勤怠管理システムとは、従業員の出勤時間・退勤時間を記録するだけでなく、残業時間や休暇、シフトなどをオンライン上で管理できるシステムのことです。
給与計算に必要な情報を集計するため、業務の効率化にもつながります。
ただし、勤怠管理システムの導入にはメリットだけでなくデメリットもあるため、慎重に検討することが重要です。
この記事では、勤怠管理システムとはどのようなシステムなのか、導入するメリット・デメリットを紹介します。
勤怠管理システムとは
勤怠管理システムとは出勤や退勤、休暇関係の管理をしてくれる便利なシステムです。
コロナ禍や働き方改革によってテレワークが普及したことで、勤怠管理システムへの注目が集まっています
勤怠管理システムのサービスが展開される前までは、タイムカードなどを利用して管理をする企業が多くありました。
勤怠管理の手間を省き、業務を効率化するために、勤怠管理システムを導入する企業が増加しています。
企業が勤怠管理を求められる理由
どのような企業でも、勤怠管理は行うべき業務の一つです。
勤怠管理は単なる労働時間の記録ではなく、「1日8時間、週40時間」の法定労働時間が適正に守られているかを客観的に判断するためにも必要なものです。
また、勤怠情報は給与計算にも利用されるため、正しい給与が従業員に支給されるには、企業側が適正に勤怠情報を管理・収集しなければなりません。
従業員の健康を守る意味でも、適切な勤怠管理は企業の課題と言えるでしょう。
勤怠管理システムの必要性
勤怠管理では以下のような項目を管理する必要があります。
- 始業・終業時刻、労働時間、休憩時間
- 時間外労働時間、深夜労働時間、休日労働時間
- 出勤日、欠勤日、休日出勤日
- 有給取得日数、残日数
これらの情報を従業員分すべて管理しなければなりません。
2019年4月より施行された働き方改革関連法では、勤怠管理について「客観的な記録により労働時間を把握しなければならない」と言及されています。
従来のような自己申告制や手書きでの勤怠管理だと不十分でしょう。
勤怠管理システムの導入で人的ミスを防げるのはもちろん、給与計算のための情報を集計するなどの業務を効率的に行えるようになります。
勤怠管理システムでなにができる?
勤怠管理システムでは以下のような機能が使用できます。
- 打刻方法
- 勤務形態
- 休暇管理
- スケジュール管理
- 各種申請承認
- 集計機能
- 予言管理
- アラート機能
- アプリケーション対応
- 統計機能
この機能は、全ての勤怠管理システムで使用できるわけではありませんので、自社の目的に合わせて勤怠管理システムを導入する必要があります。
勤怠管理システムの種類と費用相場
勤怠管理システムは「クラウド型」「パッケージ型」の2種類に分けられ、導入するサービスの種類によって費用相場は異なることをまずは覚えておきましょう。
それぞれの初期費用の相場は以下のとおり。
- クラウド型:3~50万円程度
- パッケージ型:30~150万円程度
クラウド型は自社でサーバーを用意する必要がないため、初期費用を安価に抑えられます。
一方で、パッケージ型の勤怠管理システムはサーバーと専用ソフトウェアを自社で用意する必要があるため、クラウド型と比較すると高額になります。
導入する勤怠管理システムによって料金に差があります。
とりあえずは安いサービスを導入しようと検討するかもしれませんが、料金の違いによって使用できる機能に差があることは頭に入れておきましょう。
とは言っても、自社にとって必要のない機能もあるかもしれません。
勤怠管理システムを導入する目的
勤怠管理システムは社員の出金・退勤などを確認するもので、社員の休暇や残業した時間などもシステム上で簡単に確認することができます。
近年働き方改革の影響でテレワークなどを導入している企業も増え、勤怠管理システムの需要も拡大しています。
まずは、勤怠管理システムを導入することにより、どのような結果を得ることができるのかを確認しましょう。
多種多様な働き方に柔軟に対応できる
勤怠管理システムを導入することにより、多種多様な働き方に柔軟に対応することができます。
今までは会社に出社をしてタイムカードで出社を確認し、タイムカードで退社を確認することが一般的でしたが、それでは近年増加しているテレワークなどに対応することはできません。
勤怠管理システムを利用すれば、テレワークをしている方の勤怠管理などを一括して管理することができます。
