスの一番の違いは、法律上必ず発生するとは限らないものです。
企業によって、ボーナスの支払いを取り決めている場合は支払い義務がありますが、
多くの企業にて「会社の業績による」など注意書きがある場合が多いです。
要するに、ボーナスは会社の業績が良くないともらえないと認識するほうが正しいでしょう。
「賞与(ボーナス)は、支給の有無や金額がもっぱら使用者の裁量に委ねられている場合は、単なる恩恵的給付であって賃金ではありません。
しかし、労働協約、就業規則、労働契約などに少なくともその支給要件や支給時期、計算方法などが定められている場合は、労働の対償としての賃金であり、労働基準法第11条の規定が適用されます。
そして、その支給要件を満たす従業員は、賞与(ボーナス)の支給を請求することができます。
まずは支給要件などについて、就業規則などを十分確認してください。
適正な就業規則の変更などにより、賞与を支給しないこととされていない限り、支給要件を満たしているようでしたら、会社に支払いを請求することができます。
請求する上では、ほかの従業員の方も同様の取扱いのようでしたら、皆さんで一緒に請求するのがよいでしょう。
なお、口頭による請求のほか、配達証明による内容証明郵便により、請求したことを明確にする方法も考えられます。
また、支払督促、民事調停、少額訴訟など簡易裁判所を利用する方法も考えられます。」
ボーナスがもらえなかった場合は、労働協約や就業規則、労働契約などを確認することが重要となります。
もし、これらの書類にボーナスに関する支給条件や支給時期などが記載されている場合は労働基準法第11条の規定が適用されるのです。
労働基準法第11条とは以下のように定められています。
「第十一条この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」
要するに、就業規則などで賃金に関して説明されている部分に、ボーナスに関しても記載されていれば就業規則通りに支払う必要があります。
さらに、ボーナスの査定において不当な減額や査定はNGとなっています。
例えば、従業員が労働組合を結成したことへの報復でボーナスの査定に影響があった場合には、完全な違法行為になるので雇用主は注意が必要です。
決算賞与・業績賞与との違い
「ボーナス=賞与」であるとの説明をしました。
しかし、そうなると決算賞与や業績賞与の違いが気になるのではないでしょうか。
大きな違いは、雇用契約上に記載があるかどうかです。
ボーナスは先述した通り基本的には記載がありますが、「決算賞与・業績賞与」については臨時ボーナスという意味があります。
決算賞与とは、会社が利益を出したタイミング且つ決算の時期で労働者に還元する臨時のボーナス的な意味合いがあります。
業績賞与とは、決算賞与と同じく会社の業績が良い時に経営者が適宜判断を行い支払われる賞与のことを指します。
ボーナスはいつ支給されるのか
ボーナスの支給日に関して説明していきます。
まず、国家公務員に関しては条例によりボーナスの支給日が決められています。
「夏は6月30日」「冬は12月10日」となっています。
また、地方公務員に関してはそれぞれの自治体が日付を決めていますが、国家公務員とほとんど変わらない場合が多いです。
そのため公務員は、「夏が6月30日」「冬は12月10日」と思ってよいでしょう。
一般企業に関しては、おおよそ「夏は7月10日~20日前後」「冬は同じ12月10日~20日前後」です。
企業によってボーナスを支給する日が異なるので、正確な日付を知りたい方は、上司の方、経理部、人事部の方に聞くと良いでしょう。
また、新入社員の方はボーナスをもらえるか気になる方もいるでしょう。
4月入社の方で7月にボーナスをもらえる企業はほとんどありません。
多くの企業では入社後数か月は試用期間になっておりその間は査定対象外になる為
ボーナスの査定も行われない事が多いので、期待していると悲しい気持ちになる場合があるので注意しましょう。
平均ボーナスの額とは
公務員や大手企業の平均ボーナス金額に関しては、ニュースや記事などで目にすることが多いでしょう。
令和3年の夏のボーナス平均支給額は661,100円で前年比2.8%減となっていました。
国家公務員の平均ボーナスが下がるのは東日本大震災後の復興財源を確保する目的で避けられた2012年以来のことです。
地方公務員と国家公務員を合わせたボーナスは平均で731,290円と前年比1.6%減となっています。
参考:マイナビニュース
上記のように公務員のボーナスに関しては毎年新聞にはっきりとした金額が記載されます。
