データセンターとは、サーバーが稼働する上で必要なネットワーク機器やIT機器などを収容するための施設です。
外部の脅威からシステムを守り、サーバーを安定稼働させることができます。
この記事では、データセンターの基本概要やクラウドとの違い、メリット・デメリットをご紹介します。
データセンターとは?
データセンターとは、サーバーが稼働する上で必要なネットワーク機器やIT機器などを収容するための施設です。
大規模な室内にはハードウェアを収納するラックがいくつも並んでおり、データセンターが管理しています。
基本的には、安定稼働に必要な機器のみが導入されており、それ専用の空間です。
データセンターを利用する目的
データセンターを利用する目的は、外部の脅威からシステムを守ることです。
企業の中には、「自社内で構築することもできるのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、自社空間で構築する場合、さまざまな点を考慮する必要があります。
例えば、災害を十分に考えた空間を構築しなければなりません。
地震が発生したり、火災が起こったりした際も稼働し続けられるように工夫する必要があります。
また、外部の脅威からシステムを守るため、セキュリティ対策を十分に施すことが求められます。
データセンターはサーバーを安定稼働させる専用の施設であり、これらの対策が十分に行われているため、自社内で構築するよりも安全です。
正確な場所は公開されていない
データセンターの正確な場所は公開されていません。
場所を公開することで、データセンターの建物や電源が物理的な破壊されたり、インターネット経由でサイバー攻撃を受けたりといった、さまざまなリスクが発生する可能性が高くなるからです。
一般的に公開されているのは、都道府県あるいは市町村などのおおまかな場所までになります。
データセンターとクラウドの違い
データセンターとクラウドの違いは、ハードウェアの用意と管理を誰がするのかです。
データセンターでは、企業側がハードウェアの用意と管理を行います。
一方、クラウドが行うのは、ハードウェアの用意と管理です。
データセンターの設備
データセンターに設置されている設備は以下の5つです。
ラック
1つ目はラックです。
ラックとは、ハードウェアなどを収納するための専用の棚を意味します。
ラックを使用することで機器同士の接触を防ぐことができるため、スペースを有効活用しやすいです。
また、関連機器を一箇所にまとめて設置することでメンテナンスがしやすくなるというメリットもあるでしょう。
実際に、データーセンターにはラックがいくつも設置されており、サービス提供元によって管理されています。
PCラックとは異なり、食器棚のように縦長でその中に専用機器が搭載されているイメージです。
インターネット回線
2つ目はインターネット回線です。
クライアント端末からのアクセスをサーバーが受けるためには、インターネット接続されているのが大前提になります。
また、サーバーはたくさんのアクセスを受け取る側なので搭載される回線は高品質ネットワークです。
例えば、ノード装置を設置してアクセス区間のデュアル化を図ったりしているところもあります。
空調
3つ目は空調です。
基本的にラックが空間の中で敷き詰められているため、高密度空間になります。
そのため、温度が上昇しやすく、空調管理が求められるのです。
また、地球温暖化防止や省エネなど空調だけでもさまざまなことを考える必要があります。
データセンターで使われているものは、外気を導入したり、発展型フリークーリングを搭載したりした専用の空調です。
そのため、地球温暖化防止や省エネを実現しながら施設内を一定の温度に保つことができます。
非常用電源
4つ目は非常用電源です。
365日、24時間稼働させる必要があるため、万が一停電などが発生した際に対応できるように非常用電源装置を設置しているところが多いです。
これにより、停電発生時のサーバー停止を予防できます。
災害対策
5つ目は災害対策です。
実際に、災害対策を考えて構築されているデータセンターは多くなっています。
例えば、免震構造の採用です。
日本は地震大国といわれており、いつどこで巨大地震が発生しても不思議ではありません。
地震が発生すると施設が揺れるため、ラックが倒れて故障する可能性もあります。