働き方改革による労務管理の強化
2019年から労働基準法が改正され、全ての企業で働き方改革を推進していくようになりました。
アナログの勤怠管理など社員全員の勤怠管理を集計・確認するだけで手いっぱいになる場合も多くありました。
ですが、クラウド型の勤怠管理システムを利用すればわざわざ自分で集計する手間がなくなるため、残業時間の増加などを未然に防ぐことができます。
人事と社員の業務効率化
勤怠管理システムを利用することで、人事と社員の業務効率化を図ることができます。
今まで勤怠を集計していた部署は勤怠管理システムを導入することで集計・確認する作業が無くなりますし、役職者がそれを確認する手間もなくなります。
そうすることにより、巡り巡って会社全体の動きが活発になり、業務効率化が期待できます。
また、全国に支社や店舗がある場合は一括して支社や店舗の勤怠情報を確認することができますので、求人の手配や人員の異動なども的確に行うことができます。
勤怠管理システムを導入するメリット
勤怠管理システムを導入する必要性があるのかに関して、疑問に感じるかもしれません。しかし、勤怠の管理が楽になるという点だけでなく、企業で働く従業員の就業状況や給与の正確な算出まで可能という理由でシステムの導入がおすすめです。
従業員の就業状況に関しては、タイムシートとエクセルなどの管理機能を使って行うと手間になり、状況の把握に時間がかかります。勤怠管理システムを導入することで、従業員の就業状況を一覧にして把握することができます。従業員の人数が多い企業にとっては必須な機能です。
また、給与の正確な算出も同様に、勤怠管理システムを使うことで自動で計算をし、個々の残業時間なども割出することが可能です。
勤怠管理システムを導入することで様々な管理が楽になるので、特に規模の大きい企業にとっては導入が必須だといえるでしょう。
勤怠管理システムのメリットを6つご紹介します。
- 勤怠管理の効率化を図ることができる
- 勤怠の不正防止になる
- コンプライアンス対策になる
- 勤怠スケジュールを正確に把握できる
- ほかのシステムと連携することができる
- 人為的なミスがなくなる
勤怠管理の効率化を図ることができる
勤怠管理システムを導入することで、勤怠管理の効率化を実現し、勤怠管理にかかる時間を削減できることが大きなメリットのうちのひとつです。紙のタイムカードの場合だと、データを集計してエクセルなどに打ち込んで確認しますが、勤怠管理システムであれば特別にデータを集計する必要なく、全社員の勤怠データの一覧を表示することができます。
残業時間も把握することが簡単にでき、月末で時間の調整をする必要なくいつでも社員の就業状況を確認できるので、早い段階で調整が可能になります。
また、休暇申請もシステムで申請が可能になるため、急な休みの申請でもPCですぐに申請の確認ができ、上長も管理しやすいです。打刻に関しては、入力のミスなども少ないので正確な数字の算出しやすいこともメリットです。
勤怠の不正防止になる
勤怠の不正防止にも勤怠管理システムは活躍します。特に不正で多いのが残業時間の水増しや早退の無報告です。残業時間に関しては、PCのログイン情報や起動時間などで時間を管理しているため、残業時間の水増しができません。
早退や遅刻に関しても、PCのログが残っているため、無報告の遅刻や早退はできない仕組みになっています。後から時間の操作をするにも過去のログが残っているのと、システムによっては変更理由を上長や管理職に伝えないといけないため、不正をすることができません。
社内の勤怠に関する不正を減らすことができるということが勤怠管理システムを導入するメリットのうちのひとつです。
コンプライアンス対策になる
勤怠管理システムを導入することで、コンプライアンス対策にも役立ちます。コンプライアンスとは、法令遵守という意味で、勤怠管理システムを導入することで、残業時間のオーバーや、適切な休暇の取得などの管理ができ、法令遵守につながるでしょう。
日本では、残業時間のオーバーや休暇不足でブラック企業という悪い印象がつきやすい風潮があります。悪いイメージをつけたくない企業にとって、コンプライアンス対策にしっかり取り組むことは重要です。
勤怠スケジュールを正確に把握できる
