「サーバーの移転を考えているけど、移転の手順がよくわからない」と悩んでいる方もいるでしょう。現行のサーバーがスペック不足、使いたい機能がないからサーバーの移転を考えている方は、サーバー移転を迷わずできる手順をズバリ知りたいですよね。
そこでこの記事では、サーバー移転する9つの手順を詳しく解説します。また、サーバーを移転する際の注意すべき点やサーバー移転代行サービスも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
サーバー移転を考えるタイミング
サーバー移転を考えるタイミングを2つ紹介します。
- サーバーにスペック不足を感じたとき
- 必要な機能が現行のサーバーにないとき
それぞれ解説していきます。
サーバーにスペック不足を感じたとき
現行のサーバーに対して、スペック不足を感じたときがサーバー移転を考えるタイミングです。サイト表示が遅いと感じたりエラーが頻発したりするような場合は、サーバーのスペックが不足しているからです。
はじめのころは問題なかったサーバーでも、アクセスの急増や重たいデータの動作によって負荷がかかり、スペック不足が起こるおそれがあります。処理能力の高いサーバーに移転するとサイトの表示が早くなり、エラーが発生しにくくなるでしょう。
必要な機能が現行のサーバーにないとき
必要な機能が現行のサーバーにない場合は、サーバー移転を考えましょう。なぜなら、現行のサーバーで必要な機能がなければ業務の効率が低下し、やらなくてもよい業務がでてくる可能性があるからです。例えば、以下の機能がサーバーによって異なります。
- 外部バックアップに対応しているのか
- WordPressに対応しているのか
- アクセス解析(AI分析)に対応しているのか
また、最新技術が使いたい場合などもあるでしょう。その場合は、現行のサーバーでは対応できない可能性があります。他のサーバーで魅力的な新しい機能が配信された場合などもサーバーの移転を考えるタイミングです。
サーバー移転の手順を9ステップで紹介
サーバー移転の手順を9ステップで紹介します。
- 1.サーバー移転前の確認
- 2.サーバーデータをバックアップ
- 3.新サーバーの登録
- 4.新サーバーにデータをアップロード
- 5.新サーバーと独自ドメインを紐づける
- 6.DNS の切り替え
- 7.メールサーバーの設定
- 8.旧サーバーの解約
- 9.SSL化をする
1.サーバー移転前の確認
サーバー移転する前に新旧サーバーの並行稼働期間があるかを確認しましょう。新旧サーバーの並行稼働期間がなければ、移転作業中にメールやWebサイトが止まるかもしれないからです。並行稼働期間があるかどうかは、契約する前に確認しておきましょう。
また上記の理由からサーバー移転時にWebサイトやメールが止まってしまうおそれがあります。利用者には事前にサーバーを移転することをアナウンスしておきましょう。
アナウンスせずにWebサイトが止まると、顧客離れや会社の信用をなくすおそれがあるので要注意です。サーバーを移転する前には並行稼働期間があるか確認し、利用者には必ずアナウンスすることをおすすめします。
2.サーバーデータをバックアップ
現行サーバーに残っているデータは必ずバックアップをとりましょう。バックアップをとっていなければ、サーバー移転中の不具合などでデータが消える可能性があるからです。
例えば、データ移転中にパソコンがダウンしたり、移転する前に旧サーバーを解約してサーバー業者にデータを消されたりするおそれがあります。サーバー移転前にバックアップを取っておけば、そのようなトラブルにも柔軟に対応できます。
3.新サーバーの登録
移転先のサーバーが決まったら新サーバーに登録しましょう。基本的な契約はWeb上で完結します。次に選ぶ新サーバーは、スペックや機能性、価格、セキュリティなどのさまざまな点を確認して、自社の問題解決できる最適なサーバーを選んで登録しましょう。
4.新サーバーにデータをアップロード
