近年では働き方改革などの影響によって、リモートワークが取り入れられるなど働き方が変わってきています。
このような環境の変化に対応するため、注目を集めているのがVDIです。
主にセキュリティ強化やBCP対策として検討する企業が多いですが、
具体的にVDIを導入することで企業にもたらすメリットはどのような点があげられるのでしょうか。
今回は、VDIの基礎知識から必要性について紹介します。
また、VDI製品の選び方からおすすめの製品情報まで紹介するので、導入を検討している企業はぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそもVDIとは?
VDIとは、Virtual Desktop Infrastructureの略で日本では仮想デスクトップと呼ばれています。
機能について簡単に説明すると、通常はPCで行われる処理をサーバー側に集約して行うことです。
端末にデータが残る心配がないため、セキュリティを強化するために多くの企業で活用されています。
VDIの方式
VDIは大きく分けると3つの方式があります。
VDI方式
VDI方式は、サーバーに端末ごとの仮想デスクトップを構築する方式のことを言います。
構築した仮想PCにOSやアプリケーションを格納することが可能なため、ユーザーが持つ端末にこれらの要素は必要ありません。
これにより、どこにいてもアクセスできる環境が整います。
情報漏えいのリスクを軽減できたり、リモートワークでも安心して利用できるメリットがあります。
SBC方式
SBC方式は、サーバーOS上で実行されているアプリケーションの画面のみを共有することを言います。
サーバー上には共有OSがあり、全ユーザーはそこにアクセスをして仮想環境を利用します。
VDIに比べてコストパフォーマンスに優れていますが、集中的にアクセスをすることでパフォーマンスに影響が出る可能性が高いです。
不具合やパフォーマンス低下がしやすいのも特徴の一つとなります。
HDI方式
HDI方式は、それぞれの端末にカートリッジ型のサーバーを割り当てる方式のことを言います。
SBC方式は一つの環境を活用する特徴がありましたが、HDI方式は一つに集中することがないため動作環境も比較的安定しています。
しかし、逆に端末ごとに料金が必要になるケースがほとんどなので、コストはSBC方式のほうが安く済むでしょう。
リモートデスクトップとの違い
よく似ているものとしてあげられているのがリモートデスクトップです。
リモートデスクトップの仕組みは、サーバーOSを利用するユーザー全体で共有する方式となっています。
サーバーOSのみで複数のユーザーが活用することができ、
ストレージやメモリなどの負担もそれほど大きくないため、1台のハードウェアでも複数のユーザーが快適に利用可能です。
一方、VDIは利用するユーザー全員のOSライセンスが必要になります。
サーバーOSのみで複数のユーザーが利用できるリモートデスクトップに比べると使い勝手は悪く感じるかもしれません。
しかし、ユーザーのカスタマイズがしやすく、自由度が高いのはVDIにしかない特徴と言えるでしょう。
このように、同じように見えてまったく異なる方式となりますし、環境によってもどちらが適しているのか変わります。
VDI製品の必要性
VDIを活用したいと思った場合、VDI製品の導入を検討する企業が多いでしょう。
ここでは必要性について紹介するので、なぜ導入が必要なのか知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
情報漏えいの対策に
VDI製品の最も優れている部分としては、強固なセキュリティ対策が行えることです。
例えば通常の状態で社内のデータにアクセスをすると、端末内に機密情報が残ってしまいます。
万が一攻撃されたり、データの紛失や盗難などがあったりすると情報漏えいのリスクが発生してしまうのです。
しかし、VDI製品を導入すればクライアント端末側には画面の情報しか送られてきません。
マウスの動きなど細かな部分まで暗号化することが可能になるため、第三者に見られてしまうリスクを軽減できるでしょう。
また、データの保存も端末内ではなくサーバー側で行います。
これにより万が一紛失してしまったケースでも情報が流出してしまうことはありません。
企業にとって高いセキュリティレベルを保つことはとても重要なポイントとなるため、信頼性の面でも導入したほうが安心なのです。
リモートワークに対応しやすくなる
情報漏えいのリスクを大幅に軽減できることは、リモートワークにも対応しやすくなると言えます。
特に現在では、新型コロナウイルスの影響によって各社テレワークで対応しているところも多いでしょう。
VDI製品を導入することでPCのみならずスマートフォン、タブレットを活用してどこにいても作業することが可能になります。
そのため、特にリモートワーク環境を整備したいと思われている企業にとっても必要不可欠なツールと言えるでしょう。
デスクトップ管理を一括管理できる
OSやアプリケーションはサーバー上で一元管理されるため、端末にインストールする必要もありません。
また、端末が分散する場合はシステム管理者による負担は増加しますが、VDI製品なら一つの画面で管理できます。
システム管理者の負担を大幅に軽減できるのはもちろんのこと、パッチの適応漏れやアップデートを忘れるなどのリスクもありません。
これらのメリットがあるため、デスクトップ管理を一括で行えるのは大きな魅力の一つと言えるでしょう。
VDI製品の注意点
VDI製品の導入にはさまざまなメリットがありますが、注意しておきたいポイントも大きく分けて2つあります。
