運行管理システムは、土木・建築業や運送サービス業などにおいて利用されています。
しかし、多くの運行管理アプリがある中で「どれを選べば良いか分からない」という方もいるでしょう。
そこで本記事では、おすすめの運行管理アプリを6つ紹介します。
運行管理システムの各種機能やメリット、特徴などについて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
運行管理システムとは?
運行管理システムとは、運行車両とそれを操縦する人の両方を管理するものです。主に、土木・建築業や運送サービス業などで利用されています。
配送車両にデバイスを搭載して情報を集約することで、合理的かつ安全な運行が可能です。これにより、運行管理者は負担が減るため人員不足や仕事量など問題に対処できます。
運行管理システムの機能
運行管理システムの機能としては、主に運行業務に関するものと事務作業に関するものに大別できます。
それぞれの分野ごとに非常に多くの機能を搭載しています。
運行業務に関する機能
運行業務に関する機能として、配車管理や動体管理、安全運転管理などが挙げられます。これらの業務は、所要時間やルート、配送量との兼ね合いなど考慮しなければならないところが多く、経験が求められる領域でした。
しかし、運行管理システムを導入することで業務の省力化が行える他、事故や渋滞などの情報もすぐに把握して避けられるため、効率的に配送が行えます。
運行業務に関する主な機能として、以下について解説していきます。
- 運行管理機能
- 配車管理機能
- 動態管理機能
- 安全運転管理機能
①運行管理機能
データを基にしたシミュレーションによって、無駄が無いような運行計画を構築することができる機能です。運行計画作成のための時間を短縮できます。
運行管理システムは多種多様な業界に対応しているため、自社の業種や目的を考慮して選ぶことで最適な運行管理を実現できます。
②配車管理機能
シミュレーションによって、運送するトラックやバスなどの車両を最適化できる機能です。
これにより、ドライバーを最低限にとどめながら経費を抑えつつ業務を遂行できます。
③動態管理機能
交通情報からドライバーの場所を確認できる機能です。仮に渋滞が発生しても別ルートがすぐに指示され、車両管理を最適化することができます。
運行管理システムの中にはスマートフォンで利用できるものもあるため、従来よりも柔軟かつ即座に問題へ対処できるようになります。
④安全運転管理機能
ドライバーごとの運転癖や特性を捉えて、臨機応変に安全運転の指導ができる機能です。車両運行に対する安全性が問われる中、ピンポイントで運転者へのアプローチすることができます。
これによって、オフィスにいながらリアルタイムで現地の状況を察知できます。
事務業務に関する機能
運行管理システムは、運行に付随して発生する事務的な業務にも対応しています。例としては、従業員のシフト管理や給与計算、運転日報や各種報告書などの作成など、様々な専門業務が挙げられます。
従来とは異なり一元的に管理できるようになるため、非常に効率的な業務遂行が可能です。事務業務に関する機能として、以下について解説していきます。
- 日報作成機能
- レポート作成機能
- 運転台帳作成機能
①日報作成機能
運転者の日報を作成する機能です。出発地、目的地、走行距離、ガソリンの残量などを外の機器から取得し、自動的に反映します。
従業員としては間接業務にかける時間が減るため、空いた時間で他の業務に取り掛かることもできます。
②分析・レポート作成機能
運行管理システムにあるさまざまな情報やデータを分析できる機能です。分析した結果をレポートとしてまとめられるため、業務改善や経営の見直しの際に参考資料として利用できます。
人の手で行わずに自動的に取得できるため、省力化や時間短縮を促進できます。
③運転台帳作成機能
運行管理システムにあるドライバーの運転手台帳を作ることができる機能です。主に健康診断の結果や免許の更新などが一元的に管理できます。
これによって、従来までの手続きが大幅に不要になるため管理する側の負担を減らすことになります。
運行管理システムの3つのタイプ
運行管理システムは、搭載されている機能などによって以下の3つのタイプに分かれます。
- パッケージ型
- カスタマイズ型
- 特化型
それぞれのタイプごとに詳しく解説します。
【パッケージ型】