あらかじめバックアップをとっておいたデータから、移転先サーバにデータをアップロードしましょう。これは、旧サーバーで利用していた同じWebサイトを公開するためです。
旧サーバーで利用していたときと同じWebサイトが公開できなければ、今まで培ってきたコンテンツなどが台無しになります。なお、アップロードの段階では旧サーバーに紐づいた状態のため、Webサイトの切り替えは済んでいないので注意してください。
5.新サーバーと独自ドメインを紐づける
新サーバーと独自ドメインを紐づけましょう。独自ドメインに紐づけるためには、ネームサーバーを新サーバーに切り替える必要があります。ネームサーバーを切り替えると独自ドメインが紐づいているサーバーに変更できるのです。
6.DNS の切り替え
DNSの切り替えをしましょう。DNSとは、インターネット上でサーバーのIPアドレスとドメイン名を管理・運用するために開発されたシステムのことです。
サーバー移転前の場合は、旧サーバーにメールなどが振り分ける設定がされているので、DNSを切り替えて新サーバーに振り分けられるようにします。ただし、DNSの切り替え作業は2〜5日程度かかるので、現行サーバーと新サーバーの並行稼働期間をもうけるようにしましょう。
7.メールサーバーの設定
新サーバーで旧サーバーと同じメールアカウントを設定しましょう。旧サーバーで使用していたメールアドレスを新サーバーに設定するだけで完了です。
設定が完了したら「メールの送受信ができるか」、「正常に作動するのか」を確認しましょう。DNSを切り替えたあと、新サーバーへの移転が完了するまでに1週間程度かかる場合があります。ですから、メールの送受信は新旧サーバーどちらでも受信できるように設定するのがおすすめです。
8.旧サーバーの解約
新サーバーの正常稼働が確認できたら旧サーバーに残ったメールなどを確認し、Webサイトの切り替え作業が完了してから解約の手続きをしましょう。解約するのを忘れてしまうと、二重契約になりますので注意してください。
9.SSL化をする
新サーバーのWebサイトをSSL化しておきましょう。SSL化とはインターネット上でのデータのやりとりを暗号化し、第三者に情報を覗かれたり盗まれたりしないようにする通信方法のことです。
もしSSL化しなければ、情報を覗かれたり盗まれたり、改ざんされたりする可能性があります。また、訪問者の離脱にもつながります。Google Chromeなどの各ブラウザにおいて「安全ではないページ」と表示されるので、訪問者は離脱するでしょう。ほとんどのサーバーでは無料でできるのでSSL化しておきましょう。
移転先へのおすすめはクラウドサーバー
移転先へのおすすめはクラウドサーバーです。
理由は以下のとおりです。
- サーバー移転にかかる費用を削減できる
- 機能の拡張ができる
- どこからもアクセスできる
サーバー移転にかかる費用を削減できる
クラウドサーバーに移転すれば、レンタルサーバーより費用が削減できます。クラウドサーバーは自社専用の物理サーバーが不要です。その分初期費用がかからないので、レンタルサーバーと比べると導入コストが安く済みます。
機能の拡張ができる
クラウドサーバーは、機能の拡張が自由にできるのが魅力です。急なアクセス増加でもスケールアップが容易にできます。またアクセスが落ち着いたときにスケールダウンすることも可能です。
クラウドサーバーはスケールを臨機応変に対応できます。オンプレミスはスペックをあげるだけでもサーバーの増設が必要です。オンプレミスとは、サーバーやソフトウェアなどの機器を自社内で管理・運用することです。クラウドサーバーの月額料金は従量課金制なので、使った分だけが請求されます。
どこからもアクセスできる
クラウドサーバーであれば、どこからでもアクセスができます。パソコンやタブレット、スマホなどのあらゆる端末から同じサーバーにアクセスが可能です。またファイルの共有も容易にできます。在宅ワークなどが広がる近年では、場所を問わず誰でも簡単に使用できるのは大きなメリットでしょう。
サーバー移転時の注意点
サーバー移転時の注意点は以下のとおりです。
- 1.ネームサーバーの変更は時間がかかる
