ストレスチェックの実施方法や義務化、制度化されたことでの罰則は!?
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近年のコロナ禍で、労働者のストレスを心配する事業者も多いのではないでしょうか?

慣れないテレワークや外出自粛、経営不信などの問題も発生しています。

労働者のストレスはモチベーションを低下させ、生産性の低下にもつながるでしょう。

そこで、注目されているのが、労働者のストレスを評価してケアするストレスチェックです。

ストレスチェックは労働者数50名以上の会社は義務化され、実施しない場合には罰則もあります。

50名未満の会社は努力義務ですが、実施が望ましいとされています。

しかし、「ストレスチェックのやり方は?」「助成金は出るの?」という疑問もあるでしょう。

こでは、厚生労働省が提示したストレスチェックの方法や助成金、注意点などを解説します。

ストレスチェックは適切に実施することが大切です。プライバシーに配慮し、効果的に労働者のストレスを解消しましょう。

ストレスチェックとは?

ストレスチェックとは?

会社に従事する人の、心の健康状態をチェックすることです。

本人が希望した、またはテストの結果から必要と判断された場合、専門家から指導を受けて改善を目指します。

会社や仕事を原因としたストレスは、いまや社会問題です。

厚生労働省が実施した2021年の労働安全衛生調査によると、過半数に当たる54%の労働者が仕事にストレスを感じていました。

近年問題になっているのが、時間外労働の強制や大量の仕事の押し付けなどの「ブラック企業」です。

2015年に発生した広告代理店「電通」の、新入社員の過労自殺事件は記憶に新しいのではないでしょうか。

事件をきっかけに「働き方改革」が行われ、長時間労働などの見直しが行われました。

 

しかし、労働者のストレス原因は労働環境だけではありません。

労働安全衛生調査では、27%がストレスの原因に対人関係を選択しています。

社内の問題としては上司のパワハラや同僚との競争、ほかの社員との性格の不一致などが考えられるでしょう。

モンスタークレーマーなど、顧客との関係も大きなストレス要因です。

 

会社の持続的な成長には、労働者の定着が重要になります。

しかし、新卒者の3人に1人以上が3年以内に離職し、年功序列制から実力主義に変わりつつある時代です。

労働者のドロップアウトを防ぐために、心のケアは必須でしょう。

50名以上の労働者を抱える場合は義務化されている

2015年12月より、常に労働者が50名以上在籍する会社に対し、ストレスチェックが義務化されました。

労働者にはパートや派遣社員も含み、以下2つの条件を満たす場合はストレスチェックを受けさせなければなりません。

  • 期間の定めがない労働契約を結んでいる(または1年以上の期間を定めている)
  • 1週間の労働時間が、同じ業務に従事する通常の労働者の1週間の労働時間の3/4以上

労働契約に期間の定めがなく、労働時間が通常の労働者の1/2以上の場合は、実施が「望ましい」とされます。

ストレスチェック実施時に休職している労働者は対象外です。

労働者数が50人未満の会社については、当分の間は努力義務としています。

努力義務には法的な効力はなく、実施せずに罰則が科されることもありません。

それでは、日本の9割を占めるといわれる中小企業では、ストレスチェックを実施しなくていいのでしょうか?

労働基準監督署への2021年度の相談件数は、過去最高の12万件以上です。

また、2011年より心理的な不調による労災認定のガイドラインが政府から発表されました。

「働きやすさ」に対する意識は年々高まっています。

労働者にとってより良い労働環境にするために、ストレスチェックは積極的に活用しましょう。

ストレスチェック3つのポイント

ストレスチェック3つのポイント

ストレスチェックは以下3つのポイントを押さえましょう。

  • 調査票を用いて点数評価する
  • ストレスチェックシートのアンケート項目を使用
  • 心身ストレス反応の選定

やみくもに実施しても効果は得られません。

ストレスチェックの経験者からは「質問項目が多すぎる」「頻度が高すぎて業務に差し障る」という不満の声がありました。

また、「ストレスチェックを受けても改善が見込めない」というケースも問題です。

ストレスチェックが労働者にとってストレスになる事態は避けましょう。

調査票を用いて点数評価する

点数制の質問紙または情報通信機器(ICT)の調査票を使いましょう。

調査票とは、労働者が自ら記入、または入力する質問票です。

調査票には、厚生労働省が提示する57項目の「職業性ストレス簡易調査票」が推奨されています。

また、23項目の「職業性ストレス簡易調査票の簡易版」もあり、どちらも厚生労働省のHPからダウンロードが可能です。

また、情報通信機器(ICT)を利用した「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」も無料で提供されています。