ネットワークに依存する
VDI製品は、ネットワーク環境に依存することが一番の注意点と言えます。
例えば、ネットワーク障害などのトラブルが発生してしまった場合、全体に影響が出るリスクもあるのです。
特に長時間続く場合は業務に影響が出る危険性もあるため、導入の際にはしっかりと対策をしておく必要があります。
サーバーへの負担
VDI製品はサーバーへのアクセスが利用ユーザーの分だけ発生します。
特に人数が多いのにも関わらずサーバーのスペックが小さいと、負担が大きくパフォーマンスの低下につながるリスクもあるのです。
そのため、特にオンプレミス型で一から構築する際にはサーバーの性能にもこだわる必要があります。
機能が多ければその分コストもかかる
VDI製品には、さまざまな機能を備えているものも存在します。
機能が多いのは魅力的に思えますし、せっかく導入するならこだわりたいと思う企業も多いでしょう。
しかし、機能が多い製品は価格も高くなります。
導入をしても結局使う機能は限られており、多くの機能が使われず放置されている状態では意味がありません。
できれば無駄なコストをかけたくないケースが多いと思うので、後悔しないためにも必要になる機能をあらかじめ調べておくことがおすすめです。
VDI製品を選ぶ際のポイント
自社に合うVDI製品を選ぶためには、それぞれのサービスの特徴を把握することが大切です。
ここでは特にチェックしておきたいポイントを紹介するので、参考にしてみてください。
2つの提供形態について理解する
VDI製品には、大きく分けるとオンプレミス型とDaaSがあります。
オンプレミス型は仮想デスクトップを一から構築する方法です。
自由度が高くカスマイズがしやすい特徴があり、自社での管理と運用する流れとなるため、セキュリティの不安もありません。
しかし、初期投資には多額の費用が必要になるケースも多いため、予算なども計画を立てながら本当に必要かどうか判断しましょう。
続いてDaaSですが、これはゼロの状態から環境を構築することがなく、管理もVDI製品提供元が行ってくれます。
オンプレミス型と比べても費用を抑えることができ、負担の少ない運用を実現できるでしょう。
しかし、他社がサーバーの管理と運用を行うため、セキュリティ面やカスタマイズ性の低さが特徴の一つでもあります。
それぞれメリットとデメリットがあるため、特徴も確認しながらどちらのタイプが合っているのか検討してから導入することをおすすめします。
導入目的によっても選ぶべきVDI製品は異なる
それぞれのVDI製品によって、得意としている分野が異なります。
例えば機密情報を多く扱っており、これらのデータを安全に守りたいならセキュリティ対策にこだわっているものを選ぶと安心です。
また、リモートワークの働き方に対応したい場合は、社外でアクセスをしても操作が遅くならない製品を選ぶ必要があります。
このように、導入目的に合わせたVDI製品の選び方が大切になるため、何のために導入をするのかを事前に考えてから選定しましょう。
VDI製品おすすめ3選!比較して自社に合う製品を見つけよう
VDI製品にはさまざまな種類がありますが、その中でも人気が高くおすすめの製品を紹介します。
VMware Workstation
料金 | $199〜 |
機能 | ・仮想マシン ・コンテナとKubernetesクラスタ ・高性能な3Dグラフィックス ・強力な仮想ネットワーク機能 |
セキュリティ | ○ |
サポート体制 | ○ |
導入事例 | - |
VMware Workstationの特徴
VMware Workstationは、複雑なローカル仮想環境を容易に実現させることができ、複数のオペレーティングやプラットフォームなどをすべて同じデスクトップPCでシミュレーションすることが可能です。
また、さまざまなデバイス、プラットフォーム、クラウドで構築からテスト、デモまで行うことができます。
VMware Workstationは、サポート体制が充実しているのも魅力の一つです。
製品を購入することで無償サポートを受けられます。
無償サポート期間は30日間となっており、この期間に問題点などがあれば瞬時に対応してくれます。
そのほかにもセキュリティが強固なものであることから、日本のみならず世界中で活用されているVDI製品です。
Citrix Virtual Apps and Desktops 60
料金 | お問い合わせ |
機能 | ・アプリケーションとデスクトップの配信 ・ユーザーエクスペリエンスと生産性 ・管理と監視 ・セキュリティとアクセス制御 ・セルフサービスやBYOの選択 |
セキュリティ | ○ |
サポート体制 | - |
導入事例 | - |
Citrix Virtual Apps and Desktops 60の特徴
Citrix Virtual Apps and Desktops 60は、仮想アプリケーションや仮想デスクトップを提供しているサービスです。
VDI製品の中でもセキュリティ基準が高く、国際規格でもあるコモンクライテリア認定を取得しています。
強固なセキュリティ環境であれば、機密情報などを取り扱うケースでも安心です。
また、性能の高さも人気の理由と言えるでしょう。
Citrix Virtual Apps and Desktops 60はVPN接続においても安定感のある処理スピードを実現できます。
そのため、重くなったりパフォーマンスが下がったりするリスクも少ないので安心です。
Microsoft Virtual Desktop Infrastructure
料金 | |
