損益計算書(PL)とは?その見方や項目ごとの意味も分かりやすく解説!

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企業の業績を表すデータの一つとして、損益計算書(PL)があります。

また、決算に欠かせない損益計算書ですが、実際に経営に活かしているという経営者は少ないのが実情です。

損益計算書を確認するポイントを理解して、どのような事業においてどれくらい利益や損益が出ているのかを明確にすることが重要です。

では、具体的にどのような点に着目して損益計算書をチェックすればよいのでしょうか?

この記事では、損益計算書を読み解く上で重要な5つの利益などについて詳しく解説します。

そもそも決算とはどのようなもの?

決算書とは、会計年度内において会社の利益と損失がどの程度あったのか、会社が今どのような財政状態にあるのかなど、会社の状況を明確にした書類です。

決算書は、確定申告の際に必要となり、仕訳帳と総勘定元帳といった帳簿を基に会計年度ごとに作成します。

会計年度は1年となりますが、会社の場合は明確に期間が定まっておらず、業種などによって異なります。

ただ、一般的には4月から3月末の1年を会計年度とする会社が圧倒的に多いです。

決算に必要となる書類

決済時に必要となる書類には、以下があります。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュ・フロー計算書

ここでは、それぞれの資料についての概略を紹介します。

貸借対照表

貸借対照表とは、1年間の会社の財政状態を明確にした書類です。

会計年度の終わり時点において、会社が保有する資産、負債、資本(純資産)が記載されています。

貸借対照表に記載されている資産、負債、資本の3つは、以下の関係で成り立っています。

資産=負債と資本の合計

貸借対照表は、バランスシート(B/S)とも呼ばれます。

損益計算書

損益計算書は、会社の1年における収益と費用を明確にしたものとなります。

会社の業績を、以下5つに分けて示しています。

  • 売上総利益:当期中に売り上げた商品の売上高から売上原価を差し引いた1年の粗利益の集計
  • 営業利益:本業で稼いだ利益であり、事業の収益性を見ることができます
  • 経常利益:経常的な企業活動の結果稼いだ利益
  • 税引前当期純利益:営業と直接関係ない臨時的な損益も計算した利益
  • 当期純利益:会社が支払う法人税等を差し引いた最終的な利益となり株主に対する配当の源泉

 

売上高と利益を混同しがちですが、まったく異なる点には注意が必要です。

具体的には、売上高とは商品やサービスを提供して得た売上の合計のことを指しますが、商品の購入やサービスの提供にかかった費用は計上されません。

一方、利益の場合は売上高から費用を差し引いた、実際に儲かった金額のことです。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書は、現金の流れを示した書類です。キャッシュ・フロー計算書を見れば、どこに現金を使い、どのように現金を得たのかを読み取ることができます。

例えば、会社として収益を出しているにもかかわらず現金が残っていない場合は、現金の流れに問題があることになります。

キャッシュ・フロー計算書は損益計算書と似ていますが、損益計算書は収益と費用を表わすのに対して、キャッシュ・フロー計算書は現金の増減を表わしています。つまり、キャッシュ・フロー計算書は損益計算書で足りない点を補うのに必要な書類ということです。

キャッシュ・フロー

キャッシュ・フロー計算書では、営業、投資、財務の3つの活動によるキャッシュ・フローに分類されます。

各活動における、主な内容は以下の通りです。

  • 営業活動:商品やサービスの売上または仕入による収支や人件費や家賃等の支出
  • 投資活動:土地や有価証券などの購入と売却による収支や設備投資や新規事業に伴う支出
  • 財務活動:株式発行による収入や配当金による支出、借入金の返済による支出

