近年ディープラーニングという言葉を耳にする機会が増えました。それでは、一体ディープラーニングとはどのようなものなのでしょうか。
簡単にいうと、ディープラーニングはAIをさらに便利にする機械学習です。
本記事ではまず、ディープラーニングについて詳しく解説します。そのあとディープラーニングを用いた機械翻訳の翻訳精度やメリット、選び方・注意点について徹底解説します。
最後まで読めば、ディープラーニングについての理解がより深まるでしょう。そして、ディープラーニングを用いた機械翻訳の導入に向けて準備ができるようになります。
ディープランニングを用いた機械翻訳を導入するか検討中という方やディープラーニングについて詳しく知りたいという方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
ディープラーニングとは
近年、注目を浴びているディープラーニングとは一体どういうものなのでしょうか。まずは、ディープラーニングについて仕組みも合わせて解説します。
ディープラーニングとは
ディープラーニングとは、日本語訳にすると深層学習になります。人間の脳が自然に行うプロセスをコンピューターに学習させる機械学習の手法の一種です。ディープラーニングは人工知能(AI)の急速な発展に大きく貢献する技術で、近年では様々な分野に応用され、実用化が進んでいます。
ディープラーニングによってデータの特徴をこれまでよりも深く学習し、複雑な処理が可能になりました。
ディープラーニングの仕組み
ディープラーニングの技術は、脳の神経回路の仕組みを模したニューラルネットワークをベースにしています。このニューラルネットワークを多層に重ねて用いることで、データに関する情報を深く学習します。
多層に重ねられたニューラルネットワークに大量のテキストや画像、音声データなどを読み込ませることで、コンピューターのモデルがデータに含まれる特徴を自動的に学習します。
この構造と学習の手法はディープラーニング特有のものであり、これにより高い精度を実現させることができます。時には人間の認識精度を超えるほどで、ここからさらに技術が発展していくことも考えられます。
ディープラーニングによる変化
様々な分野で実用化されているディープラーニングですが、翻訳機能にも応用されています。ここからはディープラーニングの導入によって起こった翻訳の変化について紹介します。
翻訳精度の向上
ニューラルネットワークによる自然言語処理によって、翻訳精度が大きく向上しました。これはビッグデータを活用することで、単語パーツごとに訳語を探す統計翻訳の技術がさらに発展したからです。
従来の統計翻訳は、同じ言葉で2通りの意味を持つ言葉を前後の文脈から推測して翻訳することが苦手で、その精度はあまり高くありませんでした。
しかし、ニューラルネットワークを用いた機械翻訳では、言葉の文脈を読み取ることが可能です。ディープラーニングの導入で、同じ言葉で2通りの意味を持つ言葉が含まれる文章も、素早く正確に翻訳することが可能になりました。
機械翻訳への導入
翻訳エンジンにディープラーニングを導入することで、機械翻訳の精度は飛躍的に進歩しました。そして、いくつかの分野では機械翻訳が実用化されています。
特許関連や契約書等の専門分野に特化した翻訳サービスや業務マニュアルなどビジネスシーンにおける翻訳を行うサービス、100か国以上の言語が翻訳可能なクラウド型翻訳サービスなど、実用的な精度を誇る機械翻訳が次々と誕生しています。
ディープラーニングを用いた機械翻訳では、AIがデータを学習していくので、業界用語に特化した運用をすることもできます。
ディープラーニングを利用するメリット
ディープラーニングを利用するメリットについて、以下のものを紹介します。
- 翻訳の精度が高い
- 業務効率を上げることができる
- コスト削減につながる
- 大量の翻訳が可能になる
翻訳の精度が高い
先述の通り、ディープラーニングを用いた機械翻訳では、言葉の文脈を読むことが可能になりました。ディープラーニングを用いた機械翻訳は前後の文脈から判断することができるので、文章中にある2通りの意味を持つ言葉も素早く正確に翻訳可能です。
例えば、「休みが短い」「前髪が短い」など同じ読み方でも違う意味の言葉を含む文章も正確に翻訳できます。
業務効率を上げることができる
従来の翻訳サービスでは、正確に翻訳されていない部分を人の手で確認及び修正する必要がありました。しかし、ディープラーニングを用いた機械翻訳は従来のものより精度が向上しているため、無駄な作業を減らすことができます。
また、機械翻訳は、仕入れや製造、営業、人事、総務経理等広い業務範囲において応用が可能です。こうして無駄な業務を省くことで、業務効率を大きく上げることができます。
コスト削減につながる
ディープラーニングを利用すると、様々な部分でコスト削減を期待できます。先程説明したような業務効率の上昇は、結果的にコスト削減につながります。
また、ディープラーニングを用いた機械翻訳の導入は人員のコスト削減にも繋がります。海外企業との取引でメールや文書のやり取りをすることになった際、これまでは翻訳者を雇うかアウトソーシングするしかありませんでした。
しかし、ディープラーニングを利用することでこれらのコストを削減できるようになります。人件費が削減できて、他の領域に経営資源を投入できることは、企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