そのため、免震構造を採用して、揺れを抑えているのです。
また、火災検知システムや消火システムを設置して万が一火災が発生した際の対策も施しているところが多いです。
データセンターを利用する5つのメリット
自社にIT機器を設置する場合と比較した、データセンターを利用するメリットは以下の5つです。
- 災害リスクに強い
- コストを抑えられる
- 通信が安定している
- 自社スペースの確保
- 障害対応をプロに任せられる
災害リスクに強い
1つ目のメリットは災害リスクに強いことです。
サーバーを管理する上で発生するリスクは2つ挙げられます。
それは、災害リスクとセキュリティ事故です。
先程も述べましたが、災害はいつどこで発生しても不思議ではありません。
例えば、過去には東北大震災などが起こりたくさんの方たちが命を落とされました。
特に、災害の中でも地震は予見できず突然発生するため、事前の対策が求められます。
データセンターは免震構造が採用されており、非常用電源装置が搭載されているため、万が一の災害にも非常に強いです。
安全な環境に自社システムを預けられることは大きなメリットになるでしょう。
また、データセンターのセキュリティは万全です。
サーバーはどこからでもアクセスすることができるため、脅威の標的になりやすいです。
セキュリティ対策は専門的な知識が必要となるため、自社内で構築しても万全に対策を講じることが難しいでしょう。
データセンターはセキュリティに詳しい専門家が管理しているので外部からの不正アクセスに強いです。
また、バックアップも定期的に行われているため、データの復旧も容易になります。
さらに、データセンターは施設の場所を特定することができません。
その点もセキュリティが強い理由のひとつに挙げられるでしょう。
コストを抑えられる
2つ目のメリットはコストを抑えることができるという点です。
安定して稼働させられるサーバールームを自社内で構築する場合、莫大な費用がかかります。
例えば、災害対策のために自社の建物を免震構造にリフォームしなければなりません。
また、非常用電源装置や火災検知システムを導入する必要もあるでしょう。
さらに、社員を24時間365日常駐させて万が一のトラブルに備えなければなりません。
つまり、自社でデータセンターのような環境を構築しようとする場合、高額な初期投資と長期間の人件費が必要です。
データセンターを利用すれば、月額費用などを支払うことで安定に稼働させる場所を借りることができます。
自社内で構築するよりもコストを大幅に削減することができるので大きなメリットといえるでしょう。
通信が安定している
3つ目のメリットは、通信が安定している点です。
基本的には、専用の高品質ネットワークが構築されているため、高速な接続を実現することができます。
アクセスが集中したとしてもつながらないトラブルが少なく、サービス利用者のユーザービリティも向上させることが可能です。
結果的に企業は顧客のサービス満足度も高められるので大きなメリットになるでしょう。
自社スペースの確保
4つ目は自社スペースの確保です。
自社内でサーバールームを構築している場合、スペースを大幅に消費します。
サーバーラックは比較的大きいため、場所を取りますし、災害時に備えるための装置を導入する場合、さらにスペースを確保しなければなりません。
また、社内で使用するスペースにはお金がかかります。
データセンターを利用すれば、省スペース化を図ることが可能です。
一室を丸ごとサーバールームにしている場合、その分の賃貸料などが安くなるので大きなメリットになるでしょう。
障害対応をプロに任せられる
5つ目のメリットは障害対応をプロに任せられることです。
データセンターで対応しているスタッフは、専用の資格を持つプロのエンジニアです。
また、24時間365日対応してくれるため、万が一障害が発生したときも作業を代行してもらうことができます。
社員を常駐させる必要がなくなるので、働く環境の改善にもつながるのではないでしょうか。
データセンターのデメリット
データセンターのデメリットは以下の3つです。
- 老朽化の懸念
- 利用料がかかる
- IT機器のメンテナンスは自社で行う必要がある
老朽化の懸念
1つ目は老朽化の懸念です。
データセンターは免震構造を採用していたり、セキュリティ対策が施されていたりする建物になりますが、年数が経過すれば当然老朽化がはじまります。