損益計算書で示された5つの利益

損益計算書は、収益、費用、利益の3つの要素が記載されています。

商品やサービスを販売して得た売上高から費用を差し引くことで、最終的な利益が計算可能です。

損益計算書における利益の区分には、以下5つがあります。

  • 売上総利益
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 税引前当期純利益
  • 当期純利益

それぞれの区分について、詳しく見ていきます。

売上総利益

売上総利益とは、自社の主要事業である商品やサービスによって獲得した利益を確認できる項目です。

粗利や粗利益とも呼ばれることがあり、以下の計算式で算出できます。

売上総利益 = 売上高 - 売上原価

売上高から売上原価を差し引くことで、売上総利益が算出できます。

具体例を挙げて説明すると、小売業において原価2,000円の商品500個を2,500円で販売して完売したとします。

その場合、売上総利益は売価2,500円から原価2,000円を引いて、500個販売しており、500×500=250,000円が売上総利益となるのです。

売上総利益が高い場合は、本業で順調に利益を得られていると考えられます。

粗利益の計算には売上原価を使用しましたが、製造業の場合は人件費を含んだ製造原価が用いられるのが一般的です。

小売業では、人件費は販売費となるので売上原価に含まれませんが、製造業では人件費は製造原価に含まれるということになります。

売上総利益を構成する、売上高と売上原価については次の通りです。

売上高

売上高とは、商品を販売したり、サービスを提供したりといった、会社の本業である営業活動を行った結果として得られる収益となります。

単純に、売上と呼ばれているケースも多いです。

売上高は、原則として商品やサービスを顧客に引き渡した時点で計上されます。

よって、実際に現金として受け取るタイミングとのギャップが生じます。

まだ起業したばかりの企業や事業においては、利益や利益率ではなく売上高を高めることに注力する傾向があるのです。

このために、売上高だけで経営状態を判断すると、資金繰りの悪化に気付きにくいというリスクがあるので注意してください。

売上原価

売上原価とは、商品を仕入れたり製造する際にかかる費用です。

売上高より売上原価を差し引くことで売上総利益を算出できますが、売上原価が低いほど企業としての利益は大きくなります。

売上原価は、あくまでも当期の売上に対する原価であり、販売した商品のみが売上原価として算出されます。

よって、売れ残っている商品の仕入れ額は、売上原価に含まれないために注意が必要です。

実際の売上原価は、前期の在庫分や当期の在庫分を差し引きして算出することになります。

具体的な計算式は、以下の通りです。

売上原価 = 期首商品(前期の在庫分) + 当期仕入(当期に仕入れた分) - 期末商品(当期の在庫分)

もし売上原価を誤って算出すると、会計期間の利益を正しく計算できないため注意してください。

営業利益

営業利益とは、企業の本業において、営業活動の結果得られた利益のことを指します。

例えば、パン屋さんであればパンを販売して得られた利益が営業利益となるのです。

営業利益は、以下の計算式で算出します。

営業利益 = 売上総利益 - 販売費および一般管理費

売上総利益より、商品やサービスを販売する上で必須となる経費である、販売費および一般管理費を差し引けば、営業利益を算出できます。

販売費および一般管理費

販売費は、会社の営業活動に支出した費用の中で、商品の販売に関連して発生した費用です。

商品の販売やサービスの提供などに対して生じる経費のことで、販売する従業員の給与や宣伝広告費、発送費や配達費なども含まれます。

販売に関係する費用とは、販売管理費や営業経費とも呼ばれる場合もあって、各々を区分で管理することが可能です。

経営においても、販売費は営業利益とも密接に関係しており、売上総利益から販売費や一般管理を引いて計算した金額となります。

販売費が少ないほど、営業利益が上がりますが、販売費が効率よく利益に結びついているかの分析が必要です。

一般管理費とは、会社の一般管理業務に必要な全ての経費が該当します。

会社の本業において収益を得るために使用される経費が、一般管理費となるのです。

一般管理費には、以下が該当します。

  • 会社の従業員に対して支払われる人件費
  • 家賃
  • 水道光熱費

また、一般管理費とは分けられる販売費とは、販売管理費や広告宣伝費など営業に関係する経費のことで、営業スタッフの賞与であったり手当、交際費や福利厚生費も含まれます。

一般管理費と販売費の算出は、会社の経営にとって非常に重要な要素です。

経常利益

経常利益とは、会社の本業で得た営業利益に対して、経常利益は本業以外で発生した収益や費用をまとめたものとなります。

経常利益には、株の売却益や本業に付随して販売した商品の販売益などが含まれます。

経常利益の計算式は、以下の通りです。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

経常利益は、企業が毎年どの程度稼いでいるのかを示す、大事な指標のひとつです。

よって、普段発生しないような利益や損失については、経常利益には含まれません。

普段は発生しない損益とは、例えば災害が発生したことにより被った損失や、会社の持っている土地を売却して得た利益などが挙げられます。

営業外収益

営業外収益とは、企業の主な事業における営業活動以外によって得られた、財務活動による収益のことを指します。

営業外収益は受取利息や不動産賃貸料収入などが該当し、主に以下のような内容となります。

  • 受取利息:預貯金や貸付金の利子
  • 受取配当金:株式の配当金など
  • 持分法による投資利益:関連会社などに投資して会社の当期純利益を所有している割合だけ得る