勤怠スケジュールを正確に把握できるのも勤怠管理システムを導入するメリットのうちのひとつです。勤怠スケジュールを把握できていないと、いつ休暇を取るべきなのか、どの日程にどの業務をするべきなのか不明になってしまいます。
勤怠スケジュールを正確に把握することで無駄な業務の効率化にもつながります。
ほかのシステムと連携することができる
勤怠管理システムはその他のさまざまなシステムと連携して使うことができます。例えば、勤怠管理システムと給与システムを連携させることで、自動で給与を算出することもできます。
システムが導入されていなければ、データを集計して残業時間などを計算して給与を割出しますが、勤怠管理システムと給与システムを連携することで、残業代も含めた正確な給与を自動で算出可能です。
連携にもかかる費用はそこまで大きい額でもないので、少しでも正確に給与の算出をしたい企業や業務を効率化したい企業にはおすすめです。
人為的なミスがなくなる
勤怠管理システムによって人為的なミスを少なくすることも可能です。勤怠においてミスの多い内容が休暇申請や打刻忘れ、給与の算出です。休暇申請であればシステムで申請をすることで、コンピュータが自動管理してくれるため、人が管理するよりもミスが圧倒的に減ります。
打刻忘れに関しても理由をPCやスマートフォンで記入することが可能で、月末に後回しにすることなくすぐに管理が可能です。給与の算出に関しても勤怠管理システムが自動で残業時間なども含めた給与を算出してくれるので、人が給与を算出するよりも正確な記録が表示されるでしょう。
勤怠管理システムを導入するデメリット
勤怠管理システムを導入するのにメリットだけではなく、デメリットもあります。導入から慣れるまで時間がかかることや、導入にかかる費用対効果が不明であること、システムと企業がマッチするかわからないことなどが挙げられます。
デメリットを克服することでさらに生産性が上がることもあるので、ここから紹介していきます。
- 導入してから慣れるまでに時間がかかる
- 導入の費用対効果が分かりにくい
- 自社の仕組みと合うかわからない
①導入してから慣れるまでに時間がかかる
勤怠管理システムは導入してから慣れるまで時間がかかるというデメリットがあります。特に、PCやスマートフォンを普段から使っていないという人にとっては、操作方法から学ぶ必要があるので、慣れるまで時間がかかるでしょう。
また、打刻のページや休暇のページでデザインも異なってくるので、いきなりシステムを導入してしまうとスムーズに進まないこともあります。
しかし、操作方法のマニュアルなどを従業員に配って慣れるまで手順に従いながら操作をするなど、あらかじめ対策をしておくことで慣れていない方でも手軽に扱うことができます。
②導入の費用対効果が分かりにくい
導入してからの費用対効果が分かりにくいのもデメリットです。勤怠管理システムを導入したからといって、企業の利益が上がるわけではありません。むしろ、最初はシステムの導入により費用がかかってします。
業務の効率化という点で導入をすることを理解していないと、導入してから必要だったのかと疑問に思う方もいるかもしれません。システムを導入することによって、企業のイメージアップや従業員の作業効率アップにつながるため、自分たちの企業に必要なのかを考えてからの導入が必要です。
③自社の仕組みと合うかわからない
自社の仕組みと勤怠管理システムが合うのかわからないというのもデメリットです。就業規則によっては、システムが対応しないこともあるので、あらかじめどのような機能があるのか理解してからの導入が必須になります。
ま必要性が無いのに導入をしてしまうと費用面で損しかしなくなってしまいます。無駄な費用がかかってしまうので、人事担当や社内で話し合ってからの導入検討するようにしましょう。
まとめ
今回は、勤怠管理システムのメリットやデメリットを紹介してきました。勤怠管理システムは、企業の状況によってどのような導入するか事前に検討する必要があります。
特に、費用対効果が見えにくいシステムでもあるので、企業にとって有効活用できるか理解しておくことが重要です。導入を検討している場合は、機能面や費用、使い方などをしっかり担当者から確認して、どのようなシステムを導入する決めることが必要です。
また、「【最新版】勤怠管理システム25選を徹底比較!料金相場や選び方も詳しく解説」では、おすすめの勤怠管理システムを詳しく紹介しているので、導入を検討している方はあわせてご覧ください。