「FAXやビジネスフォン(PBX)はどうなるのか?」
ソフトバンクが提供してきたビジネス向け固定電話サービス「おとくライン」が、終了するにあたり不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
ビジネスの生命線である通信環境を中断させないためには、今すぐ正しい知識と具体的な行動計画が必要です。
本記事では、おとくライン終了の背景、代替回線の具体的な選び方、スムーズな移行を成功させるための最新スケジュールを「理解・比較・行動」の3ステップで徹底解説します。
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目次
おとくライン終了スケジュールとISDN・固定電話の今後

ソフトバンクが提供する法人・店舗向け固定電話サービス「おとくライン」のサービスは、2030年3月31日に終了します。対象者は、早めに代替サービスへの移行を検討することが重要です。
ソフトバンク「おとくライン」はいつまで?(2030年3月31日で終了)
「おとくライン」は2030年3月31日をもって終了し、以降は通話・FAX・警備通信などが順次停止してしまいます。
サービス終了後は自動で別プランに移行されません。契約者自身で新しい回線を申し込む手続きが必要になります。
● 新規受付終了日:2026年3月31日
● サービス提供終了日:2030年3月31日
● 移行対象: おとくライン
● 全契約影響: 期日以降、電話・FAXが利用できなくなります
おとくライン終了で影響を受けるサービス一覧(電話・FAX・警備など)
おとくラインの終了は、単なる通話回線だけでなくISDN回線を共有している多くの機器にも影響が及びます。
店舗やオフィスではFAXや警備など、電話以外の機器も同一回線を共有していることが多いため、すべての通信機器をリスト化し、どの回線で動作しているかを確認しておきましょう。
| 利用機器・用途 | 影響 | コメント |
|---|---|---|
| 固定電話・代表番号 | ◎ | 通話が不可能になる。代替回線の契約が必要。 |
| FAX | ◯ | 一部機種はIP通信に非対応。対応機種の確認が必要。 |
| 警備システム | △ | IP回線対応モデル以外は通信不能となる場合あり。 |
| POSレジ/クレジット端末 | ◯ | 通信方式の変更設定が必要になることが多い。 |
| PBX・内線装置 | △ | ISDN回線専用タイプは交換機の更新が必要。 |
なぜおとくラインが終了するのか?回線IP化の理由を解説

おとくライン終了の根本的な理由は、老朽化したメタル回線網の維持が困難になったことと、より安価で多機能な光・IP通信への全国的なインフラ転換です。
メタル回線の老朽化と全国的なIP化(インターネット・プロトコル化)計画
従来の固定電話回線は、長年メタル回線と呼ばれる銅線を使って運用されてきました。この設備は築数十年が経過しており、老朽化による故障リスクの増大と、メンテナンス費用が問題となっています。
NTT東西やソフトバンクをはじめとする全国の通信事業者は、こうした状況を踏まえて全国的に回線のIP化を進める方針を推進しています。
- 通信速度が速い
- 大容量のデータ転送が可能
- メンテナンスコストが低い
光回線やIP通信は、より耐久性が高く安定した通信が期待できます。
固定電話の維持コストとIP化で変わる仕組み
従来の固定電話は音声通話のためだけに電力を供給する必要があり、設備維持・運用コストが非常に高額でした。
IP電話は、一つの光回線で電話、インターネット、映像配信など多様なサービスを統合できます。
| 比較項目 | メタル回線(ISDN) | IP回線(光・クラウド) |
|---|---|---|
| 通話品質 | ノイズが入りやすい | 音声がクリアで安定 |
| 設備維持費 | 高い(部品不足) | 低コスト・省メンテナンス |
| 通信速度 | 低速 | 高速・多用途対応 |
| 拡張性 | 限定的 | 複数拠点・モバイル連携が容易 |
ISDNから光・IPへの転換で変わる通話・FAXの仕組み
ISDN(INSネット)をご利用の場合、IP化により通信方式が大きく変わります。
- 【ISDN】音声やデータを専用のデジタル信号で伝送し、電話とFAXで別の通信路(チャネル)を使う方式
- 【IP電話】音声やFAXの情報を「パケット」というデジタルデータに変換し、インターネット上で送受信
この仕組みの変更により、ISDN信号に依存していた従来の電話機、高速G4 FAX、警備通報機器などは、IP通信に対応していないと正常に動作しくなるため、機器の対応状況の確認や交換が必須となります。
おとくライン利用者チェック|あなたの店舗・事務所は対象?