営業外費用

営業外費用とは、企業の本業の中で営業活動ではない部分で継続的に発生する費用のことです。

一般的には、財務活動によって発生した費用のことを指します。

例えば、借りたお金の利息や社債の発行に必要な費用、そして株式の売却損などが営業外費用となります。

営業外費用と営業外収益を掛け合わせて、営業外損益と呼ばれることも多いです。

税引前当期利益

税引前当期利益とは、法人税など、その期に納めるべき税金を支払う前の利益額です。

税引前当期利益の計算式は、以下となります。

税引前当期利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失

特別利益

特別利益とは、事業を運営するために継続的に発生する利益とは別で、本業とは無関係に限定かつ臨時的に発生した利益のことです。

主に、不動産などを売却したことによる固定資産売却益、長期保有していた株式や証券の売却益が当てはまります。

特別利益は、企業側からすれば定常的に発生しない利益となり、特別利益が大きいからと言って業績が良いわけではありませんので注意してください。

特別損失

特別損失とは、企業の通常の経営活動において発生しえない、例外的に発生した損失です。

特別利益と同じく、特別損失に該当するかどうかについては一律に判断する基準はありません。

よって、臨時性と金額の両面から個別に振り分けする必要があります。

主な特別損失の例を、以下に紹介します。

  • 長期間に渡って保有する株式や証券売却による売却損
  • 不動産などの固定資産売却損や固定資産除去損
  • 火災や自然災害などによって発生する損失
  • 前期の損益修正により発生した前期損益修正損

特別損失は当期だけの損失となるため、翌期以降も継続的に特別損失が発生することはほぼありません。

よって、特別損失として巨額の損失が計上しても、それだけの理由で金融機関の信頼を失うケースは稀と言えます。

当期利益

当該決算期における、最終的な利益は当期利益となり、純利益とも呼ばれています。

当期利益が純粋な企業の利益となり、マイナスであれば赤字となるのです。

計算式は、以下の通りです。

当期利益 = 税引前当期利益 - 法人税等(法人税 + 法人住民税 + 法人事業税)

