運行管理システムは、運行業務だけでなく様々な事務作業を効率化できる便利なシステムです。
「運行管理システムにはどんな機能があるの?」
「運行管理システム導入の具体的なメリットが知りたい」
「運行管理システムの選び方が知りたい」
この記事ではそんな疑問に答えるために、運行管理システムのメリットや機能・特徴について解説します。
目次
運行管理システムとは?
運行管理システム(Transport Management System)とは、運行状況管理や車両動態管理を行うシステムです。配車の最適化やルートの最適化などが運行管理システムの主な目的だと言えます。
運行管理システムでは、GPSやデジタルタコメーターなどの情報を利用して車両単位の管理や安全運転のための支援などを行います。車両に搭載する車載機タイプのほかに、スマートフォンなどのデバイスを活用したサービスも存在します。
運行管理システムの機能
運行管理システムには豊富な機能が搭載されていますが、それらの機能は大きく以下の2つに分けられるでしょう。
- 運行業務に関する機能
- 事務業務に関する機能
ここでは、それぞれの機能について詳しく解説していきます。
運行業務に関する機能
運行管理システムにおける最も重要な機能だと言えるのが、運行業務に関する機能です。
運行業務に関する機能は、主に以下の4つに分けられます。
- 運行管理機能
- 配車管理機能
- 動態管理機能
- 安全運転管理機能
どの機能もほとんどの運行管理システムに搭載されている基本的な機能だと言えるでしょう。
①運行管理機能
運行管理機能は、データベースを活用したシミュレーションによって的確な運行計画を策定する機能です。
運行計画の作成には、ルートや所要時間をはじめとした様々な情報を柔軟に扱うスキルが求められます。そのため、従来は豊富な知識や経験を兼ね備えた人材にしかこなせない業務でした。
しかし、運行管理機能を使えばそうした難しい業務をシステムに任せられます。人材不足が解消されるだけでなく、従業員の作業時間を短縮したり、人材を有効に活用したりもできるでしょう。
②配車管理機能
配車管理機能は、シミュレーションを使って効率的な配車を導き管理する機能です。
配車が最適化されると、全体の配車台数の削減やドライバーの負担削減に繋がります。運行業務に必要なコストが全体的に削減されるので、より効率的に業務を行えるでしょう。
③動態管理機能
動態管理機能は、ドライバーの現在地や交通情報を把握する機能です。
この機能を活用すれば、事故や渋滞のようなハプニングにも柔軟に対応できます。システムを通して交通情報やドライバーの位置などを随時把握することで、変化する状況に対処できるのです。
動態管理機能を使って予期せぬハプニングにも即座に対応することで、業務の滞りを未然に防ぐことができます。
④安全運転管理機能
安全運転管理機能は、ドライバーそれぞれの特性や運転の癖に応じて安全運転のための指導を行える機能です。
事故の危険性を完璧に排除することは不可能である以上、徹底した安全対策は必要不可欠です。安全運転管理機能を活用すれば、効果の高い安全対策を実施できるでしょう。
事務業務に関する機能
事務業務に関する機能も、運行管理システムの重要な機能の一つです。代表的な機能は以下の3つに分けられます。
- 日報作成機能
- 分析・レポート作成機能
- 運転手台帳作成機能
①日報作成機能
ドライバーによる日報作成を補助する機能です。日報作成は業務情報を分析・活用するための重要な業務でしたが、様々な情報を集める必要があるためドライバーの負担にもなっていました。
日報作成機能を使えば、出発地や目的地・走行距離などを自動的に取得できるので、日報作成に必要な作業を大幅に効率化できるでしょう。
②分析・レポート作成機能
分析・レポート作成機能は、様々な情報やデータを分析しレポートとしてまとめられる機能です。
蓄積された情報は、業務の見直しや経営方法の改善などに活かされる重要な要素のひとつです。運行管理システムを使えば情報を自動で分析できるので、従来の作業が大幅に効率化されるでしょう。
③運転手台帳作成機能
運行管理システムには、運転手台帳を作成する機能も搭載されています。
運転手台帳は、運転者一人ひとりの情報管理として重要な役割を果たし道路運送法などの法律により作成・保管が義務付けられている台帳です。
運転手の健康情報や免許情報などをしっかりと管理するために必要な運転手台帳も、運行管理システムを使えば効率的に作成・保管できます。
運行管理システムの3つのタイプ
運行管理システムには様々な製品が提供されていて、それぞれ搭載されている機能などが異なります。
運行管理システムは、搭載されている機能などによって以下の3つのタイプに大別できます。
- パッケージ型
- カスタマイズ型
- 特化型
タイプ①:パッケージ型