すべての固定電話契約が「おとくライン終了」の対象ではありません。まずは、自社や店舗がどの回線を契約しているかを確認しましょう。
請求書・番号帯・契約名で「おとくライン」か判定
最も確実なのは、ソフトバンクから届く請求書や契約書を確認する方法です。
- 契約書・請求書: サービス名に「おとくライン」と記載があるか
- 電話番号帯:契約された電話番号が「0AB〜J番号」(固定電話番号)であるか
- 発信時の名称:ソフトバンクからのお知らせやメールなどに「おとくライン」の名称があるか
法人契約では担当者の交代により契約回線が不明になるケースがあります。この機会に請求書や契約内容を整理し、不要な回線契約の解約や固定費の削減も検討しましょう。
ISDN(ISDN64/1500)利用中かどうか確認する方法
おとくライン契約者の中には、デジタル通信が可能なISDN回線(ISDN64/1500)を利用している企業様も多くいらっしゃいます。ISDN64やISDN1500の契約者も同様にサービス終了対象です。
- 請求書: 契約内容に「ISDN64/1500」相当の記載がないか確認します。
- 接続機器:電話回線と電話機やPBXの間に、「ターミナルアダプタ(TA)」が設置されていないか確認します。機器のラベルに「INS」「ISDN」「DSU」などの記載がある場合、ISDN回線を使用しています。
これらの機器がIP網非対応の場合、代替サービスへの切り替えと同時に、機器の入れ替えや設定変更が必須となります。
ISDNを利用していると、FAXやPOSシステム、警備システムも同じ回線を共有していることがあります。機器単位での影響確認を忘れずに行いましょう。
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おとくライン終了後に選べる代替回線・サービス比較

代替サービスは大きく分けて「モバイル回線型」「光回線型」「クラウド型」の3種類があります。代替サービスを選ぶポイントは、「番号を維持できるか」「工事が必要か」「安定性・機能性はどうか」の3点です。
モバイル回線型・光回線型・クラウド型、3つの代替サービスを比較
「モバイル回線型」「光回線型」「クラウド型」を比較すると以下のようになります。
| 項目 | おうちのでんわ | 光電話 | クラウドPBX |
|---|---|---|---|
| 工事 | 不要 | 必要(場合あり) | 不要 |
| 初期費用 | 0円〜 | 数千円〜 | 0円〜(サービス形態により異なる) |
| 月額料金 | 約550円〜 | 約550円〜 | 導入規模・機能数に応じて大きく上下 |
| 番号引継ぎ | 可 | 可(同一エリア) | 可(条件付き) |
| 通話品質 | 中 | 高 | 中〜高(回線品質に依存) |
| FAX利用 | 動作保証外 | 可 | クラウドFAX連携 |
| 法人対応 | △ | ○ | ◎ |
| 停電時利用 | 電源供給が必要 | 電源供給が必要 | 可(モバイル併用) |
「おうちのでんわ」|工事不要・番号そのまま(モバイル回線型)

おうちのでんわは、ソフトバンクが提供する携帯ネットワークを利用した固定電話代替サービスです。主に個人のご自宅や小規模な店舗を対象としており、回線工事が不要で現在使っている電話番号をそのまま引き継げるのが大きな利点です。
- 回線種類:携帯電話のモバイル回線(4G/5G)を利用
- 工事:原則不要(専用機器設置のみ)
- FAX利用:動作保証なし
- 番号維持:番号ポータビリティで既存番号を継続利用可能
△ 通話品質や安定性が光回線に劣る場合がある
△ 大規模なオフィスやPBX利用には不向き
| 項目 | 詳細 | 懸念点 |
| 回線種類 | 携帯電話のモバイル回線(4G/5G)を利用 | 通話品質や安定性が光回線に劣る場合がある |
| 工事 | 原則不要(専用機器設置のみ) | 大規模なオフィスやPBX利用には不向き |
| FAX利用 | 非推奨(動作保証なし) | FAX利用が多い事業所は選択肢から外すべき |
| 番号維持 | 番号ポータビリティで既存番号を継続利用可能 | |
「おとく光電話/NTTひかり電話」|光回線を使って高品質&安定(光回線型)

