アルバイトやパートなどで働こうと思った際に、「正社員登用制度あり」と書かれた募集を見たことがありますでしょうか?
実は(正社員とよう)と読みがちですが、正しくは(正社員とうよう)です。
「正社員登用あり」とは、アルバイトやパートを経て正社員になる可能性があるといったものですが、実際にはどのような制度なのでしょうか。
注意点なども含めて正社員登用制度について詳しく説明していきます。
目次
正社員登用制度とは
正社員登用制度とは、アルバイトやパートで務めている方が勤め先の判断により正社員へと引き上げる制度のことをいいます。
正社員登用制度で注意しておきたいのが、必ず正社員として登用されるわけではないという事です。
因みに、令和2年に厚生労働省が発表した数値によると【約55%の企業が正社員登用制度を設けている】と発表されました。
しかし、実情はそこまで正社員に登用することは多くないのが実情です。
正社員登用を目指すのであれば、その条件や実績などを事前に確認することが重要です。
※参照:厚生労働省
正社員になるための条件とは
「正社員登用あり」と書かれていても、具体的に正社員になるための条件を記載している企業はほとんどありません。
企業によって条件も様々で、人手不足になった際に登用されたり、数か月の期間を経て昇格試験があったりと正社員になるための条件は様々です。
また、企業の業績次第では正社員登用はせずにコストが安い非正規雇用のままにしておくという事も考えられます。
その為、正社員を目標とするのであれば事前に事業主に確認をしましょう。
職能資格制度などを生かす
業種によっては仕事内容に対して資格制度を設け、資格を取得を前提に人事考査の評価が一定以上の場合であれば、正社員登用制度として正社員に登用している場合もあります。
資格自体は、全てのアルバイトやパートが受験することができすべての労働者に正社員登用するチャンスがあるということです。
これらの企業は教育訓練にも力を入れており、社内基礎セミナーなどを導入している場合もあります。
また社会福祉施設のようにホームヘルパーや介護福祉士など国家資格や公的資格が必要となっている場合もあります。
これらの場合であれば国家資格や公的資格の取得を昇格要件としていることもあります。
入社時に国家資格や公的資格を持っておらずアルバイトとして入社した方も、バイトとして働きながらこれらの資格を取得する機会がありさらに正社員として勤めるチャンスがあるということです。
正社員登用を目指すなら勤続年数に応じて
またアルバイトやパートの勤続年数に応じて正社員登用につなげている企業もあります。
勤続年数を基準として、さらに人事の評価や資格の取得などに応じて正社員登用を決めることもあります。
能力に応じて
はっきりとした資格などが必要ない業種において成績評価や能力評価、さらに就業評価によって正社員登用を決める企業もあります。
それぞれ企業によって独自の評価方法があり審査が行われます。
例えばある一社の正社員登用としての転換基準は以下のようになっています。
①エントリー(勤続3年以上)②上司評価③筆記試験・適性試験④部門長面接⑤役員の最終確認
正社員登用の実施状況
アルバイトやパートなどの短時間労働者から正社員への転換推進処置の実施状況は以下のようになっています。
平成18年では実施しているのは45.8%だったのですが平成22年には日本18点6%に増えています。
また正社員を募集する場合その募集内容を短時間労働者に周知している、
正社員のポストを社内公募する時短時間労働者でも応募機会を与えているなど様々な取り組みを企業がしています。
参照:厚生労働省
しかし正社員転換の実績としては以下のように平成18年で実績がある会社は30.5%、平成22年でも39.9%と決して多いわけではありません。
しかもこれらの数値は torne も実績がある場合の数であり、全体的な数値としてはまだまだ決して多いわけではありません。
参照:厚生労働省
派遣社員の社員登用制度は別
派遣社員でも紹介予定派遣といった制度があります。派遣先と派遣社員の条件があえば正社員になることができるといった制度ですが、派遣元とも話し合う必要があります。
また派遣先が派遣元に紹介料を支払う必要があるので、さまざまな条件をクリアする必要があります。
さらに紹介予定派遣は派遣社員として勤められる機関は決まっており、この期間を超えると直接雇用か、派遣契約終了となります。
また通常の派遣社員がいきなり派遣先と派遣社員の話し合いで正社員にすることは、法律により禁じられています。
ショートタイム社員とは
いきなり正社員にするのは難しくても、フルタイムでなくショートタイム社員を導入するケースもあります。
ショートタイム社員とは以下のように厚生労働省によって設定されています。
通常のフルタイム社員と比べてショートタイムの時間であり、フルタイムで働けない人であっても
福利厚生は社員と同様の待遇であるなど条件は労働時間以外ほとんどフルタイム社員と変わりません。
年間所定労働日時間は960時間から1920時間の間で雇用先と話し合いをすることになります。このように政府では働き方に大切さがないような様々な配慮がされています。
〇給与
フルタイム社員時の月給を時間割で支給
〇労働時間年間所定労働時間
1920~960時間の範囲で設定
短時間勤務・短日勤務いずれも可
(事業所・店舗毎に労使で相談し、労働者の希望にそえるよう配慮)
〇福利厚生フルタイム社員と同様の待遇
〇年次有給休暇労働基準法の規定による比例付与
〇社会保険・労働保険すべて適用
引用:厚生労働省
正社員登用制度を導入する企業にとってのメリット
ここまで正社員登用制度に関して労働者側からの観点において説明をしてきました。しかし実は正社員登用制度を導入することによって、企業にもメリットが以下のようにあります。
- 労働者の確保
- 社会的信用の向上
- キャリアアップ助成金を受けられる
労働者の確保
高齢化や少子化が続く日本において、労働者の確保が難しくなっています。
そのため新卒で採用することが難しくなっており様々な方法で人材の確保に各社取り組んでいます。