厚生労働省のデータによると令和2年の夏季賞与は一人当たりの平均では前年度0.5%増しの383,431円となっています。
新型ウイルスコロナの影響があった令和2年ですが平均で考えるとボーナスの金額は増えています。
また産業別に見てみると卸売業や小売業が1.9%増、医療や福祉関連が3.1%増となっているのに比べて製造業は4.6%減となっています。
しかし賞与支給なる事業者で働いている人の割合は前年同令和元年と比べて2.4%減の79.5%となっています。つまり20%の労働者が賞与を受け取っていないことになります。
平成26年から令和2年前での夏の賞与と冬の賞与に関して前年比を推移したデータが以下のようになっています。
| 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 |
夏のボーナス | 3.0 | -2.7 | 2.6 | 0.4 | 4.2 | -1.5 | 0.5 |
冬のボーナス | 2.0 | -0.1 | 0.2 | 2.9 | 1.0 | -0.2 |
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製造業夏のボーナス | 9.7 | -3.1 | 0.7 | 0.6 | 3.6 | -1.2 | -4.6 |
製造業冬のボーナス | 5.0 | 1.0 | -0.7 | 4.3 | 0.2 | -1.3 |
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参考:厚生労働省
令和2年の夏季の賞与支給状況
事業所における労働者1人平均賞与額
令和2年の夏のボーナスの支給状況は以下のようになっています。それぞれの産業別に令和元年と比較をしていますが、産業別によってボーナスの変動が大きく変わることがわかります。
つまりボーナスは会社全体的に売上が大きく響くのです。
産業 | 令和2年 | 令和元年 | 前年比 |
調査産業合計 | 383,431円 | 381,343円 | 0.5 |
鉱業、採石業 | 483,785円 | 575,709円 | -16.0 |
建設業 | 512,328円 | 513,611円 | -0.2 |
製造業 | 491,999円 | 515,635円 | -4.6 |
電気ガス業 | 778,997円 | 779,700円 | -.0.1 |
情報通信業 | 671,221円 | 679,098円 | -1.2 |
運輸業郵便業 | 339,235円 | 367,466円 | -7.7 |
卸売業小売業 | 345,445円 | 338,932円 | 1.9 |
金融業保険業 | 635,558円 | 607,594円 | 4.6 |
不動産物品賃貸業 | 447,592円 | 447,396円 | 0.0 |
学術研究など | 643,092円 | 660,402円 | -2.6 |
飲食サービス業 | 55,296円 | 62,688円 | -11.8 |
生活関連サービス | 162,270円 | 159,473円 | 1.8 |
学習支援教育 | 518,523円 | 505,637円 | 2.5 |
医療福祉 | 284,697円 | 276,199円 | 3.1 |
複合サービス事業 | 343,922円 | 429,742円 | 1.2 |
その他のサービス業 | 221,166円 | 208,712円 | 1.2 |
参考:厚生労働省
以上のように令和2年は新型ウイルスコロナの影響で多くの業種において賞与額が前年比と比べて下がっています。
特に鉱業、飲食サービス業、運輸業が下がっているのですがこの中でも飲食サービス業や運輸業は新型コロナウイルスの影響が直接を受けた業種と言うでしょう。
しかし新型ウイルスコロナの状況下においても金融業者保険料、教育学習支援業、医療福祉関連、サービス業など平均的な賞与額が上がっている業種も多くあります。
またすべての業種の平均としても前年度から0.5%増となっており全体的にはほとんど変わらないか多少が上がっているといった数値が出ています。
転職サービスのDODAでは平均ボーナスの高い職種ランキングTOP30を紹介しています。
全職種の平均は100.2万円となっており、冬のボーナスが48.5万円、夏のボーナスが47万円、その他に4.7万円のボーナスがあります。
最もボーナスの高い職種は内部監査であり一年間の平均ボーナスは177.1万円となっています。