ソフトバンクおとく光電話やNTTひかり電話は、光ファイバー回線を利用したIP電話サービスです。音質がクリアで、FAXやPBXとの互換性も高いため、店舗やオフィスでの信頼性を重視する方に向いています。
| 項目 | 詳細 | 懸念点 |
| 回線種類 | 光ファイバー回線を利用したIP電話 | 光回線未導入の場合は開通工事が必要です |
| 工事 | 光回線未導入の場合は開通工事が必要 | 工事費が発生する、予約から開通まで時間がかかる |
| 安定性 | 高品質で安定した通話品質 | 停電時利用は電源供給が必須 |
| 番号維持 | 番号ポータビリティで既存番号を継続利用可能 | |
光回線がすでに導入されている場合は追加工事なしで利用できる場合もあります。月額料金が安く、通話料も一般的な固定電話より低コストで運用できます。
「クラウドPBX」|多拠点・リモート対応型(クラウド型)

クラウドPBXは、電話の交換機(PBX)をクラウド上に構築し、社内の通話・転送・内線などをインターネットで管理する仕組みです。オフィス・店舗・在宅スタッフをひとつの電話網でつなげられるため、ビジネスの効率化を求める法人様に最適なソリューションです。
| 項目 | 詳細 | 懸念点 |
| 回線種類 | 光回線やインターネット回線を利用(サービス提供会社に依存) | 既存のPBXの機能やコストと綿密な比較が必要 |
| 工事 | 物理的な交換機の設置工事は不要 | 専用のSIP電話機やスマートフォンアプリの設定が必要 |
| 機能 | 内線通話、多拠点接続、スマートフォン連携など高機能 | |
| 番号維持 | IP電話番号(050)や、光回線番号(0AB〜J)を利用可能 | |
FAXは別途クラウドFAXを併用する必要があります。内線や転送機能をクラウド化することで、在宅勤務や外出先からの対応が容易になります。従来のPBX機器を設置するスペースや保守費用の削減にも効果的です。
【用途別】業務を止めないための最適選択(通話/FAX/警備/PBX)
おとくラインが終了すると、電話以外にも複数の業務機器に影響が出ます。単に通話ができるかだけでなく、FAX、警備、PBXといった付加的な用途を継続できるかが鍵となります。用途ごとに代替手段の適性を確認しておきましょう。
| 用途 | 移行先サービスの必須要件 | 推奨される代替サービス |
| 通話のみ | 高音質な通話が可能、番号引継ぎも容易 | 光電話、クラウドPBX、おうちのでんわ(小規模) |
| FAX利用 | IP対応FAXで安定。クラウドFAXなら紙管理を削減できる。 | 光電話、クラウドPBX |
| 警備回線 | 24時間365日安定したデータ通信の信頼性 | 光電話、もしくは警備会社指定のIP回線 |
| PBX(ビジネスフォン) | 外線接続数や内線機能が代替可能であること | 光電話(多チャンネル)、クラウドPBX |
- FAX: IP電話では、通信の不安定さから送信エラーが起こるリスクがあります。必ずサービス提供会社に動作保証を確認してください。
- 警備回線: 機器がアナログ信号を想定している場合が多く、IP網へ切り替えると正常に動作しないケースがあります。契約している警備会社に、移行先の回線種類を必ず確認し、動作確認を得てから契約しましょう。
特に重要なのはFAXと警備回線特に重要なのはFAXと警備回線特に重要なのはFAXと警備回線
【事業別】店舗・事務所・法人で異なる最適プラン
事業規模によって最適な回線は異なります。以下の表を参考に、自社の規模や運用スタイルに合う回線を検討しましょう。
| 利用規模・形態 | 最適な代替サービス | 主な選択理由 |
| 個人事業主・小規模店舗 | おうちのでんわ、光電話(1〜2チャネル) | 費用を抑え、工事不要か手軽さを優先 |
| 中規模事務所・単一拠点法人 | 光電話(複数チャネル) | 安定性・通話品質・番号維持を重視 |
| 多拠点展開・リモートワーク企業 | クラウドPBX | 内線無料化、スマートフォン連携、管理の一元化を実現 |
通話品質を重視する環境では光電話が最適です。まずは、現在の契約チャネル数(同時に何本電話を受けられるか)と、内線が必要かどうかで、適したプランを絞り込むことができるでしょう。
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おとくラインから他回線へ移行する具体的手順