- 2.繁忙期の移転は回避する
- 3.移転時の失敗は大きな被害になる
1.ネームサーバーの変更は時間がかかる
ネームサーバーの変更はすぐに反映されず、数時間から2日程度かかります。そのため、しばらく新旧どちらにアクセスがくるかわからない状態となります。
例えば旧サーバーや新サーバーのWebページが表示されたり、旧サーバーや新サーバーにメールが届いたりする場合があるということです。また、メールが新旧サーバーのどちらかに届くかわからないので、従業員が使うメールは問題なく送受信できるか慎重に確認しましょう。
2.繁忙期の移転は回避する
サーバー移転に時間の余裕があるならば、繁忙期は避けましょう。業種によっても異なりますが、繁忙期にメールの不具合が発生すると、業務が滞り大きな損害につながるおそれがあります。サーバー移転時はWebサイトやメールの不具合が起こりやすいので、サーバーを移転する時期は慎重に検討しましょう。
3.移転時の失敗は大きな被害になる
移転作業のミスで大きな被害を受けないよう、サーバー移転に伴う作業は慎重に行いましょう。特に「Webサイトのデータやメールのデータを消してしまった」「Webサイトが表示されない」といったトラブルはよくあります。大きな被害を及ぼしかねません。
もしサーバー移転作業に不安がある場合は、サーバー移転の代行サービスを利用する方法もあります。サーバー移転手続きをすべて代行してもらえる業者を選べば、業務に支障をきたさず安心して移転作業ができます。
クラウドサーバーへ移転するときの注意点
クラウドサーバーへ移転するときの注意点を2つ紹介します。
- 1.費用が高くなる場合がある
- 2.セキュリティが低くなる
1.費用が高くなる場合がある
初期費用がかからず従量課金制であるクラウドサーバーは、基本的に費用を削減できます。しかし急なアクセス増加などにより予想以上のスペックが必要になる場合は、想定していた以上に費用がかかることがあります。もし長期で考えたときに機能の拡張をし続ける必要がある場合は、クラウドサーバーではなくオンプレミス(自社構築)の検討が必要です。
2.セキュリティが低くなる
クラウドサーバーの仕組み上、利用するにあたってインターネットを経由するのでセキュリティが低くなります。常に外部から攻撃される恐れがある状態です。そのため不正アクセスなどのリスクの対策を考えておく必要があります。オンプレミスであれば自社ネットワーク内での共有になるので、クラウドサーバーと比べればセキュリティが高くなります。
ただし実際は、クラウドサーバーでも大きな問題はありません。高い技術力やノウハウを持っているクラウドサーバー業者が多く、セキュリティに関して常に対策しているからです。クラウドサーバーを選ぶ際には、強固なセキュリティが行き届いた事業者にするのがおすすめです。
サーバー移転代行サービスの紹介
サーバー移転代行サービスを5つ紹介します。
- クララ株式会社
- さくらインターネット
- GMOクラウド iCLUSTA+
- NTTコミュニケーションズ
- カゴヤインターネット
クララ株式会社
クララ株式会社は、クラウドマイグレーションサービスを利用してサーバーを移転するのがおすすめです。
クラウドマイグレーションサービスは、
- データセンターの移設
- 統合や複数のクラウド環境の統合
- クラウドの新規構築
- サーバーの移転
- 古くなったOSのEOL対応
など、専門のエンジニアが移転するサービスです。
クラウドマイグレーションサービスの特徴は次の通りです。
- 国内最大級の移行実績
- 影響を最小限に
- ハイブリッドクラウドの推進
- 創業25年
- 約500社以上の移行代行実績
- 移行に強いエンジニアが多数在籍
- オンプレミス・クラウド・データセンターに対応可能
料金は公式サイトに表示されていないため、お問合せにて確認してください。
さくらインターネット
引用元:さくらインターネット公式HP