パッケージ型は、基本機能などを含めた多くの機能があらかじめ搭載されているタイプです。
運行・事務など業務全般に関する機能が網羅されているため、全般的な業務・情報をシステム上で一元管理できます。反面、豊富な機能が搭載されているので費用がかさんだり、機能を持て余したりする場合がある点が欠点だと言えるでしょう。
タイプ②:カスタマイズ型
カスタマイズ型は、様々な機能の中から必要なものだけをピックアップして搭載するタイプです。予算・ニーズ・規模などに合わせて導入できる点が特徴だと言えるでしょう。
規模の拡大や状況の変化などによって必要な機能が増えた場合には、機能拡張などの対応が求められます。
タイプ③:特化型
特化型は、限られた機能に特化したタイプです。必要な機能にのみ特化しているので、比較的低価格で導入できるでしょう。
特化型を選択するためには、自社の状況やニーズ、目的をしっかりと明確化した上で、的確な製品を選ぶ必要があります。
運輸業界が抱える課題
運行管理システムは、運輸業界が抱える課題の解消に効果を発揮すると考えられています。
現状、運輸業界は様々な課題に直面していると言えます。その中でも特に大きな課題として、安全確保と収益最大化の両立が挙げられるでしょう。
ほかにも、人材不足や運行データ活用の難しさ、ドライバーの業務負担の大きさなど、取り組むべき課題は大小様々です。燃料費高騰などの逆風の中で安全対策を筆頭にした様々な課題をクリアし、他社との厳しい競争を勝ち抜いていくのは容易ではありません。
運行管理システムは、そんな厳しい状況を改善するための一つの回答になる可能性を秘めていると言えるでしょう。
課題をどう解決する?運行管理システム導入のメリット
運行管理システムによって、どのように課題を解決することができるのでしょうか。
運行管理システム導入の主なメリットは、以下の5つです。
- 運行計画業務を効率化できる
- コストダウンにつながる
- 売上がアップする
- ドライバー第一の職場づくりができる
- 効果の高い安全策を講じることができる
ここでは、それぞれのメリットについて解説していきます。
メリット①:運行計画業務を効率化できる
運行管理システムを活用すれば、複雑な運行計画業務を効率的に行えます。
最適な運行計画の立案には、ルートや積載量、運行日時や場所などの様々なデータを柔軟に扱うスキルが求められます。人力で立案するためには、経験や知識を積み熟練する必要があったのです。
そこで、運行管理システムに搭載されている自動作成機能やシミュレーション機能を使えば熟練した人材にしかできなかった業務を大幅に効率化することが可能です。
人材不足などの課題解決につながる大きなメリットだと言えるでしょう。
メリット②:コストダウンにつながる
運行管理システムを使って様々なデータを記録し管理すれば、不要な支出などの無駄を削減できます。
例えば、車種や運用方法などによる燃費の推移がデータとして可視化されれば、今までの運用方法にあった問題に気づけるかもしれません。データを蓄積し可視化することによって、問題やその原因が明確化され、効率化、コストダウンに繋がるのです。
もちろん、運行計画の最適化などによるコストダウン効果も大きいと言えるでしょう。
メリット③:売上がアップする
運行管理システムは、サービスの質向上にも寄与します。
例えば、GPSを用いて車両の位置情報をリアルタイムで把握できるので迅速な配車が可能になるでしょう。また、ドライバーの能力に頼っていた部分が減り、迅速で正確な配車や集荷・配達などをより多くの顧客に提供することができます。
サービスの質が向上すれば顧客からの信頼や満足度も向上し、売り上げアップにも大きく寄与するはずです。
メリット④:ドライバー第一の職場づくりができる
運行管理システムは、ドライバー業務の効率化や負担の削減にも寄与します。
その代表的な例として、日報の作成が挙げられるでしょう。運行管理システムを使えば、従来ドライバーの負担となっていた日報作成業務を大幅に効率化できるだけでなく、より正確かつ具体的に分析を行えます。
運行管理システムを活用すれば正確なデータに基づいて過重労働などの防止や改善のためのサポートが行えるので、ドライバー第一の職場づくりに大きく貢献するでしょう。
メリット⑤:効果の高い安全策を講じることができる
運行管理システムは運輸業界が取り組むべき大きな課題の一つである安全対策においても効果を発揮します。
運行管理システムはドライバー一人ひとりの運行状況を記録し可視化できるため、それぞれに合った形でのスキル向上や安全運転の奨励などを行えます。ドライバー個人に合わせた指導を行うことで、より効果の高い安全対策を講じることが可能です。
運行管理システム導入のデメリット
様々なメリットを持つ運行管理システムですが、導入におけるデメリットも同時に存在します。
ここでは、運行管理システム導入における以下の2つのデメリットについて紹介します。