移行は「情報整理→選定→工事→テスト」の5ステップで計画的に進めます。移行後の動作確認と、関係者への周知を確実に行いましょう。
ステップ1:契約・設備情報を整理(請求書・番号表)
まずは、以下の情報を整理し、移行設計の基礎資料を作成します。
- 契約情報: 契約者名義、電話番号、契約チャネル数、設置場所
- 利用機器: FAX、PBX、警備システム、POSシステムなど、回線共有機器のメーカーと型番
ステップ2:代替サービスの選定・申し込み
最適な代替サービスを決定し、申し込みましょう。
- 通話品質: FAXや代表番号の利用頻度が高い場合は光回線が有利
- 工事の有無: 営業時間に影響しないよう、無停止での切替可否を確認
- コスト:初期費用と月額のバランスを比較
- 将来性:拡張やクラウド連携を見越して選ぶと長期的に安心
番号ポータビリティが可能か、FAXの動作保証があるか、ランニングコストが現在の料金より安くなるかなどを総合的に判断しましょう。
ステップ3:工事・設定・テスト・開通
光回線工事や機器設置が必要な場合は、業務影響のない営業時間外を選んで工事日を調整します。
- 工事の調整: 業務に影響のない曜日や時間帯を選んで工事日を調整します。
- 初期設定:新しい電話回線の設定(内線設定など)を行います。
- 開通:開通後、必ず通話テスト・FAX送受信テストを実施します。
工事日が近づいたら、店舗営業時間や休業日に合わせてスケジュール調整を行いましょう。特にFAXやPOSを共有している場合は、業者立会いのもとで確認するのが安全です。
ステップ4:番号移行・FAX動作確認
番号ポータビリティの手続き・移行の手続きが完了したら、電話番号の引継ぎとFAX動作の確認を行います。この段階で問題が発生しやすいため、特に注意が必要です。
- 番号ポータビリティの実施: 古い回線から新しい回線へ電話番号が切り替わります。切り替わった直後、必ず外部の電話から着信テストを行います。
- FAX、特殊回線の動作確認: 複数の取引先へ送受信テストを複数回実施します。警備回線は警備会社と連携してテストします。
ステップ5:社内・顧客への番号変更周知
移行後の最終ステップは、関係者への番号周知です。
- 顧客・取引先: 新番号・移行日をメールまたは郵送で案内
- 広告媒体: 名刺、パンフレット、看板の表記更新
- オンライン媒体:公式サイト・SNS・Googleビジネスプロフィールを修正
- 社内:社員・店舗スタッフへマニュアル共有
クラウドPBXでは、自動音声案内で新番号を案内することも可能です。
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法人・店舗向け移行設計|止まらない通信環境をつくる