パッケージ型には、あらかじめ多くの機能が搭載されており、基本性能はほぼ網羅しています。運行業務や事務業務に関する機能も十分に搭載されているので、このシステムで一元管理が可能です。
【カスタマイズ型】
カスタマイズ型は、自社に必要な機能だけを選択して導入することが可能です。自社のニーズや規模、予算などに合わせた導入ができます。
【特化型】
特化型は、1つの機能だけに特化したシステムです。自社に必要なシステムが明確な場合には、低価格での導入が可能な特化型がおすすめです。
自社に必要なシステムを予算やニーズに照らし合わせることで明確にし、最適なシステムを導入することによって無駄が省け、コストを削減できます。
運行管理システム導入のメリット
運行管理システムを導入することのメリットについて解説していきます。運行管理システムを導入するメリットは、主に以下の5つです。
- 運行計画業務を効率化できる
- コストダウンにつながる
- 売り上げがアップする
- ドライバー第一の職場づくりができる
- 効果の高い安全策を講じることができる
それぞれ解説していきます。
メリット①:運行計画業務を効率化できる
運行計画業務を立てるためには、多くの経験や知識が必要でした。これは、配送の日時や場所、積載量や車種など多くの要素が絡み合い、考慮しなければならないからです。
運行管理システムの導入によって、知識や経験がなくても運行計画業務をこなせるようになるため、そのメリットは大きいでしょう。
運行計画はキャンセルが生じたときなど即時的に対応できるうえに、それと同時に新しいプランを考案することもできます。ドライバーに対しても通信システムを介して指示できるため、詳細な業務のサポートに徹することができます。
メリット②:コストダウンにつながる
運行管理システム製品には、デジタル式の運行記録系と連携し、車両のデータを記録できるものもあります。データベースが揃ってくれば、車両にかかるコストの計算を可視化することができ、最終的にはコストダウンに繋げられます。
また、運行の記録も残るため、それらを参照して運行の実績を改善することも可能です。事務的な手続きも行えるため、日報などの台帳や管理帳票、顧客関係の帳票に関しての作成を自動的に行ったり、他システムとの連携によりさらなる分析を重ねたりすることができます。
メリット③:売上がアップする
運行データを可視化してデータとして記録することで、無駄なコストや労働をカットすることが可能です。例えば、GPSから得られる位置情報を活用し車両に対して即席の対応ができます。
これによって、集荷や配達の効率が上がるため、ドライバーと顧客の双方にとって利益に繋がるため企業は一層の信頼や満足度を得ることができます。集荷や配達の業務が効率化することで、売り上げに大きく貢献できることは確かです。
メリット④:ドライバー第一の職場づくりができる
運行管理システムには、ドライバーの日報を自動で作成する機能があります。車両から、出発地や目的地、高速料金や燃料費など配達に要するあらゆる情報を得られます。
このことから、ドライバーが普段どのような配達を行っているのか詳細に把握することができます。運転実績のデータから業務が規則的に行われているかであったり、法律に違反していないかなどチェックできるため、安全な労働環境の構築にも貢献可能です。
メリット⑤:効果の高い安全策を講じることができる
ドライバー第一の環境を推進することと同時に、安全性にも配慮することは同じくらい重要なことと言えます。運行管理システムでは、車両から取得したデータをもとに、ドライバーに対して業務の質を改善するように促すことも可能です。
トラックやバスなどは大型車両であり、安全な運転が求められることには変わりありません。急発進やスピード違反などの運転スキルに関して判定を行えるため、ドライバーのスキル向上に繋げることもできます。
運行管理システムを導入する際の注意点
運行管理システムを導入する際には、注意しなければならない点もあります。
それは、新しいシステムを導入するにあたり、社内環境も整備しなくてはならない点です。それまで人の手によって行われていた業務をシステム化することで、人事異動や部署設立が必要なこともあるのです。
また、実際にシステムがスムーズに使用できなければ意味がないため、混乱や反発を招かないためにもシステム導入を決めたら早めの環境整備が必要です。
運行管理システムの選び方・比較ポイント5選!