次に高いのは法務や知的財産、特許などで166万円、第3位が研究開発やR&Dの164.9万円となっています。
DODA調べて紹介している1位から30位に関しては以下のようになっています。
企画や管理、またIT関連が上位に入っていることがよくわかります。
IT関連といってもコンサルタントや研究開発、基礎研究など様々な職種が上位に上がっています。
年収別の職種ランキングでも、iIT関連やコンサルタントが常に上位に来ており近年動く稼げる職種はある程度決まっています。
しかしコンサルタントは年収では常に来ていますがボーナスではあまり入っていないため、毎月の基本的な給料が高いことが分かります。
逆に企画や管理などは年収の上位ランキングにはあまり入っていないため、数字によってボーナスに反映されるのではないでしょうか。
そのため安定した職種というわけではなく、業績によっては大きく給料を上げられる業者ともいえるでしょう。
また国家公務員と地方公務員の平均のボーナスが73万1290円となっているため、もしこのランキングで考えても20位以下となります。
しかしそうは言っても一般企業のボーナスが平均で55万円前後と言われているため国家公務員と地方公務員の平均のボーナスは一般企業の平均よりも高いことが分かります。
また国家公務員や地方公務員のボーナスは10年ぶりに下がったと言われており、ボーナス額が安定しているといった特徴もあります。
しかし以下のように上位に来ている職種と比べて上がり幅は少ないと言えるでしょう。
順位 | 職種名 | 職種分類 | 一年間のボーナス |
1位 | 内部監査 | 企画や管理 | 177.1万円 |
2位 | 法務・知的財産・特許 | 企画や管理 | 166.0万円 |
3位 | 研究開発・R&D | ITや通信エンジニア | 164.9万円 |
4位 | MR | 営業 | 164.9万円 |
5位 | 基礎研究 | モノづくり系エンジニア | 161.6万円 |
6位 | 融資審査 | 金融系専門職 | 157.6万円 |
7位 | 研究開発 | 薬品・科学 | 153.2万円 |
8位 | 品質管理 | ITや通信エンジニア | 150.8万円 |
9位 | 製品比較 | モノづくり系エンジニア | 148.5万円 |
10位 | リサーチ・市場調査 | 企画や管理 | 145.8万円 |
11位 | 経営企画 | 企画や管理 | 143.8万円 |
12位 | ITコンサルタント | ITや通信エンジニア | 141.8万円 |
13位 | 回路設計 | モノづくり系エンジニア | 139.1万円 |
14位 | インフラコンサルタント | ITや通信エンジニア | 137.9万円 |
15位 | ネットワークエンジニア | ITや通信エンジニア | 137.9万円 |
16位 | 評価実験 | モノづくり系エンジニア | 136.6万円 |
17位 | 組み込みエンジニア | モノづくり系エンジニア | 135.7万円 |
18位 | 化学素材メーカーの営業 | 営業 | 135.5万円 |
19位 | 品質管理 | モノづくり系エンジニア | 134.2万円 |
20位 | 電機メーカーの営業 | 営業 | 132.2万円 |
またdodaでは年代別の平均ボーナスも以下のように発表しています。
二十代から三十代にかけて最も増加しており、年間の平均ボーナスに関しては年代が上がるにつれてボーナスの金額も増えています。
新型ウイルスコロナの影響がありながらボーナスは全体的に上昇していることが分かっています。
| 冬のボーナス | 夏のボーナス | その他のボーナス | 一年間の合計ボーナス |
全体 | 48.5万円 | 47万円 | 4.7万円 | 100.2万円 |
20代 | 28.6万円 | 30.6万円 | 3.7万円 | 62.8万円 |
30代 | 46.3万円 | 44.7万円 | 5.3万円 | 96.2万円 |
40代 | 50.4万円 | 48.5万円 | 5.0万円 | 104万円 |
50代 | 60.9万円 | 58万円 | 4.4万円 | 123.3万円 |
参考:doda
また年齢別のボーナス支給額に関しては平成30年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査にも以下のように記載されています。
年齢年間ボーナス平均支給額
20~24歳32万2,700円
25~29歳72万7,800円
30~34歳94万900円
35~39歳109万8,100円