法人の移行では、単一回線だけでなくPBX構成、代表番号の運用、FAXや警備回線など、業務継続性の視点から専門的なチェックが必要です。多拠点の場合は段階的な移行がリスクを抑えます。
PBX・代表番号・内線構成の移行チェックリスト
まず、現状の構成を整理し「代表番号」「内線数」「転送ルール」を明確にしておきましょう。クラウドPBXに移行すれば、物理的な機器を設置せずに内線や転送をクラウドで管理できます。
| チェック項目 | 概要 | 移行先での対応 |
| 代表番号の運用 | 複数の回線が代表番号に着信する仕組み(グループ着信) | 光電話の多チャンネルサービスや、クラウドPBXの機能で再現 |
| 内線構成 | 部署・フロア・個人ごとの内線番号の構成 | クラウドPBXなら柔軟に設計可能 |
| 夜間・休日応答 | 営業時間外のアナウンスや留守番電話の動作 | 移行先のPBXやオプション機能で設定変更が必要 |
| 発信規制・短縮ダイヤル | 特定の番号への発信規制や、短縮ダイヤルの設定 | 新しいPBX機器やサービスで再設定が必要 |
| 電話機・主装置 | 既存の電話機が新しい回線に対応しているか | 対応しない場合は、PBX本体ごと交換が必要 |
移行設計は、現在のPBXの機能やコストを洗い出し、それらを代替サービスで最も効率よく再現できる方法を検討する専門性の高い作業です。安易に自己判断せず、専門業者への相談をおすすめします。
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FAX/POS/警備回線の代替通信要件
特殊機器は、通信方式が変更されるIP網でそのままでは動作しないリスクが極めて高いため、メーカーや業者と事前に連携した対応が必要です。
G3 FAX(ひかり電話): 低速モード(G3)で利用できることが多いですが、大量のFAX送信や高速通信が必要な場合は、専用のIP-FAXサービスを検討すべきです。
POS/CAT端末: 従来のダイヤルアップ接続(アナログ通信)を想定している端末は、そのままではIP網で動作しません。IP網対応の新しい端末への交換が必須です。
警備回線: 警備会社指定の専用IP回線や、信頼性の高い光回線への変更が必要です。回線切り替えの際は、必ず警備会社担当者に立ち会ってもらい、動作確認を行うことを強く推奨します。
多拠点・本部連携のローリング移行モデル
複数の拠点を持つ法人やチェーン店舗の場合、すべての拠点を一度に切り替えるとリスクが高まります。拠点単位で段階的に切り替える「ローリング移行」を採用することで、予期せぬトラブルによるリスクを最小限に抑えられるでしょう。
1.パイロット拠点(モデル店舗)の選定: 影響が少なく、かつ基本的な構成を持つ拠点を選び、最初に移行を完了させます。
2.ノウハウの蓄積: パイロット拠点でのトラブル対応や設定ノウハウをマニュアル化します。
3.ローリングアウト: そのノウハウを活かして、他の拠点へ順次、移行を展開(ローリング)していきます。
本部と店舗間で通話転送や代表番号共有を行う場合、クラウドPBXを利用すると移行負担を軽減できます。一部拠点から順にクラウドへ移行することで、通信断のリスクを最小化できます。
移行にかかる料金・工事費・補助金

回線移行にかかる費用は、初期工事費・機器費用・月額利用料で構成されます。おとくライン終了に伴う移行では、将来性も含めて全体のコストを把握しておくことが大切です。
回線種別ごとの初期費用と月額料金比較
移行時の初期費用は光電話やクラウドPBXでは数千円〜数万円、おうちのでんわでは機器費用のみで済むケースが多くなります。
| 回線種別 | 初期費用(目安) | 月額料金(目安) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| おうちのでんわ | 0〜数千円(機器レンタル、事務手数料など) | 約550円~ | 工事不要、安価。法人利用には機能不足の可能性。 |
| 光電話 | 約3,000円〜(工事費含む) | 約550円~(基本料+チャンネル料) | 高音質で安定、工事必要。インターネット回線と同時導入がお得。 |
| クラウドPBX | ベースプラン0円〜(サービスによる。端末導入費・初期設定費が別途) | ユーザー数・機能数に依存 | 多拠点対応、柔軟性高い。初期費用・月額費用は高めになる傾向。 |
工事不要で費用を抑える方法
工事費を抑えたい場合は、既存回線や機器を最大限活用することがポイントです。すでに光回線が導入済みなら、追加工事なしで光電話を開通できる可能性があります。
法人契約では「IT導入補助金」「事業再構築補助金」など、通信設備導入に関する自治体や国の補助金が適用される場合があります。
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今すぐできる準備と移行アクションマップ