ここでは、運行管理システムの選び方と比較ポイントについて解説します。
運行管理システムは現場が離れていても情報を連携することができ、本部からの詳細な指示をサポートする役割を持っています。
上手く利用することで、現場の業務改善や全体的な効率アップが可能です。以下のポイントについて解説します。
- 自社業務に遭ったシステムを選ぶ
- 導入目的を明確にする
- 導入規模とコストを考える
- システムの柔軟性で選ぶ
- ドライバー・社員が使いやすいかどうかを考える
ポイント①:自社業種に合ったシステムを選ぶ
運行管理システムは色々な業種向けに販売されており、自社に沿ったものを選ぶことが重要です。例としては、バスの運行管理に特化した製品や電車のダイヤ管理・編成を重点的に行えるものがあります。
他にも、ドライバーが行う給油や洗車を反映した機能が搭載された製品もあります。運行管理とはいっても、様々な業種に向けたものがあるため、それぞれの業種に合わせたものを選んでいくことが重要です。
業種に合わせて選択することで、より細かいサポートを受けられるでしょう。
ポイント②:導入目的を明確にする
運行管理システムは、運行管理のみをサポートしているものから事務的な業務までサポートしているものまで広く存在します。そのため、自社の導入目的を明確にすることは望ましいシステムを手に入れるための第1歩であると言えます。
倉庫の在庫管理や配車の連携を強化したいであったり、顧客からの対応をより迅速なものにしたいなど、それぞれの企業が持っているニーズに合わせて選択することが重要です。
ポイント③:導入規模とコストを考える
運行管理システムは、その利便性から多種多様な場面で活躍することが予想されます。
システムを導入する目的の1つに、業務に対するコストの削減が挙げられます。これは、現在の業務範囲がどの程度であり、望ましいシステムの規模を把握することで実現可能です。
例えば、初期費用を抑えたいといった場合、必要な機能だけが存在する製品や、アプリやクラウドなどの形式で手軽に導入できるものを考慮すると良いでしょう。アプリやクラウドの場合、安価に購入できるだけではなく、対象の規模が徐々に大きくなっていった場合でも対応できます。
ポイント④:システムの柔軟性で選ぶ
運行管理システムを選ぶ際は、システムの柔軟性やアップデート内容などで判断するのも良いでしょう。企業によって業務フローや作業内容が異なるため、システム側が業務の状況にどれだけ柔軟に変化できるのかというのは大きな指標になります。
作業フローや業務内容は、導入までに詳細に想定を重ね、本当に自社に対して適したシステムであるのかを吟味するのがおすすめです。システムには売上管理や経費管理が含まれたシステムもあり、現行のシステムのデータが障害なく反映できるかどうかも考慮するべき項目です。
また、データの取り込み形式が対応しているかどうかも確認するべきでしょう。
ポイント⑤:ドライバー・社員が使いやすいかどうかを考える
運行管理システムの使いやすさで選ぶことも重要です。使いにくいシステムだと、本当の意味で業務を改善したり効率化したということはできないでしょう。
例えば、システムの入力事項が多すぎて使いにくいであったり、ユーザーインターフェースが見にくい、手順が複雑かつ難解であり理解しにくいなどが挙げられます。
使う人が問題なく理解できるかや、使用感が良いかどうかなどをあらかじめ確認したうえで導入することをおすすめします。また、これは現場の労働者だけではなく、本部などで指示をする側にも分かりやすく使いやすいものを提供できなければ意味がありません。
現場や本部など、それぞれの立場において最も使いやすいシステムを選択することが重要です。
【無料ではじめられる】おすすめ運行管理システム比較6選
最後に、無料で始められるおすすめ運行管理システム6選を紹介します。
各システムのタイプや料金体系、主なサービスについてまとめたので、比較・検討してみてください。
システムタイプ | 料金体系 | 主要サービス | |
Al-Contact | パッケージ型 | 無料 | 車両の軌跡や交通ルール遵守状況から、ドライバーごとに運転傾向を把握し交通教育可能 自動車保険削減サポート |
Docoですcar | 特化型 | 3,400円~ | 運行位置の把握 走行履歴のデータ取得 運転者とのコミュニケーション機能 |
Cariot | カスタマイズ型 | 要問合せ | エリアマップ、DriveCast 配送計画、到着予測、履歴管理 危険運転察知など |
TUMIX配車クラウド | カスタマイズ型 | 16,800円~ | クラウドを使ったデータ管理 各種マスタ管理、各種帳票出力 入金管理など |
ODINリアルタイム配送システム | 特化型 | 2,000~ | 最短での配送ルートの提示 自動日報作成 配送先の管理など |
iHere | パッケージ型 | 11,500円~ | 車両の軌跡からコース登録ができる 車両の位置情報を把握できる |
①AI-Contact(ジェネクスト株式会社)
AI-Contactは、無料で使える運行管理システムとして車両管理台帳をクラウド化するだけでなく様々な機能を有しています。
具体的には、車両管理台帳から派生してドライバーごとに運転傾向を診断したり、実際のデータをもとに交通教育などが可能です。
また、自動車保険料の削減なども無料でサポートしています。
