日本では、5人に1人が心の病気にかかるといわれています。
メンタルヘルスは健康経営には欠かせないものです。
そんな、メンタルヘルス不調は誰にでも起こりうる問題になっています。
メンタルヘルスは職場だけでなく、日常でも使われる心の健康を意味する言葉です。
しかし、どういった内容か、なぜ重要視されているかは分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、メンタルヘルスの言葉の意味や企業ができる対策、ケア内容を徹底解説します。
メンタルヘルスケアは、経営の向上には欠かせないものなので、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
目次
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは、分かりやすくいえば「心の健康状態」をいいます。
また、精神的状態を指し、精神的な健康の回復や改善などの状態を意味する言葉です。ストレスを乗り越え、
自らの能力を発揮できる状態のことを示すこともあります。
仕事に限らず、メンタルヘルスは日常においても重要なものです。
心の健康を保つことが必要ですが、ストレスなどでメンタルヘルスを損なう場合があります。
メンタルヘルスを損ねてしまうと、さまざまな問題が日常的に影響を及ぼしかねません。
メンタルと聞くと、ネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。
メンタルヘルスは実は、心の健康を示すポジティブな言葉なのです
厚生労働省などは、このメンタルヘルスについてさまざまな対策を講じています。
メンタルヘルスが起因する疾患
メンタルヘルスの意味について、徹底解説しました。
続いては、メンタルヘルスが起因する疾患についてご紹介します。
メンタルヘルスが原因でなる疾患は主に次の通りです。
- うつ病
- パニック障害・不安障害
- 適応障害
- 睡眠障害
うつ病
うつ病とは、気分が落ち込み憂うつになるといった精神的症状や、眠れなかったり疲れやすかったりする身体的症状のある病気です。
最近はうつ病などの精神疾患が増加傾向にあり、このうつ病は、気分障害の1つとされています。
原因は、もともと持っている性格や身体的疲労、過度なストレスなどさまざまです。
真面目だったり、完璧主義者がうつ病になりやすいといわれています。
昨今は100人に6人がうつ病になるといわれていて、誰がいつ発症してもおかしくない精神疾患の1つです。
うつ病を治すには、まず休養が必要になってきます。
その上で、環境を改善したり薬物を用いたり、精神療法などをうまく活用することが大切です。
うつ病は、治すのが難しい病気の1つなので、まずは焦らずに治療をすることが重要になります。
パニック障害・不安障害
パニック障害とは、緊張や激しい不安が数分以内に出現する、パニック発作といわれる症状が繰り返し起こる精神疾患の1つです。
パニック障害の場合、このような症状が1ヶ月以上続くと診断されます。
不安障害は、日常のさまざまな出来事に対して、過剰な心配や不安が継続する精神疾患の1つです。
パニック障害は不安障害の1つといわれています。
6ヶ月以上、過剰な心配や不安が起こり続けていると、不安障害と診断されることが多いです。
パニック障害の原因として、セロトニン不足があるといわれていますが、その原因ははっきりと分かっていません。
不安障害の原因は、遺伝やもともとの性格が主な原因です。
また、薬物治療で症状が改善するといわれています。
適応障害
適応障害は、転勤や人間関係など特定の出来事や状況に、その人によって耐えがたい苦悩を感じ、気分や行動に症状が現れる精神疾患の1つです。
涙もろくなったり、神経が過敏になったりします。
適応障害の原因は、特定の環境や状況にうまく適応できなかったり、ストレスを感じたりすることが主な原因です。
うつ病に似た症状ですが、ストレスとなる要因から離れれば、症状が改善するともいわれています。
適応障害の改善には、ストレスの要因をまずは避けることが大切です。
