いまさら聞けないEDI(電子データ交換)とは?仕組みや注意点を分かりやすく徹底解説

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EDIは、企業間におけるデータのやり取りを、専用回線やインターネットを使用して電子的に交換できるシステムです。

販売や物流の業界を中心に利用されています。

この記事では、EDIの仕組みや種類、メリット・デメリットについて、詳しく紹介します。

EDI(電子データ交換)とは?

EDIとは、企業間で行う契約書・納品書・請求書といった帳票を、専用回線やインターネットを使用して電子的に交換できるシステムです。

Electronic Data Interchange」の頭文字を取って、EDIと呼ばれています。日本語に訳すと、「電子データ交換」という意味です。

 

従来の企業間取引では、郵送やFAXで納品書や請求書をやり取りするのが主流でした。

郵送やFAXでやり取りする方法では、取引先に合わせた用紙を用意したり、コストが発生したりといった点が問題です。

EDIを利用すれば、専用回線やインターネットを使用して電子的に交換できるため、企業とのやりとりを標準化できます。

紙の帳票を作成する手間とコストを削減でき、入力ミスの可能性もありません。

企業間取引に必須のシステム

経済産業省が発表した「平成 26 年度我が国情報経済社会における基盤整備」では、EDIを導入していない製造業の企業は平成25年の時点で2割未満です。

他業界よりも製造業でのEDIの導入はトップクラスであり、このことから欠かせないものとなっていることがわかるでしょう。

参考資料:平成 26 年度我が国情報経済社会における基盤整備

2020年7月の「電子商取引に関する市場調査」では、日本国内のBtoB-ECにおけるEC化率は31.7%と、商取引の電子化が進んでいます。

まさに企業間での取引で必須のシステムと言っても過言ではないでしょう。

EDIの仕組み

EDIは、通信プロトコルやフォーマットを標準化して、通信できるようにしたものです。

EDIで異なる基幹システム同士でやり取りをするには、通信方法・データ形式といったルールを決めて、同じ通信方式データで送りあえる通信回線にする必要があります。

さらに、他社からのデータを取り込むためには、データを変換する機能が必要です。

EDIの種類

EDIには、データのやり取りを正確に行うために、ルールが定められています。

このルールごとに、EDIは下記の3つに分類されます。

  • 個別EDI
  • 標準EDI
  • 業界VAN

3つのEDIの特徴をご紹介します。

個別EDI

個別EDIとは、自社がやり取りする取引先ごとに、形式やルール、フォーマットをを決める方式です。

それぞれの企業の仕様に合わせてルールを決める必要があるため、データ変換システムを多く利用する必要があります。

そのため、取引先が多くある場合、取引先を広める際には使いにくいと感じるでしょう。

個別EDIは、取引先が少ない企業におすすめです。

標準EDI

標準EDIは、形式やルール、フォーマットを標準化した方式です。

多くの企業で導入されているため、複数の企業との取引がスムーズに行えます。

規格が合わない場合でも、標準の企画と自社システムをつなぐデータ変換システムを利用すれば対応可能です。

標準EDIは、複数の企業と取引している企業におすすめです。

業界VAN

業界VANは、標準EDIの一種です。

ネットワーク技術を使って、メールサービス・通信速度・データフォマットなど、異なる機種同士の接続ができます。

同じ業界であれば使いやすいですが、他業界の企業との取引の際には使いづらさを感じるかもしれません。

業界VANは、同じ業界での取引が多い企業におすすめです。

EDIを導入するメリット

 