実施プログラムの特徴は以下7つです。

  • 労働者が画面上でテストを受けられる
  • 受験状況の管理が可能
  • あらかじめ判定基準を設定し、労働者の入力データに基づいて自動的に高ストレスを判断される
  • 結果を労働者ごとに出力できる
  • 集団別で結果を集計、分析できる
  • 結果を集団ごとに出力できる
  • 労働基準監督署に報告するデータを表示

ただし、厚生労働省が提供している調査票の使用は、法律上で規定されるものではありません。

事業者の判断によっては外部委託も可能です。外部委託する場合は、調査票には科学的根拠が必要になります。

ストレスチェックシートのアンケート項目を使用

調査票のアンケート項目を使用して、ストレスの度合いをチェックします。

アンケート項目には規則第52条の9 第1号から第3号が規定する、以下3つの領域を含まなければなりません。

  • 仕事のストレス要因…職場での心理的な負担
  • 心身のストレス反応…ストレスが原因で起こる自覚症状
  • 周囲のサポート…ほかの労働者からの支援体制

外部委託する場合も、アンケート項目には3つの領域が必須です。

厚生労働省が提示する「職業性ストレス簡易調査票」以外の項目をつくるときは科学的根拠を必要とします。

アンケート項目には不適切とされる項目もあるので注意しましょう。

たとえば、ストレスチェックは「性格検査」や「適性検査」ではないため、項目に含めることはできません。

「希死念慮」や「自傷行為」の項目を作った場合は、労働者にリスクが判明したときに速やかに対処する必要があります。

会社の体制が不十分な場合は不適切でしょう。

また、アンケート項目を検討するときは、うつ病のスクリーニングテストではないことも意識しなければなりません。

心身ストレス反応の選定

労働者の心身ストレス反応の度合いを測定し、高いストレスを抱えた人を選定します。

厚生労働省が定めた3つの領域を参考に、以下2つの特徴が見られた場合は高ストレス者です。

  • 「心身のストレス反応」の合計点数が高い
  • 「心身のストレス反応」の合計点数が一定以上、かつ「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」の2領域の合計点数が著しく高い

「心身のストレス反応」の点数が高い労働者は、ストレスに対して自覚的です。

しかし、「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」が高い場合、潜在的にストレスを抱えている可能性があるでしょう。

自覚症状のない高ストレス者を選定するために、3つの領域を総合的に判断しなければなりません。

点数は標準化されているため、実施者が採点することが可能です。

労働者にストレス状態を自覚させるため、レーザーチャートなどでわかりやすく示すことが重要になります。

また、高ストレス者を選定するために、補足的な面談を行うことも可能です。

メンタルヘルスの専門家に依頼し、実施者が最終的な選定を行います。

ストレスチェックの実施方法

ストレスチェックの実施方法

ストレスチェックは、以下4つのステップで実施します。

  1. 事前準備
  2. 質問事項の作成と実施
  3. 面接指導
  4. 改善

労働者50名以上の会社では、ストレスチェックは年に1回以上の実施を義務付けられています。

健康診断と同時に行うことも可能です。

ただし、ストレスチェックは労働者の義務ではなく、結果は本人のみに通知されることを事前に伝えなければなりません。

ストレスチェックの調査票と健康診断の問診票をわけるなど、配慮も必要です。

ストレスチェックを受ける労働者の気持ちを最優先にしましょう。

事前準備

事前準備として、会社全体にストレスチェックを実施するという方針を表明しましょう。

会社内の衛生委員会で具体的な実施方法を検討します。検討内容は以下の8つです。

  • ストレスチェックの対象となる労働者
  • ストレスチェックを実施する日時
  • 使用する質問票
  • 高ストレス者の選定方法
  • 労働者が誰に面接指導を申し出るか
  • 面接指導を依頼する医師
  • 集団分析を行う方法
  • ストレスチェックの結果の保存先やセキュリティ対策