また、適応障害の場合は薬物治療では根本的な治療にならないため、行動療法やカウンセリングも必要になってきます。
睡眠障害
睡眠障害は、睡眠に何らかの問題がある状態のことです。睡眠は、健康の維持には欠かせません。
睡眠障害にはさまざまな種類があり、その病気の総称が睡眠障害で、睡眠に関する疾患や症状のことを睡眠障害と呼びます。
睡眠障害の中で一番多いのが、不眠症です。
健康を維持するための睡眠時間が、質や量的に低下する病気が不眠症になります。
また、日中に生活に支障をきたすほどの眠気に襲われるのが過眠症です。睡眠障害で主なのが、この2つになります。
原因は、緊張やストレス、薬の副作用などです。
睡眠障害を改善するには、原因となる疾患の治療や、規則正しい生活など生活習慣を整えることが必要になってきます。
生活リズムを整え、活動的に過ごすことが大切です。
企業がメンタルヘルスケアを実施する重要性
メンタルヘルスが原因でなる疾患についてご紹介しました。
上記のような、疾患を防止するためには、メンタルヘルスケアが重要です。
続いては、企業がメンタルヘルスケアを実施する重要性について解説します。
重要性は、次の通りです。
- 生産性を向上させられる
- 業績低下を防げる
- 経営リスクマネジメントに繋がる
生産性を向上させられる
まず、メンタルヘルスケアを実施すると、企業の生産性を向上させられます。
一見、メンタルヘルスは生産性とは関係ないように思えます。
しかし、従業員のメンタルヘルスは、企業の生産性に影響するのです。
メンタルヘルスと聞くと、心の問題というイメージがあるでしょう。
しかし、メンタルヘルス不調で起こる主な精神疾患の多くは、脳が関係しています。
精神疾患になると、脳にも影響が及び、脳の機能が低下することが分かっています。
メンタルヘルス不調になると、根気が続かなくなったり、遅刻や無断欠勤が多くなったりします。
パフォーマンスも落ちるのです。脳の機能が低下すると当然、生産性にも影響し、結果的に生産性の低下に繋がりかねません。
業績低下を防げる
厚生労働省の調査によると、従業員の約半分がメンタルヘルス不調に悩まされているといいます。
メンタルヘルス不調によって、生産性が下がるということは、このままでいくと業績の低下に繋がるのです。
メンタルヘルス不調であるということは、上記で解説した精神疾患にかかる可能性があります。
また、その予備軍である可能性もあるということです。
精神疾患にかかると、休養や離職に繋がる場合もあり、結果的に業績低下になるでしょう。
先ほど、従業員の約半分はメンタルヘルス不調であるということをお伝えしました。
そのため、企業はリスクマネジメントの1つとして、早急に従業員のメンタルヘルスケアを実施する必要があります。
経営リスクマネジメントに繋がる
製造業や運送業などの分野では、特にリスクマネジメントの一環で、メンタルヘルスケアを実施することが重要です。
従業員がメンタルヘルスを怠ったためにミスを起こしてしまうと、顧客に多大な迷惑をかけることになります。
事故などで、関係のない人間を傷つけてしまうこともあるでしょう。
当然、賠償責任の問題や、企業に対しての信用問題にまで発展します。また、従業員からは労災認定などの訴求にもなりかねません。
企業は、メンタルヘルスなどと甘く見ずに、ケアを徹底することはリスクマネジメントの1つで重要になります。
従業員への意識的なメンタルヘルスケアをすることで、企業のためにもなるのです。
企業ができるメンタルヘルスケア
これまで、企業がメンタルヘルスケアを実施する重要性について解説しました。
重要性はお分かりいただけたかと思いますが、実際にはどうケアしていけばいいでしょうか。
続いては、企業ができるメンタルヘルスケアについてご紹介します。
主なメンタルヘルスケアは、次の通りです。
- メンタルヘルスケアに関する教育
- 職場環境の把握
- メンタルヘルス不調に対しての気づき
- 職場復帰の支援
メンタルヘルスケアに関する教育
まずは、メンタルヘルスケアに関する教育です。ストレスマネジメント研修などを行いましょう。