おとくライン終了まで余裕があるように見えても、代替回線の選定や工事調整には時間がかかります。時期別にやるべき準備を整理して、直前に慌てないための行動計画を立てましょう。
「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、以下のステップで動き始めることが、業務中断を防ぐための最善策です。
すぐにやること(対象判定・契約確認)
自社の契約が終了対象か確認することが第一歩です。
- 【対象判定】 契約書・請求書で「おとくライン」または「ISDN」と記載があるか確認
- 【ISDN確認】 現在の電話・ FAX、警備、POS、PBXがISDN(INS)接続を利用していないか確認
- 【情報整理】 現在の電話番号、契約チャネル数、PBX構成、特殊回線接続機器(FAX/警備など)の情報をリスト化
3か月以内にやること(代替選定・費用比較)
費用感と導入スケジュールを整理し、見積を取得しましょう。
- 【用途決定】「通話品質」「FAXの安定性」「リモートワーク対応」など、代替サービスに求める優先順位を決定
- 【サービス比較】「光電話」「おうちのでんわ」「クラウドPBX」を比較。工事の有無、初期費、月額料金を一覧化
- 【見積依頼】 候補となる事業者数社に、番号ポータビリティ込みの見積もりと、FAX・特殊回線の動作保証について問い合わせる
半年以内にやること(申込・工事予約)
遅くとも半年前には切替スケジュールを確定させましょう。
- 【サービス決定】 TCO、安定性、機能性を総合的に判断し、移行先サービスを決定
- 【申込・契約】 決定したサービスへ申し込みます。番号ポータビリティの手続きを速やかに開始
- 【工事予約】工事日を設定し、営業時間と調整、試験通話やFAX送受信テストを実施
終了前にやること(試験・社内共有・周知)
最終段階では社内・社外への情報更新を徹底し、移行後の混乱を防ぎましょう。
- 【移行作業】 工事や設定作業を実施し、回線を切り替え
- 【徹底テスト】 新回線の稼働確認を実施。発信・着信・FAX送受信・警備回線など、すべての機能について、業務開始前にテストを完了
- 【社内共有】 移行完了後、従業員に周知徹底
- 【顧客周知(番号変更時)】 電話番号が変わった場合は、顧客への新番号案内、名刺や広告・Web情報の更新
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FAQ|おとくライン終了に関するよくある質問

おとくライン終了への対応について、事業者の皆様が今すぐ知っておきたい疑問をまとめました。
代替えサービスへ移行しない場合はどうなりますか?
自動で切り替わることはありません。お客様ご自身で代替サービスに切り替えていない場合、2030年3月31日以降は回線が停止し、通話・FAXともに利用不可となります。必ず期限内に代替回線へ移行しましょう。
現在の電話番号は新しい回線でもそのまま使えますか?
原則として可能です。多くの「光電話(ひかり電話)」サービスや一部の「クラウドPBX」で番号維持が可能です。ただし「おうちのでんわ」では引き継げない条件があるため、事前確認が必須です。
FAXや警備システムは今後も使えますか?
動作保証外となるケースが多く注意が必要です。FAXはG3(低速)モードなら使えることが多いですが不安定なリスクがあります。警備回線は警備会社指定の回線へ変更が必要です。
PBX・ビジネスフォンはどうすればいいですか?
既存のPBXやビジネスフォンはメタル回線に特化した機器が多いため、そのままでは使えません。多くの場合、IP-PBXやクラウドPBXへの入れ替えが必要になります。
移行にかかる期間と費用はどのくらいですか?
おとくラインからの移行期間は、契約内容や回線種別によって異なりますが、申込から開通までの目安は2〜4週間前後です。複数回線やPBX(ビジネスフォン)構成を含む法人契約の場合、全体で3〜6か月程度を見込むのが現実的です。
費用はサービスによって異なりますが、初期費用はおおむね0〜1万円前後(工事費・事務手数料含む)、月額利用料は550円〜数千円台が一般的な範囲です。既設環境を活かせばコストを抑えることも可能です。
おとくライン終了をチャンスに変える

おとくライン終了は最新技術を取り入れ、通信コストの削減や業務効率の向上を実現する絶好の機会です。
通信コストの最適化: IP電話は従来の固定電話よりも安価な通話料設定が多いため、月々の通信コストを大幅に削減できる可能性があります。
ビジネスの効率化: クラウドPBX導入により、スマートフォンを内線として利用できたり、外出先やリモートワーク環境でも会社番号での受発信が可能になったりします。
レガシーシステムの刷新: 老朽化した機器を最新IP対応機器に刷新することで、故障リスクを減らしメンテナンスコストを削減できます。
将来的なリスクを回避し、事業を止めないための第一歩を踏み出しましょう。
「どの回線を選べばいいか分からない」「今の電話番号を確実に残したい」といったお悩みは、通信のプロフェッショナルにご相談ください。
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