EDIを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

  • BtoB取引の業務効率化
  • データ品質と顧客サービスの向上
  • 業務の負担軽減
  • 受発注におけるミスの軽減

BtoB取引の業務効率化

EDIを導入するメリットは、企業間取引を大きく効率化できることです。

EDIを導入していない場合は、以下のような手順になります。

  1. A社:発注書を紙で書きB社へ送付
  2. B社:注文を社内システムへと入力
  3. B社:請求を作成してA社へと送付
  4. A社:請求を社内システムへ導入

紙でのやりとりでは郵送やFAXを使うことになるため、自社にも取引先にも大きな負担がかかります。

さらに、紙をベースにした入力作業は誤入力が発生する確率が高く、修正時間も取られて効率が悪いです。

しかし、EDIを導入すると、以下の手順になります。

  1. A社:発注
  2. B社:請求

企業間で取引プロセス、データの形式・内容、通信プロトコルの3つを取り決めあえば、紙を郵送する必要はありません。

EDIを導入すれば、正確かつ迅速で低コストな運用が実現でき、一気に業務効率化へとつながります。

人が行う業務は、最初のデータ入力のみです。

さらに、企業間双方がデータ共有ができ、無駄な在庫を生まずに流通の最適化、業務の効率化が図れます。

データ品質の向上

EDIを導入するメリットは、帳票への手作業が減ることによる、データ品質の向上です。

データの品質が向上すれば、データの不備や重複によって引き起こされていたコストも削減できます。

品質がバラつけば、情報の信憑性が低くなったり、集計の際に人手によるデータ補正が必要になったりすることもあるでしょう。

修正に必要な手間も省けるので、顧客サービスへ注力できる点もメリットです。

業務の負担軽減

EDIを導入するメリットは、帳票に関する業務の負担を減らせることです。

さまざまな帳票をデータ化できるので、一連の手間を大幅に削減でき、他の業務へと注力できます。

EDIは導入コストと運用コストが低いので、大きな費用対効果が期待できます。

受発注におけるミスの軽減

EDIを導入するメリットは、受発注におけるミスを軽減できることです。

人が作業を行う場合、一定の確率でミスが発生することは避けられません。

しかし、EDIを導入することで人が行う工程を減らせば、ミスが減らせます。

EDIを導入してミスを減らせれば、ミスを修正するために発生していたコストも削減できます。

EDIを導入するデメリット

EDIを導入するデメリットは、以下の通りです。

  • 互換性のあるEDIを導入する必要がある
  • 中小企業ではEDI普及率が低い
  • 慣れるまでに時間がかかる
  • トラブルによる業務停止

互換性のあるEDIを導入する必要がある

EDIを導入するデメリットは、互換性のあるEDIを導入する必要があることです。

EDIは、自社だけが導入しても意味がありません。

取引先と同じEDIを導入する必要があります。

複数の取引先と取引する場合には、複数のEDIを導入することになるでしょう。

中小企業ではEDI普及率が低い

EDIを導入するデメリットは、大企業に比べて、中小企業ではそれほど普及はされていないことです。

企業間商取引の数が少ない企業では、EDIを導入していない場合があります。

中小企業でEDIが普及していないのは、EDIの利便性が低いと感じる企業が多いからです。

多くのEDIは、外出先・商談先においてスマホで受発注を確認できません。

つまり、リアルタイムに判断ができないということです。

そのため、多くの中小企業においては、従来のFAXやメールによる受発注がベストだと考えています。

取引先に中小企業が多い場合は、EDIを導入しても使えない可能性がある点を意識してEDIを導入しましょう。

慣れるまでに時間がかかる

EDIを導入するデメリットは、慣れるまでに時間がかかることです。

ネットを使い慣れていない従業員が多くいれば、思うような効果が出ないかもしれません。

EDIを導入する際には、使いこなせるまでの時間を加味しておきましょう。

トラブルによる業務停止

EDIを導入するデメリットは、トラブルによる業務停止です。

システム障害や災害が起きれば、システムが停止する可能性が十分にあります。

信頼性が高いEDIを導入し、トラブル発生時の対応をしっかりとするようにしておきましょう。

EDI導入前にしておくこと

EDIを導入するには、取引先間とのデータを受送信するための環境、受信データを自社システムで読み取れるための整備をする必要があります。

それぞれについて詳しくみてみましょう。

1.取引先間とのデータを送受信するための環境整備

EDIは自社だけが導入しても意味がありません。取引先との間で確実にデータを送受信するために、専用の環境を整えましょう。

導入までに、スケジュール、コードを事前に決めておく必要があります。

EDIで使われる主な通信プロトコルは、以下の4つです。

  • 全銀協標準プロトコル:銀行間で使われる通信プロトコル
  • JCA手順:小売業・流通業を中心に利用
  • 石化協ビジネスプロトコル:石油化学工業協会で使われる
  • JX手順:流通BMSが採用している標準通信プロトコル