メンタルヘルスケアは、企業によるケアだけでなく、従業員1人ひとりのセルフケアも必要になります。
こういったストレスマネジメント研修などの教育は、小規模企業でも実施しやすいでしょう。
また、リーダーなどの管理職に、メンタルヘルスケアに関する資格取得を義務づけている企業もあります。
メンタルヘルスケアに関する資格や、研修など心理面でもメンタルヘルスケアについても知る機会があります。
企業全体でメンタルヘルスケアに取り組むことが重要です。
職場環境の把握
セルフケアなどだけでなく、職場環境の改善をすることも、メンタルヘルスケアに重要です。
まずは、従業員の置かれている職場環境の把握をしましょう。
従業員のケアだけでなく、ハードの面で職場環境の見直しも必要です。
いくら、ソフト面での改善をしたところで、ハードの面で職場環境が整っていなければ、メンタルヘルスケアにはなりません。
あらゆる面で、従業員のストレスの緩和をすることも、企業には求められています。
メンタルヘルス不調に対しての気づき
いろんな対策を講じても、メンタルヘルス不調になってしまうこともあります。
そういう場合は、早くメンタルヘルス不調に気づくことが大切です。
また、メンタルヘルス不調に対して、適切な処置をしましょう。
そのためには、相談やカウンセリング窓口を企業内に設けることが、メンタルヘルス不調に早く気づくことができるでしょう。
また、産業医や産業保健師なども配置して、気軽に相談できる状態を作っておくことが必要です。
職場復帰の支援
メンタルヘルス不調によって、もし精神疾患などで休養し、職場復帰する場合は職場復帰に向けての支援も必要です。
休養での不安や焦りなどを緩和させるためのフォローアップが重要になってきます。
この職場復帰支援を怠ると、不調の悪化や離職になる恐れもあるので、慎重なフォローアップが必要です。
有効なメンタルヘルスケア対策
企業ができるメンタルヘルスケアについて解説しました。
上記に加えて、メンタルヘルスケアの対策も、企業には必要になってきます。
ここでは、有効なメンタルヘルスケア対策についてご紹介します。
有効なメンタルヘルスケアについては、次の通りです。
- ストレスチェック
- 専任スタッフとの連携
- ストレスマネジメント研修の実施
ストレスチェック
ストレスチェックは、メンタルヘルス不調を早期に発見できるツールの1つです。
アンケート方式で、簡単にストレスチェックが可能になっています。
ストレスチェックをすることで、従業員自身のストレスレベルを知ることが可能です。
また、企業自体もその従業員のストレスによって、職場環境の改善に役立つことができます。
ストレスのレベルが分かるので、早期にセルフケアも可能です。
専任スタッフとの連携
産業医や、産業保健師などの専任スタッフとの連携も、メンタルヘルスケアには重要になってきます。
労働安全衛生法では、従業員が50人以上の職場では、産業医を必ず1人おくことが義務付けられているのです。
産業医は、健康診断の実施や対処、ストレスチェックの実施も行います。
また、必要になれば医療機関への紹介も行うことが可能です。
休職者の復帰支援も行い、従業員の健康のサポートをしています。
ストレスマネジメント研修の実施
ストレスマネジメント研修を行い、従業員でもセルフケアやストレスマネジメントができるようにしておくことも必要です。
メンタルヘルスケアの重要性はもちろん、基礎知識が学べるので、管理職の方などにも行います。
そうすることによって、意識の向上や、メンタルヘルス不調の予防にも繋げることが可能です。
ストレスマネジメント研修自体は、DVDなどでも気軽に行えるので、小さな会社でも十分に研修が行えます。
まとめ
メンタルヘルス不調は、仕事だけでなく、人生においてもなる可能性があります。
今回は、メンタルヘルスについて、メンタルヘルスケアの重要性などについて解説しました。
メンタルヘルスケア対策についても、お分かりいただけたかと思います。
メンタルヘルス不調は、セルフケアなども必要ですが、職場環境の改善など企業にとても重要な問題です。
今回の記事を参考にして、ぜひ貴社のメンタルヘルスケアについて考えてみましょう。