バイトやパートで勤めてる人であれば力量が分かりますし 正社員に採用してから心配することは少ないでしょう。
社会的信用の向上
政府では正社員としての雇用を推奨しています。
そのため正社員登用制度として正社員への雇用に力を入れている企業であれば社会的信用の向上につなげることができます。
また従業員を大切にしていることがわかるため、採用においても大きなメリットとなることでしょう。
キャリアアップ助成金を受けられる
条件によりますが正社員登用制度を進めることによりキャリアアップ助成金を受けることができます。
有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換、または直接雇用(転換等)した場合に助成される正社員化コースでは、中小企業の場合だと一人当たり57万円の助成金を受け取ることができます。
また以下のように加算処置もあります。
派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合 | 28万5,000円 |
母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合 | ① 95,000円②③47,500円 |
勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換等した場合(1事業所当たり | 95,000円 |
① 有期 → 正規② 有期 → 無期③ 無期 → 正規
参照:厚生労働省
以上のように正社員として採用する以外にも有期を無期にしたり、無期を正規にした場合でも助成金を受け取ることができます。
キャリアアップ助成金には他にも賃金規定等改定コースがあります。
条件としては有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給した場合に助成されます。
つまり有期雇用労働者であったとしても賃金を上げてもらえる可能性があるということです。
改訂後の有期雇用労働者などの基本給の増額に対しての助成金は以下のようになっています。
対象労働者数 | 非正規雇用労働者 |
1~5人 | 1人当たり32,000円 |
6~100人 | 1人当たり28,500円 |
参照:厚生労働省
以上のように正社員としての雇用を進めている政府のもとで、正社員登用制度を行うことによって雇用する企業にとっても大きなメリットがあるのです。
措置の内容をパートタイム労働者に周知することが大切
アルバイトやパートタイム労働者が、正社員登用制度があることまた正社員になる為の条件などを分かりやすくするために周知する必要があります。
正社員登用制度があることを知っていてもなぜ正社員になったことがわからないと、不満や不安につながってしまいます。
厚生労働省では以下のような周知の仕方を推奨しています。
措置の内容の周知方法の例
①就業規則に記載
②労働条件通知書に記載
③事業所内の掲示板での掲示
④資料の回覧
⑤社内メールやイントラネットでの告知
⑥給与袋に資料を同封など
実際に募集・社内公募する際の周知方法の例
①事業所内の掲示板での掲示
②資料の回覧
③社内メールやイントラネットでの告知
④人事考課の面接等で希望聴取
⑤給与袋に資料を同封
引用:厚生労働省
またハローワークの求人票などに以下のようにはっきりと記載することも必要です。
法第13条第1号の措置の周知例(方法:就業規則など)〕
(正社員転換推進に関する措置)
第○条:パートタイム労働者の正社員への転換を図る措置として、ハローワークに正社員募集に
かかる求人票を出す場合、その募集内容を事業所内でも掲示するほか、社内メールなどにより、第○条に規定するパートタイム労働者に対し周知する。
2外部からの申し込みの有無にかかわらず、公正な選考を行う。
3応募の条件は、各募集の際の募集要項による。
引用:厚生労働省
パートタイム労働法について
現在、日本ではパートタイム労働者についても、通常の労働者に転換するなどの転入制度導入を推進しています。
パートタイム労働法第12条では以下のように記されています。
「事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用するパートタイム労働者について、次のいずれかの措置を講じなければなりません。
通常の労働者を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイム労働者に周知する。
通常の労働者のポストを社内公募する場合、既に雇っているパートタイム労働者にも応募する機会を与える。
パートタイム労働者が通常の労働者へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。
その他通常の労働者への転換を推進するための措置を講じる。」
引用:和歌山労働局
まとめ
正社員として企業で働く方法には直接面接によくあることと、アルバイトなどから正社員登用制度を通して正社員に雇用される方法があります。
正社員に雇用される制度を採用している企業は、アルバイト募集時に「正社員登用制度あり」などと記載されています。
しかし実際には正社員登用制度があるだけで、正社員登用率は決して高いとは言えません。
またそれぞれの企業によって正社員になるための基準が決められており、トの基準は時期によっても変動されることも多くあります。
正社員登用制度のあるアルバイトの魅力として、なかなか正社員案件の面接に受からない人でもアルバイトで実績を積むことによって正社員になるチャンスがあるということです。
正社員に登用されない時でも、 アルバイトとしては実績を積むことができるので今後他の企業の社員目指すなどにつながることもあるでしょう。
正社員登用制度は企業にとってもメリットがあり、今後はさらに需要が高まっていくでしょう。
なかなか正社員として採用されず悩んでる方もバイトから正社員へなる可能性も十分にあるのです。
またバイトとして経験を積むことによって正社員としての面接に通る可能性もあります。