さくらインターネットのサーバー設定代行は、22,000円でCSRの作成からサーバーへのインストールまで技術スタッフが代行します。さくらインターネットは利用できるサーバーサービスが豊富です。以下のサーバーサービスであれば、サーバー設定代行が利用できます。
- さくらのVPS
- さくらのVPS for Windows Server
- さくらのクラウド
- さくらの専用サーバ PHY(旧プラン含む)
- ハウジングサービス
GMOクラウド iCLUSTA+
引用元:GMOクラウド iCLUSTA+公式HP
GMOクラウド iCLUSTA+では、サーバー構築・運用、管理・保守の各種設定などの作業をGMOクラウドの専任エンジニアが代行するサービスです。提供するサービスの主な内容と料金は次の通りです。
- 初期設定代行サービス:22,000円〜
- セキュリティパック:27,500円〜
- 初期設定代行サービス+セキュリティパック:49,500円〜
- Windowsメールサーバー構築:33,000円〜
- システム移行代行サービス:110,000円〜
NTTコミュニケーションズ
引用元:NTTコミュニケーションズ公式HP
NTTコミュニケーションズのサーバーは国内のデータセンターで管理され、通信事業者ならではの強みをいかしています。設定代行サービスの内容は次の通りです。
- 複数ドメインウェブ設定
- アクセスレポート設定
- DNSゾーン編集
- メールアドレス作成
- サイボウズインストール
- PukiWikiインストール
料金はお問合せにて確認してください。NTTコミュニケーションズは設定代行サービスの提供に伴い発生した損害について、責任を負わない場合がありますので注意してください。また、現行のサーバー環境によっては設定代行サービスが利用できない場合があります。
カゴヤインターネット
引用元:カゴヤインターネット公式HP
カゴヤインターネットは、サーバー移転やメールアカウントの設定、ドメイン取得などの作業を代行するサービスです。データ移行代行の内容と料金は次の通りです。
- Webデータ/1ディレクトリ(100GBまで):11,000円
- サーバー乗り換え完了後のURL確認/1URL:5,500円
- データベース移行/1データベース:11,000円
- メールアカウント・アドレス設定(1ドメイン500メールアカウントまで):11,000円
サーバー移転に関するQ&A
サーバーに関するQ&Aを3つ紹介します。
- Q1.移転先として選ぶ際のポイントはありますか?
- Q2.ドメインをそのままで別のレンタルサーバーに移転できますか?
- Q3.サーバー移転する代行業者の費用相場はどのくらいですか?
Q1.移転先として選ぶ際のポイントはありますか?
新しいサーバーを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
- 利用したい機能が備わっているか
- 旧サーバー以上のパフォーマンスを実現できるか
- サポートが充実しているか
- 費用面の問題は改善するか
Q2.ドメインをそのままで別のサーバーに移転できますか?
ドメインはそのままでも別のサーバーに移転できます。しかし、サーバーによってはドメインそのままで利用できない業者もあります。また、サーバー移転方法はサーバー業者によって異なるため、利用したいサーバーの説明を事前に確認しましょう。
Q3.サーバー移転する代行業者の費用相場はどのくらいですか?
20,000円から100,000円ほどが相場です。しかし、データ容量やサイトのカスタマイズによって費用が変わります。また、どこまで代行してもらうかでも費用は変わります。依頼する前に業者に見積もりをもらうのがおすすめです。
まとめ
今回は、サーバー移転する9つの手順について解説しました。サーバーの移転は、初めてする方には難しく感じるかもしれません。しかしポイントをわかりやすく説明した本記事を参考にすれば、簡単にサーバーの移転が可能です。
本記事を参考にしてもサーバーの移転に不安を感じる方は、サーバー移転代行サービスも紹介しています。ぜひ本記事を参考にしてサーバー移転を検討してみてください。