衛生委員会で決定したことは社内規定などを作成し、すべての労働者に通知しましょう。

また、労働者が安心してストレスチェックを受けられる環境づくりも必要です。

労働者がリラックスしてストレスチェックを受けなければ、正確な評価を出すのは難しいでしょう。

データは同意がない限り事業者には提出されないなど、労働者には事前にプライバシー保護について説明します。

検査を受ける労働者以外に対しても配慮が必要です。

労働者のストレスチェックの結果に問題があったとしても、部署のリーダーに責任を負わせてはいけません。

また、労働者が安心して面接指導を申し出られるよう配慮しましょう。

依頼する医師を指定し、申し出たことを外部に漏らさないようにします。

質問事項の作成と実施

調査票の質問事項を作成し、ストレスチェックを実施しましょう。

効果的な調査票を作るために、役割分担を行います。事業者はストレスチェックに関する全責任者です。

事業者から実施者を指名しましょう。実施者は以下3つのどれかに属する人を選びます。

  • 医師
  • 保健師
  • 厚生労働省が定めた一定の研修が修了済みの歯科医師や看護師、精神保健福祉士など

実施者には、会社の日頃の状況を把握している産業医が適任です。

アウトソーシング会社や嘱託産業医に委託する場合にも、共同実施者として参加することが望ましいでしょう。

また、実施者を補佐する役割として実務事務従事者を決定します。

実務事務従事者は事務職員などから選ばれ、データ入力や調査票の回収が仕事です。

実施者と実務事務従事者は労働者の個人情報を扱うため、守秘義務が課せられます。

そして、実施者が判断しながら質問事項を作成しましょう。

調査票は労働者がアンケート用紙に記入する方法と、情報通信機器(ICT)に入力する方法から選びます。

厚生労働省のHPで取得できる「職業性ストレス簡易調査票」「職業性ストレス簡易調査票の簡易版」を使用するのが望ましいです。

面接指導

労働者へ結果を通知して、必要に応じて面接指導を行います。

結果は実施者から労働者に直接通知され、事業者に知らされることはありません。

また、ほかの労働者の目に入らないように個別でメール送信や封筒で郵送を行います。

通知する内容は以下の3つです。

  • ストレスの傾向と分析結果
  • ストレスの程度(高ストレス状態か)の評価結果
  • 面接指導が必要かの評価結果

ストレスをケアするためのアドバイスや、面接指導を申し出る方法も併記することが望ましいでしょう。

データは実施者または実務事務従事者が保存します。

面接指導の申し出は、結果の通知から1ヵ月以内に行わなければなりません。

面接指導を決定するのは、ストレスチェックを受けた労働者本人です。

しかし、労働者本人が高ストレス状態を自覚せず、面接指導を申し出ないことがあります。

実施者は本人がストレス状態に納得できるよう、レーダーチャートなどを使用してストレスチェックの結果をわかりやすく工夫しなければなりません。

一定期間を置いたあと、本人にメールや郵送で面接指導を推奨することも効果的です。

労働者の許可を得て会社に結果を通知している場合は、事業者からも推奨しましょう。

改善

面接指導は、労働者本人から申し出があれば行います。

ストレス状態の把握後は、状況の改善を行いましょう。

面接を実施するのは産業医が望ましいです。外部委託する場合にも、産業医師資格がある医師に依頼します。

精神科医や心療内科医である必要はありません。ただし、状態によっては専門機関の受診も考慮しなければなりません。

面接指導は、申し出があってから1ヶ月以内に行ないましょう。

日時は対象の労働者に合わせて柔軟に指定します。面接指導では基本の3つの領域に加えて、以下3つを聴取します。

  • 勤務状況…時間外労働など労働者の負担になっていないか
  • 心理的負担の状況…必要に応じて抑うつ症状をチェックする
  • その他心身の状況…生活習慣や飲酒、喫煙など