製造業におすすめできるWeb-EDIの通信プロトコルには、以下のものがあります。

  • OFTP2:欧州の自動車標準化団体「Odette」が開発したもの。欧州の自動車業界を修身に利用されている通信プロトコル
  • SFTP:「SSH File Transfer Protocol」の略称。安全にファイル転送ができるため、企業間や企業内でのファイル交換などに利用されている
  • EDIINT AS2:インターネット技術の標準化団体 IETFが策定した国際標準規格。Amazonやウォルマートなどの海外大手販売業が推奨している。データ通信量が多く、リアルタイム処理をしたい企業に最適。
  • ebXML MS:国際的なWebサービス標準化組織の「OASIS」と、国連のEDI標準機関「UN/CEFACT」が策定した国際標準規格のこと。アジア圏を中心に普及。

2.受信データを自社システムで読み取れるように整備

他社から送られてきたデータには、「固定長形式」「CSV形式」「XML」といったものがあります。

データを自社のシステムに取り込むためには、EDIがデータを読み取れるように文字コードなどを変換する機能が必要です。

取引先によって、送信するデータ形式は異なります。

取引先データの識別コードを、事前に決めておくようにしましょう。

事前に決めずに導入すると、導入後に形式が違うといった問題が起こる可能性があります。

製造業におすすめのWEB-EDI

WEB-EDIとは

EDIは便利で買い手にとって有利ですが、公正な商取引では不便です。そのため売り手には都合が悪いこともあります。

また、固定回線電話を使用しており、固定回線電話がなくなっていくと予想される国内での利用は向いていません。

そこで使用したいのがWEB-EDIです。

WEB-EDIはクラウドベースでの運用が主であり、買い手が変わってもその都度システムの変更ができます。そのため、買い手主導にならず利用がしやすいでしょう。

EDIにはないWEB-EDIのメリット

WEB-EDIには、EDIにはないメリットがあります。

WEB-EDIを利用するメリットについて、詳しくご紹介します。

インターネット回線により低コスト

EDIには固定電話回線を用いるものもありますが、インターネット回線を使うものが一般的です。

インターネット通信費のみで利用すれば、電話回線を使う場合に比べて低コストで運用ができます。

運用・保守の運用を抑えられるので、コスト削減へとつながるでしょう。

万全のセキュリティ対策

企業間での取引において、帳票の情報が漏れるのは重要な問題です。

インターネット回線を用いているものであれば、インターネット通信の暗号化技術が発達しているので、安心して利用できるでしょう。

導入しやすい

ブラウザからでの利用のため、専用のソフトウェアをセットアップする必要もなく、手間もかかりません。

システムの入れ替えも容易なので、柔軟に利用できるでしょう。

そのためスモールスタートにも向いています。また、ブラウザでの利用は導入環境を気にしなくてもいいのも魅力的な点です。

今後も使われる可能性が高い

EDIは固定電話回線を使用しています。対してWEB-EDIはインターネット回線です。

固定電話回線は使われない可能性が高いですが、インターネット回線が今後使われないといった可能性は低いです。

そのため将来的にも長く使えるでしょう。

回線速度が上がる

従来のEDIは固定電話回線を利用していましたが、インターネット回線を用いたWEB-EDIは回線速度の向上が期待できます。

企業間取引においてスピードは重要なものです。スピードが上がればそれだけ全体的な効率化も期待できます。

EDIの処理速度に不満を感じないためにもWEB-EDIがおすすめです。

標準化されていない点に注意

WEB-EDIは、システムの変更がしやすいとはいえ、標準化はされていません。

取引先が異なれば、個別EDIのようにやりとりができる形式のものを導入する必要があります。

複数の企業と取引すれば、相手に合わせたものを導入する手間が増えるかもしれません。

WEB-EDIへと切り替える際には、取引先企業が対応しているかどうかを、導入前に確認しておきましょう。

EDIツールを活用して業務効率化しよう

EDIを活用すれば、帳票を使う業務を効率化できます。

EDIにはさまざまなメリットがある一方、取引先の通信の形式や規格に合わせる必要があるといったデメリットもあります。

導入前には、取引先がEDIを導入しているか、どのようなデータ形式なのかを確認するようにしましょう。

利用環境に合ったEDIを導入することが、業務効率化への鍵となります。

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