機能 | ・どこからでもデスクトップとアプリケーションにアクセス ・インフラストラクチャのデプロイと管理を簡素化 ・既存のライセンスの使用可能 |
セキュリティ | ○ |
サポート体制 | - |
導入事例 | お問い合わせ |
Microsoft Virtual Desktop Infrastructureの特徴
Microsoft Virtual Desktop Infrastructureは、Microsoft社が提供するVDI製品です。
設定の簡単さに加え、どこからでもデスクトップとアプリケーションにアクセスすることができるため、リモートワーク環境でも安全に作業することができます。
また、さまざまな脅威を積極的に検出することができ、改善策も講じることが可能になるため、セキュリティレベルが高く安全性の高いサービスと言えるでしょう。
特に、Windowsを活用する企業にとっておすすめのVDI製品なので検討してみてください。
VDI製品が利用できて導入支援もしてくれるサービス3選
VDI製品の構築から運用までワンストップで対応してもらいたいと感じている企業も多いのではないでしょうか。
このケースでは導入支援まで行っているサービスの利用がおすすめです。
具体的におすすめのサービスについてここでは紹介していきます。
Amazon WorkSpaces導入サポート
料金 | お問い合わせ |
支援内容 | ・設計 ・構築 ・運用 ・多要素認証 ・端末提供 |
セキュリティ | ○ |
導入事例 | - |
Amazon WorkSpaces導入サポートの特徴
Amazon WorkSpacesは、クラウド型の仮想デスクトップサービスとなっており、パソコンやタブレットを社外で利用できるなど、さまざまなワークスタイルに対応できるようになります。
そしてAmazon WorkSpaces導入サポートでは、Active Directoryとの連携やAmazon WorkSpacesのバンドル作成と展開、サポートデスクなどトータルで導入を支援するサービスです。
AWSの導入を検討している企業の中には、構築から運用まで何から始めたらいいのかわからないケースも多いでしょう。
この場合もワンストップで導入支援を行ってくれるため、安心して任せられます。
また、多要素認証やChromebookの利用などのセキュリティ強化策の提案も行ってくれます。
これによりセキュリティの不安を軽減させることができるでしょう。
そのほかにも、Amazon WorkSpacesにつながらないなどの問題が発生した場合、サポートデスクによる直接対応もしてくれます。
システム管理者の負担も軽減させることができるので安心です。
特にAWSを活用したい企業にとってはおすすめのサービスと言えるでしょう。
Azure Virtual Desktop(AVD)導入支援
料金 | お問い合わせ |
支援内容 | ・Microsoft Virtual Desktopの導入支援 ・導入前の環境確認 ・トータルでかかるコストの予測 ・導入後の運用方法のプランニング |
セキュリティ | ○ |
導入事例 | - |
Azure Virtual Desktop(AVD)導入支援の特徴
Azure Virtual Desktop(AVD)導入支援は、Microsoftのデスクトップ仮想化を支援するサービスです。
MicrosoftのAzure Virtual Desktopは、サーバーなどの設置が不要となっており、保守も必要ありません。
そのため、コストパフォーマンスが高いVDI製品として人気があります。
しかし、自社だけで導入を行うのは手間がかかり、すべて任せたいと思っている企業も多いのではないでしょうか。
Azure Virtual Desktop(AVD)導入支援なら、導入前の環境の確認から導入後の運用方法のプランニングまで考えてくれます。
あらゆる手間を省くことができ、簡単にVDI製品を導入することができるのです。
豊富な実績とノウハウを持っているため、安心できるところでトータル的にサポートしてもらいたい場合は検討してみてはいかがでしょうか。
ワールドビジネスセンター株式会社
料金 | お問い合わせ |
支援内容 | ・設計 ・導入作業 ・基本システム保守 |
セキュリティ | ○ |
導入事例 | ・教育機関 ・製造業 ・情報サービス業 |
ワールドビジネスセンター株式会社の特徴
ワールドビジネスセンター株式会社は、デスクトップ仮想化パッケージの導入からサポートまでワンストップで対応してくれるサービスです。
提供タイプはオンプレミス型とプライベートクラウド型に対応しており、どちらを選択することもできます。
設計から導入までの手間、システムの保守などあらゆる手間を省くことができ、効率的にVDI製品を導入することが可能です。
特にワークスタイルの変化や運用管理を一元化したい企業に当てはまるプランなので、これらの悩みを抱えている場合は検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回はVDI製品についての情報を紹介しました。
近年では働き方の変化により、リモートワークを行っている企業も数多くあります。
従来よりもVDI製品の需要が高まり、導入を検討している企業も増えています。
しかし、特に初めて導入を検討している企業では、何から始めたらいいのかわからないことも多く、悩む点も数多くあるでしょう。
この場合は導入支援にも対応している製品を選ぶことによって、スムーズに利用できるようになります。
ここでは製品情報も紹介しているので、どこの製品やサービスを利用するか悩んでいる方は参考にしながら選んでみてください。