40~44歳131万4,700円
45~49歳158万600円
50~54歳171万5,300円
55~59歳163万9,700円
60~64歳100万1,300円
65~69歳66万8,900円
70歳~64万4,200円
厚生労働省のデータを見ると定年であることが多い55歳から59歳の年代が最も163万9,700円と高く、60歳を超えるとまた下がっていきます。
しかし60歳から64歳で平均ボーナス金額が100万円を超えており、70歳を超える平均ボーナス額も64万円以上と60歳以上でもしっかりとしたボーナスを受け取っていることがわかります。
特に65歳を超えている人であれば、ほとんどが再就職制度などに当てはまることが多くそれでもこれだけのボーナスをもらえるということは、技術面や経験などが評価されているということもあります。
定年を超えても仕事をしたいと考えている人にとってはいい情報ではないでしょうか。
さらに厚生労働省の毎月勤労統計調査平成元年の結果によると、2018年の夏のボーナスの支給状況が企業規模ごとに説明されています。
企業規模ボーナスの平均支給額
500人以上65万3,688円
100~499人43万1,227円
30~99人33万1,267円
5~29人26万1,268円
以上のようにボーナスの平均支給額は企業の規模に比例しており、企業の規模が大きくなればなるほどボーナスの平均支給額も上がっていることがわかります。
つまり大企業の場合は福利厚生も多くボーナスも高くなることから、基本給以上に給料の差が出ることがわかります。
ボーナスから差し引かれる保険料など
ボーナスも給与として考えられているため、通常の給与のように厚生年金保険料や所得税、健康保険料や四十歳を超えている場合は介護保険料も引かれます。
割合として支給額の2割程度が引かれると考えてよいでしょう。
つまり支給額の8割を受け取ることができます。
ボーナス金額が提示された時点で2割を引いて計算するようにしましょう。
ボーナスの使い道とは
ボーナスの使い道は2020年9月から2021年8月の1年間のアンケートによると、生活費の補填が一番です。
また支給額の9割以上を19.6%の人が貯金に回しており、新型ウイルスコロナの影響などにより生活に不安があったことがよくわかります。
貯蓄や生活費の補填以外においては趣味や娯楽が28%、旅行やレジャーに関しては25%となっています。
このようにボーナスの使い道を見ていても、それぞれ時の経済事情などがわかります。
特に住宅ローンなどでボーナス払いを設定している人にとっては、ボーナスが入るかどうかだけでもハラハラするのではないでしょうか。
ボーナスと転職をするタイミング
因みに、ボーナス支給月と転職をするタイミングは因果関係があります。
転職のピークは「6・7月」&「12・1月」です。
という事は、ボーナスをもらって転職する人が多いという事です。
注意しなくてはいけないのが、一般的に退職する場合は、
やむを得ない場合を除き退職意思を事前に伝える必要があるので注意です。
私が、務める会社ですと就業規則に「2週間前」と明記されているため
ボーナスを受けてすぐに退職をしたい場合でも、ボーナスを受け取る前に退職の意思を伝える必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか、ここまでボーナスの支給日は平均金額などを職種別に解説してきました。
令和2年に関しては新型ウイルスコロナの影響により、特に飲食店や運輸業などが大きく前年比より下がっています。
しかしこの状況下の中平均ボーナスの金額が増えている業者もありすべて合計すると令和元年と比べて0.5%増しとなっています。
また公務員の令和3年の夏のボーナスは、東日本大震災の時以来の減額となっています。
以上の数値を見てもボーナスに関してはよっぽどの経営の悪化でない限り、ある程度の金額が出ることが分かっています。
企業によってはボーナスを出すことを規定に記していることもあり、新型ウイルスコロナの影響下の中平均ボーナスの金額はそれほど下がっていないことがわかります。
ボーナスの支給時期ですが、一般企業であれば7月初旬から中旬、また冬のボーナスは12月初旬から中旬であることがほとんどです。
公務員のボーナスは決まっており国家公務員は夏が6月30日、冬が12月10日となっています。
地方公務員はそれぞれの地方によって決まりがありますが、基本的に国家公務員とそれほど違いはありません。
そのため公務員に関しては一般の企業よりもややボーナスの支給日は早めと言っていいでしょう。