大量の翻訳が可能になる
ディープラーニングを用いた機械翻訳は、大量の翻訳が可能になります。大量の翻訳を瞬時に行えるので、外国語の文書が大量にあっても翻訳に困りません。
誰でも簡単に大量の翻訳が出来るのは、ディープラーニングを利用する大きなメリットです。
翻訳ツールの選び方
翻訳ツールを導入する際の選び方について解説します。
翻訳ツールの選び方は、大きく分けて「専門分野に対応しているか」と「作業の効率化につながるか」の2つです。
専門分野に対応しているかで選ぶ
まずは、専門分野に対応しているかどうかです。専門性が高い法務・特許・医療などの分野では、業界特有の専門用語が頻繁に使用された文章をたくさん扱うことになります。そうした文章が翻訳可能かどうか事前に調べたうえで選ぶ必要があります。
翻訳ツールごとに言語や分野に得意・苦手があるので、臨機応変に使い分けることをおすすめします。検討中の翻訳ツールが自社の事業領域に精通しているか慎重に調べたうえで、翻訳ツールを選ぶようにしましょう。
作業の効率化につながるかで選ぶ
作業の効率化につながるのかも、翻訳ツールを選ぶ際に重要な要素です。というのも、広く業務効率化を狙うためには、エンジニアや海外勤務経験者以外の事務職や経理職など多くの社員が扱えるツールである必要があるからです。
業務効率化を目的として導入する際には、導入のしやすさや使い心地の観点も取り入れるようにしましょう。
使い心地は実際に使ってみないと分からないので、導入前に無料体験できるものがあれば、積極的に試してみましょう。
おすすめのディープラーニング翻訳サービス(サイト)3選
おすすめのディープラーニング翻訳サービス(サイト)3選を紹介します。おすすめのディープラーニング翻訳サイトは以下の3つです。
- DeepL
- Zinrai Translation Service
- AI自動翻訳サービス
DeepL
引用元:DeepL公式HP
「DeepL」は、PCアプリやWebブラウザから利用できるオンラインの無料翻訳ツールです。高い翻訳精度を誇り、自然な翻訳をすることができます。日本語と相互に翻訳することのできる言語は、英語以外にも中国語・仏語・独語・西語など11もの言語があります。
日本ではまだ未公開ですが、別途BtoB向けの有料サービスである「DeepL Pro」も開発されています。年間利用料金は、日本円にして約29,000円です。
翻訳支援ツールに「DeepL」のエンジンを組み込めるプラグインなど、BtoB向けの機能が充実しています。現在各言語への対応を拡大している最中です。
Zinrai Translation Service
引用元:Zinrai Translation Service公式HP
「Zinrai Translation Service」は、最新のニューラル機械翻訳エンジンを搭載する翻訳サービスです。日本語・英語間の翻訳と日本語・中国語間の翻訳に対応しています。
ビジネスシーンを想定した汎用モデルと辞書の適用により、高精度な翻訳と自然な文章での翻訳を実現させました。日本語・英語間の翻訳は、TOEIC® 960点レベルの日本人ビジネスパーソンと同様の翻訳精度を実現しています。
「Zinrai Translation Service」の利用により、翻訳作業時間の短縮による業務効率化や、言葉の壁を越えたコミュニケーションの活性化が期待できます。
AI自動翻訳サービス COTOHA® Translator
引用元:AI自動翻訳サービス COTOHA® Translator公式HP
AI自動翻訳サービス「COTOHA® Translator」は、最新のニューラル機械翻訳技術を活かしたNTTグループ企業のAIエンジンを採用しています。これにより高い翻訳精度を誇り、専門用語を辞書登録することも可能です。
日本語や英語、中国語など合計25言語ペアに対応しています。また、翻訳結果のファイルや登録辞書を暗号化することが可能であり、高いセキュリティ性も実現しました。
WordやPowerPoint、PDF、Excelなどのビジネス文書をそのままのレイアウトで即座に翻訳することができるので、業務効率化につながります。
翻訳サービスを導入する際の注意点
ディープラーニングを用いた機械翻訳を導入したからといって、常に正確な翻訳結果が得られるとは限りません。機械翻訳を導入する際には注意したいポイントです。
機械翻訳による翻訳結果を鵜吞みにして、システムに依存しすぎるのはあまりよくありません。ディープラーニングを用いることで機械翻訳の精度は向上していますが、文章のニュアンスや人間の心理を読み間違えてしまうこともしばしばあります。
機械翻訳の翻訳結果を過信するのではなく、人間による確認の作業を設けることが重要です。これらの注意点を頭に入れたうえで、ディープラーニングによる機械翻訳を導入するようにしましょう。
まとめ
ディープラーニングの概要やディープラーニングを用いた機械翻訳の翻訳精度・メリット・選び方・注意点について理解が深まったのではないでしょうか。
近年様々な分野で実用化が進むディープラーニングですが、今後もさらに他の分野でも応用され実用化されていくことでしょう。そんなディープラーニングを用いた機械翻訳の翻訳精度も年々向上しています。
本記事を参考にして、ディープラーニングを用いた機械翻訳の導入の準備を進めてはいかがでしょうか。