- 社内環境を整える必要がある
- システムを使いこなせない可能性がある
デメリット①:社内環境を整える必要がある
運行管理システムを導入するためには、社内環境を整える必要があります。
システムによって形態は違えど、車載機の購入やシステムを管理するための機材の用意などが求められるでしょう。また、導入以前には人力で行っていた業務をシステムにまかせるため、人事面での整備も必要です。
新部門設立や人事異動なども含め、システム導入に合わせた環境整備が求められます。
デメリット②:システムを使いこなせない可能性がある
導入の目的が不明瞭だったり必要以上に複雑なシステムを導入してしまった場合、運行管理システムに搭載されている機能を使いこなせない可能性もあります。
運行管理システムには豊富な機能が搭載されていますが、それぞれの機能を実際に活用できなければまったく意味がありません。導入費用などがそのまま損失となってしまうばかりか、社内での反発を生む恐れもあるでしょう。
サポート体制が充実している製品を選ぶなど、システムをフルに活用するための対策を講じておくと良いかもしれません。
運行管理システムの選び方・比較ポイント5選
運行管理システムを最大限に活用するためには、適切な運行管理システムを選ぶ必要があります。とはいえ、市場で提供されている様々な運行管理システムから自社に合った運行管理システムを選ぶのは容易ではありません。
そこで、ここでは運行管理システムを選ぶ際の5つのポイントについて紹介します。
ポイント①:自社業種に合ったシステムを選ぶ
運行管理システムは、様々な業種にあわせて開発・販売されています。
例えば、バスの運行管理に特化した製品の場合基本的な機能に加え運転手の乗り継ぎを指定する機能なども搭載されています。自社の業種に合っているかを基準に選ぶことで、必要な機能が搭載されたシステムを見つけられるはずです。
ポイント②:導入目的を明確にする
運行管理システム導入の具体的な目的を明確に設定しておくことも重要です。
運行管理システムには、豊富な機能を網羅した製品や、特定の機能に特化した製品など、様々な種類が存在します。導入目的を明確化しておくことで、実際の運用状況に合ったシステムを選択することができるでしょう。
ポイント③:導入規模とコストを考える
運行管理システムは搭載されている機能や特徴によって、価格も大きく異なります。
いくら機能が充実していたとしても、自社の規模や予算に合っていなければ導入は難しいでしょう。初期費用を抑えるために必要な機能に特化した製品を選んだり、機能拡張に対応した製品を選ぶなど、導入規模とコストを加味して選択する必要があります。
ポイント④:システムの柔軟性で選ぶ
業務に合わせてシステムをどの程度カスタマイズできるかも重要なポイントです。
企業によって業務内容や作業フローなどは異なるので、既存のシステムを業務に適した形にカスタマイズする必要があります。システムの柔軟性が乏しいと、実際の業務に適用することができず、業務に支障をきたす可能性もあります。
導入前にシミュレーションを行い、実際の運用に合っているのかどうかを確認しておく必要があるでしょう。
ポイント⑤:ドライバー・社員が使いやすいかどうかを考える
実際にシステムを利用するドライバーや社員の使いやすさも重要です。
運行管理システムは日常的に使うものですから、機能が多すぎて必要以上に複雑だったり、画面がみづらかったりすると、実際の運用に支障が出てしまうでしょう。経営者やシステム管理者だけでなく、現場の人間の視点もしっかりと含めて、運用テストや使いやすさの検証を行う必要があります。
また、スマホやタブレット、専用端末など、運用に使うデバイスの使いやすさも加味して検証を行うと良いでしょう。
おすすめは「AI-Contact(ジェネクスト株式会社)」
最後に、実際におすすめする運行管理システムを1つご紹介します。それが、「AI-Contact」です。
AI-Contactは、無料で使える運行管理システムとして車両管理台帳をクラウド化するだけでなく様々な機能を有しています。
具体的には、車両管理台帳から派生してドライバーごとに運転傾向を診断したり、実際のデータをもとに交通教育などが可能です。
また、自動車保険料の削減なども無料でサポートしています。
AI-Contactについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
運行業務だけでなく様々な事務作業を効率化できる運行管理システムは、運輸業界が直面する課題解決にもつながる、有用なシステムだと言えます。
この記事では運行管理システムのメリットや特徴、機能などの情報だけでなく、自社にあったシステムを選ぶポイントについても解説しました。新たに運行管理システムを導入する際は、この記事で解説した情報をぜひ役立ててみてください。