医師は1ヶ月以内に面談結果を事業者に伝え、以下3つの措置を提案します。

  • 通常勤務…通常通りの勤務体制
  • 就業制限…労働時間の短縮など
  • 要休業…一時的な休養期間を与える

事業者は、必要に応じて労働環境の改善を行いましょう。

面接指導で得られた聴取結果は、会社で5年間保存します。

ストレスチェックが制度化された事による罰則

ストレスチェックが制度化された事による罰則

常時50人以上の労働者がいる会社には、ストレスチェックが義務付けられています。

年に1回の労働基準監督署へ報告が必要で、違反すると労働安全衛生法第120条に基づき最大50万円の罰金です。

50人未満の会社については、現在のところ努力義務になります。

努力義務は実施を推奨されていますが、罰則はありません。

また、労働基準監督署への報告時期は、会社の都合で設定可能です。ただし、以下の2点には配慮が必要です。

  • プライバシー保護
  • 不利益取扱いの防止

ストレスチェックの実施者や実施事務従事者を担当する者は守秘義務を守らなければなりません。

違反した場合には最大6ヶ月の懲役、または罰金50万円です。

不利益取扱いとは、ストレスチェックの結果から事業者が解雇や不当な配置転換を行うことを意味します。

罰金刑はありませんが、厚生労働省が発行するガイドラインに明記されているため注意が必要です。

また、実施義務があるにも関わらず、実施しない場合は民法の「安全配慮義務違反」に抵触する可能性もあります。

損害賠償責任に問われる危険性を意識しましょう。

ストレスチェックに関する助成金

ストレスチェックに関する助成金

ストレスチェックの助成金として、以下の金額が「独立行政法人労働者健康安全機構」より支払われます。

  • 実施費用…労働者1人につき500円(税込)
  • 医師の活動費用…1回の活動につき21,500円(税込)※3回の上限あり

この金額は上限です。実施費用が上限額を下回る場合は、実施費用が支払われます。

ストレスチェックには労働基準監督署への提出期限はありません

しかし、助成金を利用する場合は申請期限があるため注意しましょう。

ストレスチェックから面接指導まで、実施時期の指定もあります。以下が給付までの流れです。

  1. ストレスチェックの事前準備
  2. 実施者となる医師との契約締結
  3. ストレスチェックの実施と結果の通知
  4. 対象の労働者への面接指導
  5. 助成金申請
  6. 助成金支給決定の通知後、助成金の受け取り

助成金は提出書類に記載された銀行口座に振り込まれます。

助成金を受けた場合は、領収書など支出を証明する証拠を翌年から数えて5年間保存しなければなりません。

助成金支給の要件

ストレスチェックを実施するにあたって助成金を申請する会社は、以下3つの要件をすべて満たさなければなりません。

  • 労働者数が派遣社員等を含めて50名未満
  • 労働者を雇用している法人や個人事業主
  • 会社に労働保険が適用されている

労働保険が適用されているかは、厚生労働省HPの「労働保険適用事業場検索」で確認できます。

また、ストレスチェックの取り組みとして以下3つの要件もすべて満たさなければなりません。

  • ストレスチェックの実施者が決定している
  • 事業者が医師と契約を締結している
  • ストレスチェックの実施や面接指導を行う医師が、会社の使用者や労働者に該当しない

要件を満たすために、医師はストレスチェック後の面接指導から、会社への改善のための提案を行わなければなりません。

また、医師との契約書には以下の内容を明記します。

  • ストレスチェック後の面接指導等を実施する旨
  • 医師の活動1回当たりの料金
  • 医師の氏名
  • 会社が医師と契約を締結している旨

要件をすべて満たしているか、申請前に確認しましょう。

ストレスチェック実施時の注意点

ストレスチェック実施時の注意点

ストレスチェックを実施するときは、以下3点に注意しましょう。

  • 人事権がある人間はチェックを実施できない
  • プライバシーの保護
  • 同意がなければ事業者に対して情報を開示できない

ストレスチェックは労働者を対象とする義務ではありません。

しかし、心の不調を未然に防ぐために、労働者全員の受験が望ましいでしょう。

労働者が安心して受けることのできる環境をつくらなければなりません。

「結果によっては出世に響くのでは?」など不安な気持ちの残る労働者からは、正直な回答を得ることは難しいでしょう。

人事権がある人間はチェックを実施できない

人事権のある社長や専務、人事部長などはストレスチェックの実施ができません。

ストレスチェックの結果が原因で、労働者が人事上の不利益をこうむることを防ぐためです。

以下5つが従事できない事務仕事の具体例になります。

  • 回答済みの調査票の回収(データ入力や出力などを含む)
  • ストレスチェック結果の封入作業
  • ストレスチェック結果の通知
  • 面接指導の対象者に面接指導を勧めること
  • ストレスチェック結果の集団分析