法人税等

法人税等とは、会社の利益に応じて課税される法人税、法人住民税、法人事業税のことです。

当期の決算で会社が負担すべき税金を処理する科目となっています。

法人税は、会社の所得に対して課税される税金です。

法人税の税率は、法人の種類や資本金、所得金額によって変動します。

法人住民税は、法人の事業所がある地方自治体に納付する税金です。

法人住民税には、法人税額に住民税率を乗じて計算する法人税割と、資本金などの額に応じて課税される均等割の2種類があります。

法人事業税は、所得に対して課税される所得割が基本となる税金です。

資本金1億円超の法人では、付加価値を課税標準とする付加価値割、資本等の金額を課税標準とする資本割も加算されます。

法人税等に含まれるのは所得割のみであり、付加価値割と資本割は原則として販売費および一般管理費に計上しなければなりません。

決算書作成の作り方

損益計算書を含めた決算書の作り方について、順番に沿って解説します。

今年度の取引を記帳する

決算書を作成するためには、まず会計に関する資料を揃えましょう。

領収書や請求書などの資料を整理し、領収書綴りを作成してください。

資料を一通り整理したら、当年分の記帳を済ませます。

決算整理仕訳の実施

決算書を作成するにあたって、事業年度内に実施した仕訳の確認や調整を行う決算整理仕訳が必要です。

決算整理仕訳とは、年度をまたいだお金について、今期分と来期分に仕訳することを指します。

入金や支払いが来期になっている取引であったり、固定資産の減価償却費が正しく計上されていることを確認して、帳簿の修正を実施します。

決算残高を確定する

データを一通りチェックしたら、固定資産における減価償却や期末棚卸、未払金や前払い金などの決算整理仕訳を記入します。

そして、各勘定科目の残高が実際の残高と合致しているかの確認を行い、決算残高を確定させます。

残高の確認作業は、もし不正が発生している場合に、発見する重要な作業であるために慎重に行ってください。

仕訳した各勘定科目を総勘定元帳に転記

仕訳した各勘定科目を総勘定元帳に転記させます。

この作業では、数字を間違えたり、転記漏れが発生しがちであり、慎重に行う必要があります。

試算表を作成する

試算表には、合計試算表、残高試算表、合計残高試算表の3種類があります。

それぞれに、間違いがないかを検証することが重要です。

決算書の作成する

試算表の借方と貸方の金額が一致したことを確認した後に、貸借対照表や損益計算書をはじめとした決算書を作成してください。

損益計算書は会計ソフトなどを用いて作成するのがおすすめ

会社の経営において、決算業務は避けて通れないものです。

ただ、実際には決算業務を行う人材を確保できず、ついつい後回しにしてしまいがちです。

日々発生する取引で、日付や金額、勘定科目などを1つずつ記録するのはとても手間がかかります。

そこで、日々の業務において会計ソフトなどのサービスを使用すれば、定期的に発生する取引の記帳を自動化できて、効率化を図れます。

決算書の作成をサポートするおすすめサービス5選

決算書の作成は非常に手間がかかり、また確実性が求められる業務となります。

そこで、より簡単に決算書を作成できるサービスを5つ紹介します。

弥生会計 22 ネットワーク

弥生会計 22は、実績22年連続No.1の中小規模事業者向け会計ソフトとして知られています。

弥生会計 プロフェッショナルの機能をすべて網羅しており、複数拠点を含む3~20台で同時利用が可能です。

誰でもすぐに使い始めることが可能で、各種集計や決算資料も簡単に行えます。

クラウドとAIによって、入力作業を大幅に効率アップすることができる点も良いですね。

分析資料などを画面で容易にチェックでき、タイムリーな経営判断が可能です。

ユーザー管理や仕訳・伝票承認、仕訳履歴、ログ管理機能の強化によって、財務諸表の信頼性を向上させることもできます。

クラウド会計ソフト freee

クラウド会計ソフト freeeでは、確定申告だけでなく日々の経理もまとめて効率化できるサービスです。

個人事業主から中規模法人にまで対応した、バックオフィスのリモート化を実現できます。

クラウド会計ソフトであるため、場所を問わずどこでも利用できる点が魅力的です。

また、日常的な会計処理や債権債務管理、経費精算、請求書、財務分析などを容易に行えます。

仕分けはAIによってほぼ自動的に行え、また学習機能によって精度を高めることができるのです。

freeeが提供している人事労務システムとの連携もできるので、うまく活用すればより効率化を図れます。

マネーフォワード クラウド会計Plus

マネーフォワード クラウド会計Plusは、中小企業から上場企業まで幅広く利用されているサービスです。

内部統制が必要となる上場企業のグループ会社などで、低コストで立ち上がり早く運用したい場合に向いています。

仕訳承認フローを導入できるので、すべての仕訳が承認を経て記帳されて、正確性や信頼性が担保できます。

仕訳ごとに発生する、登録や申請、更新、承認の履歴をCSVやサービス内で閲覧が可能で、もし問題が発生した場合の早期解決や内部統制に効果てきめんです。

特に、成長期やIPO準備期のバックオフィス構築を考えている企業に、特におすすめです。

勘定奉行クラウド

勘定奉行クラウドは、仕訳伝票の入力や確認、そして帳票の出力といった業務をデジタルに置き換えるだけであり、従来のやり方を踏襲しながら導入可能です。

様々なデータを連結するだけで経理業務のデジタル化を実現でき、入力作業が減るだけでなく転記ミスも発生しません。

インターネットバンキングなどの取引データをインポートすることで、無駄な作業をカットできコストカットにつなげることが可能です。

また、以下のような機能が用意されています。

  • 税理士との連携
  • 伝票ロック
  • 50種類以上の豊富な帳票
  • 部門配賦
  • 予算管理など

既存のデータをわずか1日でデータ移行できるので、スムーズな導入も実現できます。

OBIC7会計情報ソリューション

OBIC7会計情報ソリューションでは、経営情報の要となる会計情報を一元管理できるサービスです。

業務改善と業務プロセスを可視化できて、内部統制強化や経営の意思決定支援、予算統制マネジメントを容易に実現できます。

非会計情報も含めて、部門業績評価を始めとするさまざまな角度や視点から、管理会計や予算統制マネジメントを行えます。

複数会社管理や本支店会計に対応しており、仕訳処理から財務諸表、決算報告まで一連の会計業務をスムーズに対応可能です。

スキャナ保存制度が求めている、真実性の確保や可視性の確保に適切に対応しており、タイムスタンプなどの機能が用意されています。

損益計算書を正しく理解して経営に活かそう!

損益計算書は、決算書の作成時に必要となる重要なものです。

会計だけでなく、企業の業績を分析する際にも活用すべき、大切な資料です。

作成するためには多くの工数がかかりますが、今回紹介したサービスなどを活用して効率よく作成しましょう。

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