そのため、100%安全な建物であると言い切ることはできません。
契約した当初は万全の施設だったとしても10年以上利用し続けていると施設が古くなり、災害などに耐えられなくなる可能性もあります。
そのため、契約をする際は施設のメンテナンスについてしっかりとチェックしたり、築年数を確認したりすることが求められるでしょう。
利用料がかかる
2つ目はコストがかかるという点です。
当然、利用するためには初期費用やランニングコストがかかるため、企業は予算を確保する必要があります。
また、レンタルサーバーやVPSのようにとても安価に契約できるサービスではないので、注意するようにしましょう。
IT機器のメンテナンスは自社で行う必要がある
3つのデメリットは、IT機器のメンテナンスに関しては自社で行う必要があるという点です。
データセンターの管理は提供側のプロのスタッフが代わりに行ってくれます。
しかし、自社サービスを提供するために必要なIT機器の設置、保守は自社で対応しなければなりません。
設置の際はデータセンターに直接足を運ぶ必要もあるため、手間を感じる方もいるでしょう。
データセンターの種類
データセンターが提供するサービスには、以下の3種類があります。
- ハウジングサービス
- マネージドサービス
- ホスティングサービス
それぞれのサービスについて詳しく解説します。
ハウジングサービス
ハウジングサービスとは、データセンターに企業が所有するIT機器を預かってもらうサービスのことです。
データセンター側は、企業にサーバーを設置できる場所を提供します。
また、非常用電源などを確保し災害に備えたり、空調設備や警備を行い、安全にシステムを運用できる環境を構築してくれたりするのです。
簡単に言えば、サーバーの設置に適した空間を提供してくれるサービスといえるでしょう。
サービス内容は場所を貸すことに限られますので、設置したサーバーの保守などは自社で対応するのが一般的です。
マネージドサービス
マネージドサービスとは、サーバーを設置する場所の提供やシステム及びネットワークの保守にも対応してくれるサービスです。
つまり、サーバーの運用・保守業務をアウトソーシングすることができます。
マネージドサービスの利点は下記の通りです。
- 万全な監視体制
- 専門家による運用・保守
- 運用コストの削減
また、データセンターの中にはフルマネージドサービスを提供するところもあります。
一般的なマネージドサービスに比べてアウトソーシングできる業務が広範囲に及ぶ点が特徴です。
ホスティングサービス
ホスティングサービスとは、データセンターに設置されているIT機器をそのまま利用できるサービスです。
ホームページやWebアプリケーション開発でレンタルサーバーやVPSが使われますが、それらはホスティングサービスに分類されます。
基本的にIT機器が用意されているため、社内などからデータセンターにアクセスしてシステムを構築するのが一般的です。
現在ではハードウェアを細かく選択できるサービスも豊富で小規模であればホスティングサービスでもシステムを運用できるでしょう。
例えば、HDDではなくSSDを選択したり、高性能メモリにしたりすることも可能です。
また、ホスティングサービスは下記の方式に分類することができます。
- 共用サーバー
- 専用サーバー
共用サーバーは、仮想技術を用いて1台のサーバーを複数人で利用する方式のことです。
レンタルサーバーなどに多く、複数人で利用するため、動作も速くありません。
一方、専用サーバーは1台のサーバーを自社で使用することができるサービスです。
ほかのユーザーの影響を受けないなどのメリットがあります。
まとめ
今回は、データセンターとは何か、利用するメリット・デメリットを解説しました。
多くのデータセンターは、災害やセキュリティリスクなどが考えられており、自社でIT機器を管理するよりも安全性が高いです。
また、障害が発生したときは迅速に対応してもらえる、安定した通信を実現できるなどメリットがたくさんあります。
しかし、搭載されている設備がそれぞれのデータセンターで異なるため、選ぶ際はどのような設備が設けられているのか確認するようにしましょう。
また、データセンターによって利用料金などが異なります。そのため、契約をする際は社内で話し合って適切なところを選択してください。