ただし、以下6つの事務仕事は人事権がある者でも従事できます。

  • ストレスチェックの方針決定
  • 実施者と実施日時の打ち合わせ
  • 外部委託する場合、外注会社との打ち合わせ
  • 労働者へ概要を事前通知すること
  • 開始時に各労働者へ調査票を配ること
  • ストレスチェック未受験の労働者に受けるよう勧告

個人情報の取り扱いのある仕事には、解雇や昇進、異動について監督的地位にある者は従事できません。

ただし、事業者から指名される「ストレスチェック制度の担当者」を務めることは可能です。

また、人事課の職員など、人事を担当する部署でも直接の権限がない者は個人情報を取り扱うことができます。

 

プライバシーの保護

プライバシーの保護を徹底しましょう。

記入前の調査票は誰でも配布が可能です。

しかし、回答が済んでいる調査票は実施者または実施事務従事者が回収します。

第三者に記入後の調査票を見られてはいけません。封筒に入れて回収するなどの方法が推奨されています。

結果は封書またはメールで、実施者が労働者に個別に通知しましょう。

面接指導対象者には、周囲に気付かれないよう配慮が必要です。

対象者には封書、対象外の者にはメールなど配布方法を区別すると、対象者を特定されるおそれがあります。

また、事業者はデータの保存が適切に行われるように保存場所や期間、セキュリティなどを検討しなければなりません。

保存場所は会社サーバーを指定できますが、保存は実施者または実施事務従事者が実行しましょう。

保存例は以下4つです。

  • 外部委託会社で保存
  • 嘱託産業医の診療所で保存
  • 会社に保存し、セキュリティ管理を嘱託産業医が行う
  • 会社に保存し、セキュリティ管理を実施者または実施事務従事者が行う

労働者が同意し、実施者から事業者に提供されたデータは5年間保存しなければなりません。

同意がなければ事業者に対して情報を開示できない

ストレスチェックで得られた情報は、労働者個別の同意がなければ事業者に開示できません。

個人情報の取り扱いは、事業者が指名した実施者か、実施者によって選ばれた実施事務従事者が行います。

実施者や実務従事者には守秘義務を負わなければならず、破った場合は法的に罰せられるでしょう。

ただし、労働者が面接指導を受けた場合には、ストレスチェックの結果が事業者に開示されます。

面接指導の報告を受けて、事業者は必要な措置を取らなければならないためです。

事業者にストレスチェックの結果を知られることを気にして、対象者であっても面接指導を希望しない労働者もいます。

そのため、日常的に気軽に相談ができるカウンセラーなどの窓口の設置が望ましいでしょう。

相談を受けたカウンセラーは、必要に応じて面接指導を受けることを労働者に促します。

面談指導を行う産業医とカウンセラーの連携が大切です。

このとき、情報の管理は労働者の意向に沿わなければなりません。

事業者に提供する場合は、労働者の同意が必要です。

まとめ

ストレスチェックは2015年から制度化され、労働者50名以上の会社に義務付けられました。

実施しない場合には、最大50万円の罰則が課せられる可能性があります。50名以下の会社は、現在のところ努力義務です。

ストレスチェックの方法は厚生労働省からガイドライン化されています。

実施者は、企業で専属的に医療従事する産業医が望ましいでしょう。

結果や分析データは実施者から労働者に直接伝えられ、許可がない限り事業者に提出してはいけません。

結果によってはストレスチェック後に、医師による面接指導を行います。

面接指導するためには、労働者本人からの申し出が必要です。

面接指導で得られた聴取内容は事業者に伝えられ、事業者は労働者に対して休業などの措置を取ります。

ストレスチェックの実施に当たり、労働者のプライバシー保護と適切な環境づくりなど、努力が必要です。

しかし、現在は従業員満足度(ES)が重要視されています。

ESが高い会社ほどクリーンなイメージが強く、顧客の安心感につながるでしょう。

ES向上のためにも、ストレスチェックの実施を検討してはいかがでしょうか。

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