システムタイプ | 料金体系 | 主要サービス |
パッケージ型 | 無料 | 車両の軌跡や交通ルール遵守状況から、ドライバーごとに運転傾向を把握し交通教育可能 自動車保険料削減サポート |
AI-Contactについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
②docoですcar(NTTコミュニケーションズ株式会社)
docoですcarは、従業員の車両の運行状況を確認することができる法人向けのクラウド型サービスで、リアルタイムでの情報共有が可能です。
ドコモシステムズ株式会社が運営しており、通信事業を行っていることでも知られています。その実績から運送業界でも高い評価を得ており、良好なサービスが実現しています。
機能としては、現在位置の把握や交通事故の未然防止、アルコールチェックの効率化等が挙げられます。本システムは主に現在位置の把握が最大の特徴であるため、車両を中心に据えたビジネスなどでの有効活用が可能です。
具体的には、物流業界、警備業界、緊急車両業界、バス業界などがそれに該当します。
システムタイプ | 料金体系 | 主要サービス |
特化型 | 3,400円~ | 運行位置の把握 走行履歴のデータ取得 運転者とのコミュニケーション機能 |
③Cariot(株式会社フレクト)
Cariotは、車両のリアルタイム位置情報を即座に取得し確認ができる車両動態管理システムです。クラウドのため工事が不要であり、車載デバイスやスマホアプリでいつでも利用できます。位置情報に関しては、取引先や社外の方にも共有でき迅速に対応することが可能です。
機能としては、日報の作成や記録、車を使った業務時間の管理や運転情報についてデータが見える化されています。これによって、手書きの日報や記録を廃止し、作成時間や管理の手間を削減したり、働きすぎや事故発生のリスクを抑えることができます。
システムタイプ | 料金体系 | 主要サービス |
カスタマイズ型 | 要問合せ | エリアマップ、DriveCast 配送計画、到着予測、履歴管理 危険運転察知など |
④TUMIX配車クラウド(株式会社TUMIX)
TUMIX配車クラウドは、中小運送会社の受注、配車、請求、運行指示、支払いなどの業務を効率化するために必要な機能が搭載されたクラウド型システムです。初期投資を必要とせずにPCやスマホにて即座に利用を開始できます。
受注情報を蓄積し再活用したり、1度の入力で貨物の受注から請求書の発行までの入力作業の効率化が可能です。その他、担当者間でのリアルタイム情報共有やスマホアプリでの操作、導入後の手厚いサポートなどもあります。
システムタイプ | 料金体系 | 主要サービス |
カスタマイズ型 | 16,800円~ | クラウドを使ったデータ管理 各種マスタ管理、各種帳票出力 入金管理など |
⑤ODIN リアルタイム配送システム(株式会社オンラインコンサルタント)
ODINは、動態管理と配送計画の機能を備える特化型のシステムです。スマートフォンの位置情報を使って、配送計画を順次照らし合わせることができます。
渋滞や事故、急な予定の変更や遅延などで予定がずれてしまった場合など、進捗を詳細に管理しているため効率的に対処できます。配送計画の効率の良し悪しというのは配送会社の利益率にも直結してくるものであり、とても重要な指標です。
本システムは2012年から開発しており、動態管理に関するこれまでのノウハウを活かし多彩な機能を搭載していることがメリットでもあります。積載量や目的に応じて計画を作成できることも魅力と言えるでしょう。
システムタイプ | 料金体系 | 主要サービス |
特化型 | 2,000円~ | 最短での配送ルートの掲示 自動日報作成 配送先の管理など |
⑥iHere(クオリテック株式会社)
iHereは、スマホアプリをインストールすることで車両搭載専用GPS装置の代替品として利用できるシステムです。これにより、従来別に必要になっていた車両搭載専用GPS装置を用意しなくても同様の業務ができるようになりました。
車両と日付、および時刻の範囲を設定することで、その間に発生したエリアの通貨状況やイベント情報について表示できます。過去に反映したデータからコース登録することもでき、コース中に新しいエリアを追加することも簡単です。
また、スマホアプリでもあるため、場所や時間に捉われず早急に対応できることも魅力です。
システムタイプ | 料金体系 | 主要サービス |
パッケージ型 | 11,500円~ | 車両の軌跡からコース登録ができる 車両の位置情報を把握できる |
まとめ
今回の記事では、「おすすめ運行管理アプリ・ソフト」について解説しました。運行管理システムの選び方やポイントについておさらいしてみましょう。
- 運行計画業務を効率化できる
- コストダウンにつながる
- 売り上げがアップする
- ドライバー第一の職場づくりができる
- 効果の高い安全策を講じることができる
- 自社業務に遭ったシステムを選ぶ
- 導入目的を明確にする
- 導入規模とコストを考える
- システムの柔軟性で選ぶ
- ドライバー・社員が使いやすいかどうかを考える
運行管理システムは、自社の目的に応じて選んでいくことが重要です。吟味した上で導入すれば大幅な業務の効率化やコストの削減にも繋げられるため、今回紹介したポイントや選び方を参考にしながら自社に合ったシステムを選んでみてください。